あらすじ
38歳の若さで日本を代表する企業の人事課長に抜擢されたエリートサラリーマンと、暗い過去を背負う短大生。一瞬の光を求めて生きる男と女を描く、感動の物語。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
白石一文さんの本はこれが初めて。
カバー買いです。
泣きました、かなり。
幸せの感じ方は人それぞれで、価値観が違えば一緒にいられなくて。誰かを傷つけてしまうとしても、変えることができなくて。
どうしたら良かったんだろう、これで良かったのかなぁと、読後考えてしまいました。一瞬でも2人に光が射すのかなぁって。
特に最後のシーンが切なくて、忘れることができない1冊。
Posted by ブクログ
随分前に読んだ本でした。三菱重工のような一流企業ではありませんが、最初にこの本を読んだ当時は私も某企業でトップの側近の一人としてとても忙しく働いていました。単なる権力闘争だけではなく、同じように幹部社員の首吊り事件や国からの圧力によるトップ交替などドロドロした世界でしばらく過ごしましたが、主人公とは少し違う理由で今はその会社から去りました。避けているわけでもないのに、残念ながら(?)女性の出入りは全くこの本の人たちとは異なり極めて地味でしたが、橋田氏のような甲斐性や覚悟もない身なので、このような出会いがあったとして見て見ぬふりをするのがせいぜいだっただろうと思います。いまだに自分にとって何が最も大切なのか試行錯誤する日々を送っていますが、恋愛部分以外は十数年前の自分を思い出しながらしみじみと再読させてもらいました。良い本でした。
Posted by ブクログ
以前読んだ作品。
普段男性作家さんあまり読まないけど(上司とか役職とかお仕事の描き方細かいとついていけなくなるし)、これはおもしろかったし、とても印象に残ってる。
白石一文さん、お仕事の描写は細かくて現実的なのに、恋愛は合理性ぬきの型破りな感じが多いなと思う
そこがまたすき
Posted by ブクログ
友だちが勧めてくれた本。荒んだ環境で育った香折と恵まれた環境で育った瑠衣の対比や、エリートとヤンキーの対比、今を生きることと過去の振り返りがわかりやすく、思わずはまってしまいました。
Posted by ブクログ
主人公の浩介が、2人の女性の間で揺れる話。
…と言ってしまえばそれまでだけど、村上春樹の「ノルウェーの森」だって言ってみればそういう話ですね。
ノルウェーの森ではワタナベは最後にみどりを選ぶけど、この小説では最後にどちらを選んでも良いと思いながら読んだ。
超脇役で出てくる「柳原くん」を主人公にしても素晴らしい小説が書けるのではないかと思った。
肉体関係を超えた男女の愛情っていうかつながり(?)の物語なのかなぁ…。「心に龍を散りばめて」でも、最後に結ばれる2人はずっと性を超えた結びつきがあったように思う。
でも肉体の繋がりの深さ、その大切さも描かれている。
あー、深い。
Posted by ブクログ
読みやすい文章の中に、生きるとは何か、愛とは何か、という示唆が散りばめられていて、素敵な小説だった。
自分を愛していないと人を愛することはできないが、人を自分以上に愛して初めて本当に自分を愛することができる
というメッセージは心に刺さった。
自分も死にたいと思った時に必ず顔が浮かぶ人がいる。その人のことを思うと、自分の死後その人はどれだけ悲しむだろうかと思うと死ぬことなどできないと思わされる。
もし自分が1人だけだったら自殺など簡単にできてしまう気がするが、私はその人を自分以上に大切にしたいと思えるから自分のことも大切にしようと思うのだ、と本書を読み終えて言語化できた。
『僕のなかの壊れていない部分』も良かったが、哲学書のようで、小説という観点だと個人的に本書の方が好みだ。
Posted by ブクログ
