【感想・ネタバレ】光のない海のレビュー

あらすじ

建材会社社長の高梨修一郎、50歳。先代社長の娘と離婚し、現在は一人暮らし。取引先の粉飾決算によって経営危機に陥り、事態収拾を図るとともに引退を考え始めていた。今、脳裏に浮かぶのは、怒涛のように過ぎ去った日々の記憶。18歳で会社に入った高梨と、先代の女社長の間には、何年経ったとしても、絶対に誰にも言えない秘密があった――。心を締めつけ続ける「孤独」を緻密に描いた傑作長編。

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派手なエピソードはないのに、物語に引き込まれた。
おそらく、主人公の世俗を半分捨てたような世捨て人的な目線が今の自分に合ったのだろうと思う。
10年くらいあとに再読したい。

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2025年07月22日

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登場人物の間の様々な因縁とそれに対する主人公の孤独を強調した作品。
他人に翻弄されながらの「自分の生」は虚しく、そうであるからこそ他人を心の支えとする。そんな人生の哀愁を綺麗に描き出している。

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2021年08月13日

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ネタバレ

運命に翻弄された男の、深い深い孤独を描いた物語。
主人公の修一郎は、家族を失って孤独ながらも、人との縁に恵まれ中堅会社の社長にまで上りつめる。しかし彼の心は癒えることはない。社長になったのも自分の意思でもなく、、「運命に縛りつけられている感じ」。小説中、2、3度しか出てこないが「命の支え」というのがかなり大きなキーワードだと思う。彼が孤独なのは「命の支え」が何もないからだ。とりあえず自分に託された「会社」を守るために一生けんめいに努めてきたが、それさえもなくなると…?
少し前に平野啓一郎の作品「空白を満たしなさい」で、人がどんな瞬間に自死を選ぶのか考えさせられたが、それとも通ずるものがあった。「命の支え」がないと、人は簡単に、ちょっとしたきっかけで死んでしまう。反対に、この話の中に出てくる”堀越夫妻”のように、およそ考えつく限りの不幸が重なり、絶望の淵に立たされ、自分(たち)には生きる価値などないとさえ思っても、小さな「命の支え」がそばにあれば、生きることができる。というか、どんなに死のうと思っても自死の扉は開いてくれない。
最後のシーン。彼が振り返ると、「光のない海」が見える。それは現実には海ではないのだが、彼にとってはまったく光の見出せない海ということか。そこからやってくる女性。彼女が「いのちの支え」になるのか?
なんだかとても悲しい小説でした。

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2021年08月08日

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またとんでもない白石一文作品に出会ってしまった…

中堅建材会社社長の高梨修一郎の50年間を辿る。登場人物もりもり群像劇パターンで、とんでもエピソードもりもりパターン。
不倫はもはやデフォルトで、粉飾決算、猟奇殺人、失踪、焼身自殺、刃傷沙汰、性的虐待まで出てきて収集つかなくなると思いきや現実感は失わない。スピリチュアルな所は置いておいて。
それは現存する苦しみだから。

「孤独」を書いた作品だけど、とにかく愛がすごいなと思った。愛というか、縁?運命的なつながり。
肉親を皆失い、妻に裏切られ息子も失い、社長職も退き、生涯で唯一愛した人をも喪ったことに気づく。
人が抱え持つ絶対的な孤独は消して埋められない。だからこそ支え合うし、だとしてもひとりひとりはバラバラに過ぎない。
いわゆる男女の愛情だけじゃなくて、あらゆる事や物を通じた縁で、ゆるやかに繋がっていく。

あと白石作品によく出てくるバーのママ的な人出てきた。受付統括の島田富士子。
孤独な経営者のことを公私共に知り尽くしていて適切なアドバイスができる女性。突然バブル期経済小説みたいになるけど、言ってることはすき。

時系列や場面がくるくる入れ替わって少しずつ過去が紐解かれて繋がりあっていく。集中力を途切れさせない書き方は流石だなと思う。結構分厚いのにいつも一気読みしてしまう。

