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余命一年の末期がんを宣告された私は、すべてを棄てて旅にでた。 奇跡を追って、世界の迷宮へ―― 「私は超能力で病気や痛みを治すことができる」。20年前、山下やよいと名乗る女は電話越しに菊池の足の捻挫を癒やしてみせた――53歳で末期がんを宣告された菊池は奇妙な体験を思い出し、彼女を見つけ出せれば、がんは治癒すると直感する。あらゆる治療を放棄し、たった一度電話で話しただけの女に、いのちを委ねることを決意する。 私たちの人生の神秘を解き明かす傑作長編。
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Posted by ブクログ
おじさんの闘病記かと思いきや、なんか違う。本人は至って真面目な語り口なのに、所々でクスッと笑えるユーモアがあり、どんどん引き込まれていきました。下巻が楽しみです。
〈来年の今頃には、この〝私という意識〟を永遠に失う。これから迎える秋が最後の秋であり、そのあとの冬が最後の冬なのだ。来春の桜が最後の桜になるのだ。そして、次の秋や冬を私が過ごすことはおそらくない〉 膵臓の末期がんで余命一年と宣告された五十三歳の〈私〉、菊池三喜男。現在は東京の大手出版社の役員。二十...続きを読む年前、月刊誌の編集部員だった〈私〉は、一本の電話を受けた。それは山下やよいという女性からで、信じがたい内容だったが、試しに彼女の言う通りにしたら、そのときひどく捻挫していた左足が、電話越しに治ってしまったのだった。そのやりとりを記したメモを手に、その女性を探すため神戸へ向かう。 小説に登場する場所、人物、社名などがすべて実名なので、これはフィクションなのかどうかわからなくなりますね。おかげでリアリティがあります。 話の展開がゆっくりなのは、新聞に連載されていた作品だからでしょうか。上巻では、山下やよいさんを探すことは探すのですが、それよりもまず神戸での暮らしが中心に描かれます。人々との出会いと街の風景が穏やかで、余命一年という事実を忘れてしまうほどの幸福感。神戸には私も行ったことがあるので、三宮駅周辺やルミナリエなど、また行きたくなりました。 さて、下巻ではどんな展開が待っているのか、めっちゃ気になる。すぐ行こう。
何年か振りに既読の本をそうとは知らず購入してしまった。 いい機会なので6年振りに再読。 6年前の自分が書いたレビューと同じように 今回も主人公の癌と告げられた後の冷静さに驚く。 忘れていた箇所も多く、再読を引き続き楽しみます。
貪るように読んでいた時期があった白石作品。 久しぶりに読んだが、静謐で重いところから、仙人のような境地に至る心の動きに心を掴まさせられる。 『スティーブ・ジョブズ』『城之崎にて』を読もうと思う。
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