【感想・ネタバレ】ほかならぬ人へのレビュー

あらすじ

「ベストの相手が見つかったときは、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだ」――愛するべき真の相手はどこにいるのだろう?「恋愛の本質」に果敢に挑み、描き上げた“もっとも純粋な”恋愛小説。第142回直木賞受賞作!

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直木賞。
かけがえのない人へ
「足元の地面が固まれば固まるほど、その硬い地面をほじくり返したい衝動に駆られるのはなぜだろう?」


恋愛において、自分と違うタイプの人に惹かれるのはとても分かる。
でも、自分と似ているタイプの人といるのが自然なような、決められたことであるような気がして逆らえない。
っちと一緒にいても自分を肯定しなきゃいけないから、自分の中で、言い訳を並べて
自分を騙して、これは正しいことなんだと思い込んで。
地面は固くなればなるほどほじくり返したくなるよね〜それってすごく自然なこと。
悪なんだけど、悪ではない!って正当化してあげたい。
正当化してあげたいのに、最後アンハッピーなのがとってもよかった。

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2025年08月30日

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ネタバレ

東海さんがすごく好きです。明夫が感じた東海さんのいい香りを想像してはときめきました。
東海さんが明夫にとって、ほかならぬ人である。その証拠に彼だけが感じた香りがあるって、すごく素敵だと思いました!

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2025年05月26日

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ベストの相手の証拠...難しい。
ほかならぬ人 かけがえのない人 に出会えるってとても素晴らしい事だと思う。
出会うまでに試練?苦労があるかもしれない。しかしそんな人に出会えれたら苦労も乗り越えて笑えるようになるのかも。
ほかならぬ人のお話で、主人公がその人に出会えた事 本当に嬉しく思った。まさかの最後にとても悲しみを感じた。
もう一つのお話には最初とても嫌な気分だったけれど、読み進めるうちに二人の関係性に引き込まれていった。
最後の展開にはどう気持ちを治めたらいいのか‼︎と登場人物になりきってしまっていた。

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2024年07月27日

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本当に出逢えてよかった。
ベストの相手を見つけられることは宝探しのようなんだ。納得。
「たからさ、人間の人生は、死ぬ前最後の1日でもいいから、そういうベストを見つけられたら成功なんだよ。言ってみれば宝探しとおんなじなんだ。」
今の自分に言われているようで、共感するたびになんとも言えない感情が押し寄せてきた。

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2024年05月08日

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一つ目の話は途中からしんどくて何度か読めなくなりました。久小説読んでて久々にこんな涙流したー。心にずしんと響いてくるものがたくさんつまってます。

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2024年02月09日

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『ほかならぬ人へ』
華麗なる一族の中で「生まれそこなった」と思っている、宇津木明生。先祖は巨大財閥で、父は大学教授、母は大病院の創業家の長女、伯父は宇津木製薬グループの社長である。長兄も次兄も成績優秀で大学の研究者。
 ところが、明生だけが、小学校時代から成績が振るわなかったが、先祖が日大の前身の学校の創立者であったという縁で、日大の附属中学から日大へ進み、大手スポーツ用品メーカー、YAMATOに就職した。側から見れば「大企業に就職した」と言えるのだが、普通のサラリーマンになったのは宇津木家では初めてだった。
 明生は兄達のように優秀でなくてもおおらかな家族に包まれ、優しく何不自由なく、育ったのだが、彼自身にとっては華麗なる一族である実家での暮らしは劣等感と悔しさと無念さに苛まされた暗黒時代であった。
「普通に暮らしたい」ということが夢であった明生が結婚相手に選んだのは池袋のキャバクラで出会った「ブクロのミキティ」と呼ばれた元キャバクラ嬢のなずなだった。いくら、華麗なる一族が重かったとしても、客観的に見れば、そんな結婚は上手くいかないことが一目瞭然。案の定、なずなには二年で裏切られた。それでも、納得出来ず、なずなと、話し合おう、やり直そう、とする明生。ストレスでげっそり痩せて。本当にお坊ちゃんだなあ…。けれど、人を信じて真っ直ぐな所は本当に育ちの良さが感じられて、そういう真っ直ぐなところは案外偉大な先祖から受け継いだ魅力なのかもと思った。
 そんな時、明生の相談に乗ってくれたのが、会社の上司である東海さん。相当なブスらしいが、仕事はバリバリ出来る人。なずなとの離婚で打ちひしがれている明生に適度な距離を保ちながらも親身になってくれ、突き放しながらも甘えさせてくれた。なぜ、東海さんがそんな人であったかというと、離婚、自身の癌、中絶、前の夫の死などを経験し、「自分なんか死ねば良かった」と一度は考えた人であったから。
 誰からもブサイクと言われた東海さんだったが、明生は東海さんのことをブスだと思ったことはなかった。その理由は東海さんの放つ匂いだった。
 明生が一年間の中国研修に行っている間に東海さんは癌が再発し、入院した。そして「退院したら一緒に暮らしませんか」と明生はプロポーズした。退院後、二人は結婚し、それから東海さんは仕事も家事も全力投球で生き、二年後、癌が再再発して、亡くなった。
付箋を付けた箇所はいくつかあるのだが、いちばん響いたのは次の箇所

