白石一文のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
白石 一文は、日本の小説家。父は直木賞作家の白石一郎。双子の弟は小説家の白石文郎。2010年「ほかならぬ人へ」で直木賞を受賞。
親子で直木賞だけあって、文体は素晴らしく、読み応えがあり、展開も早く、吸い込まれそうに読み応えある。
NHKのドラマ「一億円のさようなら」の原作者。
1.「ほかならぬ」とはどういう意味ですか?
ほかの人ではない。 まさにその人である。 特別な関係にある。 ほかならぬ。)
「ベストの相手が見つかったときは、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだ」…妻のなずなに裏切られ、失意のうちにいた明生。半ば自暴自棄の彼はふと、ある女性が発していた不思議な“徴”に気づき -
Posted by ブクログ
読み終わって本を閉じたとき、思わず「読み終わったー」と口に出して言ってしまった。比較的厚い本なのでバッグに入れて持ち歩くのも重かったが、その内容も充分に重かった。
主人公の冬木亜紀の、29歳から40歳までの約10年間を描いた超大作である。
恋愛、仕事、結婚、出産。
いくつになっても夢は諦める必要はないと世間は言うけど、でもやっぱり年齢的なものが原因で、手放さざるを得ない願いはある。
あのときああしていれば、もしかしたら。
違う選択をしていたら、今頃は。
そんな気持ちになったことがない人なんて、この世にいるのだろうか。
『運命』という漢字は、ウンメイともサダメとも読める。
サダメと読むと『定 -
Posted by ブクログ
ネタバレ冬木亜紀は佐藤康とプロポーズを一度は断ったが、10年後に自分からプロポーズをして康と結婚することになる。
この作品は「運命」がキーワードとなっている。
亜紀と康が一度は離れても再度繋がったみたいに、運命という糸で生まれてきた時点できまっているのでは?と考えさせられました。
運命に抗っても、あらかじめ決まっていることには立ち向かえない。
だから人生って流れに身を任せて生きていくもんだと思いました。
どこで誰といつ繋がるか分からない。
誰も未来は予想できない。
そこに人生の面白さや難しさが集約されていると思います。
大人の恋愛小説の方が淡々と読み進めることができるので、好きだと改めて感じました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白いんだけど、奥さんの大金を手にした時の決断がなんか現実離れ感半端ない。
こんな大金困ってる時に使うなり、放置せず寄付するなり世の中に金を循環させてくれよと思う。
考え方に今一つ共感できず、好きになれない。
美人という描写にますます、??でした。
ふっつーのおばちゃんが億万長者の方がリアルですね。
ですが、ストーリー的には好み。
まぁ何があるってわけじゃないけど、1人の男の人生を覗き見している気分になった。
ただ主人公の側面である野生的な大胆さがあまりピンとこない。
最後はアッサリしていたような。
半沢直樹的な仕返しを期待していたんだけどな。 -
Posted by ブクログ
悲しい人間。感情を押し殺し、他人の思想や知識で自分を納得させて、人を冷めた目で見て、常に孤独や絶望を感じながらも今を生きている。
それでも無条件に子供に優しく、自分の時間を投資するところもあり、彼なりの愛はどこで境界づいているのだろう、と。
2歳の頃のエピソードも心打たれた。限界まで追い詰められるにはあまりにも小さすぎた、その衝撃ゆえの記憶力、知識量なのだ、といった流れにもすごく納得感があった。
ラストの衝撃もなかなかだが、彼以外の人の絶望さも丁寧に描いていて、とても良かった。
性的描写は突如として出てきて多めなのでそこは覚悟が必要。
110/140 -
Posted by ブクログ
タイトルに吸い寄せられて、購入。
久し振りに電車の中で泣きそうになり(と言うか、実際泣いて、本を閉じ)心を揺さぶられた一冊。
表題作の「ほかならぬ人へ」と「かけがえのない人へ」の二作。
私が泣いたのは、「ほかならぬ人へ」。
良家の御曹司として生まれた明生は
「断りもなくこんな自分として生まれさせられ、断りもなくその自分を奪われてしまう。
だとしたら、生きている間のわずかな時間だけでも自分を守り抜き、
自分をこの世界におくりだした何者かに対して抗いつづけなければ」という一心で、「自殺しない」でいる人間(解説より)。
その明生が出会い、結婚した妻・なずながかつて恋人であった幼馴染みと、自分