白石一文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレとっても不思議な構成の長編小説。
人によって、場合によって”時間は伸びたり縮んだりする”。ということが、読後に「なるほどー!」と腑に落ちる感じです。
一日がすごく長く感じたり、短く感じたり、一瞬で目覚めたと思ったのに「もう朝!?」と思ったり、たっぷり寝たと思ったのに1時間だったり。誰にでも経験があると思う。
「学校」という場所では、どんな子供も学齢に合わせて一律に、同じことを同じようにさせようとするけれど、一人一人「自分の時間」を生きている子供たちにとって、特に発達障害を抱える子供たちにとっては、それは苦痛でしかないし、そもそもついていけないだろう。それは私も実感としてわかる。
小説では、教職 -
Posted by ブクログ
ネタバレ表題作を含む、5つの短編が入っています。
表題作「不自由な心」は中編と言ってもいいくらいの長さかな。
どれもこれも、浮気男の話です。
しかも浮気をあんまり悪いことと思っておらず、「まぁ誰でもこの程度のことはやってる」みたいな男たち。
最後の「不自由な心」は、主人公の男が、自分も浮気ばっかりしてるくせに、妹の夫が他の女とデキて、離婚しようとするのを責める。
心が離れているのに、義務感で一緒にいるのが大人の男のすることなのか?
何もかも捨てて、本当に好きな女のもとに行こうと思うのは世間知らずなバカ男なのか?
…っていう話なのかなぁと思ったけど、もうちょっと深い物語のようだ。
主人公の男の妻はかつ -
Posted by ブクログ
ネタバレ白石一文さんにはよくある題材だと思うけど、30代半ばの女性の、恋愛・結婚・妊娠(不妊治療)を中心にすえて、生きる意味を問いかける長編。
妊娠を強く望む主人公の美砂子が、次第に夫とすれちがっていく。
うーん、よくある話…と思ったら、その裏にすごく複雑な人間関係や夫の思惑、死んだ父親の執念(?)みたいなものが絡んでいて、推理小説ぽくなっていく。
途中で推理小説か!?と思うけどもちろん違う。
白石一文さんの小説では、男に利用されようと何をされようと、けっこう女性が力強い存在として描かれることが多いように思うけど、この小説でも美砂子はかなり酷い目に遭いながらも相当にしたたかでたくましい。
そしてその根 -
Posted by ブクログ
ネタバレ浮気→離婚→起業→震災で廃業 というなかなか波乱の人生を経て故郷に戻ってきた主人公。
15年ぶりに従妹と過ごしつつ、自分の来し方を振り返る。
白石一文作品を読んだらだいたい思うことだけど、生き方と性とは密接に結びついておきながら、愛と結婚生活と性は結びついていなかったりする。
だからいけないと分かっていながら愛欲に溺れて家庭崩壊させたり…(まぁ普通はしないけど)、ほかならぬ人と出会っておきながら結婚には至らなかったりする。
…で、どうなっていくのか?と思ったら、物語は意外な方向へ。
この平穏な日本の社会が永遠ではないと思えば、誰もが本能に忠実に生きるかも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公の浩介が、2人の女性の間で揺れる話。
…と言ってしまえばそれまでだけど、村上春樹の「ノルウェーの森」だって言ってみればそういう話ですね。
ノルウェーの森ではワタナベは最後にみどりを選ぶけど、この小説では最後にどちらを選んでも良いと思いながら読んだ。
超脇役で出てくる「柳原くん」を主人公にしても素晴らしい小説が書けるのではないかと思った。
肉体関係を超えた男女の愛情っていうかつながり(?)の物語なのかなぁ…。「心に龍を散りばめて」でも、最後に結ばれる2人はずっと性を超えた結びつきがあったように思う。
でも肉体の繋がりの深さ、その大切さも描かれている。
あー、深い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレすごい小説だった。
自分とは何か、何のために生きているのか、世の中の真実はどこにあるのか、何を信じればいいのか。
もっとも繰り返し問われるのは経済格差の問題。
小説の最後に、「胸に深々と突き刺さる矢」の正体が分かる。
でも、もしそうなら、私はその矢を抜くことはできないと思った。
その矢にとらわれることなく、「自分」という存在をあるがままに受け入れるのは難しい。
人は誰でも、過去にとらわれたり未来を想い描いたりするからだ。
そうでないと生きてはいけないと思う。
小説を通して、世界の真実を問うているのか、一人の人間の真実を問うているのか、運命の何たるかを問うているのか、愛の何たるかを問うているの -
Posted by ブクログ
ネタバレ運命に翻弄された男の、深い深い孤独を描いた物語。
主人公の修一郎は、家族を失って孤独ながらも、人との縁に恵まれ中堅会社の社長にまで上りつめる。しかし彼の心は癒えることはない。社長になったのも自分の意思でもなく、、「運命に縛りつけられている感じ」。小説中、2、3度しか出てこないが「命の支え」というのがかなり大きなキーワードだと思う。彼が孤独なのは「命の支え」が何もないからだ。とりあえず自分に託された「会社」を守るために一生けんめいに努めてきたが、それさえもなくなると…?
少し前に平野啓一郎の作品「空白を満たしなさい」で、人がどんな瞬間に自死を選ぶのか考えさせられたが、それとも通ずるものがあった。 -
Posted by ブクログ
またとんでもない白石一文作品に出会ってしまった…
中堅建材会社社長の高梨修一郎の50年間を辿る。登場人物もりもり群像劇パターンで、とんでもエピソードもりもりパターン。
不倫はもはやデフォルトで、粉飾決算、猟奇殺人、失踪、焼身自殺、刃傷沙汰、性的虐待まで出てきて収集つかなくなると思いきや現実感は失わない。スピリチュアルな所は置いておいて。
それは現存する苦しみだから。
「孤独」を書いた作品だけど、とにかく愛がすごいなと思った。愛というか、縁?運命的なつながり。
肉親を皆失い、妻に裏切られ息子も失い、社長職も退き、生涯で唯一愛した人をも喪ったことに気づく。
人が抱え持つ絶対的な孤独は消して埋め -
Posted by ブクログ
ここは私たちのいない場所
後書きまで読んで、この物語が分かった気がしました。フッと湧いたように仕事を無くして、それ以後、何か中途で止まったままで何処へ向かうのか?どう決めようか何も思いが浮かんでこなかった。
これまで仕事が第一優先として生きてきた。ずっと立ち止まらせてきた人生を見つめ直して、自分の為の新しい一歩を何方へ向けて踏み出そうか、ずっと持ち合わせていなかった選択権をどう使おうかと逡巡しているような印象を読んでいてずっと感じていました。
最愛の者であっても違っても、見知った誰かを喪失したその時、なにか自身を振り返る瞬間があって、それが起因にこれまで観ていた景色の色あいが少しずつ変化して行