白石一文のレビュー一覧

  • ほかならぬ人へ

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    ほかならぬ人へでは、人が亡くなっても、自分の日常は滞りなく流れ続けるが、その「死」がどことなく漂っている、というような、とてもリアルな描写だった。

    かけがえのない人へでは、女性目線からの結婚やセックスの概念が記されていたように感じた。

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    2022年10月02日
  • 彼が通る不思議なコースを私も

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    深い深い、愛のお話。

    男女間のそれに限らない、深い愛。

    つまる所、死を以て、もしくは死を念頭に置いてしか、本当の愛は分からないのかもしれません。
    だからこの作品を読んで尚、私には本当の愛は分かりません。

    けれど、常識や世間体や平均といった先入観にまみれた私でも、心がじんわりと暖かくなるような、いやいや、そんなわけないでしょ、これはフィクションだからと、冷静になるような。

    一つ言えるのは、羨ましいということ。主人公の夫婦は、深い愛で繋がっていると思いました。

    途中、かつて読んだことのある表現に再会できたのも、この作品を読んだ、意外な収穫。
    「忘れなくても、決して思い出さない」

    この後

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    2022年09月21日
  • 心に龍をちりばめて(新潮文庫)

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    白石一文を初めて読んだ。ヤクザとか超美貌とか、自分と縁のないものばかりだったのもあって、終始完全なフィクションとしての恋愛だった。運命の恋があればいいのかもしれないと思うけど、運命って自分で運命にするものだよな、とも改めて感じた。

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    2022年09月19日
  • 一瞬の光

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    2019年、再読。

    読み終わってから以前読んでいたことを知って驚愕。
    全然思い出せなかった…。
    5年経って私の考え方、感じ方が変わったのか以前のような感想は抱けませんでした。心が安定したからだと信じたい。

    2019年の今の評価は★2つ。

    2019年4冊目。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    「人に大切にされることが、自分を大切にすること」
    というフレーズが、非常に心に残った一冊。

    切ないくらい、様々な種類の愛情に溢れた作品です。

    タイトルの「一瞬の光」を求め、一瞬一瞬を生きていくという道を主人公は選びます。

    もちろん、誰

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    2022年09月13日
  • 火口のふたり

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    生きているって感じることは3つの欲の充実。
    人によってそのバランスは違くても、それぞれに満足できれば良いのではと。
    単純に生きるために必要なこと必要なことが1人で出来ないことがあるのなら、共に生きる人との出会いは奇跡なのかと。
    映画は観ていないのでわかりませんが、こちらはわりと単純明白でわかりやすく、読みやすいです。

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    2022年08月30日
  • どれくらいの愛情

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    作者あとがきに書かれている、「目に見えないものの確かさ」とは、それぞれの作品で描かれている人間の想いや繋がりではないかと私は考えます。また、世界の流れ、というか、陳腐ですが運命といったものではないかと。それはよく目を凝らせば日常に溢れているのでしょう。
    あとがきでは、目に見えないものを見ることが「自分とは何か?」という最も大切な問いに対する答えを出すために必要であると再三述べられています。
    自分とは何でしょうか。即答できるような質問ではありませんよね。日常で考える機会もそうそうない質問です。私はまだまだこの答えを出せそうにありません。
    ただ、それを考えることで、今まで気づかなかったことに目を向

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    2022年08月17日
  • プラスチックの祈り 上

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    お手軽ーしなやかなスピード感で読めるー白石さんの詰まったお薦めの一冊。
    下巻が楽しみ。
    これからもファンですー

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    2022年05月27日
  • 私という運命について

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    400ページ超ある作品だったが読みやすい文体で一日で読破してしまった。バブル後の20年の人生を時事や舞台を変えながら描いていたので映画を観ているようで飽きずに物語に惹き込まれていった。

    102/100
    本棚に入れたい:3/100

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    2022年05月15日
  • ほかならぬ人へ

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    この本を読んで、ある人のことを思い浮かべた。
    その日がベターだったのか、ベストだったのか解らない。
    でも、ベストである確証が得られなかったのだから、ベターだったのだろう。
    それでも彼女が僕にとってほかならぬ人であり、かけがえのない人であることは疑いようのない事実である事を教えてくれた一冊だった。

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    2022年04月21日
  • 一億円のさようなら

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    以前聞いた、出版社の編集者の話によると
    少年マンガの主人公は「こんなヤツになりたい!」
    読者が見上げるような立ち位置のキャラが多かったそうだ
    青年マンガの主人公は「こいつは、俺だ」
    読者に共感を覚えさせるような親近感のあるキャラ

    その喩えでいうと、この小説の主人公は
    「中年男性の憧れと親近感を一手に引き受けるキャラ」に設定されてる気がする

    ブースターや燃料タンクを切り離して成層圏を飛び出した宇宙ロケットみたいに、家族や仕事から離脱出来たらどんな人生が開けるのだろうか
    という、ある種のファンタジーを満足させるような、そんなお話

    あと個人的な感想として、食べ物の描写がやたら美味そうな小説でし

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    2022年04月21日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下

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    久々に上下巻にも及ぶ大作を読んだ。
    でも「長い」というイメージはない。

    この本は作者にとっての「哲学」なんだと思った。

    編集者という職業柄をうまく使い、
    時事問題・歴史問題・政治問題を絡ませながら
    最後に「必然」とは何かという哲学に導いている。

    主人公のカワバタをこういった哲学の道に引きずり込んだのは
    生後3ヵ月でこの世を去ったユキヒコの死に他ならない。

    その後の彼にとって過去や未来は存在しないにも等しいし、
    結婚関係についても妻に愛人がいるとしっても取り乱すこともなく
    第三者的立場から物事を見ているような感じ方だ。