とても切ない恋の物語。客観的にはどちらの女性と一緒になればいいのかは一目瞭然ですが、感情とは厄介なもの。でもとても尊いもの。嘘や計算して人生が上手くいっても一時のもので、最後に残るのはやはり感情や内に秘めた思い。それがよりわかるストーリーでした。
それとサラリーマンの出世の苦労が鮮明。今もどこかでこのような取引がなされているんじゃないかと、現実味を帯びるような感じに描かれています。
切ない終わりになっていますが、読んでよかった!と思わせる一冊でした。
Posted by ブクログ
白石一文のデビュー作である。文章の折々に格言めいた言葉が散りばめられており、生きることや愛することを考えさせられる。著者の作品では、一貫して運命について描かれており、また、時として運命を見過ごしてしまう人たちを描いている。運命を見過ごしたと気づいた時、自身の本当の人生を取り戻そうと、人は走り出す。しかし、そこで、人生の厳しさや運命の持つ不思議が描かれる。
Posted by ブクログ
2019年、再読。
読み終わってから以前読んでいたことを知って驚愕。
全然思い出せなかった…。
5年経って私の考え方、感じ方が変わったのか以前のような感想は抱けませんでした。心が安定したからだと信じたい。
2019年の今の評価は★2つ。
2019年4冊目。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「人に大切にされることが、自分を大切にすること」
というフレーズが、非常に心に残った一冊。
切ないくらい、様々な種類の愛情に溢れた作品です。
タイトルの「一瞬の光」を求め、一瞬一瞬を生きていくという道を主人公は選びます。
もちろん、誰しもが一瞬一瞬を生きているのですが、私も含め、多くの人が安定や穏やかさを無意識に望んでいるはず。
安定した生活、穏やかな明日があることを前提にしたうえでの「一瞬」を懸命に生きているのではないでしょうか。
主人公が選んだような、刹那を生き続けるようなことは私はどうやったって望むことができません。
生きること、愛ということ、幸せということ。
これらについて、考えさせられる一冊でした。
とりえあず、「人に大切にされる」ことが
大切にしてくれる人を幸せにするのだということを
知ることができました。
今の私には、それだけで。
2014年29冊目。
Posted by ブクログ
白石一文の本を友人に勧められ初めて読みました。
橋田というエリート街道まっしぐらの会社員が、かおりという10歳近く年下の高校出たての女性とひょんな出会いを果たし、そこから不思議な関係が続いていきます。
本当の愛とは何なのかを考えさせられる本だと思いました。
Posted by ブクログ
生々しい虐待や社内政治を通じた孤独と愛の関係性について語っている。
恵まれた明るい環境で育ち豊富な愛を与える瑠衣と、凄惨極まりなくぎりぎりを生ていても微かな愛を与えてくれる香折、どちらが上かなんてことは決められようがない。
愛は交換理論では語りきれない。
自分を愛さない限り人を愛することはできない。しかし誰かを自分以上に愛した時、人は初めて、本当に自分を愛することができる。
本当に愛し合っていればセックスは一瞬一瞬の死の様であり、心中して嫌なことを全て無にして毎回光り輝く新たな自分に生まれ変わることができる。
肉体関係を持たず良き理解者として接してきた浩介が最後に香折に対し、兄弟や親を超えた愛情を認識した。
夢にて暗闇の中で香折を見つけ出し、過去を象徴する小脇の布団を燃やすことにより、生まれ変わったことを示唆することで、
人生を捧げた仕事を失い自身の存在価値への疑い、孤独を感じる中、浩介も香折を通じて本当の自分を愛したいと考える様になったのだろう。
Posted by ブクログ
主人公は一人の短大生と出会う。香折は母親と兄から言われ無きイジメを受けてきた。そのトラウマ故に、精神を病む。そして、その後の兄の暴力で寝たきりになった。主人公は「これからはずっと二人で、絶対、離れ離れにならずに生きていこう。」と。重い一言に感動。
