白石一文のレビュー一覧

  • 翼

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    ネタバレ

    「僕たちの人生は誰かを不幸にしないためにあるわけじゃないよ。愛する人を幸せにするためにあるのだし、そして、何よりも自分自身が幸福になるためにあるんだ」
    きみがずっとそばにいてくれるのなら、それでもいいんじゃないかと、ただ共に生き、共に死にたかっただけ。登場人物の岳志の里江子に対する想いや行動は否定されてしまうものだろうけれど、自分の幸せを追求する、好きな人と過ごしていく人生でありたいっていう凄くシンプルな欲求だと思える。
    叶わないと知って絶望した結末…しがらみで幸せになれないって何なんだろう。

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    2021年07月10日
  • 一瞬の光

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    生々しい虐待や社内政治を通じた孤独と愛の関係性について語っている。

    恵まれた明るい環境で育ち豊富な愛を与える瑠衣と、凄惨極まりなくぎりぎりを生ていても微かな愛を与えてくれる香折、どちらが上かなんてことは決められようがない。
    愛は交換理論では語りきれない。

    自分を愛さない限り人を愛することはできない。しかし誰かを自分以上に愛した時、人は初めて、本当に自分を愛することができる。

    本当に愛し合っていればセックスは一瞬一瞬の死の様であり、心中して嫌なことを全て無にして毎回光り輝く新たな自分に生まれ変わることができる。

    肉体関係を持たず良き理解者として接してきた浩介が最後に香折に対し、兄弟や親を

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    2021年07月07日
  • ここは私たちのいない場所(新潮文庫)

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    まさかの白川道の死を受けて、事実婚だった女性に向けて書いた小説。やはり、白石一文は、いい。2019を締めくくる最高の一冊でした。

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    2021年07月05日
  • 一億円のさようなら

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    分厚い本だけど、次から次に色々な事が起こり飽きずに夢中で読んだ!

    お金で人生は変わる。確実に。
    良いようにも悪いようにも。

    でもやっぱり宝くじを買ってしまう。

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    2021年07月03日
  • 私という運命について

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    ネタバレ

    好きなタイプの小説。展開が予想できるけど、ある意味裏切りはないので安心感はある。予想外の所が繋がっていたりはしたけど。ある女性の一代記って感じで、朝ドラみたいだなぁと思った。前半は良かったんだけど、後半の展開は少々うーんというところもあったけどね。主人公の恋愛関係とか。主人公の主観からすれば色々考えての事なんだろうけど、夫になる人の元妻とか客観的に見て可哀想すぎる。。。多分、主人公が現実目の前にいたら、友達にはなりたくないタイプだなぁ。最後の方にあった、出産して人生観が変わるみたいな話は同感しました。

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    2021年06月07日
  • もしも、私があなただったら

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    もしも、私があなただったら…
    表題でもあり、本書のキーワードでもあり、思考における一つの大切な言葉。

    白石さん&福岡が舞台ということで購読。

    結局は人はわからない。
    人を信じ切れるか。後悔のない選択ができるか。
    また、自分を信じ切れるか。

    面白かった。

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    2021年06月04日
  • 私という運命について

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    女性の29歳〜40歳ってホント濃密だな。
    怒涛だし仕事、結婚、出産やら色々あるある。。
    何もかも偶然なんてなくって必然で、きっと運命なんだな。ウン。

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    2021年05月29日
  • 一瞬の光

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    主人公は一人の短大生と出会う。香折は母親と兄から言われ無きイジメを受けてきた。そのトラウマ故に、精神を病む。そして、その後の兄の暴力で寝たきりになった。主人公は「これからはずっと二人で、絶対、離れ離れにならずに生きていこう。」と。重い一言に感動。

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    2021年05月21日
  • 私という運命について

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    「運命は受け止めるだけじゃだめで、必死に掴んで守り通そうとして初めて自分のものになる」というフレーズが印象的だった。

    女性の10年間の話。

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    2021年05月05日
  • 一瞬の光

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    ネタバレ

    最後がハッピーエンドではなく、中々暗い雰囲気だった。後半は瑠衣に感情移入してしまっていたので、残念。あんなに健気な女の子おらんぞ橋田ーー

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    2021年05月05日
  • 一億円のさようなら

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    なにやら複雑な人間模様が描かれているに違いないと思わせる表紙に惹かれて。

    人生で誰もが避けて通れない、家族、仕事の人間関係と悩み。

    そこに一億円が加わることで、今まで蓋をしていた心の奥の引っかかりがどんどん大きくなっていく。

    「人間同士もたれ合って生きているといつのまにか必要以上に臆病になってしまう」

    「"一人では生きられない"という生物としての致命的な不完全さが、人間に無用な恐怖を植え付け、不要な闘争へと駆り立てる」

    お金で得られる幸せと、得られない幸せ。

    主人公を自分に置き換えながら読み進めると、いろいろと考えさせられる良作。

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    2021年05月02日
  • 草にすわる

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    久々の白石一文氏の本で其々男女の絡みを交えた短編集。
    どの内容も最後は男女間の折り合いを付けてちょっとした幸せを感じる話で良かった。

