【感想・ネタバレ】砂の上のあなた(新潮文庫)のレビュー

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ネタバレ

白石一文さんにはよくある題材だと思うけど、30代半ばの女性の、恋愛・結婚・妊娠(不妊治療)を中心にすえて、生きる意味を問いかける長編。
妊娠を強く望む主人公の美砂子が、次第に夫とすれちがっていく。
うーん、よくある話…と思ったら、その裏にすごく複雑な人間関係や夫の思惑、死んだ父親の執念(?)みたいなものが絡んでいて、推理小説ぽくなっていく。
途中で推理小説か!?と思うけどもちろん違う。
白石一文さんの小説では、男に利用されようと何をされようと、けっこう女性が力強い存在として描かれることが多いように思うけど、この小説でも美砂子はかなり酷い目に遭いながらも相当にしたたかでたくましい。
そしてその根拠は、やはり女性というものが、「子どもを産むことができる」というところにある。
途中、回想の中で最初の婚約者と別れたり、初めての子どもを流産したりするシーンはかなり泣けた。
そして自分を裏切っていた夫と、最終的にどうなるのかがすごく気になったけど、彼女の「女としての生」は、最後にはもうそんなことを超越してしまう。
これから子どもを産む女性には、ある意味で勇気が持てる小説だと思った。

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2021年09月17日

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高遠耕平を軸に多くの人が絡む物語だが、登場人物間の関係が複雑で把握に苦労した.牛島美砂子、鎌田浩之、北村千津子など重要なキャラクターを発揮して話の展開を複雑にしているが、どの人物も嫌味がなく言ってみれば素直な性格の人ばかりで、読んだ後にそのことに気が付いて驚いた.納骨堂での出来事は何かを象徴していると感じたが、このようなエピソードを発想する作者の感性も素晴らしいと感じた.

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2023年11月10日

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白石作品は女性目線で描かれた話が好きなのでヨシ!と思いながら読み始めた。
最初は美砂子と鎌田とのラブストーリーかと思っていたらそんな安易な話ではなかった。
次々と判明する真実、複雑に絡まった人間関係に唖然となりながら、最後まで読んでほーっと息を吐いた。
美砂子に絡む男性達、直志が一番ダメ、鎌田も結局はしょうもない男、高遠が一番まとも。
個人的には高遠と幸せになって欲しかったな。
美砂子のその後が気になるラスト。気になる。。
でも白石作品のこういうのが好きなのよね。
ちょっと神秘っぽい?!笑

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2021年08月01日

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最愛の父に愛人がいた…。

見知らぬ男からもたらされたのは、娘が最も知りたくなかった事実。

しかし亡き父の妄執は、35歳の主婦・美砂子の結婚生活にまで影を落としていく。
一見ありがちなテーマですが、驚いたのはあまりにも女性の気持ちが細部にまでわかっている事。

女性以上に女性を理解しているであろう心理描写は感動でした。

いくつかのエピソードは私も経験している事と重なり、共感出来ました。

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2021年01月25日

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親と子、生と死、人の縁。なんつーか最初はただの妊活不倫恋愛物と思って読み始めたけど、後半どえらい重いことになってて、それはそれで面白かった。何ぼ何でもな登場人物たちの絡まり合いだったけど、まあそこは物語。女性視点の心理描写や男性批判が秀逸で、最近女性のものの見方を(あくまでも本からではあるが)学ぶことが多かったのだけれど、これまた新鮮な視点だった。後書き読んだら著者は樋口毅宏のデビューなんかにも絡みがあるみたいで、ふんわり樋口ファンとしては色々繋がりを感じられて親近感。別の本も読んでみたいけど、読むのにパワーが要るだろうなあ、この人の本は。

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2017年07月19日

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2015/3/13登場人物が多くて途中、誰がどういう関係なのかを整理することが必要だった。子供を生むことをテーマにしていて、父の浮気相手との関係、夫との関係、夫の浮気相手の息子(と名乗る)人との関係が興味深い。子供を生まないほうが幸せって言うの、うーんどうなんだろう。少しわかるけど、なんとなく信じたくない。