Posted by ブクログ
最後がハッピーエンドではなく、中々暗い雰囲気だった。後半は瑠衣に感情移入してしまっていたので、残念。あんなに健気な女の子おらんぞ橋田ーー
Posted by ブクログ
これが白石さんのデビュー作かぁ…という感じ。(良い意味で)
内容重め、香折のことイマイチ好きなれない、でも先が気になって一気読みだった。
読後感もよくないけど、なぜか惹きつけられるのが白石作品。笑
Posted by ブクログ
社内抗争の荒波と、虐待を受けた過去をもつ女性との交流の中で自分を見つけていく。
大事が起きたとき、なぜ私がことにあたらないでおられようと考える、その意思こそが人間の道徳観念を形作ってきた、という一文が心に刺さった。
誰かに大切にしてもらうことを良しとする事が自分自身を大切にすることにつながり、人を大切にする中で自分を見つけ出していく。
Posted by ブクログ
ゼミ課題の用例探しで適当に取った一冊。
用例だけ探そうと思って読み飛ばししてたんだけど、内容がなかなか面白くて(てか斬新で)途中から要点だけ読むようになりました
東大卒のエリートサラリーマンが、ある短大生との出会いを通して本当に大事なものを見つけていくというストーリー。
最初は『なんだこの主人公』って思いました。
事情が事情でも彼女と同棲中なのに別の女の子を自分の家に入れるって…笑
発言がいちいちエリートすぎるし笑
行動も高慢というか自己満というか(ラストも含め)…
でも、だんだんと女子大生の過去が明らかになって
兄の追跡を受けていくうちに
『こんなの現実にあったら…』と思わされます。
現実的にこういうことに悩まされてる人いるのかな?って、“悩む”って言葉じゃ軽すぎるんだろうけど。恐怖、に近いかな。フィクションであってほしい
そんな事態から逃げないで(一時的に彼氏に預けたのは逃げたともとれるが)彼女を守ろうとするうちに主人公がだんだんと大事なものに気づいていく。
ハッピーエンドではないんだけど、主人公にとっては大事なものに気づけたことがハッピーエンドだったのかなぁ…なんて。
ラストシーンの後がどうなろうと、後悔はないんだろうな。浩介はね。
香折の気持ちはどうだろう。浩介はヒーローじゃないかもね、見方によるとは思うけど。
背表紙に感動の大作って書いてあったけど…なんか普通の感動とは違う感動でした。
主人公の設定が一般サラリーマンじゃないだけに心情の変化が心を打つというか。
兄からの追跡がちょいちょいグロいので想像力豊かだと恐怖倍増。
要点読みだったので時間があったらもう一回読みたいと思います。
読み終わった後に『ふぅ~』っていう気持ちにならなかったので☆四つ。
Posted by ブクログ
重い小説。作中人物の誰も幸せにならない。いや、浩介は幸せになったのかな。でもあと、30年、40年は最期の状態を続けられないでしょう。一体、とうするのでしょうね。
設定もかなり嫌味だし、そもそも、香折の家庭は異常すぎるでしょう。と、あげつらうところも多いのですが、一気に読ませられました。男にとっては、ある種の、ユートピア小説ですね。
Posted by ブクログ
後半になるにつれて読む手が止まらず、2日で読んでしまった。読んで思ったことが多すぎるヽ(;▽;)ノ
まず、ラストがよかったです。
そして、この本を読んでいる間ずーっといらいらしてしまった。
このお話、要はメンヘラがなぜモテるかって話。
まぁ、そうなってしまった過程が過程だからメンヘラなんて言ったら失言だし、こういう生い立ちになれば誰もがそうなってしまうと思うけど、それにしても、私はこうやってずぶずぶ病んでる女にハマっていく男がほんとに嫌い。
私の周りはなんだかんだ強い女の子が多いから、瑠衣みたいに安定している子を支持してしまうのだけれど、それにしても!!!
