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Posted by ブクログ
〈来年の今頃には、この〝私という意識〟を永遠に失う。これから迎える秋が最後の秋であり、そのあとの冬が最後の冬なのだ。来春の桜が最後の桜になるのだ。そして、次の秋や冬を私が過ごすことはおそらくない〉
膵臓の末期がんで余命一年と宣告された五十三歳の〈私〉、菊池三喜男。現在は東京の大手出版社の役員。二十年前、月刊誌の編集部員だった〈私〉は、一本の電話を受けた。それは山下やよいという女性からで、信じがたい内容だったが、試しに彼女の言う通りにしたら、そのときひどく捻挫していた左足が、電話越しに治ってしまったのだった。そのやりとりを記したメモを手に、その女性を探すため神戸へ向かう。
小説に登場する場所、人物、社名などがすべて実名なので、これはフィクションなのかどうかわからなくなりますね。おかげでリアリティがあります。
話の展開がゆっくりなのは、新聞に連載されていた作品だからでしょうか。上巻では、山下やよいさんを探すことは探すのですが、それよりもまず神戸での暮らしが中心に描かれます。人々との出会いと街の風景が穏やかで、余命一年という事実を忘れてしまうほどの幸福感。神戸には私も行ったことがあるので、三宮駅周辺やルミナリエなど、また行きたくなりました。
さて、下巻ではどんな展開が待っているのか、めっちゃ気になる。すぐ行こう。
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