白石一文のレビュー一覧

  • 光のない海

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    著者は、早稲田大学卒業、文芸春秋入社。藤沢周平などの編集者として活躍。父親は直木賞作家の白石一郎。幼い時から本に囲まれ、本を読みまくっていたようだ。小2でドストエフスキー『罪と罰』を呼んだという逸話も。2000年に『一瞬の光』でデビューし、2010年に『ほかならぬ人へ』で直木賞受賞。本作品は24作品目。文芸春秋は結婚直後のパニック障害と、九州にいた父親の癌で退職している。影響を受けた本はカミュの『異邦人』という。村上龍や司馬遼太郎の作品もほとんど読んでいる。村上というと春樹より個人的には、村上龍の作品という。父親は韓国の釜山生まれで著者の祖父は金持ちだったようだ。弟も双子(白石文郎)で作家。巻

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    2018年12月02日
  • 翼

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    思いがけず泣いてしまった・・・


    一流企業でバリバリ働く里江子は、体調を崩し、クリニックへ。

    そこで、10年ぶりに医師、岳志と再開する。



    彼は里江子の友人・聖子の夫であるが、

    10年前、聖子の彼氏として紹介された翌日に、

    彼は、里江子に「結婚して欲しい」と言ってきた。



    あまりにも突拍子もない話に、とまどいつつも、

    その場は何とか切り抜けたが、

    再開した時、彼は10年前と同じく

    「妻と別れるから結婚して欲しい」と言う。

    そこまで真剣になるわけは。。。?

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    2018年08月31日
  • 光のない海

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    いつもながら、白石作品の中に入り込んでしまった。

    人は誰でも知らないまま生きてきたことを持っていると思う。もし、その時に知っていたら生き方は変わっていたのか?と考えてもどうしようもない。だからこそ、主人公は思わず湖に向かって歩いて行ってしまったのか…?

    家族が家族として生活する意味や、不幸にして別れ別れになってしまった家族を思う気持ちなど、作品を通じて疑似体験した。

    興味深かったのは、犯罪加害者の家族が描かれていたこと。自分ではなく家族が加害者になった時、人は何を考えどう生きるのか…つらく、苦しい気持ちの持って行き場はどこにあるのか?白石さんの思いが堀越夫妻の生き方に現れていて、感動した

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    2018年06月30日
  • 翼

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    【あらすじ】
    東京の半導体メーカーに勤める田宮里江子は、ひょんな事がきっかけで、大学時代の親友の夫・長谷川岳志と10年ぶりに遭遇する。岳志は、親友の恋人でありながら、初対面でいきなりプロポーズしてきた男であった……。直木賞作家のTwitter連載小説として、新聞各紙(讀賣新聞、日本経済新聞)で取り上げられ話題となった恋愛小説。何度も読んで、何度も涙するという読者が続出した。鉄筆文庫の創刊第一作であり、直木賞作家・白石一文の文庫最新作。

    【感想】
    読み終えてまず思ったのが、主人公にあなたは悪くないよと言ってあげたいと思ったことだった。あなたは岳志を救い切れなかったよ。もう少し早くいろんなことに

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    2018年06月29日
  • 永遠のとなり

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    福岡で同級生だった二人が大人になって一通りの社会生活を送った後また付き合い始める。人生の意味は?自分と同年代の二人なので何となく考えさせられる。

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    2018年05月12日
  • 一瞬の光

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    読みやすい文章の中に、生きるとは何か、愛とは何か、という示唆が散りばめられていて、素敵な小説だった。

    自分を愛していないと人を愛することはできないが、人を自分以上に愛して初めて本当に自分を愛することができる

    というメッセージは心に刺さった。

    自分も死にたいと思った時に必ず顔が浮かぶ人がいる。その人のことを思うと、自分の死後その人はどれだけ悲しむだろうかと思うと死ぬことなどできないと思わされる。
    もし自分が1人だけだったら自殺など簡単にできてしまう気がするが、私はその人を自分以上に大切にしたいと思えるから自分のことも大切にしようと思うのだ、と本書を読み終えて言語化できた。

    『僕のなかの壊

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    2018年05月08日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上

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    とても変わった小説。この世の中はVirtualなのかRealなのか? 直接は見ることもない貧しく恵まれない人に心を寄せる。何となく引き込まれる。

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    2018年01月31日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上

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    (オーディオブックにて)
    こんな小説初めて。主人公の内面を中心に物語が展開する。
    頭の中で様々な思いや考えが文字として記録されているような。
    ストーリー自体はよくある小説なのだろけど、人間の思考ってこんな感じ、と自分でも思う。
    経済の話や哲学に脱線をするが、それも人の思考の中にあることだと思うし、(知っていることもあるが)これはかなり勉強にもなる。
    自分を取り囲む人々との関係、自分の(おそらく)未来との邂逅。ガンになったからこそ見えてくるもの。

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    2017年12月31日
  • 一瞬の光

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    とても切ない恋の物語。客観的にはどちらの女性と一緒になればいいのかは一目瞭然ですが、感情とは厄介なもの。でもとても尊いもの。嘘や計算して人生が上手くいっても一時のもので、最後に残るのはやはり感情や内に秘めた思い。それがよりわかるストーリーでした。
    それとサラリーマンの出世の苦労が鮮明。今もどこかでこのような取引がなされているんじゃないかと、現実味を帯びるような感じに描かれています。
    切ない終わりになっていますが、読んでよかった!と思わせる一冊でした。

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    2017年12月23日
  • 彼が通る不思議なコースを私も