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2015年04月13日

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ネタバレ

白石一文らしい作品。
白石作品は女性が主人公の方が面白い。
心理描写が細かくて。
今回は排卵日がどうのとかその辺まで詳しく描写している。

物語の設定も細かく、ミステリーのような読み応え。
ただ、複雑な人間関係が収斂していくにつれてちょっと興冷めした。
西村と鎌田の罠もちょっとあり得ないし。

最後に作品タイトルの意味や主人公美砂子の名前の由来がわかってスッキリするけど、結局、父親の思いがすべてということかな。

生と死、人生、男と女、親と子、様々なことについてゴニョゴニョ語るけど、それが文学だろうからなあ。

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2014年06月03日

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白石一文さん、かっけぇ。
白石さんらしい。
久しぶりの著者の作品。
大好きなんだけど、ヘビーだって分かってるから。
覚悟して読まないとって思ってずっと読む気になれなかったのが、今日はなんだかその気になって読んでみた。
ら、なんだか今の自分に言われてるような考えさせられるような言葉が出てきてしまう。
やっぱり白石一文さんの作品とはなんらかの運命めいたものを感じてしまう。

いやー白石さんかっこいい!結局そこ笑

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2014年05月21日

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今年早々に祥伝社から『ほかならぬ人へ』の文庫版が出た時には、その巻末に収録された「解説」のかなりイッちゃってるっぷりが局地的な話題になった。新潮社の編集部員が祥伝社の文庫の巻末で、肝心の小説の話はそこそこに、作家との思い出を過剰な熱量と垂れ流しの自意識とむしろオナニズム一歩手前の自己陶酔に乗せて語りまくるという、まるで違う男のところに嫁いでしまった昔の恋人に宛てた未練がましいラブレターのような、有り体に言えば新潮社作品ではなく祥伝社作品で直木賞を獲った著者に対する祝福しきれない屈折した感情の発露とでもいうような、ちょっとパンクな内容だった。当の小説の魅力もさることながら、あの「解説」だけでも一読の価値がある。
さて、それから3か月、2013年の白石作品の二つめとして新潮社から刊行されたこの文庫だが、巻末解説はなんと、祥伝社の編集部員によって書かれている。つまりこれは、巻末解説という形を取った祥伝社から新潮社への返礼であり、同時に果たし状なのだ。
白石一文をより深く愛しているのはあなたではなくて私の方なのよ、私こそが彼の寵愛を受けるに相応しいのよ、という、文庫巻末という場所を借りた一人の作家をめぐる出版社の愛憎劇が、ここに繰り広げられている。
つまりそれだけ、白石一文という人は素晴らしい作家であり、それ以上に一人の人間として魅力的な人だということなのでしょう。

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2013年05月23日

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白石一文さんの本ってやっぱり好きだなあと感じる一冊。常識では考えられない、超越した人と人との強い結びつきをいつも感じさせられます。いろんな人の運命が絡まり合って、果てしなく繋がっていく様が描かれています。

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2013年04月29日

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自分の親に愛人がいたという事実が、亡くなった後に分かったとして。それを掘り起こして、知りたいと思うエネルギーが私にはないだろうな〜、と。
歳をとるにつれ、可能であれば見たくないものに目を閉じることができるようになってきた気がする。

