白石一文のレビュー一覧

  • 一億円のさようなら

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    悪人についての表現に冴えが見られた。さまざまな人間をみてきて、悪人というかワルというかには、常々考えさせられてきたから。

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    2021年11月07日
  • 彼が通る不思議なコースを私も

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    表紙のデザインもタイトルもお話の空気感も好きーー。

    寿命がなんとなくわかってしまうという不思議な能力を持ってるんだけど、マザーテレサとか立派な志をもって活躍してる人とか本当にこういう能力を持っている人が実在してるのかも。。と、すんなり受け入れられた。

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    2021年10月23日
  • 彼が通る不思議なコースを私も

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    ネタバレ

    とっても不思議な構成の長編小説。
    人によって、場合によって”時間は伸びたり縮んだりする”。ということが、読後に「なるほどー!」と腑に落ちる感じです。
    一日がすごく長く感じたり、短く感じたり、一瞬で目覚めたと思ったのに「もう朝!?」と思ったり、たっぷり寝たと思ったのに1時間だったり。誰にでも経験があると思う。
    「学校」という場所では、どんな子供も学齢に合わせて一律に、同じことを同じようにさせようとするけれど、一人一人「自分の時間」を生きている子供たちにとって、特に発達障害を抱える子供たちにとっては、それは苦痛でしかないし、そもそもついていけないだろう。それは私も実感としてわかる。
    小説では、教職

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    2021年09月17日
  • 不自由な心

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    ネタバレ

    表題作を含む、5つの短編が入っています。
    表題作「不自由な心」は中編と言ってもいいくらいの長さかな。

    どれもこれも、浮気男の話です。
    しかも浮気をあんまり悪いことと思っておらず、「まぁ誰でもこの程度のことはやってる」みたいな男たち。
    最後の「不自由な心」は、主人公の男が、自分も浮気ばっかりしてるくせに、妹の夫が他の女とデキて、離婚しようとするのを責める。
    心が離れているのに、義務感で一緒にいるのが大人の男のすることなのか?
    何もかも捨てて、本当に好きな女のもとに行こうと思うのは世間知らずなバカ男なのか?
    …っていう話なのかなぁと思ったけど、もうちょっと深い物語のようだ。
    主人公の男の妻はかつ

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    2021年09月17日
  • 砂の上のあなた(新潮文庫)

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    ネタバレ

    白石一文さんにはよくある題材だと思うけど、30代半ばの女性の、恋愛・結婚・妊娠(不妊治療)を中心にすえて、生きる意味を問いかける長編。
    妊娠を強く望む主人公の美砂子が、次第に夫とすれちがっていく。
    うーん、よくある話…と思ったら、その裏にすごく複雑な人間関係や夫の思惑、死んだ父親の執念(?)みたいなものが絡んでいて、推理小説ぽくなっていく。
    途中で推理小説か!?と思うけどもちろん違う。
    白石一文さんの小説では、男に利用されようと何をされようと、けっこう女性が力強い存在として描かれることが多いように思うけど、この小説でも美砂子はかなり酷い目に遭いながらも相当にしたたかでたくましい。
    そしてその根

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    2021年09月17日
  • 火口のふたり

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    ネタバレ

    浮気→離婚→起業→震災で廃業 というなかなか波乱の人生を経て故郷に戻ってきた主人公。
    15年ぶりに従妹と過ごしつつ、自分の来し方を振り返る。
    白石一文作品を読んだらだいたい思うことだけど、生き方と性とは密接に結びついておきながら、愛と結婚生活と性は結びついていなかったりする。
    だからいけないと分かっていながら愛欲に溺れて家庭崩壊させたり…(まぁ普通はしないけど)、ほかならぬ人と出会っておきながら結婚には至らなかったりする。
    …で、どうなっていくのか?と思ったら、物語は意外な方向へ。
    この平穏な日本の社会が永遠ではないと思えば、誰もが本能に忠実に生きるかも。

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    2021年09月17日
  • 一瞬の光

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    ネタバレ

    主人公の浩介が、2人の女性の間で揺れる話。
    …と言ってしまえばそれまでだけど、村上春樹の「ノルウェーの森」だって言ってみればそういう話ですね。
    ノルウェーの森ではワタナベは最後にみどりを選ぶけど、この小説では最後にどちらを選んでも良いと思いながら読んだ。
    超脇役で出てくる「柳原くん」を主人公にしても素晴らしい小説が書けるのではないかと思った。

    肉体関係を超えた男女の愛情っていうかつながり(?)の物語なのかなぁ…。「心に龍を散りばめて」でも、最後に結ばれる2人はずっと性を超えた結びつきがあったように思う。
    でも肉体の繋がりの深さ、その大切さも描かれている。
    あー、深い。

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    2022年02月08日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下

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    ネタバレ

    すごい小説だった。
    自分とは何か、何のために生きているのか、世の中の真実はどこにあるのか、何を信じればいいのか。
    もっとも繰り返し問われるのは経済格差の問題。
    小説の最後に、「胸に深々と突き刺さる矢」の正体が分かる。
    でも、もしそうなら、私はその矢を抜くことはできないと思った。
    その矢にとらわれることなく、「自分」という存在をあるがままに受け入れるのは難しい。
    人は誰でも、過去にとらわれたり未来を想い描いたりするからだ。
    そうでないと生きてはいけないと思う。

    小説を通して、世界の真実を問うているのか、一人の人間の真実を問うているのか、運命の何たるかを問うているのか、愛の何たるかを問うているの

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    2021年09月17日
  • 光のない海

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    登場人物の間の様々な因縁とそれに対する主人公の孤独を強調した作品。
    他人に翻弄されながらの「自分の生」は虚しく、そうであるからこそ他人を心の支えとする。そんな人生の哀愁を綺麗に描き出している。