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    2021年03月13日
  • ここは私たちのいない場所(新潮文庫)

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    「人は親にならない限りずっと子供。子供を持たない人は、最後までずっと子供でいようとしている人」
    刺される。否定できない。少なくとも「子供を持つ努力をしない人」と「子供を持ちたくないと強く思っている人」に限定して当てはまるものだとは思うけど。
    そしてさらに「親友のお葬式に出られないことを悔やむ感情もない」。
    これは主人公と自分が重なって、冷たい種類の人間であることを痛感した。
    でも存実はそれを客観的に気付いているし、珠美の存在によりこれから変わっていくのであろう良い未来が想像できる終わり方でした。※それにしても突然の終わり方で驚く。ページを探して二度見。

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    2021年02月28日
  • プラスチックの祈り

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    ネタバレ

    白石一文さん大好きで、たくさん読んできたけど、本作は、主人公が小説家で、福岡の名門公立高校出身であり、父親も作家(しかも”いちろう”の部分が自身の父と一致)という部分など、作者の来し方と重なる部分がいつになく多く、ファンとしてはそそられるものだった。
    主人公は妻を亡くしてから記憶が錯綜していて、それを解明していくような物語。”プラスチック化”っていうのがちょっと、SFぽくて文学的じゃないなぁ、なんか、しっくりこないなぁと思いながら読んだけど、なるほど最後まで読むと、なんかつまり、この「世の中」や、「小説というもの」が、無機質な、プラスチックのようなもの…っていう意味が込められているのかな、と思

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    2021年02月12日
  • 草にすわる

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    主人公はみな一様に人生に行き詰まっていたり理解できないことが自分の周りで起こっているそんな渦中の人々で、その中でどう生きるか誰と生きるかを自省しながら結論づけていく、自省しながら誰かと生きるしかないと気づいていく過程がとても好きだった。コントラストがくっきりしている分、それぞれの感情の闇が捉えやすかった絶望だけではなくある種の希望を残してくれている筆者の優しさだなと思う。

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    2021年01月25日
  • 砂の上のあなた(新潮文庫)

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    最愛の父に愛人がいた…。

    見知らぬ男からもたらされたのは、娘が最も知りたくなかった事実。

    しかし亡き父の妄執は、35歳の主婦・美砂子の結婚生活にまで影を落としていく。
    一見ありがちなテーマですが、驚いたのはあまりにも女性の気持ちが細部にまでわかっている事。

    女性以上に女性を理解しているであろう心理描写は感動でした。

    いくつかのエピソードは私も経験している事と重なり、共感出来ました。

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    2021年01月25日
  • もしも、私があなただったら

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    ネタバレ

    もしも、私があなただったら
    もしも、あなたが私だったら
    表題になっているフレーズが、
    文中でも度々キーワードとなっていた。

    作中舞台が、福岡という(個人的に)身近な土地であったこと、行動の動機が謎に包まれた美奈の言動に翻弄されあっという間に読み終えてしまった。

    思っていたより
    シンプルな結末に落ち着いた感じ。
    官能的な表現が多かったのが少し恥ずかしさもあったが最後まで面白く読めた。

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    2020年12月09日
  • ここは私たちのいない場所(新潮文庫)

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    ネタバレ

    白石さんの書く主人公は、さっぱりとしていながらも優しさがある人物で何かに執着していないから惹かれるのかなと思う。

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    2020年11月30日
  • 僕のなかの壊れていない部分

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    「私はどんなに探してもこの人しかいないという人がいい。あなたはそうだもの。あなたは心に穴のあいている人よ。(略)でもね、あなたは本当に苦しそうに生きてる。どうして愛しているのか私にもわからないけれど、きっと穴のあいたあなたの心を私は見過ごすことができないのよ。」308頁

    「私はどんなに探してもこの人しかいないという人がいい。あなたはそうだもの。あなたは心に穴のあいている人よ。(略)でもね、あなたは本当に苦しそうに生きてる。どうして愛しているのか私にもわからないけれど、きっと穴のあいたあなたの心を私は見過ごすことができないのよ。」308頁

    「いくら探してもいない人というのは、この私しかその人

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    2020年11月16日
  • 光のない海

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    白石一文さんの小説は、1人の人間の人生を長いスパンで描いているものが多いように思う。小説の始めと終わりでは数ヶ月から数年しか時間が経っていなくても、途中で遠い昔のエピソードが詳しく挟み込まれて、最終的には数十年にわたるその人物の人生が濃密に描かれる。
    今現在の状況に多少の影が差している方が、過去のエピソードが深く切なく感じる。それでも最後には未来の光もうっすらと感じる。味わい深い物語が多い。

    建材会社社長の高梨修一郎、50歳。先代社長の娘と離婚し、現在はひとり暮らし。取引先の粉飾決算によって経営危機に陥り、事態収拾を図るとともに引退を考え始めていた。
    今脳裏に浮かぶのは、怒涛のように過ぎ去っ

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    2020年11月06日