白石一文のレビュー一覧

  • どれくらいの愛情

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    いろんな形の恋愛があって、そのどれもが平穏なものではなく。
    傷つけて傷つけられて、それでも大切なものがあって。
    愛ゆえの嘘がたくさん出てきた気がします。
    嘘をつくってよくないことではあるけど、相手のためを思った優しい嘘は、きっと二人には必要なものだったんだろうなと。
    私は『20年後の私へ』が好きでした。

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    2020年01月23日
  • ここは私たちのいない場所(新潮文庫)

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    「誰かをどうしようもなく愛したことがある者。大事な存在を喪失したことのある者。そして、子供を持たない者。この3つのどれかに当てはまる人間なら、この小説が顕す人生観とその哲学的メッセージに共鳴しないはずがない」
    これは巻末の解説を担当している、編集者の中瀬ゆかりさんによる文章。
    中瀬さんは内縁関係にあった作家の白川道氏を突然失くした。そしてこの小説は、著者の白石一文さんが中瀬さんのために執筆したものらしい。

    一言で感想を表すのはとても難しい小説だった。面白いとは言えないし、泣けるとか感動系とも違う。人間関係にスポットを当てると、つっこみどころも無いわけではない。
    結果的に自分を陥れることとなっ

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    2020年01月21日
  • 記憶の渚にて

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    口汚く謗るそしる 大仰で無意味な 永遠に答えのでない問いに立ち向かう蛮勇を 骨箱 感慨はない もう兄とは忌憚なく話し合えるような間柄ではなくなっていたのだ 名古屋風味噌おでん 八丁味噌 赤茶漬け ねんごろ懇ろに合掌するよう規定で定められているのだろう マニュアルを最初から軽んずる人間に本当の意味で独創的な者は一人もいなかった気がする 電話機を耳朶じだに押し当てる ひさこ寿子 懐旧談かいきゅうだん 深謀遠慮を巡らした 要らぬ穿鑿せんさくめいたことをせずに有難く押し頂いて即刻掲載という成り行きになったのだろう 粟粒結核ぞくりゅうけっかく 仔細に読み解いていくと 自らの誤謬を悟ったことになる 彼はざ

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    2020年01月11日
  • 火口のふたり

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    結婚式を控えて、従兄の賢治とひさしぶりに再会した直子。しかし彼は、かつて快楽のすべてを教わった、直子の初めての男でもあった。
    挙式までの5日間、理性と身体に刻まれた記憶の狭間で、ふたたび過去へと戻っていくふたり。出口の見えない、いとこ同士の行く着く先は?

    ラストどうなるんだろう、という怖いもの見たさだけで読み切ったようなものだったんですが、想像だにしてなかった展開でポカーン。えっ、富士山って、えーっ!?
    賢治と直子の関係がバレて修羅場、からの純文学!みたいな感じを期待してたのにな。

    過去のことも先のことも忘れてしまいたくて直子とのセックスに溺れる、という賢治の考えには共感。
    「今だけ」とい

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    2020年01月06日
  • ここは私たちのいない場所(新潮文庫)

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    珠美との出会い(正確には再会)をきっかけに、芹澤の中でそれまで何十年間も閉じ込められていたものが開放されて、思わぬ方向に人生が流れていった。
    そして『これでよかったのだ』と芹澤は感じているのではないかと思う。

    一度きりで、思い通りにならず、この先何が起こるか分からないもの。その人生をどうやって生きていくのか。
    その問いは『何を大切にして生きていくか』でもあり、そこから裏をとれば『大切にしたいものを大切にして生きること』こそが、おそらくは生きていく指針なのだろう。

    人との出会い、本との出会い、景色との出会い。
    出会いは『大切なものが何か』を気づかせてくれる。

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    2020年01月02日
  • 一瞬の光

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    大手企業の出世頭として嘱望されていた橋田浩介は、派閥抗争に破れた。それはトップに君臨して会社を牽引していた人物の裏切りだった。
    彼の手腕を認めた反対派の誘いがあったが、彼はそれまでの闘志も意欲も失ってしまっていた。