    【ココメモポイント】
    ・神が宇宙知性であり僕たち一人一人はその微小

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    2022年04月02日
  • 一瞬の光

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    白石一文の本を友人に勧められ初めて読みました。

    橋田というエリート街道まっしぐらの会社員が、かおりという10歳近く年下の高校出たての女性とひょんな出会いを果たし、そこから不思議な関係が続いていきます。

    本当の愛とは何なのかを考えさせられる本だと思いました。

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    2022年04月01日
  • プラスチックの祈り 下

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    え?真相は何なの?と思いどんどんと読み進めてしまった。最後は再会しての終わりを期待していたけど、、。

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    2022年03月28日
  • 彼が通る不思議なコースを私も

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    最後はまさかの結末であった。しかし、その結末が何か深い意味があるような感じがして本編を読んで理解して行くことが大事であると感じた。メッセージ性のある本

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    2022年01月22日
  • 一億円のさようなら

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    ドリフのコントに『もしも…◯◯な××があったなら…』のコントがあった。これを本書に置き換えれば、『もしも長年連れ添った妻が莫大な隠し資産を持ってたなら…』になる。

    常に現実的な小説を紡ぐ白石一文が描く〈大金が転がり込んでくるユーモア小説〉?…と勘繰るも、ですよね…、んな訳なく、やはりいたって現実的な状況下に起こる起伏激しいスリリングな展開ゆえ、先の予測が見えないままに600ページ超を一気読み。

    ◉さわり…
    主人公 加能鉄平(53歳)は福岡市にある祖父が創業した化学製品メーカーの営業本部長。本部長とはいえ、名ばかりの閑職。同族企業にありがちな親族に疎まれ、役員になり損ね閑職に。最初に務めた会

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    2021年10月27日
  • どれくらいの愛情

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    ネタバレ

    表題作を含む4つの短編(中編?)が入っています。
    どれもテーマは愛かな?
    「20年後の私へ」「ダーウィンの法則」「どれくらいの愛情」の3編は、真実の愛を追究したり、自分の気持ち(愛)に正直に生きようとしたりする人々を描いている。
    「20年後の私へ」はもう若くはない、仕事を持つ女性が、本当はキャリアウーマンになりたかったわけじゃないのにだんだんと仕事の責任が重くなり、人がうらやむような素敵な男性にプロポーズされ、そっちに逃げることもできるけど…という展開で、私にはなかなか共感できるものがありました。19歳のときに、20年後の自分宛に書いた手紙の内容はなかなか泣けました。
    「どれくらいの愛情」は色

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    2021年09月17日
  • 私という運命について

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    人生でここまで色々なことが起こると、一つ一つの出来事を後から解釈したり、そこから運命を考えてみたりできそう。自分はここまで考えたことはないし、そんな起伏の多い人生は送れないだろうから考えないだろう。
    運命を受け入れるというか、一つ一つの出来事を解釈して受け止める、納得するような姿勢というのは生きていく上で大事だと思った。結婚や出産、病気、女性活用など色々な現実を解釈する、選択しなかった運命はなく、選択したことを納得する。運命って言葉には何か受け身でどうしようもないニュアンスがあるが、それをポジティブに解釈することが、後に続いていくのだろう。
    逆に、後に東電に入る若者の彼は、人生や社会を舐めすぎ

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    2021年08月11日
  • ここは私たちのいない場所(新潮文庫)

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    ネタバレ

    読み終わったあと、「ここは私たちのいない場所」というタイトルの意味について深く考えた。白石一文作品って、タイトルが素敵だけど、これもタイトルがずっと心に残って、ずっと考えさせられる感じ。
    主人公の存実は幼いころに妹を亡くし、自身は妻も子供も持たないと決めている、大手企業の重役。ひょんなことから会社を辞めざるをえなくなるところから物語が始まる。そもそも簡単に会社を辞めてしまえるのも、妻子がいないから。彼はあくまでも家庭なんて持たない方が良い、という姿勢を貫いている。会社を辞めて日々何もすることがなくなっても、独り身がさみしいという感じはない。
    しかし、大学時代の友人ががんで急逝したり、会社を辞め

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    2021年08月08日
  • 砂の上のあなた(新潮文庫)

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    白石作品は女性目線で描かれた話が好きなのでヨシ!と思いながら読み始めた。
    最初は美砂子と鎌田とのラブストーリーかと思っていたらそんな安易な話ではなかった。
    次々と判明する真実、複雑に絡まった人間関係に唖然となりながら、最後まで読んでほーっと息を吐いた。
    美砂子に絡む男性達、直志が一番ダメ、鎌田も結局はしょうもない男、高遠が一番まとも。
    個人的には高遠と幸せになって欲しかったな。
    美砂子のその後が気になるラスト。気になる。。
    でも白石作品のこういうのが好きなのよね。
    ちょっと神秘っぽい?!笑

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    2021年08月01日
  • プラスチックの祈り

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    これは・・・。
    また一気に読み切ってしまう白石一文作品。
    こんなに長くて重くて登場人物がたくさん出てきて意味がわからないのに、一晩二晩で読み切ってしまうのは何故なんだろう。
    白石一文読んでる〜〜〜〜〜ってワクワクしながらもうページすっ飛ばす勢いで読んだ。ただ今回のラストはなんだか完全に煙に巻かれたよね。
    残りページ数少ないけど終わる気配ないよなと思ってはいたけれど。
    まとめ・・・なかった!って感じ。堂々とまとめなかったな。
    ちょっと笑ってしまうくらい突拍子ないSF描写が多めで、白石一文にしては珍しいかなという印象。


    突然体の一部がプラスチック化する、主人公で作家の姫野信昌。数年前に「死んだ

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    2021年07月15日