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大手精密機器メーカーに勤める田宮里江子は、大学時代の親友の夫・長谷川岳志と10年ぶりに遭遇する。岳志は、親友の恋人でありながら、初対面でいきなりプロポーズしてきた男だった……。直木賞作家のTwitter連載小説として話題となった恋愛小説。何度も読んで、何度も涙するという読者が続出した。鉄筆文庫の創刊第一作。
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Posted by ブクログ
思いがけず泣いてしまった・・・ 一流企業でバリバリ働く里江子は、体調を崩し、クリニックへ。 そこで、10年ぶりに医師、岳志と再開する。 彼は里江子の友人・聖子の夫であるが、 10年前、聖子の彼氏として紹介された翌日に、 彼は、里江子に「結婚して欲しい」と言ってきた。 あまり...続きを読むにも突拍子もない話に、とまどいつつも、 その場は何とか切り抜けたが、 再開した時、彼は10年前と同じく 「妻と別れるから結婚して欲しい」と言う。 そこまで真剣になるわけは。。。? ......................................................... 最初に彼が登場した時、 いったい、この岳志という男は、どうゆう人物なのだろう?と、 不審に思ったのだが、 読み進めるうちに、彼の一途さが伝わってくる。 白石一文さんは、大好きな作家で、 今回もまた、私の心を満たしてくれました。 おススメしたい一冊です。
【あらすじ】 東京の半導体メーカーに勤める田宮里江子は、ひょんな事がきっかけで、大学時代の親友の夫・長谷川岳志と10年ぶりに遭遇する。岳志は、親友の恋人でありながら、初対面でいきなりプロポーズしてきた男であった……。直木賞作家のTwitter連載小説として、新聞各紙(讀賣新聞、日本経済新聞)で取り上...続きを読むげられ話題となった恋愛小説。何度も読んで、何度も涙するという読者が続出した。鉄筆文庫の創刊第一作であり、直木賞作家・白石一文の文庫最新作。 【感想】 読み終えてまず思ったのが、主人公にあなたは悪くないよと言ってあげたいと思ったことだった。あなたは岳志を救い切れなかったよ。もう少し早くいろんなことに気付いていればよかったね、と言いたいと思った。この本に出てくる登場人物はいろんな人がいて本当にいろんな生き方をしている。特にわたしの印象に残ったのは、やはり長谷川岳志だ。岳志の生き方、考え方は普通ではない。普通になりたかった。そう本人は言っていた。でも、岳志はわたしと似ているところがある。わたしはそう思った。誰のことも信じられないし、誰のことも心から赦すことができない人間なんだ。というところとか、最も大事なことは、この人が運命の人だと決断することだ。そう決める覚悟を持ったときに、初めてその相手は真実の運命の人になるんだと思う。たった一人、この人とだけ真実の喜びを分かち合うんだ、と決める。そしてそれを万難を排してやり遂げようとする。お互いがそういう覚悟を持ち続けている限り、人生というのは果てしなく豊かになっていくんだと僕は信じている。というところとか、すごく共感できた。だからそう思うと、わたしも普通ではないのかなと思った。でも、ここだけの話、わたしも自分を普通じゃないと感じたことがある。岳志のように普通になりたいと思ったことがある。岳志の心はきっとずっと不自由だったのだ。何かに縛られていたように感じていたのかもしれない。だから、主人公に死んだらどうなるか聞いたのだろう。自分が死んだら、この縛りから解放されるのだろうか。自分自身が死んでもこの縛りからは解放されないのだろうか。岳志はそれが知りたかったのかもしれない。たとえ自分自身が死んでも、自分のことを記憶している人間がいる限り完全に死んだことにはならないんなら、逆に、自分が生きていても、その自分のことを知っている人間が死んでしまえば、自分の一部が死んだことになる。そういうことだろ。これは城山の言葉だけどこの言葉にわたしは思わずギクリとした。岳志はどこかでこの言葉を聞き、自殺を覚悟していたのではないかとわたしは思う。岳志の心に翼があればよかった。岳志の心に、もう少し早く、主人公が翼を付けてあげればよかった。そうしたら自由に羽ばたけたのに。悔やんでも仕方ないけれど、そう思えてならない。学ぶことは多かったけれど、悲しい物語だったなと思った。
心の底から愛した運命の人が隣にいない。そんな人生に意味はあるのか!?の誘い文句に惹かれて読んだ。読みやすくて、スッと話が入った。
