白石一文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
先月ようやく長編小説「大地」を読み終わったことで、小説枠が空き、こちらの一冊を読んでみることに。以前、目当ての本と一緒にメルカリで売られていて、たまたまついてきた。どうやら直木賞を獲った作品でもあるということで、内容もわからず読み始める。結論、結構好き。とても落ち着いた大人な内容だが、人との関係性についてハッとさせられる。本のタイトルでもある「ほかならぬ人へ」と、「かけがえのない人へ」という2つの物語がある。最後にふと「ほかならぬ」と「かけがえのない」はどう違うのかなと考えた。「ほかならぬ」は自分主語、「かけがえのない」は運命主語なのかな。あと、編集者の作者に対する愛に溢れたあとがきがとても良かった。
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Posted by ブクログ
本を読んで、一人の人間をこれほどまでに深く描いて、知るほどにその人としての魅力を感じられる作品はそう多くない思った。物語の中盤までは、周辺人物との関わりの中で主人公のさまざまな側面が点のように描かれるから、相手に合わせて異なる顔を見せる人間の日常のようで、言動や人への向き合い方がチグハグなように感じるけど、物語が進んで主人公が自分自身と深く向き合うフェーズに入るにつれて、読者の主人公に対する解像度が上がって、「点」が次第に「線」となり、「面」となり、最後には一つの「球」になっていくような感覚が味わえてすごく面白かった。
その過程で主人公の人柄を理解していくと、状況に応じた主人公の言動に一本の筋が通っていることに気づかされて、一貫性があるなって納得できる瞬間が何度もあって読み進めるほどに主人公のことが魅力的に感じられた。
個人的に、主人公の周りの人々に対する態度がリアルに描かれていた点が良かった。他の本なら「いいこと言ったな」と共感しそうな登場人物のセリフにも、主人公はどこか鬱陶しさを感じてさらりと受け流すから、そのたびに、読み手としても妙な爽快感を覚えた。主人公の感情がそのまま伝わってくるような清々しい読書体験。
男性的思考を丁寧な心情描写で描いた作品 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。お金が絡むとやっぱいいことはないよなぁという気持ちがあったけど、この中のキャラたちの生き生きとした生き方がとても良かった。今自分が一億円貰ったら何するんだろうなぁと思うけどなんかちょっとだけ買ったらあとは銀行に入れて半分忘れながら日々を過ごしそう。って考えるのも楽しい。
ただ、章が変わるときにがらっと場面が変わるんだけど、全然説明が無く会話からだんだん状況が見えてくる、ってのが結構あったのが個人的には結構ストレスだった。その中で新キャラの名前だけが出てくるけど読み進めないと背景がよく分からんかったり、えっ?えっ!?ってなりながら追うのが辛かった。そこだけマイナス。 -
Posted by ブクログ
章毎に物語を引き継ぐように語り手が変わり話を進めていく手法は、話の展開への興味を喚起し次から次へとページをめくってしまった。
謎の女性つくみとの運命的な出会いと、遼平が子供の頃に助けられた白猫のようなつくみ。
遼平とつくみの結婚までの話かと思えば、それから派生する様々な出来事と関係者たちの出自が不思議にも大分県津久見市に集約されていく。
ファンタジー的でもありながらミステリアスな話の展開に、このような終わり方なのか…と、作者に放り出されたような結末に不思議な読後感があった。
様々な証言を集めて真実を描く…、のではなく混沌とした話を混沌と終わらす。すっきりしないが、気になる小説になった。 -
Posted by ブクログ
我が産声を聞きに
白石一文
冒頭、主人公の夫の病気が発覚してからの急激な展開も彼女の前の彼氏の胸のうちの蟠りに気付いた後の流れも白石一文先生らしい話の導入な気がする。それに神戸が舞台なのは「神秘」と同じで神戸の街の描写に既視感を感じる。白石先生らしい「運命の人と暮らす選択」…があって残された彼女がこれからどう生きていくか?を見つけていく話…まだ冒頭80頁ほどだがそう感じますw
ちょっと違うけど「一億円のさよなら」に似てる気がした。彼女は出て行かれた方だけどね。
長く一緒に暮らしてきた相手がある日突然、理路整然と理解不能な理由をつらつらと述べて目の前から日常から消える…そんな事あるのか?って気がしないでもないが、その辺は白石文学とでも言うか先生の作品にはよくある感じの流れです。そこから残された方、或いは出て行った方の人物が何を感じてどう動き、何を得てどう落ち着けたのか?そのプロセスを読ますのが白石一文先生の物語だよなぁ〜決して歪みあっていたとか嫌っていたとかではなく平和に淡々と日常を積み重ねてきた二人の暮らしを壊してまでやらなければならない理由に出会ってしまう…自分が自分であるための選択。それは否定してほしくないけれど、残された方はそんな軽く受け入れられないだろうな。蟠った心を解きほぐして新しい何かを発見するまで…
白石一文先生のこれまでの作品の大半は読んできた。いつも別れとリスタートをテーマに書いていると思う。毎回奇妙に見える別れの理由にも、なぜか納得のいくリスタート可能になっていくプロセスにも先生の思いが詰まっている様で読み終える度になんかすっきりするのが不思議ですw
あと数冊で白石一文作品コンプリートですw次のまだ読んでない作品を読むのが楽しみです。