鷲田清一のレビュー一覧

  • 死なないでいる理由

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    鷲田さんの、ずっと前から読みたかった本。
    むずかしい。追いつきたい。
    やはり鷲田さんの臨床哲学は、ひととひととの関係があるからこそ存在する学問で、鷲田さんの文章のやさしさはそこから来るんやろうなあと思う。
    ひととひととが支え合う、ケアについての部分が印象的でした。

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    2013年10月06日
  • 京都の平熱 哲学者の都市案内

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    市バス循環206番の沿線の景観・風俗を題材にした京都論、都市論、コミュニティ論、哲学、そして一風変わった京都案内の本であり学者さんの本。本書自体が万華鏡のような切り口によって様々な表情を見せ、至る所にあやかしの異界が顔をのぞかせる京都を体現しているように思える。

    などと難しいことを考えなくても、素直に206番に乗って京都をぐるりと回る前に予習しておく本として読めば良いのではなかろうか。ただし実際に206番に乗るときには本書を持っていくような無粋なことをせずに、読後の記憶をたどりながら回るのが京都や本書の楽しみ方だと思う。

    「おもろい」本としてオススメです。

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    2013年07月17日
  • 京都の平熱 哲学者の都市案内

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    鷲田清一の本を読み通すのは初めて。206沿線の普通な京都を案内するという。生まれ育ち京都でその後もずっと関西圏なうえに、エッセイの書き手としても腕が確かという最強な組合せで非常に良いし、知ってるところが次々出てくるし素晴らしい。この手の本にありがちな粗も、5年程度住んでた人間に見つけられるものは数点しかなかった。

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    2013年07月17日
  • 悲鳴をあげる身体

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    身体は誰のものか?
    わたしのもので、わたしが自由にしていいのか?

    答えはノーである。

    いのちが宿る身体。
    いのちはいのち相互のやり取りによって生きられている。
    そのことからいのちが私個人のものなどではあり得ないことが導かれる。

    わたしの身体がガチガチで悲鳴をあげているのは、わたしがあまりに観念的であるからのようだ。わたしの未熟な観念で私の身体を縛り付けているということのようである。

    そうであれば無私を目指すべきなのだろう。いやまったくの無私というのではなく程々の欲望ということだろうか?

    Mahalo

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    2014年05月03日
  • だれのための仕事 労働vs余暇を超えて

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    働くことへ違和感を感じている人におすすめ。
    システム化された今の社会で、個々が何をどう感じているかが見えてくる。

    その違和感が不快だった場合は、どうすりゃ自分はその考え方から抜けられるのかのヒントも書いてある。
    途中、ちょっと読みづらかったけどね。

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    2013年06月26日
  • 京都の平熱 哲学者の都市案内

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    京都を一巡りする市バス206番の東廻りの路線に沿った京都案内。京都生まれの哲学者による案内なので当たり前の京都案内になる訳がなく、普通の神社仏閣名所古跡はパスする非常に個性的で、ユニークな京都案内かつ都市論になっている。「あっち」の世界に通じている孔が京都にはいっぱいあるなどの話も楽しいが、ところどころで顔を出す著者の幼少時の思い出などの自伝的な部分が面白い。

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    2013年05月19日
  • 臨床とことば

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    対話の部分がとても読みやすい。
    偶然で解決したことを言語化しないで居ることは、臨床をやってる人だからこそじゃないだろうか。専門的に学んでて時間があって余裕のない学生なら、下手に言語化してしまう気がする。

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    2013年05月11日
  • 「待つ」ということ

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    待つ。待ちこがれ、待ちかまえ、待ち遠しくて、待ち伏せ、待ちかね、待ちあぐね、待ちくたびれて、…。
    もう常に人は何かは待ってるんじゃないかと思うくらい、いろんな待つが出てくる。期待と待機ってすごくわかりやすい。いろんな例が出てきておもしろいけど、気を抜くと迷子になりそう。

    あと表紙の写真の待ってる感がたまらない。

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    2013年01月14日
  • 死なないでいる理由

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    ひさしぶりのわっしぃ本。

    ふつうおもわれているのとは反対の地点からものごとを考えてみること。
    このことが本書では貫かれている。

    タイトルからして、「生きている理由」ではない。
    プライドについて語る件でも、「自助努力とそこから帰結する立派な達成によって自分に自信を持て」という陳腐な啓発本のような語り方はもちろんしない。

    実は知らず知らずのうちに盲目になってしまっているわたしたちの、目隠しを外す手助けをそっとしてくれる。
    いつもそんな語り口のわっしぃがわたしはとても好きなのだ。

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    2012年12月12日
  • 大事なものは見えにくい

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    ネタバレ

    「実績をあげてから、モノを言え」
    職場の上司に、こう言われたことがあります。

    それ以上、何かを話したい気持ちになれず。
    上司の話を、適度に聞いて流してしまいました。

    実績って、何だろう?
    売り上げ?
    企画立案の数?
    たしかに、数字で示せる実績は、大事。

    でも、
    正直なところ、私は、「実績をあげる」という目標に、あまり気持ちが燃えない。
    どこか、冷めて見ています。
    そういう姿勢を見透かされているから、「実績あげてから、モノを言え」と、言われてしまうのかなぁ…。

    私の話は、愚痴や文句のように受け取られたのかな? と思い、
    少し、凹みました。

    最近、読んでいる鷲田清一さんの著書「大事なもの

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    2013年08月08日
  • 死なないでいる理由