強い女だから俺がいなくても大丈夫なんてどうして思えるの。人間誰しも一人で孤独なのになー。
確かに傷を抱えて心を閉ざしてしまっている子の方が、自分がしてあげられると実感できることが多いもんね。それに、人の痛みが分かるっていうのも同感。人の優しさへの感度も上がるしね。普段優しさを感じられない生活をしている人にとっては、与えた側からしたらささいなことでも、その優しさが、泣きたくなるほどの嬉しさや感動に繋がるもんね。同じ優しさを与えるのなら、そうやって喜んでくれる人に与えた方が自分の満足感も大きくなるよね。
主人公よ、なんでそっちなのー!!とひたすら思っていたにせよ、そういう依存系の子を選ぶ人こそ、どこか心に傷を持ってたり、小さい頃に傷ついてたりするよね。
だから物語の結末に異議を唱えることはしないし、みんな幸せになってほしいと思う。
そして、血は争えないし、育った環境ってほんとに大事なんだなと思った。
以下は心にぐっときた言葉たち。
「成功の夢とそれがもたらす拘束が、彼をがんじがらめにして、身動きひとつ取れなくしてしまっていたのだ。」
「誰かに期待されたり、励まされたりしてじゃなくて、自分が、ありのままの自分だからこそ、立派にやり遂げられることなの。だから、ほんとに頑張らなきゃいけないことなの。頑張ればきっと報われるの。頑張りがいがあることなの」
「自分を愛さない限り、人を愛することはできない。しかし、誰かを自分以上に愛したとき、人は初めて、ほんとうに自分を愛することができるようになるのだ」
Posted by ブクログ
エリートの橋田と家族から虐待を受けてきた若い香折との話。面白いストーリーだったし、夢中になって読んで、考えさせられたが、話のテンポは微妙だった。
Posted by ブクログ
知り合いが紹介してくれたので、それなら読んでみるかなと初読み。読み始めてすぐに、んんん???となり出版年を確認。単行本の初版は2000年頃。なるほど…何が言いたいかって、まあ時代が一つ違うなぁということ。読み始めてすぐに、会社感、仕事感、男女感などなど、いろいろな価値観が、一昔前だなぁ!という感想で、当時の世界観にどっぷり浸かってみたい方にはいい本なんじゃないかなと思います。
四半世紀前に三十代でバリバリ働いてた男性(主人公たち)って、今の役員とか事業部長とか、自分たちの上司になっている世代なわけで。なるほど、彼らはこういう世界観で成功してきているのね、という、ジェネレーションギャップ理解本として興味深く読んじゃいました。
この本のファンの人からしたら怒られちゃうかもなんですが、香折は同性から見ると、親ガチャに失敗したというハンデがあるにせよ、守るべき人というよりはやばいメンヘラ女みたいに見えちゃうし、瑠衣はバリキャリなのにあんなに男に料理振る舞って尽くすのを自身の価値としているし…?
企業戦士物としてはちょっと読み応えはある…うん、そこは、おもしろいかも。池井戸潤的な感じで。
ただ、この本のメッセージの一つは、人を愛するためには自分を愛さなきゃならないし、さらには、人に愛されることを許容しなければならないってことで、この後半の、「人に愛されることを自分に許さなければならない」というのは、この手のメッセージとしては目新しい気がして、しばし、なるほど…と思っちゃいました。愛されるのが苦手な人(親切にされるのが苦手な人)っていますから。
タイトルに関しては、ある日ある光を目にして急に自分に対して暴力的な選択をしてしまいたくなった(幸せな生活を放棄したくなる)→しかし目にしたその一瞬の光が一生を照らすこともあるんだよ、ということだなと。
Posted by ブクログ
何故かおりを選ぶのか、何故そこまで感情移入するのか理解出来なかった。
年を食うと若い女を求めるというだけの話なのかな。
ただビジネスの話に関しては引き込まれる箇所はあった。
Posted by ブクログ
結局主人公は最後まで、気が休まる穏やかな道は選ばなかった。一方ではほぼ幸せが保証されているにもかかわらず。にしても瑠衣さん報われないな…。
Posted by ブクログ
(正しい意味での)メンヘラをファム・ファタールにしてしまった男の話。
性愛でない愛のかたちを描いているが、自分の大事な人もこういうメンヘラとヒロイズムこじらせた共依存で親に捨てられたので、メリーバッドエンドの先はただの現実があるのを知っている身としてなんだかなぁと思いつつ読んだ。
脳死状態のメンヘラにはそりゃ勝てないよなぁと思った。
Posted by ブクログ
古くからある大企業に勤めてる自分としては、企業と政治の繋がりだったり、企業内での出世だったりという点は面白かった。
いち企業人として、どのように世界をより良くするかという理念は、扇谷の考えに共鳴する。
物語全体としては、やはり結末が気に入らないなぁ…。誰も幸せにならない。いや、主人公は幸せなのか?