「やがてこの部屋にしみついた彼女の匂いも少しずつ薄れ、いずれは完全に消えてしまうに違いない。  自分はもう二度とあの匂いを嗅ぐことはできないのだ…」

『かけがえのない人へ』
みはるは聖司との結婚を控えているが、会社の元上司の黒木と浮気を続けている。
みはるは電線や通信ケーブルを製造する会社の創業者の孫で、現在は社長の娘。小児科医の母に似て頭が良いがあまり美人ではない。会社員としてバリバリ仕事をし、結婚は一つのキャリアとしか考えていない。会社の幹部であり、みはるの家とも釣り合いのとれた婚約者である、聖司のことは嫌いではないが、心の底では「あんな男どうでも良い」と思っている。経済的には恵まれていたが不仲であった両親を見て育ったので、結婚に夢を抱いていなかった。
一方、浮気相手の黒木は、施設で育ち、大学も中退したが、バイト中に正社員に抜擢され、会社の中で目覚ましい業績を上げてきた雑草のような男。「自分はまっとうに生きられない」と信じている黒木にみはるは訳も分からず手繰り寄せられる。
みはるの父が愛人の家で心臓発作を起こし、母親の病院に担ぎこまれた日はみはるの誕生日だった。婚約者の聖司を会った後、どうしても黒木と会いたくなり、突然黒木のマンションを訪ねた。前もって行くと連絡していなかったのに、誕生日には婚約者と過ごすことが分かっていただろうに、黒木の部屋の冷蔵庫からは「Happy Birthday Miharu」と書かれたケーキが出てきた。「どうして用意してくれてたの?」と聞くと「習慣だから」と。毎年、もしかして誕生日にみはるが来るかもしれないと思い用意してくれていたのだった。荒々しくオスの匂い放つ男だが、そういうところに愛を感じてしまう。
 結婚式前日にもこっそり黒木に会いにいく、みはる。そんなみはるに気付いていない聖司にみはるはいらついている。そして、知っているのに知らないふりをしているのだったらサイテーだと思っている。だけど、黒木のマンションはもぬけの殻だった。

 作者の白石一文さんの考えの根底には「(お金や才能や恵まれた境遇を)持っている人が幸せとは限らない」というのがあるらしい。「持っている」といえば、白石氏自身もある意味「持っている人」で、お父様も直木賞作家。双子の弟さんも作家で、白石氏は文芸春秋の天才編集者だったらしい。
さすがだなと思った。最近はやりのほっこりするする小説や多様性小説、元気の出る小説………。これを読んだ後ではもの足りなく感じられると思う。大人の小説。

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2024年01月22日

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ネタバレ

いつもは解説は飛ばしてしまう私だけど、今回は解説まで含めて、とても面白い小説に出会えたと思う。

『見えない確かなもの』から愛を感じとる主人公たちには共感しかなかった。
私もそれをどんなに時が経っても大切にしたい。

匂い。初めて。
大人になればばかばかしく感じるようなものを、私たちはこの先社会に翻弄されずどれだけ大切にできるだろうか。

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2022年06月02日

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先月ようやく長編小説「大地」を読み終わったことで、小説枠が空き、こちらの一冊を読んでみることに。以前、目当ての本と一緒にメルカリで売られていて、たまたまついてきた。どうやら直木賞を獲った作品でもあるということで、内容もわからず読み始める。結論、結構好き。とても落ち着いた大人な内容だが、人との関係性についてハッとさせられる。本のタイトルでもある「ほかならぬ人へ」と、「かけがえのない人へ」という2つの物語がある。最後にふと「ほかならぬ」と「かけがえのない」はどう違うのかなと考えた。「ほかならぬ」は自分主語、「かけがえのない」は運命主語なのかな。あと、編集者の作者に対する愛に溢れたあとがきがとても良かった。

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2025年11月20日

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自分にとっての“ベストな人”って?
元彼を忘れられない妻との関係に悩む明生、結婚目前にして元彼とのアブノーマルな関係を続けるみはる
不倫もので(傷害事件に発展するなど)どろどろした内容のはずなのに、さらさらとろとろと読めて不快な感じはまったくしない、好き

