白石一文のレビュー一覧

  • ほかならぬ人へ

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    直木賞。
    かけがえのない人へ
    「足元の地面が固まれば固まるほど、その硬い地面をほじくり返したい衝動に駆られるのはなぜだろう?」


    恋愛において、自分と違うタイプの人に惹かれるのはとても分かる。
    でも、自分と似ているタイプの人といるのが自然なような、決められたことであるような気がして逆らえない。
    どっちと一緒にいても自分を肯定しなきゃいけないから、自分の中で、言い訳を並べて
    自分を騙して、これは正しいことなんだと思い込んで。
    地面は固くなればなるほどほじくり返したくなるよね〜それってすごく自然なこと。
    悪なんだけど、悪ではない!って正当化してあげたい。
    正当化してあげたいのに、最後アンハッピー

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    2025年08月30日
  • 光のない海

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    派手なエピソードはないのに、物語に引き込まれた。
    おそらく、主人公の世俗を半分捨てたような世捨て人的な目線が今の自分に合ったのだろうと思う。
    10年くらいあとに再読したい。

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    2025年07月22日
  • 一億円のさようなら

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    初めて読む作家さんだったが、個人的には大当たりだつた。

    莫大な遺産の存在を隠していた妻、恋愛問題について隠していた子どもたち、そして会社で受けた不当な扱い。

    そんな人生が何もかも嫌になり、主人公は人生をリセットすべく新天地で事業を始める。

    長く生きていると人生ではいろいろなことがある。
    人間関係とは煩わしいモノであり、人の気持ちを思うように操ることはできない。

    度々登場する逆境の中で、主人公はあらがうでもなく、従うでもなく、まさに現代のガンジー如く孤独に、しかし強く自分の道を切り開いていく。

    一本筋が通ったその生き方と、場所場所でのリアルな情景描写が相まって、物語は最後まで鮮明な解像

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    2025年07月12日
  • 一億円のさようなら

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    妻が隠していた莫大な遺産の事実を知って、これまでの全てがひっくり返しまった夫が人生をもう一度作り変えるところがよかった。
    お金はそこまで重要な存在ではない。お金に振り回されてしまうことが最も愚かで切ないことであると学ばされた。

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    2025年07月05日
  • つくみの記憶

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    遼平は長年付き合っている彼女がいるにもかかわらず、つくみに出会った時自分に会いに来たと感じた。+建設会社営業の仕事の裏側

    白石一文らしい傑作。最近あまり面白くないなと思ってたけどこれはいい。脇役を絡めたストーリー展開など読みどころ沢山。

    (子供の頃、自分の命を救ってくれた◯◯がつくみであるかどうかというスーパーナチュラル話が白石らしい。そっちも嫌いではないが、それ以外が意外と面白い)

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    2025年06月26日
  • 一億円のさようなら

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    結婚して20年の妻が手付かずのまま48億の遺産を黙って持っていたというところから始まる。

    自分ならどう思うだろう、どうするだろうと色々考えながら楽しく読めた。
    それと同時にお金だけじゃない様々な価値や人との繋がり、面倒ごとなどが人生を彩り形作ると改めて気づく。

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    2025年06月17日
  • ほかならぬ人へ

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    ネタバレ

    東海さんがすごく好きです。明夫が感じた東海さんのいい香りを想像してはときめきました。
    東海さんが明夫にとって、ほかならぬ人である。その証拠に彼だけが感じた香りがあるって、すごく素敵だと思いました!