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2020年07月05日

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著者は、早稲田大学卒業、文芸春秋入社。藤沢周平などの編集者として活躍。父親は直木賞作家の白石一郎。幼い時から本に囲まれ、本を読みまくっていたようだ。小2でドストエフスキー『罪と罰』を呼んだという逸話も。2000年に『一瞬の光』でデビューし、2010年に『ほかならぬ人へ』で直木賞受賞。本作品は24作品目。文芸春秋は結婚直後のパニック障害と、九州にいた父親の癌で退職している。影響を受けた本はカミュの『異邦人』という。村上龍や司馬遼太郎の作品もほとんど読んでいる。村上というと春樹より個人的には、村上龍の作品という。父親は韓国の釜山生まれで著者の祖父は金持ちだったようだ。弟も双子(白石文郎)で作家。巻末解説で下山進は、「白石一文は、エリート編集者で文芸春秋時代は社長候補だった」と書いている。

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2018年12月02日

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いつもながら、白石作品の中に入り込んでしまった。

人は誰でも知らないまま生きてきたことを持っていると思う。もし、その時に知っていたら生き方は変わっていたのか?と考えてもどうしようもない。だからこそ、主人公は思わず湖に向かって歩いて行ってしまったのか…?

家族が家族として生活する意味や、不幸にして別れ別れになってしまった家族を思う気持ちなど、作品を通じて疑似体験した。

興味深かったのは、犯罪加害者の家族が描かれていたこと。自分ではなく家族が加害者になった時、人は何を考えどう生きるのか…つらく、苦しい気持ちの持って行き場はどこにあるのか?白石さんの思いが堀越夫妻の生き方に現れていて、感動した。

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2018年06月30日

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白石一文さんの小説は、1人の人間の人生を長いスパンで描いているものが多いように思う。小説の始めと終わりでは数ヶ月から数年しか時間が経っていなくても、途中で遠い昔のエピソードが詳しく挟み込まれて、最終的には数十年にわたるその人物の人生が濃密に描かれる。
今現在の状況に多少の影が差している方が、過去のエピソードが深く切なく感じる。それでも最後には未来の光もうっすらと感じる。味わい深い物語が多い。

建材会社社長の高梨修一郎、50歳。先代社長の娘と離婚し、現在はひとり暮らし。取引先の粉飾決算によって経営危機に陥り、事態収拾を図るとともに引退を考え始めていた。
今脳裏に浮かぶのは、怒涛のように過ぎ去った日々の記憶だ。18歳で入社した高梨と、先代の女社長の間には、誰にも言えない秘密があった。

人はそれぞれの物語を生きていて、当然その物語の主人公は自分自身だから、秘密にするべき行動や過去にも自分なりの理由があったり、抗えない運命のようなものに引っ張られてそうなってしまう場合もある。
それぞれに、自分では理解している。だけど、それが他人にも理解されるかどうかはまた別の話だ。それがとても近しい相手だとしても、図り合ったり隠したりして、理解し合えないまま離別の道を選ぶこともある。
大雑把に言うと上記のようなことをこの小説の色んな人間関係に対して思った。
自分の目を通してしか相手を知れないことを、時々現実でもとても寂しく思う。

主人公の高梨は社長という立場上とても孤独で、人との関わりはたくさんあるのに「独り」の雰囲気が終始漂っている。愛した人がいて、助けてくれた人がいて、信頼している人もいる。そして新たに、助けたいと願う人との出逢いもあった。だけど、何だか孤独に見える。
厳しい生い立ちだから人の痛みもわかるし、人柄も優しい。人のために奔走することも厭わない性格にも見える。
その時どきで選択を誤ることもあったかも知れないけれど、高梨の人柄を知るにつけ、物語なのに彼の幸せを願いながら読んでいた。
そして最後に光が見えたので、とても穏やかに読み終えることができた。

短い期間を切り取っただけでは分からない、生きる上での因果が、長いスパンで見ると分かったりすることは現実にもある。
「この人とこの人がこんな風に繋がっていたなんて」とか「あの時のことが不思議な巡り合わせで今に繋がっていた」とか。それは誰の人生にもひとつはあるような気がする。
そういうリアルを感じられる小説だった。色んな人の人生が、一冊にぎゅっと詰まっている。

