白石一文のレビュー一覧
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永遠のとなり。
それは友情であったり、故郷であったり、病であったりだけれど、永遠にとなりにあって決して混じることはないんだろうと思いました。
個々、という感じ。並び立つと言ってもいいかもしれません。
それは苦しみでも寂しさでもなく、救いなんだろうな。
冒頭からせいちゃんとあっちゃんの待ち合わせ場所が香椎浜イオンモールだったのでたいへん動揺し、実家が東区込みのエリアなので(福岡市内ではない)なにもかも土地勘バリバリある中読み進めるという珍しい読書体験でした。
菓子折り文化もちゃんとある。
このレベルの流暢な博多弁、喋らない地域の方には読み難いんじゃなかろうかと思ってしまった。語尾同じだけど意味 -
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これ映画化したとき「男女がただヤッてるだけの映画」って評してる人いたけど、小説も平たく言うならそんな感じ。
結婚を10日後に控えた直子と、昔関係を持っていたいとこの賢治が再会し、肉欲に溺れる。言うなればそれだけの物語。
白石一文さんの著作なので、そこに哲学はあるというか(私が掴みきれているかは謎だが)人間の原始的な部分に迫った作品だと思う。あと男女のセックス観の違いとか。すれ違い、理解しあえないことも多々あるので。
背景に「富士山噴火」「大震災」があるから、どうせそうなるのであれば背徳的な関係に突っ走るとか享楽に溺れるみたいなこともあるだろうとは思える。
普通ではない状況のとき人間はどうなる -
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鉄平は、妻の夏代が二十歳くらいの頃、伯母から遺産を相続しており、相続財産は総額四十八億円程度となっているという秘密を偶然知ってしまいます。
夏代はなぜ結婚前からの遺産の存在を隠し続け、一切手をつけなかったのか。なのに、どうして突然カナダのバイオベンチャーに二億円を出資したのか。
遺産をずっと秘密にされてきた鉄平は、妻のこと、家族のことを何も信じられなくなってしまいます。
妻を信じられなくなった鉄平の気持ちも、夫に遺産を隠し続けてきた夏代の気持ちも、どちらもわかるような気がします。家族や結婚生活について、自分だったらどう思うか、考えてしまいます。 -
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下巻に入ると、山下やよいさんにぐっと近づいていきます。彼女が結婚式をしたという教会や、阪神大震災の犠牲者名簿などから、少しずつ居場所を手繰り寄せていく、この過程が一番ワクワクしたかも。
その後は、何かがぱあっとひらけていくような展開を期待していたもののそうはならず、一度はテンションが下がってしまったのですが、最後の「あとがきに代えてーー白石一文『神秘』を語る」まで読んだとき、ああ、この本は「がん(病)の治し方」を、「生きたまま生まれ変わる」ことは可能であることを、具体的に示してくれた小説だったのだと納得しました。
すべては必要な展開だったのです。この小説の中には、なにひとつ無駄はなかった。 -
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〈来年の今頃には、この〝私という意識〟を永遠に失う。これから迎える秋が最後の秋であり、そのあとの冬が最後の冬なのだ。来春の桜が最後の桜になるのだ。そして、次の秋や冬を私が過ごすことはおそらくない〉
膵臓の末期がんで余命一年と宣告された五十三歳の〈私〉、菊池三喜男。現在は東京の大手出版社の役員。二十年前、月刊誌の編集部員だった〈私〉は、一本の電話を受けた。それは山下やよいという女性からで、信じがたい内容だったが、試しに彼女の言う通りにしたら、そのときひどく捻挫していた左足が、電話越しに治ってしまったのだった。そのやりとりを記したメモを手に、その女性を探すため神戸へ向かう。
小説に登場する場所