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    2025年05月26日
  • 代替伴侶

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    ネタバレ

    「Timer」が荒唐無稽すぎて、もう白石一文やめようかと思ったけど笑、やっぱり気になってこちらも読みました。
    こちらも相当荒唐無稽ではあったけど、面白くて1日で読んでしまいました。
    設定はやはり近未来。人間型のアンドロイドを作成して、記憶を複写させ、本人と同じように仕事もし、生活できるという設定はかなり荒唐無稽ではある。
    しかし、その設定の中で描きたかったのはやはり「真実の愛とは」というテーマだ。愛し合う夫婦が「子どもがほしい」と望み、それがかなわないときに、真実の愛がどうなるのか、という、複雑なようでシンプルなテーマだ。

    代替伴侶であるアンドロイドの「隼人」と「ゆとり」が生活を始めるまでの

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    2025年05月11日
  • 代替伴侶

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    久々の感動ストーリーだった。アンドロイドの夫婦だったから新鮮だったのかも知れないしまた何年かして読んだらふるくさって思うかも知れない。でも子どもがいてもいなくても夫婦個体としてパートナーとして互いに必要な存在でなくてはいけないと思う。夫婦の見方が変わったと思うぐらいジーンとくる内容だった。

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    2025年01月06日
  • 代替伴侶

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    ほぼ全作品、新作が出るたびに読んでいる作家さん。
    今回も、21時過ぎまで仕事をして帰ってきた週まだ前半の火曜日、眠る前ちょっとだけ…と思いきや読破してしまった。
    白石一文作品にしては短め。
    アンドロイドものだけど、ここ最近のバリバリSF感は薄く、ちょっとテイスト変わったかも。
    好きなタイプ。

    今回もただひたすら、愛とは何かを問い続ける。
    どうしてこの人はこんなにいつもまっすぐに愛の本質を追求しているのか・・・・・・



    「地球人口爆発宣言」から約半世紀。
    世界中のほとんどの国で持てる子どもの数は一人とされ、不妊治療等は認められない。
    自然妊娠しか許されなくなった世界において、夫婦の片方に

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    2024年10月30日
  • 代替伴侶

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    地球人口爆発宣言により夫婦が持てる子供の数は1人と決まった。
    子供ができなかった隼人とゆとり夫婦は妊活を行うが叶わず、ついにゆとりが別の男性との妊娠を成し2人は離婚する事となった。
    ゆとりを喪失した代替に隼人は代替伴侶を迎えるのだった。

    人間の移ろいやすい愛情に対して、代替伴侶のアンドロイドは純粋に相手を愛し続け、自らの10年という寿命を代替でありながら人間として生きてきた。
    アンドロイド(ツイン)の愛情深さに、人間が自らの行いに懐疑的な感情を喚起され、ツインの生き方を受け入れていく。

    夫婦、男と女。
    愛情という生き方を静かな筆致で綴られた心に染みる小説だった。

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    2024年10月18日
  • ほかならぬ人へ

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    ベストの相手の証拠...難しい。
    ほかならぬ人 かけがえのない人 に出会えるってとても素晴らしい事だと思う。
    出会うまでに試練?苦労があるかもしれない。しかしそんな人に出会えれたら苦労も乗り越えて笑えるようになるのかも。
    ほかならぬ人のお話で、主人公がその人に出会えた事 本当に嬉しく思った。まさかの最後にとても悲しみを感じた。
    もう一つのお話には最初とても嫌な気分だったけれど、読み進めるうちに二人の関係性に引き込まれていった。
    最後の展開にはどう気持ちを治めたらいいのか‼︎と登場人物になりきってしまっていた。

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    2024年07月27日
  • Timer

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    人生とは我とは何なのか。
    まずは胡蝶の夢を思い出した。
    器が蝶であってもカヤコさんであっても見た夢(人生)は我のものなのか。起きた出来事に意味をつけたら、夢枕漠の晴明の言うところの呪、またはラベリングしたら、思考として形になったらそれがその人の生きた、その人の視点の人生なのだろう。
    幻想と言ってしまえばそれまで。他者からみたら全く違うように見えるのだから。
    冒頭の記憶のベンチは新しいエネルギーが存在する場所でカズマサさんの胡蝶の夢が見られる場所なのかな?

