白石一文のレビュー一覧

  • 幻影の星

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    ネタバレ

    久しぶりの白石作品。
    難しかったー。時間の概念というか、哲学的で考えながら読まないとついていけない。
    でも、人はいずれ死んでいくとか、過去の光を見て音を聞いているわけだから自分の存在も過去であるとか、ああなるほど・・・とも思った。
    所々に現れる、心に残る描写はやっぱり白石作品でさすがだな~と思った。

    しかし、武夫のコートやるり子のケータイの謎がのちのち解けるのかしらと思っていたら、特に何もなかった・・・。謎というか、本人たちで処理されたという結末だった。そこを待っていただけに、ちょっとだけ物足りなかった。

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    2014年09月17日
  • 翼

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    二度読んで初めて勇気の湧いてくる小説だと感じた。
    初めて恋をして失敗をした時の事を思い出すような小説だった。純粋過ぎる思いはたくさんの人を傷つけるし、成就しないものである。

    それでも、それは間違っていないよと
    言われているような気がした。

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    2016年11月25日
  • どれくらいの愛情

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    下記を今朝登録したのだが、時間が経つにつれ、段々印象が上向いてきたので、評価星ひとつ増やす。

    『絶望した側が、戦いに勝つことがよくある…』

    『辛いときこそ、心のエネルギーを失ってはならない。人間は幼い時からその体に太陽エネルギーをたくさん蓄えてきたのだから、苦しいときこそ、それを放出して、自分の内部や周辺に渦巻いている暗黒のエネルギーを吹き消せばよい。少なくともそうイメージすることで、人間は溌剌となれるのだ…』

    今、手元に本がないので、語句、文章は正確ではないが、そのような内容だった。
    なぜか、その2点がじわーっと込み上げてきて、思わず修正。



    表題作のほか3編。
    博多弁が面白い。

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    2014年07月23日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上

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    貧困格差なんて絶対に無くならないと薄々分かってはいたが決定づけられた気がした。芸能人が1本百万~千万単位のギャラをもらったり、スポーツ選手の年収が億単位であったり馬鹿げていると言われれば、その通りので読んでいて腹が立ってきた。TVで下らない発言しかしない芸人と朝から晩まで毎日コツコツと仕事をしている人が貰っている給料とが雲泥の差なんてよくよく考えたら可笑しな話だ。そしてお金を沢山稼いでいる人はそうでない人を見下す。極端な話、政治家で消費税が上がって生活が苦しいと私生活で日々の支出を抑えている人がどれだけいるのか?明日食べるものに困って痩せてしまっている政治家なんて見たことないし、みんなでっぷり

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    2014年06月23日
  • すぐそばの彼方

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    まず、タイトルが良い。
    物理的なことではなく、自分以外の人との距離感を言っているように思います。

    物語は 政治の話が大半で、読みづらさもありますが、登場人物たちの会話の中での気付きは、白石さんらしいなぁと感じました。

    「愛」の反対語は、憎しみではなく「無関心」という マザー・テレサの言葉。物語の中では、政治家の本質について、良し悪しを語られていますが、人は孤独でありながら それでも人によって生かされている ということを考えさせられます。

    人は人との合成によって初めて奇跡を生む。人は人とつながることで奇跡となるのだ。一人一人の人生にたとえ一切の意味がなかったとしても、人間の集合には必ず意味

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    2014年06月10日
  • 砂の上のあなた(新潮文庫)

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    ネタバレ

    白石一文らしい作品。
    白石作品は女性が主人公の方が面白い。
    心理描写が細かくて。
    今回は排卵日がどうのとかその辺まで詳しく描写している。

    物語の設定も細かく、ミステリーのような読み応え。
    ただ、複雑な人間関係が収斂していくにつれてちょっと興冷めした。
    西村と鎌田の罠もちょっとあり得ないし。

    最後に作品タイトルの意味や主人公美砂子の名前の由来がわかってスッキリするけど、結局、父親の思いがすべてということかな。

    生と死、人生、男と女、親と子、様々なことについてゴニョゴニョ語るけど、それが文学だろうからなあ。

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    2014年06月03日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下