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    一気読みをした。
    どんどん展開する状況に必死でついていきながら、最後の最後ではっ?と、予想外の結末。

    でも、非常に興味深かった。
    心に残る箇所はいくつかあったが、読み終えた時に2か所マーキングしていた。
    記録のために残そう。

    「大勢の人の命を救うために大事故の現場に駆けつけようとしてて、途中で溺れかけている人を見つけたとしたら、やっぱりその溺れている人を救うしかないからね。大のために小を犠牲にするという間違った考えがいまの教育をめちゃくちゃにしているのは確かなんだからさ。」

    「…本当はね、みんなが同じ時期に同じ内容の授業を受けたり、同じ年齢で、同じ試験を受けて選別されたりする必要なんて全

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    2017年06月30日
  • 翼

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    心の底から愛した運命の人が隣にいない。そんな人生に意味はあるのか!?の誘い文句に惹かれて読んだ。読みやすくて、スッと話が入った。

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    2017年04月06日
  • 彼が通る不思議なコースを私も

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    これまでのどの白石作品よりも
    ストーリーが流れて心情の描写が豊かで
    素敵な作品だった。
    特殊能力を持つ主人公の話はあまり得意なのではないのだが、主人公の椿林太郎が持っているとされる未来の予言能力は、特殊なのではなく、
    彼なりの理屈が積み重なって創り上げられた力であるような気がした。
    普通という括りからはみ出された人に
    特別な目ではなく、見捨てることなく
    世の中の普通の流れに返してあげるような人間が持つ強さが救えるのは、ほんの一握りなのかもしれないが、多くの人が歩みを止めずに通り過ぎる問題にも解決の道しるべを示してくれる人は必ずいるのだという勇気をもらった。

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    2017年03月15日
  • 彼が通る不思議なコースを私も

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    ひさしぶりに白石さんの本を読みました。
    割とじっくりと読まないと頭に入らない印象があったのですが、これはグイグイと引き込まれていきます。

    結局二人がどうなるのか結末がわからないのが、モヤモヤするかもしれませんが、個人的には霧子がたぶん林太郎を受け入れるだろうな、と思えたのでハッピーエンドに感じました。

    他の人にも勧めたい作品です。

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    2017年02月08日
  • 永遠のとなり

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    生きるのは確かに辛いよなあ。小学生からの親友は、1人はがんに、ひとりはうつ病に。
    でもこの友の存在がどれだけ生きる支えになっているか。
    そうか、永遠のとなりってそういう願いを込めたタイトルかって今気づいた。

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    2018年12月28日
  • 永遠のとなり

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    私、この作家さん好きです。
    うつ病ってそうなんだって、実感できる表現。がんを患うとそうなんだって胸に迫る表現。

    あとまだ何冊か購入済み。楽しみ。

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    2016年06月07日
  • 永遠のとなり

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    ネタバレ

    久し振りに「白石一文」さんです。
    何を読んでも、
    ズシン!
    と、
    何かが残るし考えさせられるので、
    ちょっと、
    自分が今「ぶれてるかも?」しれない。
    と、
    思ってる時にほど読みたい作家さんなんですね。

    解説を読むとあっさり書かれてます。
    主人公は青野精一郎で、
    早稲田に進んで趣味は絵を描くことだったみたいで、
    保険会社に就職し、
    結婚して、
    会社が合併による意識改革でへこたれ、
    部下を自殺に追い込んでしまった自責の念からか、
    本人までも鬱病になる。
    それと、
    鬱になった原因は不倫にあるのかも?
    否、
    それぞれがからまって鬱になったのかもですね。

    親友のあっちゃんこと、
    津田敦もちょっと変わ

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    2016年02月26日
  • 心に龍をちりばめて(新潮文庫)

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    いつも通り白石一文の文章に、
    彼の描く物語に魅了されてしまいました。

    彼の描く舞台ではよく
    一定の成功を収めた男、あるいは女たちが
    それぞれ生きていく上での
    本質に触れるような事態に直面し、
    自身の生き方を問うて、
    惑いながらも最善を選び取っていく。

    極端に見えることもしばしばだが、
    人生の半ばを過ぎた大人になった自分には、
    彼の言わんとしている事柄が
    絶妙に琴線を震わせる。

    彼の紡ぐ物語をもっと読みたい…

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    2015年10月26日
  • 不自由な心

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    「いくら真面目で一生懸命に生きてみたところでたしかにそれきりでは、ただの自分勝手、ひとりよがりでしかあるまい。『一人きり』とは、他人に対する思いやりや慈しみをどんどん喪失してゆく、単にわがままで貧しい行為にすぎないのではないか」

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    2014年08月25日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下

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    上巻は時間を掛けて、下巻は一気に読んだ。若くして癌を患って再発の可能性がある中で生きる雑誌編集長の主人公。彼の「生きる」という行為に対する根源的な問いかけに心を揺さぶられる。必然の今を生きることこそが「矢を抜く」ことになるのか。まだ自分の中で消化しきれていない。再読したい。

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    2014年07月12日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下

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    ネタバレ

    上巻よりも下巻の方が面白かったかも。
    相変わらずの引用はちょっと難しい部分やくどい部分もあり、頭に入ってこないところもありましたが、カワバタがどのように救われていくのか追っていくのが面白かったです。
    まさかDVから助けだしたユリエと一緒になっていくとは思いませんでした。
    白石さんお得意のスピリチュアルな要素も双子に絡めて展開されていましたが、思わず納得しそうな感じでした。

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    2014年06月10日