物語後半の主人公のどっち付かずの行動が好きになれなかったな。
Posted by ブクログ
よかった。とてもよかった。こんな形で一緒になってほしくなかったけど、最後お互いの気持ちに気づけてよかったとは思う。いつものことながら白石一文の描く主人公が登場人物たちを分析するくだりが精緻で普段我々も感じているなんとなくの雰囲気とかを的確に表現している。
Posted by ブクログ
主人公がなんだか人間味がなく、感情移入できないため、あまりのめり込んで読むことができない小説です。
でも同じ社畜として共感できる部分は多かったです。
Posted by ブクログ
大手企業の出世頭として嘱望されていた橋田浩介は、派閥抗争に破れた。それはトップに君臨して会社を牽引していた人物の裏切りだった。彼の手腕を認めた反対派の誘いがあったが、彼はそれまでの闘志も意欲も失ってしまっていた。
面接官として出会いバーで二度目の出会いをした香折が、男に絡まれているたのを助けたことでかかわりが出来る。
辞表を出した後も、複雑な生い立ちをした香折が気にかかり、何かと面倒を見る羽目になる。
浩介には上司の縁続きの女として完璧な彼女、瑠衣がいた。人が振り返る美しさと聡明さを持ち絶品の料理まで作る。ひたすら愛し続けてくれる彼女はいたが、孤独で人生を投げたような香折が常に気になっていた。
彼は、辞表を出した後でも、理想的な家庭を築けそうな瑠衣との人生を選べば、社内でも安定して昇進していけただろう。別の道を選んでもそれでも着いて行くと瑠衣はいっていた。
作者は瑠衣の美しさ純粋な愛情を浩介にぶつけてくる。そして親と兄からDVを置け続け、欝に悩み、今でもおびえて暮らす香折が常に心にある浩介を書く、女として愛しているのではない、瑠衣を置いてでも香折には手を差し伸べねばと思っている。
エリートとして抜擢された地位が揺らぎ、会社経営の暗部を見てしまった、確かに現代社会には明るい面は少ない、彼はそれを是として飲み込んできたが、わが身に及んだ深い人間不信の感情は、拠って立ってきた大きな柱を微塵に砕くものだった。
生活はそう純粋な温室で育つようなものではない、濁った水に揉まれていると、澄んだ流れに出会うこともある。
読者としては、孤独な戦いをしてきた浩介に瑠衣という贈り物をささげたくなる。香折は兄に襲われ人事不省から回復しても意識がいつ戻るかわからない。浩介に関わって欲しくないと読みながら思う。
浩介の決断は作者の書くという姿勢が見える。
非の打ち所のない瑠衣と傷だらけの香折、どちらに寄り添って生きるか。感動的な幕切れを書いた、白石という作家が世に出た読み甲斐のある作品だった。
社内の抗争、政治がらみで経営の深部までの話は浩介の立場を現すものだろうが、結果的に人間性を探るものならもう少し簡単でもいいような気がした。
たがそれは欲張りな感想で、この作家のものをもう少し読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
近畿出張に持って行く本を決めようとひさしぶりに五反田のbook-offに寄った。時計、衣類の取り扱いが増えたなあ。本棚をじっくり見てこの本を読もうと思う。白石一文氏に好印象を持っている。
恋とは楽しいものだ。もう恋心を抱くことは無いが、疑似体験かなと思い楽しく読む。
40前のエリートサラリーマン、出世コースにも乗り、社長の姪と付き合っている。そんな主人公に先ほど面接で落とした就活生の女性と会い親しくなる、会社の出世レースで凌ぎを削り、2人の女性の間での心の動きを書く。
主人公が変わっていると言うことは感じた。が著者は何が書きたかったのだろうかと思う。