私たちは手にした幸せより先に死ねれば、それが最高の人生なんでしょうね。 俺たちは他人の心の中に自分という手紙を配って歩く配達人にすぎないのかもしれんなあ。配達人が郵便受けに差し込む手紙の中身を知らないように、俺たちも自分がどんな人間なのかちっとも知らずに、それを丸ごと人に預けてるだけなのかもしれん...続きを読む。 人間は智恵や理性では絶対に行動しないからね。例外なく感情のままに行動する。 僕たちの人生は誰かを不幸にしないためにあるのではないよ。愛する人を幸せにし、自分自身が幸福になるためにあるんだ。 運命の相手とは出会うだけじゃきっと駄目なんだよ。最も大事なことは、この人が運命の相手だと決断することだ。そう決める覚悟を持ったときに、初めてその相手は真実の運命の人になるんだと思う。
改めて白石作品好きだって思った。 何冊か白石作品を読んで思ったのは女性目線の作品に心揺さぶられる。 共感できる部分やハッと気付かされることが多く胸にストンと落ちる。 (以前読んだ男性目線の作品はイマイチ共感できなかった笑) 本作についても朝子の手紙、里江子のラストに向けての気持ちの変化に自然と寄り添...続きを読むうように読んでいる自分に言葉では上手く言い表せない心地良さがあった。 読後感はいつもちょっぴりさみしい気持ちになる。
9年前に別社で出版されたものを既読であったのをすっかり忘れて読んでしまったことに登録して気づいた。前回は「世の中の社会人はこんな七面倒臭いことを考えて生きてるのか?」って言ってたのに、今回はその七面倒臭い語りをフムフムと読み入っていた。己の加齢を感じる。
白石一文さんの作品、初めて読みました。 愛、人生、運命の人。 それぞれの表現がびっくりするほど腑に落ちる。 「誰かの不幸を前提にした幸福なんて、この世界に存在できるはずがない…」と言うりえこ。 「僕たちの人生はだれかを不幸にしないためにあるわけじゃないよ…」と、岳志。 「最も大事なことは、こ...続きを読むの人が運命の相手だと決断すること」岳志。 「きみだけがずっとそばにいてくれるのなら、それでもいいんじゃないか」岳志とりえこ。 良いとか悪いとかではなくて、言葉にできない思いを持ってる人ってきっといると思う。 決断かぁ…
田宮 七回忌 西新宿 ダイオード 西鉄久留米駅 天神 中洲 四十九日 矢萩典弘 九電工 浜松光学 発覚の仕方が余りにも陳腐で滑稽だった タイに撮影旅行に出かけた 包丁 針金 消えてくれよ のぞみ 人は故郷を捨てるのではなく、こうやって失くしていくのだ。 小倉 阿佐ヶ谷 えぼだい 山崎の18年 子供や...続きを読む孫に目がない連中ほど、他の生き物には冷淡だな 浜山田 カラス 人の死は関係者全員の死をもって完全な無になるのかもしれない 太陽さん 理想の父親像 ロイヤルホスト 営業日誌 長谷川岳志 サモサ キングフィッシャー インドで一番のシュア ネグラモデロ コクのありそうなメキシコのビール 百人町のうまいインド料理屋 結局、人間は智恵や理性では絶対に行動しないからね。例外なく感情のままに行動する。 言葉遣いの垣根が低くなっていくのが分かる さほど 自分から楽しもうと思わない限りどんどん醒めていく 妻も子供も自分の人生を賭けるほどの存在じゃない 横須賀中央駅 選挙運動というものを一度体験しておきたいと考えていたのは事実だった 憑き物が落ちた 医者 総合診療科 患者 死に様 そう直感した 天の啓示 投函 朝子 百メートルを九秒台で走れると分かってる人間のたぶん三分の一しか陸上なんてやらない ヘンな人間 普通の一番の素晴らしさ アブストラクション=抽象 パイロット オランダに墜落 カリフォルニア州サンノゼ 蚊に刺される 背中をかいてやる 高熱 塩化カリウム 致死量 不忍池しのばずのいけ上野 山口県 姉と心中未遂 漂流 カツオドリ 死様 僕たちの人生は誰かを不幸にしない為にあるわけじゃない いよいよ通念を拭うときだと確信しています 上梓じょうし
淡々とした語り口ながら、読む手を引っ張られる引力のある作品。 後半の独特な主人公の感性に疑問を覚えはするが、その疑問こそが物語の根幹になっているのだと思う。(考え方は人それぞれなので) 運命の人、という題材が素敵だった。
自分をひたすら愛してくれる男・長谷川岳志との再会から始まる物語。 彼は元々親友の恋人で、後に夫となった人なのに、その妻子を捨てて自分と結婚したいと言っている。 主人公の田宮理恵子こそが運命の人なのだと。 中年のいい大人が”運命の人”だなんて、冷静に考えたらトチ狂ってるとしか思えない話ですが、心に楔...続きを読むを打たれたように妙に心地よいもやもやが残った。 「真実の人生」とは一体なんだろう。 私はどうすれば真実の人生を手に入れることができるのか? 理恵子の問いかけは私自身へのものでもあった。 今後、私が直感を信じて生きることを選んでしまったら、私の人生は、どうなるのだろう。 馬鹿馬鹿しい、愚かなことだ、と正直どうしても一蹴できない。 自分のためにも煮詰めてまた読み返したいと思います。
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