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2025年01月27日

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この作家さんの書く小説は、しっとり具合と恋愛への切り込み方がとても好み。「一瞬の光」が好き。2つのストーリーが入っていて、どちらも言ってしまえば不倫がテーマなのだが、ただの略奪愛の話ではなく、自分にとって1番大切な人を追い求めもう少しそれにハマっていく人たちの内面を丁寧に現実味を帯びて描いている。すごく好きなのだが、説明もなく新しい登場人物が出てきて、解説が後に入るケースが多かったのが個人的に読みづらい。

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2024年10月12日

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白石 一文は、日本の小説家。父は直木賞作家の白石一郎。双子の弟は小説家の白石文郎。2010年「ほかならぬ人へ」で直木賞を受賞。
親子で直木賞だけあって、文体は素晴らしく、読み応えがあり、展開も早く、吸い込まれそうに読み応えある。
NHKのドラマ「一億円のさようなら」の原作者。

1.「ほかならぬ」とはどういう意味ですか?
ほかの人ではない。 まさにその人である。 特別な関係にある。 ほかならぬ。)

「ベストの相手が見つかったときは、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだ」…妻のなずなに裏切られ、失意のうちにいた明生。半ば自暴自棄の彼はふと、ある女性が発していた不思議な“徴”に気づき、徐々に惹かれていく…。様々な愛のかたちとその本質を描いて第一四二回直木賞を受賞した、もっとも純粋な恋愛小説。

2. 「かけがえのない人」というのはこの上なく大切な人ってことですね。

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2023年10月12日

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221028 約10年ぶりに再読。愛とは、必死でも切実でもなく、性急でも衝動的でもなく、かつ自分へも相手へも執着のないところに、穏やかに存在するものなんだろう。

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2022年11月01日

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タイトルに吸い寄せられて、購入。

久し振りに電車の中で泣きそうになり(と言うか、実際泣いて、本を閉じ)心を揺さぶられた一冊。

表題作の「ほかならぬ人へ」と「かけがえのない人へ」の二作。
私が泣いたのは、「ほかならぬ人へ」。

良家の御曹司として生まれた明生は
「断りもなくこんな自分として生まれさせられ、断りもなくその自分を奪われてしまう。
だとしたら、生きている間のわずかな時間だけでも自分を守り抜き、
自分をこの世界におくりだした何者かに対して抗いつづけなければ」という一心で、「自殺しない」でいる人間(解説より)。

その明生が出会い、結婚した妻・なずながかつて恋人であった幼馴染みと、自分を裏切ったところから話は始まります。

明生の台詞に
「ベストの相手に出会った時、この人で間違いないという証拠がある」
というものがあり、その証拠を話中、明生は見つけるので、そこに焦点が向きがちですが、その証拠の持ち主の気持ちが一切描かれておらず、だから一層、彼女の気持ちが気になり、想像し、引き裂かれるような想いになりました。

作中には、フィクションならではの非日常的な出来事がいくつか発生し、登場人物らに襲いかかります。

けれど、万人に共通する感情に帰結し、「あぁ、そうか」と思わせてくれるところが素晴らしい。

偶然にも「死なない理由」に触れた作品に続けて触れることになり、ふぅむ と思いました。

「ほかならぬ人」
ベストじゃなくても、パートナーとして選ばれなくても、こう表現されたいです。

そして。
この文庫の解説、今まで読んだ解説の中で1番好き。
この方に恋しちゃいそうなほど、好き。
☆4つなのは
「かけがえのない人」の主人公の女性がかつての自分と重なる幼稚さを備えていたことと、相手の男性の黒木の想いが見事なほどに伏せられていたため。

要は、私が女であるための、マイナス☆です。

おすすめ。

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2022年10月10日

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ほかならぬ人へでは、人が亡くなっても、自分の日常は滞りなく流れ続けるが、その「死」がどことなく漂っている、というような、とてもリアルな描写だった。

かけがえのない人へでは、女性目線からの結婚やセックスの概念が記されていたように感じた。

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2022年10月02日

Posted by ブクログ

この本を読んで、ある人のことを思い浮かべた。
その日がベターだったのか、ベストだったのか解らない。
でも、ベストである確証が得られなかったのだから、ベターだったのだろう。
それでも彼女が僕にとってほかならぬ人であり、かけがえのない人であることは疑いようのない事実である事を教えてくれた一冊だった。

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2022年04月21日

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細胞レベルで惹かれ合う - 白石一文「ほかならぬ人へ」 ★★★★☆

