結婚を目前にして、最愛の女性・晶に裏切られた正平。それから5年。苦しみながらも、家業である甘味処「博多ぜんざい・ナカムラ」の仕事に打ち込んだ正平は、店舗を増やし、成功を収めていた。そんな中、突然の、晶からの電話。再会で明らかにされる、想像を絶する別離の理由とは…。表題作のほか「20年後の私へ」「たとえ真実を知っても彼は」「ダーウィンの法則」を収録した傑作恋愛短篇集。いずれも、目に見えない“大切なもの”が、読んだあなたの心にのこる傑作。
Posted by ブクログ 2022年08月31日
白石一文氏の作品は福岡が舞台であることが多く、とても親近感がわく。この作品も福岡、老舗のぜんざい屋のオーナーが主人公、見知りした地名や場所が次々出てきて情景を想像しやすくたのしめた。
目にしたものが真実ではないことがある。悲しみや辛さを味わった人の思慮深さや優しさ懐の深さを強く感じた作品でした。終わ...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年08月30日
-20年後の私へ-
この作品は白石先生らしい福岡を舞台に社会的に自立した離婚歴のある女性の物語。
40歳を目の前に迎えて、今後このまま独りで人生を送っていくのか、それともある種の妥協の言い訳を自分に言い聞かせながらでも伴侶を得て世間一般的に普通らしい人生を送るのか…そんな分岐点に立って、これまで気づ...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年08月17日
作者あとがきに書かれている、「目に見えないものの確かさ」とは、それぞれの作品で描かれている人間の想いや繋がりではないかと私は考えます。また、世界の流れ、というか、陳腐ですが運命といったものではないかと。それはよく目を凝らせば日常に溢れているのでしょう。
あとがきでは、目に見えないものを見ることが「自...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年10月27日
上司にお借りした本。先日著者の別タイトルを読んで、
「面白いんやけど、重かった・・・」
と、思ったので(@「私という運命について」)、同時にお借りしていたこの本を読むのはちょっと後回しにしよう、と、別の本を読んでいたのだけど、いい加減返さないとあかん・・・、ちゅうことで、連休に挑戦してみました。
...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年06月27日
作者は白石一文です。
とても心に残る、力強いメッセージが伝わる小説でした。
恋愛小説(短編)が3つ入っています。
女性が好きそうな本だと思います。(多分)
この作者の本をはじめて読みましたが、
なんとも色々な人物が描かれていて、作者の幅を感じます。
特に表題作でもある「どれくらいの愛情」はとても良い...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年10月06日
読み応えありました。
4作の恋愛小説集。
はじめの「20年後の私へ」は合いませんでした。
薄っぺらくて、都合がよくて、面白くないなあ〜と思って読み始めたのですが、
2作目から一転。深い深い。
あとがきでも書かれているように目に見えないものの確かさを必死で探していく感じで、
いつもはどんな小説を読んで...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年07月23日
下記を今朝登録したのだが、時間が経つにつれ、段々印象が上向いてきたので、評価星ひとつ増やす。
『絶望した側が、戦いに勝つことがよくある…』
『辛いときこそ、心のエネルギーを失ってはならない。人間は幼い時からその体に太陽エネルギーをたくさん蓄えてきたのだから、苦しいときこそ、それを放出して、自分の...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年01月05日
大人の愛にはいろいろな形があるけれど、目の前の相手を幸せにしようとしたり、離れていても相手の幸せを願うことが大切。そんな気がする。
4作ともよかったのですが、ラストの表題作「どれくらいの愛情」が一番しっくりきた。導入部分の『解夏』の松村達雄のセリフ(あなたは本当に失明した瞬間に、その失明の恐怖から...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年11月10日
初期の作品よりも小説の質が上がったな、というのが第一印象。
どの作品も、根源的な心の動きについて、問いかけてくるものが多かった。
特に表題作で、主人公と晶についての関係について先生が言ったことが、心の中に染みた。
喪失の恐怖は、喪失するかもしれない状態で起こるもの。喪失した瞬間に恐怖は消えて、心の...続きを読む