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2020年11月06日

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白石一文先生の中で何か変化が起こったような、これまでとは少し違いがある作品だと感じる。
誰かを思ったり、誰かに思われたり、主人公と相対する二人称の誰かとの物語ではなく、主人公が40年余りに出会ったり関わったりして来た人々のなかなかに壮絶な人生を主人公を介して丹念に描いている。主人公が辿った父を母を妹をなくして来た生い立ちと恩人との関係だけでも結構お腹いっぱいになるくらいの話に出来そうなのに、実演販売員と祖母、社員寮の管理人夫婦、それに勤め先での吸収合併騒ぎなどそっちもこっちもドラマがあって、取り留めがなくなってしまいそうなところを主人公の人柄というか礼儀正しさと人情味がそれぞれのドラマを上手く絡めて受けて止め、苦しさに悶えて来た自身の人生の意味を見つめ直して答えを見つけたような…そんな物語だった。
なぜそうも人に優しく出来るのか?生い立ちや社会に出てからの複雑な歩みを見ると面倒見が良い性格だった…とは思えないほど、他者への心配りが出来る人物であるし、もっと歪んだ所が見えてもおかしくない気がしてならない。彼が人としての美しさを保ち続ける事が出来たのは、不適切な関係であったそんな彼女から受けて来た寵愛が彼を作って来たのかなって感じてしまう。不幸もいっぱいあったけど、幸せも手にしていた事に気づくのに時間がかかったんだろう。彼女を失った時、一緒に…ラストでの告解のような一文に、愛していたんだな…って感じました。
本作は割と最近の作品なので、この後の作品がどんな風に味付けされた物語なのか?これまでとは違う白石一文を早く味わってみたい。

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2019年05月08日

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ネタバレ

ふいに訪れる孤独感。会社の社長としての責任。新しい人との出会いや、これまでもよく知っていたと思っていた人たちの知らなかった一面。そういうものから自分の内面を見る。生きている意味、これから生きて行く意味。人と人との関係のなかで感じる孤独と絶望にも似た静けさ。人生を振り返る時に見える景色の色は、その時浮かぶ感情は希望か諦めか。

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2018年07月22日

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修一郎さんは今まで楽しいと思ったことがあるんだろうか?
淡々と語られる言葉に流れを感じるけれど熱は感じにくい。
海の光を追っていってしまった妹……彼の海にはほんとうに光がないのだろうか。

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2018年06月26日

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ある人から見れば光がない世界だけど、ある人から見ればそれが光であって、そうやって関係が紡がれていくのだろう。
#光のない海 #白石一文 #読書記録

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2018年05月21日

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偶然か必然か、何かの縁なのか暗示なのか、、白石ワールド全開。
心を締め付け続ける孤独を描いた本作。
ページを捲る手が止まらず、強く惹き込まれた。
白石作品は個人的に当たり外れがあるけど、本作は当たりだった!
これだから白石さんはやめられない。笑

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2022年12月04日

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徳本産業社長 高梨修一郎を軸としたヒューマン。
高梨は古い名刺整理をしている時に、1枚の名刺に手が止まった。それは2年前に購入した陶製の水入れを実演販売していた販売員〝筒見花江〟のものだった。
お気に入りで2年間愛用していたのだが、ちょうど2ヶ月前にふとしたことから割ってしまっていた。

とは言え…高梨と花江の関係はちょっと強引すぎるかな。その関係を周りに〝嘘〟をついて取り繕う必要もなかったと思う。

登場人物が多いので、人間関係を整理するのがちょっと大変。
しかもその誰もが重い荷物を背負っていて、この〝ルイトモ〟は嫌だなぁ(^^;;

不倫、会社買収、失踪、死、自殺、行方不明、虐待、殺人事件、裏切り…

運がいいとか悪いとか
たいていの場合そう言うことは主人公に任せられるのだけど、脇役陣の抱える過去が主役以上にやたらと重いので、1つの物語のなかにいつくもの物語がある。

その1つ1つのエピソードの起承転結の順序が入れ替わって進んでいくので…
例えば
「あの時の私は知るよしもなかった…。」
と匂わせてから〝あの時〟が出てこないうちに、他のエピソードが進むけどそのエピソードも匂わせなのでちょっと「は?」となること数回。
その結果〝あの時〟を早く知りたいので、読むしかない!と言う感じにはなる。

高梨だけでなく、全員が救いのない、変えることのできない過去の呪縛と共に生きている。
過去に縛られた者同士がお互いの苦しみを理解し支え合いながら、光のない海を進み続けるしかない。この先もずっと…。
いや、誰もが幸せになっていいんだよ…と願わずにはいられない。

