白石一文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ白石氏の作品はこれで二作目。
前回読んだ『僕の中の壊れていない部分』が見事なまでのダメンズ小説!?であったので、今回もきっとスかした女ったらしみたいな主人公がわぁわぁいう小説かなあと勝手なイメージを描いていました。ところが、かなりほっこり系の作品でした。
ちなみに本作、短篇二つと中篇一つの計三篇からなる作品となっております。
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なかでも印象的であったのは表題作の中篇「どれくらいの愛情」です。
内容は言ってしまえば、オクテな甘味店経営者が一度別れたスナック嬢と最終的に結ばれる、という筋。
なんて書くと、女性慣れしていない小金持ちが、手練れの器量よしとなんだかんだでくっつく、みたい -
Posted by ブクログ
この方の本を読むのは初めて。
近所のちょっとおしゃれな本屋でおすすめされていて、手に取った。
女性という性別を神聖視・特別視しすぎでは?としらけつつ、起承転結に富んだドラマを毎週それなりに楽しみに見るような気持ちで読み終えた。
たしかに私も妊娠出産を通じて、「いのちとは、ただただ連綿と紡いでいくものなのだ。私も、私の先祖たちが連なる長い長い人間の営みの歴史を構成する1人に過ぎないのだ。」と、雄大な時間に思いを馳せたりした。
ただ、本作の描かれ方はちょっと綺麗事すぎる感じで、当事者の女性としては、もっともっと生々しくて苦しくてどうにも割り切れないどろどろした部分だってあるんだけど、男性からは -
Posted by ブクログ
永遠のとなり。
それは友情であったり、故郷であったり、病であったりだけれど、永遠にとなりにあって決して混じることはないんだろうと思いました。
個々、という感じ。並び立つと言ってもいいかもしれません。
それは苦しみでも寂しさでもなく、救いなんだろうな。
冒頭からせいちゃんとあっちゃんの待ち合わせ場所が香椎浜イオンモールだったのでたいへん動揺し、実家が東区込みのエリアなので(福岡市内ではない)なにもかも土地勘バリバリある中読み進めるという珍しい読書体験でした。
菓子折り文化もちゃんとある。
このレベルの流暢な博多弁、喋らない地域の方には読み難いんじゃなかろうかと思ってしまった。語尾同じだけど意味 -
Posted by ブクログ
これ映画化したとき「男女がただヤッてるだけの映画」って評してる人いたけど、小説も平たく言うならそんな感じ。
結婚を10日後に控えた直子と、昔関係を持っていたいとこの賢治が再会し、肉欲に溺れる。言うなればそれだけの物語。
白石一文さんの著作なので、そこに哲学はあるというか(私が掴みきれているかは謎だが)人間の原始的な部分に迫った作品だと思う。あと男女のセックス観の違いとか。すれ違い、理解しあえないことも多々あるので。
背景に「富士山噴火」「大震災」があるから、どうせそうなるのであれば背徳的な関係に突っ走るとか享楽に溺れるみたいなこともあるだろうとは思える。
普通ではない状況のとき人間はどうなる