白石一文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私たちは手にした幸せより先に死ねれば、それが最高の人生なんでしょうね。
俺たちは他人の心の中に自分という手紙を配って歩く配達人にすぎないのかもしれんなあ。配達人が郵便受けに差し込む手紙の中身を知らないように、俺たちも自分がどんな人間なのかちっとも知らずに、それを丸ごと人に預けてるだけなのかもしれん。
人間は智恵や理性では絶対に行動しないからね。例外なく感情のままに行動する。
僕たちの人生は誰かを不幸にしないためにあるのではないよ。愛する人を幸せにし、自分自身が幸福になるためにあるんだ。
運命の相手とは出会うだけじゃきっと駄目なんだよ。最も大事なことは、この人が運命の相手だと決断すること -
Posted by ブクログ
短編だけれども白石一文がぎゅっと詰め込まれた再生の物語だなと思った。
解説で、パートナーを亡くした編集者の方(中瀬ゆかりさん)へ贈ったものだと知って納得。
とても優しくて包み込むような文章だったから。彼の作品はどれも優しい物語なのだけれど、文章からそれを感じることはあまりなかったから。
物語の終盤、芹澤と珠美は明らかに救われ、再生されるのだけれど、では何から救われたのか、については明確ではない。(出来事としてはあのことがかっかけでそれは明確に描写されているけれど、そのことが2人の心に明確なダメージを与えたとは思えなかった)
人は日々、傷付き、恐れ、挫け、そして日々、癒されてゆく。
芹澤と -
Posted by ブクログ
「眠気が眠る面白さ!徹夜本」の帯に強く惹かれて手に取りました。正直なところ、任侠ものの美学には全く興味すら持ち合わせていない私がこの煽り文句にあえて挑んだ代物ですが、エンターテイメントというよりもファンタジーとしか言いようのない話に何度となく読むのを止めようとしました。
とどのつまりは面倒を見てやった弟分に裏切られて車ではねられて死んで終わるクチだろう、と思っていただけに終盤の下りは読んでて苦痛でした。
鼻についたのはそこだけで、読後の余韻とともに巻末の解説を読んだとき、ああそうか、これは往年のテレビドラマ「赤いシリーズ」のようなわかりやすいプロットのドラマチックな演出を極めたものだったんだな -
Posted by ブクログ
自分が虚ろな状態が鬱ではないか。未来の病気や過去の男出入りのことへの嫉妬、ましてやいま目の前の人に対して、天涯孤独な下枝を選ぶなど、自分のことばかり欲しがる。すべては己がつくりだした幻で、その幻に苦しめられる。いまだって、本を読んでいなければ、ぼくの中にできた心の隙間に幻が入り込んできて、自分を保てなくなってしまう。本に向き合ういまでさえ、君はどの文で泣き、笑い、励まされたのか思いを馳せてしまう。いつでも、どこでも、その気になれば情報を得られる現代、死を身近に感じることが減り、あきらめきれないことが多すぎる。生きること、死ぬこと、愛すること、愛されること、いつ、どこで、自分もどうなるか分からな
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Posted by ブクログ
ゼミ課題の用例探しで適当に取った一冊。
用例だけ探そうと思って読み飛ばししてたんだけど、内容がなかなか面白くて(てか斬新で)途中から要点だけ読むようになりました
東大卒のエリートサラリーマンが、ある短大生との出会いを通して本当に大事なものを見つけていくというストーリー。
最初は『なんだこの主人公』って思いました。
事情が事情でも彼女と同棲中なのに別の女の子を自分の家に入れるって…笑
発言がいちいちエリートすぎるし笑
行動も高慢というか自己満というか(ラストも含め)…
でも、だんだんと女子大生の過去が明らかになって
兄の追跡を受けていくうちに
『こんなの現実にあったら…』と思わされ