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建材会社社長の高梨修一郎、50歳。先代社長の娘と離婚し、現在は一人暮らし。取引先の粉飾決算によって経営危機に陥り、事態収拾を図るとともに引退を考え始めていた。今、脳裏に浮かぶのは、怒涛のように過ぎ去った日々の記憶。18歳で会社に入った高梨と、先代の女社長の間には、何年経ったとしても、絶対に誰にも言えない秘密があった――。心を締めつけ続ける「孤独」を緻密に描いた傑作長編。
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Posted by ブクログ
登場人物の間の様々な因縁とそれに対する主人公の孤独を強調した作品。 他人に翻弄されながらの「自分の生」は虚しく、そうであるからこそ他人を心の支えとする。そんな人生の哀愁を綺麗に描き出している。
またとんでもない白石一文作品に出会ってしまった… 中堅建材会社社長の高梨修一郎の50年間を辿る。登場人物もりもり群像劇パターンで、とんでもエピソードもりもりパターン。 不倫はもはやデフォルトで、粉飾決算、猟奇殺人、失踪、焼身自殺、刃傷沙汰、性的虐待まで出てきて収集つかなくなると思いきや現実感は失わ...続きを読むない。スピリチュアルな所は置いておいて。 それは現存する苦しみだから。 「孤独」を書いた作品だけど、とにかく愛がすごいなと思った。愛というか、縁?運命的なつながり。 肉親を皆失い、妻に裏切られ息子も失い、社長職も退き、生涯で唯一愛した人をも喪ったことに気づく。 人が抱え持つ絶対的な孤独は消して埋められない。だからこそ支え合うし、だとしてもひとりひとりはバラバラに過ぎない。 いわゆる男女の愛情だけじゃなくて、あらゆる事や物を通じた縁で、ゆるやかに繋がっていく。 あと白石作品によく出てくるバーのママ的な人出てきた。受付統括の島田富士子。 孤独な経営者のことを公私共に知り尽くしていて適切なアドバイスができる女性。突然バブル期経済小説みたいになるけど、言ってることはすき。 時系列や場面がくるくる入れ替わって少しずつ過去が紐解かれて繋がりあっていく。集中力を途切れさせない書き方は流石だなと思う。結構分厚いのにいつも一気読みしてしまう。
著者は、早稲田大学卒業、文芸春秋入社。藤沢周平などの編集者として活躍。父親は直木賞作家の白石一郎。幼い時から本に囲まれ、本を読みまくっていたようだ。小2でドストエフスキー『罪と罰』を呼んだという逸話も。2000年に『一瞬の光』でデビューし、2010年に『ほかならぬ人へ』で直木賞受賞。本作品は24作品...続きを読む目。文芸春秋は結婚直後のパニック障害と、九州にいた父親の癌で退職している。影響を受けた本はカミュの『異邦人』という。村上龍や司馬遼太郎の作品もほとんど読んでいる。村上というと春樹より個人的には、村上龍の作品という。父親は韓国の釜山生まれで著者の祖父は金持ちだったようだ。弟も双子(白石文郎)で作家。巻末解説で下山進は、「白石一文は、エリート編集者で文芸春秋時代は社長候補だった」と書いている。
いつもながら、白石作品の中に入り込んでしまった。 人は誰でも知らないまま生きてきたことを持っていると思う。もし、その時に知っていたら生き方は変わっていたのか?と考えてもどうしようもない。だからこそ、主人公は思わず湖に向かって歩いて行ってしまったのか…? 家族が家族として生活する意味や、不幸にして...続きを読む別れ別れになってしまった家族を思う気持ちなど、作品を通じて疑似体験した。 興味深かったのは、犯罪加害者の家族が描かれていたこと。自分ではなく家族が加害者になった時、人は何を考えどう生きるのか…つらく、苦しい気持ちの持って行き場はどこにあるのか?白石さんの思いが堀越夫妻の生き方に現れていて、感動した。
白石一文さんの小説は、1人の人間の人生を長いスパンで描いているものが多いように思う。小説の始めと終わりでは数ヶ月から数年しか時間が経っていなくても、途中で遠い昔のエピソードが詳しく挟み込まれて、最終的には数十年にわたるその人物の人生が濃密に描かれる。 今現在の状況に多少の影が差している方が、過去のエ...続きを読むピソードが深く切なく感じる。それでも最後には未来の光もうっすらと感じる。味わい深い物語が多い。 建材会社社長の高梨修一郎、50歳。先代社長の娘と離婚し、現在はひとり暮らし。取引先の粉飾決算によって経営危機に陥り、事態収拾を図るとともに引退を考え始めていた。 今脳裏に浮かぶのは、怒涛のように過ぎ去った日々の記憶だ。18歳で入社した高梨と、先代の女社長の間には、誰にも言えない秘密があった。 人はそれぞれの物語を生きていて、当然その物語の主人公は自分自身だから、秘密にするべき行動や過去にも自分なりの理由があったり、抗えない運命のようなものに引っ張られてそうなってしまう場合もある。 それぞれに、自分では理解している。だけど、それが他人にも理解されるかどうかはまた別の話だ。それがとても近しい相手だとしても、図り合ったり隠したりして、理解し合えないまま離別の道を選ぶこともある。 大雑把に言うと上記のようなことをこの小説の色んな人間関係に対して思った。 