白石一文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ最近勝手に白石一文週間をやっているんだけど、これはちょっと荒唐無稽すぎた。設定は近未来。地球規模の人口増加と高齢化の問題を克服するために、科学者が「Timer」という装置を発明し、それを心臓(?)に埋め込むことで、人は89歳までは健康に生きることができる(それによって医療費が抑制できる)。が、それ以上は生きることは許されない。
Timerをつけるかどうかは本人の考え(倫理観)によるが、つけなければならない理由を審査してもらう仕組みになっている。
主人公の「僕」はtimerをつけておらず、いつ死ぬかはわからない。年相応に老いていっている。伴侶のカヤコは年上だが、Timerを装着しており、若々しく健康なままだ。しかし、あと数年で死ぬことは確定している。
この小説は、もうすぐ死ぬカヤコが、Timerの発明者である博士とその研究について調べ、Timerを外すことはできるのか、Timerが予定通り作動して自分が「死」を迎えたとき、自分はどうなるのかを追求しようとする物語。
Timerの仕組みそれ自体が、ありえない設定だとは思ったけど、「命の期限が決められたとしたら…」というテーマは、小説としてもちろんアリだ。
でも他にも、「新しい領域のエネルギー」とか、荒唐無稽すぎる設定が多すぎた。
未来の世界では、家畜の豚が、人間に対する怒りをため込んでいきなり爆発。そんな事象が確認されて、それを新エネルギーとして利用することにした、とか。で、人間はもう牛肉や豚肉は食べずに、大豆由来の代替肉を消費するようになっている。
実際にこの世界が、100年後の未来にどうなっているか全く予想できないけど、ちょっとあり得なさすぎるかなと思った。
医学や生命科学ももっと進歩するだろう。人は死ぬ時期を選べるかもしれない。寿命が延びることで、少子高齢化は加速するだろう。しかし医学の進歩で健康なまま長生きできれば、社会保障制度は維持できるかもしれない。生殖医療も進歩するだろう。子どもを望む夫婦は、好きなタイミングで子どもをもうけることができるかもしれない。しかしそもそも、そんな世界で「子どもをもちたい」と思わなくなっているかもしれない。
白石一文が一番書きたかったのは、「この世界は揺れるゴンドラ」という部分かもしれない、とも思った。私たちは一つ一つのゴンドラ。それ以外は「背景」でしかない。認知しなければ、それは「ない」のと同じこと。パリは「パリに行きたい」と思って初めて「パリ」になる。例えば江戸時代に鎖国下にあった日本の人にとっては、「パリ」なんてないのと同じこと。意識して初めてその世界は出現する。
最近パラレルワールドを描いた作品もけっこう読んだので、頭が混乱してきたよ笑。でも、たしかにそうかも、と思いました。 -
Posted by ブクログ
インパクトの強い表紙から、もっとガツンとした内容なのかと勝手に想像してしまっていたので、最初の方は拍子抜けでなかなか頭に入って来なかった。
「ほかならぬ人へ」と「かけがえのない人へ」の2話収録。
どちらも、その時はこれがいい結果だと思って結婚or婚約をしたけど、やはり心から愛する人を選んだ(選び直した)ラブストーリー。キーとなるのは「性」と「死」なのかな?死を目の前にして…離れられない肉体どちらも、決断のキッカケになるとは思うけど、ちょっと軽すぎる内容で、読み飛ばしてしまった(笑)
途中『誰と結婚したって別にたいして代わり映えしないし、その結婚がうまくいこうがコケようが、別に何てことないんじゃないの。』というところで、昔の自分と同じだと笑ってしまいました。結婚して20年過ぎた今、誰でも良いわけではないんだろうな。っと漠然と思うけど、言い切れない自分がいる(笑)
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Posted by ブクログ
知り合いが紹介してくれたので、それなら読んでみるかなと初読み。読み始めてすぐに、んんん???となり出版年を確認。単行本の初版は2000年頃。なるほど…何が言いたいかって、まあ時代が一つ違うなぁということ。読み始めてすぐに、会社感、仕事感、男女感などなど、いろいろな価値観が、一昔前だなぁ!という感想で、当時の世界観にどっぷり浸かってみたい方にはいい本なんじゃないかなと思います。
四半世紀前に三十代でバリバリ働いてた男性(主人公たち)って、今の役員とか事業部長とか、自分たちの上司になっている世代なわけで。なるほど、彼らはこういう世界観で成功してきているのね、という、ジェネレーションギャップ理解本として興味深く読んじゃいました。
この本のファンの人からしたら怒られちゃうかもなんですが、香折は同性から見ると、親ガチャに失敗したというハンデがあるにせよ、守るべき人というよりはやばいメンヘラ女みたいに見えちゃうし、瑠衣はバリキャリなのにあんなに男に料理振る舞って尽くすのを自身の価値としているし…?