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    単行本で同じ本を読みましたが、文庫版は内容がさらに練られ、テーマへの絞り込みも効いています。他者との関係で自分の存在を知るアプローチは受け入れやすく、広く薦められる内容です。ただ、猛毒を以て救済するようなものでもなく、そのような語り口でもないですから、人により多少、物足りないかもしれません。

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    2012年07月29日
  • 「待つ」ということ

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    ネタバレ

    鷲田清一さんの待つという定義が大変興味深い。

    P16 待つということには期待、希い、祈りが内包されているというのはまさにその通りで、期待をするがゆえに苦しみが伴うと深く理解することができた。

    期待等の自己を中心とした概念がなくなって初めて、待機という状態で待てるのかと思いました。

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    2012年06月27日
  • 「聴く」ことの力

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    難解なところもあり、ゆっくり時間をかけて読んだ。
    興味深かったし、自分の体験と重ね合わせながら読む上で、たくさんのものを得られたように感じる。
    いろいろと深く考えさせられる1冊だったし、読んでよかった。

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    2012年04月12日
  • まなざしの記憶――だれかの傍らで

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    寺山修司の言葉の引用が印象的。
     幸福について語るとき位、ことばは鳥のように自分の小宇宙をもって、羽ばたいてほしかった。せめて、汽車の汽笛ぐらいのはげましとなつかしさをこめて。

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    2012年03月11日
  • 語りきれないこと 危機と傷みの哲学

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    東日本大震災から1年。映像的な振り返りはまだ見ることができない自分ですが、書物は少し読めるようになりました。この本は、震災後の1年をフェアにまとめ、何が足りないのか、何ができるのかを語りかけてくれました。自分のことをよく知っていくこと、いろいろとあらわになった問題を考え続けていくこと、新しい社会のカタチについて考えていくこと、これらをメッセージとして受け取りました。それは奇しくも、僕がこの2年間考えていたことで、勇気づけられました。

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    2012年03月10日
  • わかりやすいはわかりにくい? ――臨床哲学講座

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    【目的】
    学生時代の知識欲を取り戻す

    【引用】
    ・幼子から青いひとまで、共通しているのは、ことがらには1つしか真理がないこと、そしてその真理はいまあきらかに「われ」の側にあるという確信だろう。
    ・人間の弱さはそれを知っている人たちよりは、それを知らない人たちにおいてずっとよく現れている。
    ・…いま起こっている理解困難な問題、その本質が誰にもまだ見えていない問題を、自分がこれまでに手に入れた理解の方式で無理やり解釈し、歪めてしまうというのは最悪の対処の仕方であろう。

    【感じたこと】
    鷲田清一を追いかけて10年以上経つ。どこかで読んだことのある文章だと思いながらもどこで読んだか思い出せない。

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    2011年05月10日
  • 悲鳴をあげる身体

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    ピアシング、拒食・過食、あるいは性。
    本来なら、ひとを癒し快くする行為が、身体への攻撃として現象している今。
    わたしたちは、なにか身体に深く浸透しているはずの「智恵」と「想像力」を失いつつあるのではないか。
    医療システムを通してしか関与できない非人称の身体と、フィットネスなどによって完璧に支配されるプライヴェイトな身体。
    引き裂かれた身体の状況をさまざまな角度から論じながら、他者との関わりにおいてこそはじめて存在する「身体」の本質について考える。

    [ 目次 ]
    第1章 パニック・ボディ―身体がアブない。
    第2章 からだの経験―身体はいつもアブない。第3章 からだの幸福(間奏1)

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    2011年04月23日
  • 「聴く」ことの力

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    著者の鷲田清一先生自身が「臨床哲学」と名付けられ、難しくてなかなか読み進めない部分もありますが、
    「聴くことの力」、これは、私にも足りないし、周りの人にも求めている力のことだということだけは、よくわかりました。
    ずっと、聴いたら何か言わなければならないと思ってましたが、聴くという行為そのものにも大きな意味があります。
    まだまだ、もっと深い理解が得られるよう、何度も読み返したい本です。

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    2010年06月09日
  • てつがくを着て、まちを歩こう ――ファッション考現学

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    ファッション心理学(?)の本です。
    流行に乗っかるも乗っからないもスタイルの一つではあるんだなぁと思いました。
    モードは自身を裏切ることを宿命としていると言われると、そうだなぁと思うと同時に
    じゃあ確かなファッションというものはあるのだろうかと考えてみたり。
    他者を慮るファッションという考え方も私には新しいものでした。

    京都生まれで舞妓さん(ドレスアップの極み)とお坊さん(ドレスダウンの極み)を
    見て育ったことが著者に影響を与えたそうです。

    ちょっと新しい発見が多すぎて何を書こうか迷うくらい面白い本でした。

    「モードは、いまなにかが終わり、別の新たななにかがはじまりつつあるという感情を煽

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    2009年10月04日
  • 死なないでいる理由

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    著者:鷲田清一(角川ソフィア文庫・700円) 評者:山崎正和
    毎日新聞 毎日の本棚より

    サブタイトル:とつおいつ、ラディカルに


    人はみな、選択権を行使して生まれてくるのではない(※)。

    自らの意思で生まれたのではない命。
    とはいえ、生まれ落ちたそのときから、否、受精したその瞬間から、
    細胞レベルでは、そこに宿った命を存続させようとするエートスが
    備わるといってよいだろう。

    だが。
    生を選択するということは、他方の選択肢に死が存在することと
    表裏を為す。

    死も一つの選択肢として存在するのに、なぜ殆どの人はすべからく
    生を第一義とし、死を選ばないのか。

    死を選択するということに、どの

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    2009年10月04日