自分の目を通してしか相手を知れないことを、時々現実でもとても寂しく思う。 主人公の高梨は社長という立場上とても孤独で、人との関わりはたくさんあるのに「独り」の雰囲気が終始漂っている。愛した人がいて、助けてくれた人がいて、信頼している人もいる。そして新たに、助けたいと願う人との出逢いもあった。だけど、何だか孤独に見える。 厳しい生い立ちだから人の痛みもわかるし、人柄も優しい。人のために奔走することも厭わない性格にも見える。 その時どきで選択を誤ることもあったかも知れないけれど、高梨の人柄を知るにつけ、物語なのに彼の幸せを願いながら読んでいた。 そして最後に光が見えたので、とても穏やかに読み終えることができた。 短い期間を切り取っただけでは分からない、生きる上での因果が、長いスパンで見ると分かったりすることは現実にもある。 「この人とこの人がこんな風に繋がっていたなんて」とか「あの時のことが不思議な巡り合わせで今に繋がっていた」とか。それは誰の人生にもひとつはあるような気がする。 そういうリアルを感じられる小説だった。色んな人の人生が、一冊にぎゅっと詰まっている。
白石一文先生の中で何か変化が起こったような、これまでとは少し違いがある作品だと感じる。 誰かを思ったり、誰かに思われたり、主人公と相対する二人称の誰かとの物語ではなく、主人公が40年余りに出会ったり関わったりして来た人々のなかなかに壮絶な人生を主人公を介して丹念に描いている。主人公が辿った父を母を妹...続きを読むをなくして来た生い立ちと恩人との関係だけでも結構お腹いっぱいになるくらいの話に出来そうなのに、実演販売員と祖母、社員寮の管理人夫婦、それに勤め先での吸収合併騒ぎなどそっちもこっちもドラマがあって、取り留めがなくなってしまいそうなところを主人公の人柄というか礼儀正しさと人情味がそれぞれのドラマを上手く絡めて受けて止め、苦しさに悶えて来た自身の人生の意味を見つめ直して答えを見つけたような…そんな物語だった。 なぜそうも人に優しく出来るのか?生い立ちや社会に出てからの複雑な歩みを見ると面倒見が良い性格だった…とは思えないほど、他者への心配りが出来る人物であるし、もっと歪んだ所が見えてもおかしくない気がしてならない。彼が人としての美しさを保ち続ける事が出来たのは、不適切な関係であったそんな彼女から受けて来た寵愛が彼を作って来たのかなって感じてしまう。不幸もいっぱいあったけど、幸せも手にしていた事に気づくのに時間がかかったんだろう。彼女を失った時、一緒に…ラストでの告解のような一文に、愛していたんだな…って感じました。 本作は割と最近の作品なので、この後の作品がどんな風に味付けされた物語なのか?これまでとは違う白石一文を早く味わってみたい。
修一郎さんは今まで楽しいと思ったことがあるんだろうか? 淡々と語られる言葉に流れを感じるけれど熱は感じにくい。 海の光を追っていってしまった妹……彼の海にはほんとうに光がないのだろうか。
ある人から見れば光がない世界だけど、ある人から見ればそれが光であって、そうやって関係が紡がれていくのだろう。 #光のない海 #白石一文 #読書記録
偶然か必然か、何かの縁なのか暗示なのか、、白石ワールド全開。 心を締め付け続ける孤独を描いた本作。 ページを捲る手が止まらず、強く惹き込まれた。 白石作品は個人的に当たり外れがあるけど、本作は当たりだった! これだから白石さんはやめられない。笑
徳本産業社長 高梨修一郎を軸としたヒューマン。 高梨は古い名刺整理をしている時に、1枚の名刺に手が止まった。それは2年前に購入した陶製の水入れを実演販売していた販売員〝筒見花江〟のものだった。 お気に入りで2年間愛用していたのだが、ちょうど2ヶ月前にふとしたことから割ってしまっていた。 とは言え…...続きを読む高梨と花江の関係はちょっと強引すぎるかな。その関係を周りに〝嘘〟をついて取り繕う必要もなかったと思う。 登場人物が多いので、人間関係を整理するのがちょっと大変。 しかもその誰もが重い荷物を背負っていて、この〝ルイトモ〟は嫌だなぁ(^^;; 不倫、会社買収、失踪、死、自殺、行方不明、虐待、殺人事件、裏切り… 運がいいとか悪いとか たいていの場合そう言うことは主人公に任せられるのだけど、脇役陣の抱える過去が主役以上にやたらと重いので、1つの物語のなかにいつくもの物語がある。 その1つ1つのエピソードの起承転結の順序が入れ替わって進んでいくので… 例えば 「あの時の私は知るよしもなかった…。」 と匂わせてから〝あの時〟が出てこないうちに、他のエピソードが進むけどそのエピソードも匂わせなのでちょっと「は?」となること数回。 その結果〝あの時〟を早く知りたいので、読むしかない!と言う感じにはなる。 高梨だけでなく、全員が救いのない、変えることのできない過去の呪縛と共に生きている。 過去に縛られた者同士がお互いの苦しみを理解し支え合いながら、光のない海を進み続けるしかない。この先もずっと…。 いや、誰もが幸せになっていいんだよ…と願わずにはいられない。 今年の14冊目 2021.9.20
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