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    2024年07月18日
  • ほかならぬ人へ

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    本当に出逢えてよかった。
    ベストの相手を見つけられることは宝探しのようなんだ。納得。
    「たからさ、人間の人生は、死ぬ前最後の1日でもいいから、そういうベストを見つけられたら成功なんだよ。言ってみれば宝探しとおんなじなんだ。」
    今の自分に言われているようで、共感するたびになんとも言えない感情が押し寄せてきた。

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    2024年05月08日
  • ほかならぬ人へ

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    一つ目の話は途中からしんどくて何度か読めなくなりました。久小説読んでて久々にこんな涙流したー。心にずしんと響いてくるものがたくさんつまってます。

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    2024年02月09日
  • ほかならぬ人へ

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    『ほかならぬ人へ』
    華麗なる一族の中で「生まれそこなった」と思っている、宇津木明生。先祖は巨大財閥で、父は大学教授、母は大病院の創業家の長女、伯父は宇津木製薬グループの社長である。長兄も次兄も成績優秀で大学の研究者。
     ところが、明生だけが、小学校時代から成績が振るわなかったが、先祖が日大の前身の学校の創立者であったという縁で、日大の附属中学から日大へ進み、大手スポーツ用品メーカー、YAMATOに就職した。側から見れば「大企業に就職した」と言えるのだが、普通のサラリーマンになったのは宇津木家では初めてだった。
     明生は兄達のように優秀でなくてもおおらかな家族に包まれ、優しく何不自由なく、育っ

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    2024年01月22日
  • 不自由な心

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    『不自由な心』白石一文

    5作品の短編?中編?作品集。

    どうして私は白石一文の作品にこんなに吸い込まれてしまうのだろうといつも思う。

    本作は特に。

    「家族を蔑ろにし、不倫を繰り返す、仕事のできる男」たちの物語。
    言ってしまえばただそれだけ。
    不倫男がうだうだと言い訳を繰り返しながら周りを振りまわし傷つけるだけのお話。にも見えてしまうのに。

    共感でもないし同情でもないし、なんだろうな少しだけ共感性羞恥のような。
    もちろん不倫が美化されているわけでもない。

    主人公が全員頭が良いので、ロジカルに自分の行動を分析できていて、不倫もデキる男の嗜み、くらいに思っていたはずなのに、突然「真実の愛」

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    2023年10月09日
  • 神秘(下)【毎日文庫】

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    末期の膵臓ガンで、余命1年を告げられた敏腕編集者。昔に電話で話した、病を治すという女性を探して神戸に引っ越す。離婚した元妻との関係に悩み、ガンに悩み、宗教に救いを求め、やがて女性にたどり着くと、元妻との出会いから、離婚の原因になった、少女の死まで、運命の輪の中あった。
    偶然もここまで行くと見事。ガン、余命宣告に関する考察が面白い。
    白石一文は面白い。長いけど、ほぼ二日で読破。
    読書って楽しい。

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    2023年08月06日
  • 見えないドアと鶴の空

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    最初、いつもの優柔不断な男性主人公を中心とした不倫ものかと思ったら、まさかのオカルト・ホラー展開。
    超能力者も死霊も出てきて、まさにトンデモなストーリー。
    しかしオカルト展開の中でも愛や性愛、人間とは、というテーマを不自然さなく盛り込めるのは、やはりこの著者、只者ではない。

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    2023年07月12日
  • 私という運命について

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    ネタバレ

    確か30代後半に読んだ記憶がある。
    主人公と同じ世代だったので、感情移入してしまい、悲しい出来事が起こる度に泣いてしまった。
    運命ってなんだろう。どうして幸せはみんな平等じゃないの?悲しいことがあったとき、乗り越えた先に嬉しいことが待っているんだと信じてきたけど、それは死ぬまで繰り返されるのかな。自分で運命を選んで行って、宿命から逃れられるのかな。今までの人生と、これからのことを、色々考えさせられる一冊。
    最後のシーンで号泣。
    生まれ変わって会いに来てくれたと信じたい。

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    2023年07月01日