【感想・ネタバレ】我が産声を聞きにのレビュー

あらすじ

コロナ禍、夫の良治に乞われ、病院に同行した名香子。肺がんの診断を受けた良治は、今日からは好きな人と暮らし治療をすると告げて家を出てしまう。人生をやり直すという一方的な言い分に、二十数年の夫婦生活を思い呆然とする名香子。自らの命と真に向き合ったとき、人は何を選ぶのか。直木賞作家渾身の作。

”もう一度”
人生をやり直したかったのは、
あなただったのか、それとも――。

自分のものなのに、こんなにも自分の力でどうにもならない人生を、
生まれてしまったという理由だけで、私たちは生きている。
角田光代(文庫収録書評より)

生まれ、生き、そして死ぬ。
それって一体何だ?


【目次】
0 兆し
1 影
2 告知
3 悪い冗談
4 苦い思い出
5 家出の原因
6 ミーコ
7 夫の恋人
8 失敗
9 帰郷
10 高級な終わり方
11 再会
12 枯向日葵
13 もう一度
14 産声

人生は作り上げられるのか 角田光代(「小説現代」2021年4月号掲載書評)
解説 國兼秀二

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

割と軽めの筆致で描かれた佳作的な作品だが、すらすらと読み進められる。語り口の技術が高いのだと思う。
再読:中

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2025年07月27日

Posted by ブクログ

我が産声を聞きに
白石一文
冒頭、主人公の夫の病気が発覚してからの急激な展開も彼女の前の彼氏の胸のうちの蟠りに気付いた後の流れも白石一文先生らしい話の導入な気がする。それに神戸が舞台なのは「神秘」と同じで神戸の街の描写に既視感を感じる。白石先生らしい「運命の人と暮らす選択」…があって残された彼女がこれからどう生きていくか?を見つけていく話…まだ冒頭80頁ほどだがそう感じますw
ちょっと違うけど「一億円のさよなら」に似てる気がした。彼女は出て行かれた方だけどね。
長く一緒に暮らしてきた相手がある日突然、理路整然と理解不能な理由をつらつらと述べて目の前から日常から消える…そんな事あるのか?って気がしないでもないが、その辺は白石文学とでも言うか先生の作品にはよくある感じの流れです。そこから残された方、或いは出て行った方の人物が何を感じてどう動き、何を得てどう落ち着けたのか?そのプロセスを読ますのが白石一文先生の物語だよなぁ〜決して歪みあっていたとか嫌っていたとかではなく平和に淡々と日常を積み重ねてきた二人の暮らしを壊してまでやらなければならない理由に出会ってしまう…自分が自分であるための選択。それは否定してほしくないけれど、残された方はそんな軽く受け入れられないだろうな。蟠った心を解きほぐして新しい何かを発見するまで…
白石一文先生のこれまでの作品の大半は読んできた。いつも別れとリスタートをテーマに書いていると思う。毎回奇妙に見える別れの理由にも、なぜか納得のいくリスタート可能になっていくプロセスにも先生の思いが詰まっている様で読み終える度になんかすっきりするのが不思議ですw
あと数冊で白石一文作品コンプリートですw次のまだ読んでない作品を読むのが楽しみです。

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2025年04月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

検査で初期肺がんが見つかったその日に別居を申し出る夫を持った主人公名香子。1年前に高校時代の同級生に再会し、その女性と闘病生活を送ることにしたのだという。

随分ひでえ夫だなぁ…と思いつつ、自分の命が有限であると知り、育児や家のローンなどの問題がなく、経済的な補償もきっちりできる状況で、別れを切り出すのなら、他者がつけいる部分ではないとも思う

…とはいえ、小説なので登場人物に感想を持つのは自由。最初ひでえと思った夫の行動も、ヴィンテージTシャツの下りや、猫が逃げた時の下りを読むにつけ、それ以外の、割り切れない思いをしたこともきっとあったんだろうなぁと想像がつく。ただこの夫は割り切れない思いを蓄積していくタイプの様なので、次の人との関係でも喫水線を超えたら逃げ出すんだろうなとは思う。

割り切れない思いを吐き出すことによる面倒くさいトラブルを経験した人は、反省から吐き出すことを辞め貯め込んで我慢できなくなると、その環境から逃げることを選ぶようになる。俺もそういう風になってきたのでよくわかる。

夫の立場が分かるようになりつつも、自分に置き換えると逃げる側より逃げられる側で想像してしまう。こういうのは性別じゃなく性格なんだろうなぁ

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2024年06月09日

Posted by ブクログ

肺がんの診断を受けた夫は、今日からは好きな人と暮らすと言って出ていってしまうのが物語のはじまり。その夫に対して妻の思考は始終ずっと堂々巡りをしている。夫とはどうなるのだろう?と考えながら読んでいたが、あくまでもこの本の主人公は「妻」だった。もっと夫とのエピソードがあってもいいな、と思ったが、主人公が「妻」であることを思うと、こういうラストシーンもありだと思う。

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2024年04月11日

Posted by ブクログ

自らの選択で諦めてしまったことや叶えられなかったこと、時間と共に四六時中悔やまずとも生活できるようになるものだけれど、病気や事故で死を近くに感じた時、諦めてしまった過去叶えられなかった過去を誰しも取り返したくなるものなのかな?

突然のがん宣告、新型コロナの感染、交通事故、心変わりした婚約者、逃げて帰ってこなくなってしまった猫。

自らの選択に由来すると思える失敗や後悔でも、自分で選べない見えない気付かないそういうもっと外的な色んなものが組み合わさった結末なんじゃないんじゃないかと思った。自分の選択や行動だけで結末が変えられることなんてそうそうない。
奇跡みたいな再会、庭に住みつくようになった猫、生まれてきた最愛の娘、とかそう言うのも全部。

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2024年10月19日

Posted by ブクログ

なんじゃそりゃ…という最後
結局どうするの??離婚を受け入れて自分の人生を再出発させるということなのか
結婚22年もいっしょに暮らしてきて残るのは娘だけって
色んな夫婦の関係性があるとは思うがちょっと理解できなかった
終始夫の勝手な言い分に腹がたった

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2024年06月26日

Posted by ブクログ

コロナ禍の時、肺ガン診断の日に別居を言い出す夫。もう一つの人生を選びたい。主人公の妻の行動が始まる。
作者の父とも仕事をし、作中の句集作者の息子の編集者の解説が俊逸。

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2024年04月03日

Posted by ブクログ

一人娘が大学に入学し一人暮らしを始め、夫婦二人のコロナ下の生活。二人とも仕事を持ちお金にも余裕があり理想の家族だったはずなのに。選ばなかった人生選べなかった人生。それをもう一度やり直すと決めた夫。妻は心の整理をつける事ができるのか。

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2024年03月12日

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