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    ネタバレ

    唐突な引用や不意に変わる展開が効果的で面白く、ストーリー運びの上手さと相まって最後まで一気に読ませられました。
    ただ主人公の論理には非常に魅力的な部分もあれど、その偏狭さに段々頭痛がしてきます。すべての人の心に矢が突き刺さっているという前提のようで、彼の目を通すと非常に暗いサングラスをかけて世の中を見ている気分になります。他者に対する評価が大変厳しく、彼らに対する想像力や寛容性は殆どありませんが、ご自分には意外に点が甘く、持論には辻褄が合わない箇所も多々あります。結局自分の信条に固執するあまり多様性には狭量のようです。
    恐らく議論を広げるため確信犯的に書いているのだろうけどそれにしても今一つ感

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    2014年07月23日
  • 砂の上のあなた(新潮文庫)

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    白石一文さん、かっけぇ。
    白石さんらしい。
    久しぶりの著者の作品。
    大好きなんだけど、ヘビーだって分かってるから。
    覚悟して読まないとって思ってずっと読む気になれなかったのが、今日はなんだかその気になって読んでみた。
    ら、なんだか今の自分に言われてるような考えさせられるような言葉が出てきてしまう。
    やっぱり白石一文さんの作品とはなんらかの運命めいたものを感じてしまう。

    いやー白石さんかっこいい!結局そこ笑

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    2014年05月21日
  • 一瞬の光

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    ネタバレ

    後半になるにつれて読む手が止まらず、2日で読んでしまった。読んで思ったことが多すぎるヽ(;▽;)ノ

    まず、ラストがよかったです。

    そして、この本を読んでいる間ずーっといらいらしてしまった。
    このお話、要はメンヘラがなぜモテるかって話。
    まぁ、そうなってしまった過程が過程だからメンヘラなんて言ったら失言だし、こういう生い立ちになれば誰もがそうなってしまうと思うけど、それにしても、私はこうやってずぶずぶ病んでる女にハマっていく男がほんとに嫌い。
    私の周りはなんだかんだ強い女の子が多いから、瑠衣みたいに安定している子を支持してしまうのだけれど、それにしても!!!
    強い女だから俺がいなくても大丈夫

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    2018年02月27日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下

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    小説の形をとった自己啓発本、または新書みたいなもの。話自体は政治や企業の裏社会が露見される起伏が激しくないが、所々の引用が読みにくく、作者の考えにアジテーションされているような感覚に陥る。
    過去や未来という矢を胸から引きぬき、今この瞬間に自らの必然によって導かれるなすべきことをなせ。
    この文に貫かれるために小説のストーリーと引用が必要だった。刹那主義と一言では切り捨てることの出来ない

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    2013年08月11日
  • 不自由な心

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    現実的なストーリー背景を持つ作品を書く作家さんの作品を読みたい、そう思い読み始めた本作。
    本作の根底に流れているのは

    “「死」を眼前にしたとき、ヒトはどう変わるのか?”

    というテーマだと思う。
    『夢の空』では極限の状況下に陥らなければヒトは自分の本音に気づけないということ
    表題作である『不自由な心』では 「愛」と「死」がいかに相関的な関係を示しているか
    それがわかった気がした。

    数年後、改めて読み返してみたいと思えた作品だ。

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    2013年06月18日
  • 砂の上のあなた(新潮文庫)

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    今年早々に祥伝社から『ほかならぬ人へ』の文庫版が出た時には、その巻末に収録された「解説」のかなりイッちゃってるっぷりが局地的な話題になった。新潮社の編集部員が祥伝社の文庫の巻末で、肝心の小説の話はそこそこに、作家との思い出を過剰な熱量と垂れ流しの自意識とむしろオナニズム一歩手前の自己陶酔に乗せて語りまくるという、まるで違う男のところに嫁いでしまった昔の恋人に宛てた未練がましいラブレターのような、有り体に言えば新潮社作品ではなく祥伝社作品で直木賞を獲った著者に対する祝福しきれない屈折した感情の発露とでもいうような、ちょっとパンクな内容だった。当の小説の魅力もさることながら、あの「解説」だけでも一