企業戦士物としてはちょっと読み応えはある…うん、そこは、おもしろいかも。池井戸潤的な感じで。
ただ、この本のメッセージの一つは、人を愛するためには自分を愛さなきゃならないし、さらには、人に愛されることを許容しなければならないってことで、この後半の、「人に愛されることを自分に許さなければならない」というのは、この手のメッセージとしては目新しい気がして、しばし、なるほど…と思っちゃいました。愛されるのが苦手な人(親切にされるのが苦手な人)っていますから。
タイトルに関しては、ある日ある光を目にして急に自分に対して暴力的な選択をしてしまいたくなった(幸せな生活を放棄したくなる)→しかし目にしたその一瞬の光が一生を照らすこともあるんだよ、ということだなと。 -
Posted by ブクログ
2009年第22回山本周五郎賞受賞
講談社創業100周年記念出版
週刊誌の編集長カワバタ
数々のスクープを世に出した敏腕記者
彼がこの小説の主人公
目次を開いて 困惑する
39の見出しが並ぶ
現代社会、経済、政治、マスコミ、そして家庭と
家庭外の女たち
ストーリーの中心は カワバタの思考と行動
その流れの中にまあたくさんの思索が書き込まれていく
一項目ごとなかなか意味深い
緻密な計算があるんだろうとは思う
カワバタの周辺の事は面白く読んだのだけど
政治とか経済とか物語の中に落ちていないと
どうも読みにくい
ストーリーと混じらないような
突き刺さる矢が多すぎる?
「時空の歪み?」でカワバタが出会った自分が気になるので 諦めずに下巻にいきます -
Posted by ブクログ
自らの選択で諦めてしまったことや叶えられなかったこと、時間と共に四六時中悔やまずとも生活できるようになるものだけれど、病気や事故で死を近くに感じた時、諦めてしまった過去叶えられなかった過去を誰しも取り返したくなるものなのかな?
突然のがん宣告、新型コロナの感染、交通事故、心変わりした婚約者、逃げて帰ってこなくなってしまった猫。
自らの選択に由来すると思える失敗や後悔でも、自分で選べない見えない気付かないそういうもっと外的な色んなものが組み合わさった結末なんじゃないんじゃないかと思った。自分の選択や行動だけで結末が変えられることなんてそうそうない。
奇跡みたいな再会、庭に住みつくようになった猫、生まれてきた最愛の娘、とかそう言うのも全部。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ白石氏の作品はこれで二作目。
前回読んだ『僕の中の壊れていない部分』が見事なまでのダメンズ小説!?であったので、今回もきっとスかした女ったらしみたいな主人公がわぁわぁいう小説かなあと勝手なイメージを描いていました。ところが、かなりほっこり系の作品でした。
ちなみに本作、短篇二つと中篇一つの計三篇からなる作品となっております。
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なかでも印象的であったのは表題作の中篇「どれくらいの愛情」です。
内容は言ってしまえば、オクテな甘味店経営者が一度別れたスナック嬢と最終的に結ばれる、という筋。
なんて書くと、女性慣れしていない小金持ちが、手練れの器量よしとなんだかんだでくっつく、みたいな印象かもしれません。まあそれはあながち間違ってはいないものの、一番印象に残ったのは以下の部分。
「彼が仕事以外のことで何かを気にかけたり、心配したり、思い煩ったりできるのは、結局この晶に対してだけだった。そして、彼女と別れてからの五年のあいだ、彼にはそういう対象がいなかったせいで、いかに仕事がうまく進んでいても、心の空虚さを埋めることができなかった。それがここ一週間足らず、この病院に足しげく通うようになっただけで心境は一変してしまった。誰かのことを思いやれることで、こんなにも心が満たされるとは・・・。正平は今更ながら驚くばかりだった。
―――自分のことを心配してくれる存在も大事だが、それと同等かそれ以上に、こうして自分に心配をかけてくれる存在が大切なのだ。」(P.355)
散々振り回されるホステス嬢のことを言っているのですが、ふと自らを振り返ると、思い当たるところが。
私の場合は子どもたち、ですかね。
高校・大学と学費のピークに差し掛かっています。加えて、孤独を貫いた激しい反抗期を過ごした私に似ず(良かった!)、親が金を出すなら旅行はどこでもついてくるという子どもたち。予算繰りをしたうえではあるものの、なんだかんだでお金を出してしまう親の我々。ちなみに進路だってどうなるのか良く分からんし。
お金の心配を家内に話すと「そうやってお金を出せるのだって今のうちだけだよ。あっという間に二人とも社会人よ」とたしなめられるのです。
むう、なんていう分かったような、分からないような返事をすることが多いのですが、上記の引用を読んだときに、すっと腑に落ちた感じです。
面倒を見れるうちがハナだなということですね。
因みに、結末はクサーい(アマーい)セリフでハッピーエンドで終わります笑
物語の舞台が博多で言葉遣いも博多弁。方言が雰囲気を醸し出します。
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それ以外の短篇も良かったです。
「20年後の私へ」は航空会社で働くバツイチ女性の話。四十手前でキャリア?再婚?どちらもそこまで興味ないし…みたいなときに届いた過去の自分からの手紙に、一歩踏み出す勇気をもらう、みたいなお話。
「たとえ真実を