白石一文のレビュー一覧

  • 心に龍をちりばめて(新潮文庫)

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    久々に小説を読んで泣いた。
    家族愛に関する話はどうしても心が動いてしまう。

    言葉がすっと入ってくる、いい小説。
    家族の想いは伝わりにくいけど、
    生きているうちに許すことができれば。

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    2015年11月27日
  • どれくらいの愛情

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    初期の作品よりも小説の質が上がったな、というのが第一印象。

    どの作品も、根源的な心の動きについて、問いかけてくるものが多かった。
    特に表題作で、主人公と晶についての関係について先生が言ったことが、心の中に染みた。
    喪失の恐怖は、喪失するかもしれない状態で起こるもの。喪失した瞬間に恐怖は消えて、心の中に永遠に残る、といった内容だったと思う。
    また、「20年後の君へ」で出てくる安西くんの優しさと強さに心打たれた。読み終わってから和んだ。

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    2012年11月10日
  • どれくらいの愛情

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    短編集。不倫の話ばかりなのが嫌なんだけど、はっとさせられる台詞が多い。舞台が福岡だから、色々想像できていい。何度も読み返してしまう本。

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    2012年10月14日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下

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    唐突に思える本やインタビューの引用から、主人公の思考へと移ったり、後で前の思考を思い直したりしながらストーリーが進む。
    物事を多面的に見たり、ひとつのことを深く考えすすめるのが好きな人に向いてる本かも。

    引用はどれも興味深くて考えさせられるし、ストーリー自体も自分が生きている世界と違う場所で生きている人たちが出てくるので面白く読むことができました。
    この方の本は初めて読んだのですが、また別の作品も読んでみたいと思いました。

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    2012年09月03日
  • 心に龍をちりばめて(新潮文庫)

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    白石さんの作品はどれもこんなタッチだなあと良い意味で思う。
    男女の恋愛や愛を実にいい感じで描写していて引き込まれていく感じがいい。
    結末にはこれまたいい意味で裏切られ、ひとりニンマリかな。

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    2012年07月14日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下

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    面白かった。というか飽きなかった。
    白石一文らしい作品。

    ドロドロの競争社会を生きているカワバタ。自らも汚く染まっている。
    息子を幼くして亡くし、自らはガンに冒され、ヤケになっているのかすべてを諦めているのか。
    それでも世界のあらゆる事象について思索を巡らせる。

    長い引用には多少辟易させられたが、けっこう勉強になった。
    ラストがあっさりし過ぎで物足りなさを感じるけど、読後感は良い。

    フジサキリコはいったい何だったんだろう。

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    2012年05月29日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上

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    このひとやっぱりすごいひと。


    かなり主張つよい。経済、市場、政治など。

    そして神と、過去と未来。



    僕たちは今の中にしか生きられない。歴史の中に僕たちはもうどこにもいないのだ。

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    2012年05月18日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下

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    小説的過ぎる展開に多少面食らったけど、最後のほうで主人公が説く倫理観・人生観に共感する点が多々あり。ラストシーンも自分の好みでした。
    ただ上巻の感想にも書いた通り、極度の性描写・暴力描写は必要ないかな。決して綺麗事が好きなのではなく、あくまでもバランスという事ですが。

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    2012年05月02日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上

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    山本周五郎賞受賞作品。ガンを宣告されている週刊誌編集長、カワバタから見つめる、醜く歪んだ世の中が綴られている。資本主義社会の富の集中について、職業格差、正義について、自由競争という名の不平等。私生活や職場の出来事、ストーリー進行を通して、語られる社会観念が、鋭く胸に突き刺さります。若干、人の傲慢さが嫌いになる本です。

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    2012年04月21日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下

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    本当にいつも最後がいい。
    息するのも忘れるくらい
    一文字一文字を追い、
    まるでそこにいるかのような、
    想像力を研ぎ澄ましてくれる描写。
    自分を取り巻く不平等な世界、策略渦巻く社内人事、見せかけだけの夫婦関係、死。なぜ人は生きる。頭の良い川端は「必然」という考え方で全てをみようとしていた。運命なんかじゃないと。これまで読んだ作品の中で1番白石さんの世界観が強く盛り込まれていただけに、やや偏っているところもあり、気持ちが離れるところもあった。けれど、何より美しいラストで全てチャラ。救われた。再読したい良本。

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    2012年03月25日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上

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    新しい!!