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    2013年05月23日
  • 砂の上のあなた(新潮文庫)

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    白石一文さんの本ってやっぱり好きだなあと感じる一冊。常識では考えられない、超越した人と人との強い結びつきをいつも感じさせられます。いろんな人の運命が絡まり合って、果てしなく繋がっていく様が描かれています。

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    2013年04月29日
  • 心に龍をちりばめて(新潮文庫)

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    表紙とタイトルに惹かれてジャケ買い?みたいな感じでかったんですけど、内容は表紙のイメージとはちょっと違って、恋愛?なのかな、一人の女性の恋愛というか人生というかを描いた作品でした。
    作家さんが男性って言うのが信じられないような女性の描き方。
    女性視点での物語がすごく自然でしたね。
    恋愛とかに対する姿勢?もすごく緩やかで、逆にひきこまれました。
    背中に龍を背負った男がすごいかっこよかった・・・。
    最後のクライマックスでドキドキしました。

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    2013年04月26日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上

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    人の在り方、社会の在り方、心の在り方が、現実の社会問題や事件、史実の引用とともに主人公を中心に描かれる。

    白石さんの本はどれを読んでも個人的に好き。世界観も、文体も。
    まだ上巻のみなので下巻が楽しみ。

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    2013年02月26日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下

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    ネタバレ

    「そんなことより、もっとよく現実を見ろ。それがお前の仕事だ。問題なのは“過剰さ”ってやつだ。俺たちジャーナリストがこの世界で見逃してはいけないのは、過剰な不幸、過剰な貧困に喘いでいる人たちの姿だ。そのひとたちのために自分には何ができるのかを考えろ。俺たちにできることもやるべきこともそれだけだ。この世界がなぜこうも悲惨なのか、なぜこうまで残酷で非人間的なのか。つまりは問題や課題は一体何のために存在するのか、その一点に自分の能力を集中しろ。」う〜ん。上巻はけっこう面白かったんだけどな…。上巻からの進展が少ない。

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    2013年02月16日
  • 心に龍をちりばめて(新潮文庫)

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    白石さんの作品でも結構好きな部類。種明かしがちょっとずつちょっとずつあるので飽きずに読める。一度きりの人生をどう生きていくか、主人公の美帆の生き方は共感した

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    2013年01月31日
  • すぐそばの彼方

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    白石一文は3冊目。父親は次期総理候補、妻は建設業界大手の娘。仕事・結婚とエリートに育ったが、薫との出会いをきっかけに大きく挫折する。
    終わり方だけ、しっくりこないかったかな。後半は選挙中心で話が流れてたのに、う~む。でも基本的には好きな作家だな。

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    2013年03月03日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下

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    この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下巻p316
    「あなたはあなた自身をひたすらに見よ、と。あなた自身を常に見失わず、あなた以外のありとあらゆる存在に対して身構え、なすべきことをなせ、と。あなた以外のありとあらゆる存在を慈しみ慰めるために、いまこの瞬間に自らが欲することをなせ、と。あなたはいまここにしかいない。そのあなた自身があなたという必然の唯一の根拠なのだ、と。だから、たったいまあなたはなすべきことをなせ、と。」
    語りたかった一言は結局、ここに収束するでしょう。ストーリーを書くことはふさわしくない。そういう内容だったと思う。主人公もほかの登場人物も、そして巻き起こる事件も素材でしかない。大切

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    2013年01月26日
  • どれくらいの愛情

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    大人の愛にはいろいろな形があるけれど、目の前の相手を幸せにしようとしたり、離れていても相手の幸せを願うことが大切。そんな気がする。

    4作ともよかったのですが、ラストの表題作「どれくらいの愛情」が一番しっくりきた。導入部分の『解夏』の松村達雄のセリフ(あなたは本当に失明した瞬間に、その失明の恐怖から解放されるのです)が最後まで効いている。

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    2013年01月05日