今年の14冊目
2021.9.20

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2021年09月20日

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1億円のさようならを読んで作者に興味を持って読んでみた。「小説らしい」偶然が少ない小説で現実的なストーリー展開でありながら読ませてしまう無理のない小説で面白い。淡々であるにも関わらず途中でストップしがたい小説であった。

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2020年11月02日

Posted by ブクログ

机や椅子といった什器の類の入れ替えを行なっている 鬱々とした気分も軽くなっていった 水瓶ボトル 厳しい淘汰の波をもろに被る立場だから 胃に穴が空くほどの呻吟を持つ繰り返している 「ハチノスって分かりますか。牛の胃袋なんですが、その煮込みをトリッパって言うんです」白山通り 御崎町 海蛇の水入れ 昌平橋、万世橋、秋葉原駅前を経て道なりに神田川沿いを走れば、じきに浅草橋だった。昭和通り改札 電気街に立ち並んでいた各店舗は軒並み客足を奪われていったのだ どん底には底があること、峠には折り返しがあること、逆境とは一つの境地に過ぎないということを、私は心のどこかで察知していた気がする… 家計は逼迫し 蛍烏賊の沖漬け 今日は佐藤の黒にした 啖呵売たんかばい てんぷ天賦の才 名古屋はパチンコの本場だからね しゅんいち舜一 水道橋駅ホームの向こうに四十三階建ての特徴のあるビルが聳え立っている。設計は東京都庁と同じく丹下健三で、彼の晩年の作品だった。 景色の素晴らしさを加味するなら破格の値段だろう じょせい女婿 憤懣やるかたないといった表情 暗々裏あんあんり 神田須田町 私はしんかめ神亀を、堀越さんは獺祭を頼む。 きょそ挙措動作 どうにもならない事実は何一つ変わりようがないんですから 安易に肯くことも憚られる気がした いのちの支えという言葉に私は耳を留めた 先代の懐刀でもあったらしい 間遠あいどお 幾ら返杯へんぱいを受けても顔色一つ変わらなかった 外に出ると車寄せに黒塗りの大きな乗用車が横づけされていた 徳本美千代の墓は小石川の伝通院にある 都内屈指の名刹めいさつ 辣腕を振るって 湯島や上野で密会 太い幹には注連縄しめなわが張られ 暫し合唱瞑目 壱岐坂下 どくしゃく独酌に耽る 手取川の大吟醸 しばしば蒙が啓かれるような適切なアドバイスを貰っていた 天狗舞に切り替える この子を通して、いま自分の血と美千代の血とがしっかりと繋がった…。私はその事実に身の内が震えるほどの感動を味わっていたのだ。神をも畏れぬ、なんと淫靡で罰当たりな喜びだったであろうか。 欺いて 戸山の国際医療研究センター病院 一切合財が 山川草木に乏しい街場には故郷を偲ぶよすがなど何処にもない 昭和レトロを絵に描いたようなかつての繁華街は 砂子いさご 銀座街の入口に「天龍」の看板を見つけ 私達はその捻じ曲げられた物語に何とか辻褄を合わせようとチョーク片手に呻吟し、結局は、ろくに辻褄を合わせられぬまま、死という黒板消しによって書きかけの物語をあっという間に消されてしまう。 じつこん昵懇の坂崎悦子とも 至極まともな このコーヒーミルは石臼のように磨り潰すのではなく 私は、龍鳳斎の醸し出す雰囲気に、底の深い慈しみのようなものを感じた。 吟味してきた はしった奔った こちらの不寛容な態度のせいで その感懐は 巣鴨のぼだい菩提寺 江戸切子の職人 彼女の忌憚のない意見を是非聞いてみたかったのだ 高梨さんは顔の筋肉を節約し過ぎよ 専務の大庭に対する評価も蒙を啓かれるような心地がした 案外正鵠を射ているかもしれない よう杳として知れなかったのだ 神田川は両国橋が架けられている地点で隅田川と合流するのだ 支え合う伴侶 楽園の樹=パラダイス・ツリー 敵愾心 ゆうげ夕餉時を迎えて 白石一文信奉者が多いのもむべなるかな いずれは存在の有無さえ確認不能な黒々とした闇の中へと飲み込まれてしまうのだ 彼等の考えるのとはまったく別の方向に白石さんの豊かな鉱脈があったことを意味している 複雑な陰影を持って描かれたり しゅっしょく出色の出来 鳥瞰する視点によって描かれる

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2019年01月11日

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