白石一文のレビュー一覧
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「私はどんなに探してもこの人しかいないという人がいい。あなたはそうだもの。あなたは心に穴のあいている人よ。(略)でもね、あなたは本当に苦しそうに生きてる。どうして愛しているのか私にもわからないけれど、きっと穴のあいたあなたの心を私は見過ごすことができないのよ。」308頁
「私はどんなに探してもこの人しかいないという人がいい。あなたはそうだもの。あなたは心に穴のあいている人よ。(略)でもね、あなたは本当に苦しそうに生きてる。どうして愛しているのか私にもわからないけれど、きっと穴のあいたあなたの心を私は見過ごすことができないのよ。」308頁
「いくら探してもいない人というのは、この私しかその人 -
Posted by ブクログ
白石一文さんの小説は、1人の人間の人生を長いスパンで描いているものが多いように思う。小説の始めと終わりでは数ヶ月から数年しか時間が経っていなくても、途中で遠い昔のエピソードが詳しく挟み込まれて、最終的には数十年にわたるその人物の人生が濃密に描かれる。
今現在の状況に多少の影が差している方が、過去のエピソードが深く切なく感じる。それでも最後には未来の光もうっすらと感じる。味わい深い物語が多い。
建材会社社長の高梨修一郎、50歳。先代社長の娘と離婚し、現在はひとり暮らし。取引先の粉飾決算によって経営危機に陥り、事態収拾を図るとともに引退を考え始めていた。
今脳裏に浮かぶのは、怒涛のように過ぎ去っ -
Posted by ブクログ
私たちは手にした幸せより先に死ねれば、それが最高の人生なんでしょうね。
俺たちは他人の心の中に自分という手紙を配って歩く配達人にすぎないのかもしれんなあ。配達人が郵便受けに差し込む手紙の中身を知らないように、俺たちも自分がどんな人間なのかちっとも知らずに、それを丸ごと人に預けてるだけなのかもしれん。
人間は智恵や理性では絶対に行動しないからね。例外なく感情のままに行動する。
僕たちの人生は誰かを不幸にしないためにあるのではないよ。愛する人を幸せにし、自分自身が幸福になるためにあるんだ。
運命の相手とは出会うだけじゃきっと駄目なんだよ。最も大事なことは、この人が運命の相手だと決断すること -
Posted by ブクログ
短編だけれども白石一文がぎゅっと詰め込まれた再生の物語だなと思った。
解説で、パートナーを亡くした編集者の方(中瀬ゆかりさん)へ贈ったものだと知って納得。
とても優しくて包み込むような文章だったから。彼の作品はどれも優しい物語なのだけれど、文章からそれを感じることはあまりなかったから。
物語の終盤、芹澤と珠美は明らかに救われ、再生されるのだけれど、では何から救われたのか、については明確ではない。(出来事としてはあのことがかっかけでそれは明確に描写されているけれど、そのことが2人の心に明確なダメージを与えたとは思えなかった)
人は日々、傷付き、恐れ、挫け、そして日々、癒されてゆく。
芹澤と -
Posted by ブクログ
「眠気が眠る面白さ!徹夜本」の帯に強く惹かれて手に取りました。正直なところ、任侠ものの美学には全く興味すら持ち合わせていない私がこの煽り文句にあえて挑んだ代物ですが、エンターテイメントというよりもファンタジーとしか言いようのない話に何度となく読むのを止めようとしました。
とどのつまりは面倒を見てやった弟分に裏切られて車ではねられて死んで終わるクチだろう、と思っていただけに終盤の下りは読んでて苦痛でした。
鼻についたのはそこだけで、読後の余韻とともに巻末の解説を読んだとき、ああそうか、これは往年のテレビドラマ「赤いシリーズ」のようなわかりやすいプロットのドラマチックな演出を極めたものだったんだな