運命が二人を導くのではなく、細胞が二人を近づけるのだ。ミツバチが花に導かれるように、その人にしか感じられない匂いがあるのだ。それを人は相性と呼び運命と感じるのかもしれない。
全体的にしっとりとしておりしみじみと心に落ちてきます。
個人的に2作目は主人公が好みじゃないかな。
#引用
・人間はたとえ人のために死んでも、自分のために死んではいけない
・人は同情や悲しみ、失望なんかでは相手に対して迷惑をかけたり、その人を傷つけたりなんてできやしない。

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2023年10月27日

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ネタバレ

「ほかならぬ人へ」「かけがえのない人へ」の2つの物語。「ほかならぬ人へ」主人公は明生(男)、男性視点からの純粋な恋愛小説。

妻であるなずなの裏切りによって彼の人生は大きく変化しする。

だが、その結果として彼は運命の人と短くも幸せな時間を過ごす。

兄弟や幼馴染も含め、多くの人の心と心がすれ違う中、明生が見つけた運命の人である証拠(徴)は素敵な匂いであった。

儚く、切ない物語。

「かけがえのない人へ」結婚を控えたみはる(女)の物語。

ほかならぬ人へがあまりにも切ない物語であったが、本作はその対局にあるような恋愛物語。

結婚相手の中に自分を見つけられず、かつての恋人である黒木との関係を続けていく。

ようやく自分にとっての黒木の存在に気づいたみはるが結婚式前夜に黒木を訪ねるも、そこに彼はすでにいない。

読んでいる間は気づかなかったが、ここに書き込みながら本作の中に込められていた切なさにこのタイミングで気づいた。

説明
内容(「BOOK」データベースより)
「ベストの相手が見つかったときは、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだ」…妻のなずなに裏切られ、失意のうちにいた明生。半ば自暴自棄の彼はふと、ある女性が発していた不思議な“徴”に気づき、徐々に惹かれていく…。様々な愛のかたちとその本質を描いて第一四二回直木賞を受賞した、もっとも純粋な恋愛小説。

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2019年10月12日

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ネタバレ

『ほかならぬ人』、『かけがえのない人』の二編に共通するのは衝動とでも言える、心の底から湧き上がる感情のように思えた。この話での衝動は一時的なものではなく、むしろ積み上げた正確な気持ちであったように感じた。なずな、とみはるは普通の人が躊躇してしまう衝動に身を任せるということをやった。彼女たちのその後の結果がどうであれ、爽快な話だった。

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2025年02月10日

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ネタバレ

表題「ほかならぬ人へ」と、「かけがえのない人へ」の、二編の小説。


「ほかならぬ人へ」
最初は、明生の妻なずなが酷い女のように感じたが、そうとも言いきれない。
仕方がないこと。人を好きになるのは、理屈じゃないから。
自分にとってベストだと思っていた相手は、実はそうではなかった。勘違いだった。
ただそれだけのこと。
匂いが好きだと思う人とは相性が良いと言うけれど、それは間違いないと思う。


「かけがえのない人へ」
みはるが黒木から離れられないのも、わかる。
黒木は結婚してくれそうもないから、みはるは真っ当なエリートと婚約したわけだけど、黒木といる時の自分の方が自分らしくいられたんだろうな、きっと。
黒木は黒木で、みはるの元から立ち去ったのは彼なりの優しさだったんだと思う。
あと、真面目で几帳面な黒木が一切避妊をしなかったのは、生殖能力が無いってことなのかなと。
私の思う黒木と、全く避妊しない黒木が、なんだかちぐはぐに思えて違和感を感じたのだけど、考えすぎかな。




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2025年11月19日

Posted by ブクログ

直木賞作品。明生にはあまり共感できませんでした。お互いの気持ちがうまくいかずじゃんけんみたいだねという渚の言葉が印象に残りました。

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2025年11月14日

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恋愛って怖い
大人になるにつれてする恋愛はどこかで誰かが傷ついてしまうような

だから妥協してはいけない、自分の気持ちに最初からみんな正直であるべきなんだなと

最後の解説の作者の言葉が1番沁みた

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2025年09月18日

Posted by ブクログ

インパクトの強い表紙から、もっとガツンとした内容なのかと勝手に想像してしまっていたので、最初の方は拍子抜けでなかなか頭に入って来なかった。
「ほかならぬ人へ」と「かけがえのない人へ」の2話収録。
どちらも、その時はこれがいい結果だと思って結婚or婚約をしたけど、やはり心から愛する人を選んだ(選び直した)ラブストーリー。キーとなるのは「性」と「死」なのかな?死を目の前にして…離れられない肉体どちらも、決断のキッカケになるとは思うけど、ちょっと軽すぎる内容で、読み飛ばしてしまった(笑)

