白石一文のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
子どもが巣立ったおじさんの心の持ちようとか、妻子との関係性とか、日々の暮らしの中で美味しいご飯を食べたり車に拘ったりとか、48億円という金額に直接関わらない一人の人間の人生が面白くて、特に前半はとても好きだった。
48億円の遺産が主役なんじゃなくて、あくまで主人公が主役でその周囲で起きた出来事として遺産の話がある感じ。
後半の海苔巻き事業から株を受け継ぐ辺りはやや出来過ぎ感があったけど、それでも事業を大きくしていくサクセスストーリーとして
それはそれで面白く読めた。
ラストの終わり方はやや唐突というか、それはありなんだってちょっとなった笑 -
Posted by ブクログ
ネタバレ白石先生の作品は初読み
平凡な会社員として生きてきた主人公が”もう一人の自分”を匂わせながら大金持って家族から離れていく流れに、ハードボイルドとかクライムノベルっぽい展開を(勝手に)期待してしまったけど全然違った
割と淡々とした日常が綴られていて、月日は流れ人も流れて自分だけ取り残されていくような、そんな寂寥感溢れる”私小説”のような感じ
金沢の町並みは魅力的でお寿司も日本酒も(博多のラーメンも)美味しそうだけど、情景描写が続く場面は冗長に感じられて所々斜め読み。。
過去のあれこれもほとんど絡むことなく、何やら悶々としたまま読み進めていたら最後の最後にやっと望んでいた展開が来た
これは” -
Posted by ブクログ
ネタバレ第142回直木賞受賞作である本作を読み終え、言葉にならない切なさと圧倒的な喪失感に包まれている。
なずなとの決定的な感性のズレと噛み合わなさ。
頭で描いた理想や運命が崩れ去っていく中で、疲弊した明生の前にいたのが東海さんだった。
周囲からは不細工だと評され、決して派手な存在ではない彼女。けれど明生は、理屈や外見を超えた「匂い」によって彼女に強烈に惹きつけられていく。それはまるで、遺伝子や生存本能のレベルで「この人でなければならない」と選ばされたかのような、理屈抜きの結びつきだった。
明生にとって東海さんこそが、かけがえのない「ほかならぬ人」だったのだ。
だからこそ、彼女の姿形が失われ、あの匂 -
Posted by ブクログ
久々に白石さんの本を手に取りました。
うんうんこの感じ…またハマってしまいそうです。
(約15年前に読み漁っていました!)
女性が主人公かつ一人称で語られるものでは「私という運命について」を最初に読んだのですが、あれ?この作家さんって実は女性?って当時思いました。今回も感じたけどそれくらい女性の心理描写が鋭い。笑
文体は繊細で美しく、構成も展開も先が気になって一気読みしてしまいます。
様々な登場人物を通して、生きること愛することについて、徹底的に寄り添って考えてくれます。
私も私自身の人生を振り返りながら、心の整理をしていけるような気がするんです。
運命の人だと感じた人、そう心に決めた人、 -
Posted by ブクログ
多分、コロナ期のって書いてあるだけで買って積んであった単行本。この時期をいろんな立場の人がどう過ごしたか知りたかったんだろうけども。ちょい違った(笑)
これはほんの4ヶ月の話。主人公はこの
4ヶ月の間にリスタートするのか、なぜそうなったのか。コロナ?猫?
文庫の帯に角田さんの「自分のものなのにこんなにも自分の力ではどうにも、ならない人生を生まれてしまったとう言う理由だけで私たちは生きている」と、あったけど、本当に読んでるときは人生のもとかしさを考えてしまった。
自身の過去を主人公に重ねそうになって、いやいや違うしとちょい移入してしまう。
なんとなく、主人公は連れ添う相手の本命には慣れない。だか -
Posted by ブクログ
先月ようやく長編小説「大地」を読み終わったことで、小説枠が空き、こちらの一冊を読んでみることに。以前、目当ての本と一緒にメルカリで売られていて、たまたまついてきた。どうやら直木賞を獲った作品でもあるということで、内容もわからず読み始める。結論、結構好き。とても落ち着いた大人な内容だが、人との関係性についてハッとさせられる。本のタイトルでもある「ほかならぬ人へ」と、「かけがえのない人へ」という2つの物語がある。最後にふと「ほかならぬ」と「かけがえのない」はどう違うのかなと考えた。「ほかならぬ」は自分主語、「かけがえのない」は運命主語なのかな。あと、編集者の作者に対する愛に溢れたあとがきがとても良