    面接官として出会いバーで二度目の出会いをした香折が、男に絡まれていたのを助けたことでかかわりが出来る。

    辞表を出した後も、複雑な生い立ちをした香折が気にかかり、何かと面倒を見る羽目になる。

    浩介には上司の縁続きの女として完璧な彼女、瑠衣がいた。人が振り返る美しさと聡明さを持ち絶品の料理まで作る。ひたすら愛し続けてくれるが、孤独で人生をすでに投げたような香折が常に気になっていた

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    2019年12月30日
  • 翼

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    ネタバレ

    初めて白石さんの本を読んだのだけれど、読みやすくてサクサク読めた。

    愛とか死とかについて書かれているところがどことなくノルウェイの森を彷彿とさせた。

    でも、なんでだろう、なんか岳志の行動が意味不明すぎる。そこまでしたくなっちゃうのか、とか思ってしまう。結局彼は周りのことを考えていない人なだけで、周りはそんな彼に巻き添えをくらっているだけではないのか、と。

    こうゆう、愛について書いてあるようなのって結局男か女かどっちかが死ぬ結末になっていて、「あー、また死んだ。」とか思ってしまう自分もいた。確かにお互いに惹かれあっていた2人のうちの片方が死んでしまうと読んでいる側からすれば共感してしまい、

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    2019年12月23日
  • ここは私たちのいない場所(新潮文庫)

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    人が死ぬということ。誰もが経験したことはないから、死ぬ時どんな感じとか、死んだらどうなるとか、わかるよしもない。ただ、死を身近に感じることはある。私も最近父を亡くしたが、死んだというより、いなくなったという感覚が近い。ただ不在なだけ。でも、時折もう二度と会えないと気づく瞬間があって、その時は奈落の底に落ちるような悲しみがおそってくるのだが。

    この小説は、身近に死を体験した人に、その死に対してどう向き合うかを、淡々とした中でやさしく、時に強く導いてくれる物語だった。

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    2019年12月10日
  • 僕のなかの壊れていない部分

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    久々に「白石一文の世界」にどっぷり浸る。のっけから主人公が繰り出す思索開陳のビッグウェーブ。良い意味で相も変わらず濃厚な展開で、ページを繰る途中に何度も本を閉じ、深呼吸するほど。まぁ、これが白石一文ワールドというか真骨頂。ファンとしては、しばしその世界に浸れる安堵と喜びを抱きつつも、脳髄は痺れるというアンビバレンツな読書タイムを味わえる稀有な作家。まぁ、とにかく圧倒的な情報量を包含した骨太の小説を編まれます。

    さて、本書。主人公は東大法学部出身、大手出版社勤務、高収入の30代独身男性。境遇のまったく異なる三人の女性と関わりを持ちながら、いずれも一定の距離を置いた関係を続けている。彼女らに向け

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    2019年12月08日
  • 僕のなかの壊れていない部分

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    なんてつまらない人生なのだろう、と思う。
    自ら楽しもうともせず、
    理屈ばかり捏ねて、
    差し伸べられる手を拒絶してばかりで。
    けれど、何故か彼の生き方を完全に否定することはできないし、
    他人事には思えないでもいる。

    ただ一つの自分の居場所、
    たった一人の運命の人、
    ただ一度きりの自分の人生。

    それらを探し続ける白石一文の冒険は、
    きっとここから始まったのだろう。

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    2019年11月24日
  • 火口のふたり

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    いまやりたいことをやっていると、人間は未来を失い、過去に何も残せない。明日の為に必死の思いで今日を犠牲にしたとき、初めて立派な昨日が生まれる。

    ひたすらセックスしてるふたりのはなし。

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    2019年10月30日
  • ここは私たちのいない場所(新潮文庫)