途中『誰と結婚したって別にたいして代わり映えしないし、その結婚がうまくいこうがコケようが、別に何てことないんじゃないの。』というところで、昔の自分と同じだと笑ってしまいました。結婚して20年過ぎた今、誰でも良いわけではないんだろうな。っと漠然と思うけど、言い切れない自分がいる(笑)

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2024年12月18日

Posted by ブクログ

大人の恋愛。淡々とした感じで展開されていく。
「毎回自分に裏切られながら生きていくしかないんだよ」という言葉がとても印象に残った。

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2024年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

白石一文好きだなって改めて思う。自分が美しいと思う考え方ではないけど、この人が書くと綺麗だと感じる。
特に前編の方が好き。運命の人って言い換えがこんなに綺麗になるのが良いかもって思う。

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2024年06月01日

Posted by ブクログ

初読みの作家さん。
「ほかならぬ人」と「かけがえのない人」の2篇の小説。

とても深い。
「自分にとってのベストな他人は誰なのか?」という命題がテーマとなっている。
この人に違いないという証拠とは、何なのか?
考えると途方も無い空間に投げ出されるような、心がざわざわする感覚になりました。


東海さんや黒木さんが格好良く、恋愛というよりも、人生における真意を突いたセリフの数々にとても共感できました。

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2024年02月07日

Posted by ブクログ

内容自体は特に珍しいものでもないと思う。
ひとが誰かのことをほかならぬ特別なひとだと裏付けるものは何なのか、それは定量的なものではないのかも。
好きな人の香りや匂いは、その香り自体は実は何の意味も無い情報でしかなく、好きな人そのひとに依存しているんだろうなと思う。

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2024年02月03日

Posted by ブクログ

かなり読み進めた後に「あれ?この本前に読んだことあるような……?」と思わせる本がある。
それが、これだった。あるシーンだけ記憶に残っていた。正直に言うと、全体の印象はちと薄い。だけど、記憶に残るシーンを描けるのはすごいと思う。

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2024年01月12日

Posted by ブクログ

人間関係の複雑さと迷い
男と女、恋と愛、結婚と離婚、そして死別など人生にはそれぞれの出会いの選択と別れの選択がある。結婚相手となれば悩まない訳がない、だが「本当にこの人で良いだろうか」は自分自身が決めるしかない。他人の一言や、一時的で気休め的な判断は後々後悔する事は間違いない、だが、それがベストだと誰も言えないのだ。「一大決心」は全て自分が決めることで自分が全て招いていることを忘れてはならない。

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2023年08月26日

Posted by ブクログ

恋愛に関する中篇2作が収められた作品。
一作目の男性主人公がとにかく好きになれなかった。恋愛へのウジウジ具合、理想の持ち方に分かり合えないものを感じる。
二作目の女性主人公は悪くはないものの、相手役の男性のリアリティのなさが気になってしまう。

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2023年06月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

*ネタバレ
気に入ったセリフ抜粋


▼「とにかく私としては一度結婚というキャリアを消化しておきたいの。ー失敗したところで結婚という経験をすることができた、というのが大きいのよ。自分でもいやになるような、この訳の分からない結婚願望のようなものを私は私のこの身体のなかからはやく追い払いたいの」

まさに今の私の心境が言い当てられたようでびっくりした。
本当に結婚したいかと言われれば分からない。
結婚のメリットが分からない。
でも1人で生きていく覚悟はない。
だから、自分の人生経験において、結婚というキャリアを消化しておきたい。

▼「人間の人生は、死ぬ前最後の1日でもいいから、そういうベストを見つけられたら成功なんだよ」

▼「ベストの相手が見つかった時は、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだ」

この小説で「ベスト」は何かを教えてくれる。
この小説の主人公たちは「匂い」と「初めて」だったのだ。

▼「宇津木、生きていたらいろいろあるよ。でもね、何年か経ったらどんなことでも大したことじゃなかったって分かるから。人間はさ、そうやって毎回自分に裏切られながら生きていくしかないんだよ」

思い出したくない過去がある。
“どんなことでも大したことじゃなかったって分かる”
時がたった今、本当にその通りだと思う。
このセリフのおかげで励まされた。

個人的に、思い切り泣いたとか、感動して心揺さぶられたとか、そういう話ではなかった。
ただ、上記に挙げたように、小説の会話の中でハッとさせられるような言葉が刺さった。
しっかり心に残るような、登場人物からのそんな言葉のパワーが感じられた。

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2023年01月02日

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