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2023年05月19日

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愛護センターという名の処分施設 癇癪持ち 剥奪 排卵日 猟犬ミニチュアダックスのハリー 荒唐無稽な 浅草界隈の雑踏 杉並区久我山 不憫 贔屓 カヌー 鎌田浩之 東西線門前仲町 福生 急逝 一筆認めて 湯島 清澄 東条紘子 牛寺周一郎 人間の容姿の嗜好 相好を崩して 川越 次元大介 大腿骨 一瞥 京葉線 血縁の絶対化 日光白根山 伊香保温泉 愕然たる思い 妊娠の可能性は35歳を境にして急降下 瀕死なオタマジャクシ ソニーを退職 死という絶対現象 際限なく再生産 下卑た欲望 桃源郷 人生は一回きりの死と無限回数の誕生によって織り成された実に奇妙な生成物 彼等は生殖・繁殖活動は行っても、それを死と結びつけたりはしない。我が身の命の儚さを嘆いて新しい命を産もうなんて考えていない。単に原始的な本能に従って彼等は新しい命を生産するんです。だからそうやって生まれた子供達にさしたる愛情を注がない。子供達が一人前になれば大抵の動物は親子関係をきっぱり清算してしまう。彼等にとって大切なのはあくまで自分自身の生存と生活なんです。 死というのは本来、死ぬ瞬間のことなんです。自爆攻撃で自分の身体を吹っ飛ばしたテロリストの意識が消える一瞬、俺達が毎晩眠りに落ちて意識を失ってしまうその一瞬、それこそが死の本体です。しかし、俺達は死をそういう瞬間的なものとして捉えることができない。俺達が考えている死というのは、死本体ではなく、そこに至るプロセスのことです。 死は一瞬のうちに訪れては去って行く人生で一度きりの現象に過ぎません。 自覚を反復し続けます 死を知っている人間が子供を産むということは、まごうことなくその子を殺すことです。 レモングラス ミント プランター 幾つかのハーブ香草 そのどうしようもない愚昧さの中にあの桜の美しさが宿っているような気がしてならない とりとめなくも ビールはコロナで切り立てのライムが細い瓶口にちゃんと差し込んであった アボガドのパテとクラッカー ザルの枠 〆にボンゴレ浅蜊など二枚貝を使ったパスタ 一斗缶 熊本は急流が多くてパドリングやラフティングのメッカ CorCorという名のホワイトラム 弾みがつく 宮崎焼酎河童の誘い水 ピーナッツバターのパスタ 将棋盤 鴻巣かんなが乳癌で乳房の切除手術を受けた 男を誘って子種を貰うため でもさ、そういうのってほんと、超くっだらないよね。 高遠耕平 成長を止めた赤ん坊のようになっていく 祐天寺 行き先を見失った船は、永遠に広い海を漂流し続けるしかない。 オーガニックワイン この下らない世界全体に対する復讐 卓袱台 堅牢化 娘婿 豆板醤 倉吉市 娑羅双樹 嘘が露顕 破綻 徹頭徹尾 思慕 亡妻 画策 清楚 瀬踏み 根拠のないプライドをひけらかす 一目瞭然 早稲田鶴巻町 狭心症 便宜的 堆積物 既視感 整体師 流暢 人間模様を頭の中で相関図化していく 鬼籍きせき 正鵠を射ていた 気圧が乱高下らんこうげ 西村美紗子 直志 豹変 絶望の底無し沼から抜け出す術 手中 時候じこうの挨拶 錯綜した人間関係 熾烈 恋慕れんげ 悔悟かいご 憧憬どうけい 時空を超えて 忘れえぬ思慕 嗚咽 幻惑 肉体という容器 煩雑に絡まり合い 皆目分からない 収斂せず、ひたすら混沌のままに 野放図 襷を次の世代に押しつける 超越的な運動の渦中 成就 金輪際すまい 臍帯で明々白々めいめいはくはくに繋がっている 塗炭の苦しみ 一陣の風が父と自分との分かち難い絆をようやく断ち切ってくれた 衒いもなく 上梓され 祥伝社 端正な装丁そうてい 寧ろ現実世界の先に存在する、謂わば形而上的な価値を訴求してゆく 掬い取り この世界の完璧な全体像 ぶんげいしゅんしゅう文藝春秋 金銭的に窮乏きゅうぼう 速射砲のように繰り出された 抽象的な比喩に満ちた彼の話の内容 渦中かちゅう 従前じゅうぜんより 翻弄 際限無く再生産 愚かしく矛盾に満ちた行為 疑義を呈し 言葉の狭間 対峙 真摯 思惟や意思 ミクロな微視的びしてきな側面 マクロな巨視的きょしてきな側面 必定ひつじょう 相互な視点の落差 振幅の大きさが生み出すダイナミズム 命題から目を逸らし安穏と生きる 裡なる対話 謎ミステリー 侮りがたさ 網の目の中心にいる磁場のような存在 気鋭の作家 樋口毅宏 知遇を得て 博覧強記 尋常ではない えいびん鋭敏過ぎる頭脳を持つ余し 嬉々として 潰えて 逼塞 突如拝命 自我エゴ 参加エントリー その彼方に茫漠と広がる世界との接点を持って形成された世界 否応無く競争を強いられ 競争原理が支配する世界において敗者となれば、この社会自体から落伍するよりない。 脳内に於いてヴァーチャルな世界観の構築を試み 傲岸にも僕が代弁 同調シンクロ 最後に呟かれるモノローグ 鉛の様な疲労 すぐ側の彼方に希望を託す