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    あるみ在実 ありのり存実 そもそもが軽妙洒脱なその筆力に私は魅せられた ネクロフィリア 各々の人品骨柄を判定していた 人と人との間に生まれる愛情という貴重な財産は、一度小さなひび割れが生ずると、価値を失ったり減じたりするのではなく、そこから次第に腐敗が進行し、最後には猛毒に変じて、私達を蝕み、苛み、破滅させる。僅か三歳でこの世を去った妹は、その冷厳なる真実を私にしっかりと教え込んでくれたのだと思う。 年中顔を突き合わせていれば、どんなに特別な相手であっても、好きなだけでいられるはずがない。誰かと過ごした時の心豊かな記憶は虹のように儚く、その人物との諍いの記憶は刺青のように決して消える事がない。

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    2019年10月13日
  • ここは私たちのいない場所(新潮文庫)

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    ふんわり緩やかな空気に包まれた本編と、その背景を綴った解説。もはや共作と言っていいくらいの作品。ストーリーにはちゃんと起伏があったはずなのに読後感は心地よい凪。

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    2019年10月07日
  • 心に龍をちりばめて(新潮文庫)

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    幼少のころから一緒だった同郷の美帆と優司、その先まったく違う歩みをするが、出生において悲しい共通点をもつ。それぞれ道を歩みながら、徐々に近いしい関係に。最初からこうなる運命だったんだと感じる事ができる作品。

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    2019年09月19日
  • ここは私たちのいない場所(新潮文庫)

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    いわば「変わり者」の思想と日常であるが自己投影ができてしまう内容。哲学的な文言も現実離れしておらず感慨深かった。解説で特定の人のために書いた物語とわかり、伝えたい想いを散りばめ小説にしたのであればこの本の意味はより深いものに感じた。

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    2019年09月17日
  • 永遠のとなり

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    何がきっかけで心の病になるかなんてわからないし、部下が自殺とか、そういうのも他人事じゃないなって思う。ホント。

    白石一文さんならではの、心の闇とか、その掛け合いの描き方が、冬に読むには痛々しい。

    てことは、巧いんですね。

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    2019年08月04日
  • 火口のふたり

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    まるで官能小説だけど、途中から白石先生らしくなってくる。でもこの前読んだ「愛なんて嘘」でも感じましたが、白石先生の作風というか、書きたいもの、言いたいことの表現手法が少し変わって来ているような気がする。
    確かに「身体が合う」って大事なことと思う。生まれも育ちも違う男女が長く仲良くいる為にはすごい大事な要素だと思う。その時その時は、一緒に快楽に溺れているから一心同体のような気がしても、やっぱり別々の個体が織りなす絡み合いなので、終わるまでずっと双方が同じ気持ちでいる訳じゃなく、所々で押したり引いたりしていますよねぇ~そりゃそうだよねぇ〜人の気持ちなんていくら身体を合わせていても測り切れませんよね

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    2019年07月26日
  • 翼

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    泣く場面も、共感も特にはなかったんだけど、こんなに運命の人だ、結婚したい、と言われて流されない里江子がすごい。
    設定上イケメンのお医者さんに、13年越しに。

    白石一文さんの恋愛小説はすごく愛について掘り下げてくる感じがある。

    フツーに暮らしてる自分にとっては読み物としてはよいけど、現実とはリンクしないかな。

    だけど初恋の人に振られる夢は未だに見るから、しかもいろんなシチュエーションで、必ず振られる(−_−;)人生における運命の人かもなー。

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    2019年07月19日
  • 記憶の渚にて

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    大好きな作家さんなので、書店で手に取ってすぐ読み始めたのはもう何か月前…?
    職場の昼休みや、待ち合わせの時間など細切れで読んでると、だんだん訳が分からなくなってしまって、これはしっかり読まないといけないと、後半は正座して読んでしまったにもかかわらず、消化不良…

    ここで終わる?とまだまだ小説の中に身を置きたい自分だけが取り残された感が…

    解説にもあるとおり、私も小説の中に入り込んでしまうからか、東也がおいてけぼりの結末にどうしても納得できなくて、白石作品初の星3つ。

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    2019年07月06日
  • プラスチックの祈り

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    五年前の秋、かかとのプラスチック化を初めて見つけたとき、これは天罰だと直感した。
    ーあんな形で小雪を失った当然の報いに違いない。
    そう確信した。

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    2019年06月21日