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    2021年08月13日
  • 光のない海

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    ネタバレ

    運命に翻弄された男の、深い深い孤独を描いた物語。
    主人公の修一郎は、家族を失って孤独ながらも、人との縁に恵まれ中堅会社の社長にまで上りつめる。しかし彼の心は癒えることはない。社長になったのも自分の意思でもなく、、「運命に縛りつけられている感じ」。小説中、2、3度しか出てこないが「命の支え」というのがかなり大きなキーワードだと思う。彼が孤独なのは「命の支え」が何もないからだ。とりあえず自分に託された「会社」を守るために一生けんめいに努めてきたが、それさえもなくなると…?
    少し前に平野啓一郎の作品「空白を満たしなさい」で、人がどんな瞬間に自死を選ぶのか考えさせられたが、それとも通ずるものがあった。

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    2021年08月08日
  • 愛なんて嘘(新潮文庫)

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    あー自分以外をクズだと思うって厨二乙だけどそうでしか心の置き場がないんだよー。ただ、恋人にはその黒さをまざまざと見せつけるっていう。つかれる。

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    2021年07月25日
  • 記憶の渚にて

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    小説を読みながら、まるで映画を見ているかのように情景を思い浮かべることが、楽しいこの頃。その映画をより深層まで表現するために、現実での体験が必要になってくると思う。生活地域での経験や人との関わりでの経験等を重ねれば重ねるほど映画で細かい描写ができる。だから年齢を重ねることで小説の感じ方が変わるのだと思う。

    白石一文さんの作品に少しだが、実家である清瀬市が出てきたことに感動しました。
    没入感が半端ない作品。

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    2021年07月05日
  • 僕のなかの壊れていない部分

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    今までの中で読み返したいと思えるなかなかにない作品だった
    名言的引用も数多く出てきてすごい惹かれるものが多かったと思う
    主人公の病み感が良い
    心取り憑かれるような衝撃的文体と忘れることのできないストーリー

    今のとこマイベスト!No. 1です

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    2021年04月12日
  • 私という運命について

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    亜紀と義理の母親との温泉道中が一番好きな場面ですが、エピソードで印象に残っているのは田中角栄。
    ページレイアウトがベタだけどドラマのように展開するので、初見はドキドキした。2回目以降は主人公2人以外の人生も興味を持ってより深く読める。
    JUJUの春雪を聴きながら年1回は読みたい本。

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    2021年02月21日
  • 僕のなかの壊れていない部分

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    普段生活するうえでは自覚することのないような、人としての根本的な部分を抉りだされて向き合わされるような小説だった。

    主人公は偏屈だけれど、共感できるところもある。

    何度も読み返したくなるような言葉達が詰まった作品。 

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    2021年02月18日
  • ここは私たちのいない場所(新潮文庫)

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    これから読む方、
    必ず解説まで読んでください。

    喪失を知るすべての人へ捧げるレクイエム
    と書かれていたが、
    私自身がこれまで感じた喪失とは少し違ったものではあった。
    ただ、大事なことを気づかせてくれるようなテーマが盛り込まれていたことは間違いない。
    自分の向いていた方向を考え直すような作品だと感じた。

    本文は終始サクサクと読みやすかったのに
    解説まで読んで、こんなに考えられた内容だったのか、と頭がぐるぐるした。

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    2021年01月29日
  • 私という運命について

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    ネタバレ

    主人公にどっぷりはまって感情移入してしまう私には、ものすごく感動した作品でした。「選ばなかった未来なんかどこにもない」という一説は、「あの時ああしとけば良かった」と思うことが多い自分には、痛かった。
    それにしても最後の最後、本当に悲しかった。

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    2021年01月24日
  • 光のない海

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    またとんでもない白石一文作品に出会ってしまった…

    中堅建材会社社長の高梨修一郎の50年間を辿る。登場人物もりもり群像劇パターンで、とんでもエピソードもりもりパターン。
    不倫はもはやデフォルトで、粉飾決算、猟奇殺人、失踪、焼身自殺、刃傷沙汰、性的虐待まで出てきて収集つかなくなると思いきや現実感は失わない。スピリチュアルな所は置いておいて。
    それは現存する苦しみだから。

    「孤独」を書いた作品だけど、とにかく愛がすごいなと思った。愛というか、縁?運命的なつながり。
    肉親を皆失い、妻に裏切られ息子も失い、社長職も退き、生涯で唯一愛した人をも喪ったことに気づく。
    人が抱え持つ絶対的な孤独は消して埋め

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    2020年07月05日
  • 僕のなかの壊れていない部分

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    りかに買ってもらった本。

    主人公の高慢さと自己中心的な態度に辟易とするが、それが彼における自己なのであり、こちらからの見方は一義的なものでしかないということを気付かされる。死生観や他人との関わり方など、興味深い内容が多く再読したい作品である。

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    2020年05月06日
  • ここは私たちのいない場所(新潮文庫)

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    ここは私たちのいない場所
    後書きまで読んで、この物語が分かった気がしました。フッと湧いたように仕事を無くして、それ以後、何か中途で止まったままで何処へ向かうのか?どう決めようか何も思いが浮かんでこなかった。
    これまで仕事が第一優先として生きてきた。ずっと立ち止まらせてきた人生を見つめ直して、自分の為の新しい一歩を何方へ向けて踏み出そうか、ずっと持ち合わせていなかった選択権をどう使おうかと逡巡しているような印象を読んでいてずっと感じていました。
    最愛の者であっても違っても、見知った誰かを喪失したその時、なにか自身を振り返る瞬間があって、それが起因にこれまで観ていた景色の色あいが少しずつ変化して行

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    2020年01月13日