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2017年09月25日

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救いのない話かな。
ミステリー小説並みの登場人物の絡みが少々怖い。
運命に逆らえない、運命を受け入れるしかない白石さんの著書の中でも、この作品は、読んでいても辛らかった。
子供を成すことの考えは人それぞれですが、主人公やみなみさんのこれから生まれて来る子供たちに明るい希望や環境があるといいけど・・・・・・。

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2015年05月18日

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シンプルに感じることが真実だったりするから、突き詰めて考えるのもほどほどに、自戒を込めて。率直に表現するって、人間にとっては大事で一番信じられるのかもー。

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2014年04月15日

Posted by ブクログ

人間関係が複雑に絡まりあい、ちょっと驚きの展開。
いつも通り、すごく読ませるのだけれど、やや絡まりすぎかなー。
子どもを産める、産めないで夫婦の仲がこじれていく様は悲しかった。

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2013年08月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

白石一文は変にSFチックというかファンタジックな話を書くのはあまり向いてないと思う。




「だけどさあ、女ってほんとに何なんだろうね」

「しかも、私にはうちの旦那のそういう気持ちがすこしは分かる気がするんだよね。」

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2013年06月27日

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最後の方は登場人物が絡まり合い頭が混乱。
こういう物語のストーリーは、白石さんお手の物ですね!

あの後皆どうしたのだろうか…

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2013年05月20日

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直木賞作家白石一文の2010年に刊行された作品。この作品には恋愛を描いた小説ではなく、家族、過程、忘れ得ぬ人への思いと人が思いがけず巻き込まれる人との縁の不思議さが描かれている。
白石作品は常に水準は高いと思うが、この作品も楽しめた。
白石一文氏も女性を描くのがとても上手な作家だと思うが、この作品も主人公の女性が心理描写がすばらしい。
白石ふぁんなら是非。

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2013年05月20日

Posted by ブクログ

白石一文は好きなので大抵の小説は読んでいる。この人らしく、[運命と絆と愛]についての小説。父親と自分というのは新しい視点?この人の描く主人公の女の人は好き。でも毎回置いてかれる感もあり

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2013年05月02日

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生きていくうちに生成される煩瑣なしがらみによって、自分の考えや行為が律せられていくことのおそろしさ、それが運命への畏怖なのだろう。
周一郎の愛は脆くて儚いもののように思えるが、めぐりながら肥大化する運命のちからを感じた。

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2013年04月16日

Posted by ブクログ

鳥取砂丘にいってみたくなる。
美砂子という名前、美しい砂、いい名前だなと思った。

子供を生む前に、死への戦慄に怯えざるを得ないこの世に果たして自分の意志で命を誕生させていいものか考えた時期があった。全くもって不完全な自分が新しい命を産むこと、自分が味わった苦しみを生まれてくる子も同じだけ味わうこと、それを認識していながらも子を誕生させるということ。

人生たかだか80年対生前と死後の時間無限大∞

自分の存在しない無限大の時間の流れに対して、あまりにも短い、一瞬とも言えないほどの生きている時間の短さ。暗闇で床について考え出すと怖くて怖くて頭がおかしくなりそうになる。

でも、私は子供を産んだ。
そんな考えなど忘れてしまって毎日子育てに疲れながらも子供の存在と笑顔に満たされる。

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2013年04月12日

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次から次に新しい人物が現れる。しかもそれぞれの関係性がややこしく絡まるため理解しづらい。しかし、最終、その複雑な関係をまとめ上げる女性のもつ神秘が語られる。

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2013年04月13日

Posted by ブクログ

白石一文さんの最新文庫作。読みながら「なんか知ってる話だなぁ」と思ってたら、単行本を買って既に読んだことがありました。これって本好きあるあるですかね?

父の死をきっかけに、子供を産みたいと望むようになった35歳の主婦。ある男との出会いをきっかけに、自分を取り巻く人間関係の奇妙な偶然に気づいていき…

子供を産むということがどういうことか、作者が登場人物に語らせている内容が面白かったですね。極論過ぎて共感は得られない内容ですが、ある種の真実は突いている気がします。あと、ラストの主人公の独白が印象的でした。

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2013年04月06日

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