    この本は小説の形態をしてはいるものの、随所にミルトン・フリードマンなどの著名な経済学者たちの引用、それに相対する主人公カワバタの経済歴史感が挟み込まれ、一見すると「反新自由主義」を標榜する単なるプロバガンダ媒体のように思えてしまう。
    (だとしても私自身作者のプロバガンダには首肯できるが)読み手によってはその主張の強さに若干抵抗感を持つかも知れない、だが!その点を差し引いても、小説としてのストーリーが秀逸!!
    胃ガンに冒されながらも真摯に生と向き合う主人公の様子を通じて、どう生きるか、家族の在り方、社会との関わり方を考えさせられる。
    しばしば出てくるカワバタと女性たちとの絡みは、男

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    2012年03月15日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上

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    世の中のことを考えさせられた本である。様々な引用文が随時出てきて興味深く、小説でありながら深くじっくり読んでしまった。恐らくまた再読することになると思うので手元に残しておこうと思う。

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    2012年03月14日
  • 心に龍をちりばめて(新潮文庫)

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    ネタバレ

    仲間優司がものすごくかっこいいっ!

    最後はハッピーエンドだろうなぁと簡単にわかるんだけど、
    陽も陰も受け入れる、そんなところが惹かれます。

    どんな風にして、どんな形で、
    2人がハッピーエンドになるのか・・・
    運命というにはちょっとイマイチな感じもあったけど。

    なぜかこの人の前ではこうなる自分があったり、
    なぜかこの人はずっと近くにいてくれるような感じが
    つながりってそういうものというか、
    愛情というのはどんなときもただそばにいることだなぁと思った。

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    2011年11月26日
  • 不自由な心

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    究極の男性像の描写。男の「性」の追求。真面目な顔して会議で発言するおっさんも美人の女子社員を前にすると理屈抜きに本性が露わになってしまう。男って何て単純で不完全なんだろう。どんなに年齢を重ねても「自我」が確立されない。露わにならない。

    女性の視点から見ると本書で描かれてる男性像は到底理解し難いものだろう。男のわたしでさえ嫌悪する部分があるくらいだから。
    白石さんが小説を通じて伝えようとしているメッセージを抜きにすれば、男尊女卑の肯定かという考えさえ脳裏を過る。
    だが、白石さんが小説に託す想いには並々ならぬものが感じられる。それこそが、彼の描く人物像(総じて不完全で不器用、ナルシズムの塊である

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    2011年03月10日
  • 不自由な心

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    短編というにはタップリ感のある短編集。
    何かがきた。
    テーマは恋愛小説かもしれないが何か違う気がする。
    この世に生まれてきた全員が間違いなく経験する死というものに対して、何故ここまで恐怖に感じ恐れおののかなくてはならないのかという問いかけのような気がした。
    実は途中で気がついたのだけど、この作品は2度目の購入だった。
    以前読んだ時はここまでは心に深く入ってこなかった。
    やはり自分の経験・感じ方で受け取るコトが全然違ってくる。
    もうしばらくは白石一文ワールドに浸ってみたいと思う。

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    2011年02月06日
  • すぐそばの彼方

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    ネタバレ

    終わりはあれでいいのかなぁ。
    お金と自立と愛情関係について言及しているけど、あの終わり方って、それに対する適切な答えだったのだろうか。

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    2010年12月24日
  • 不自由な心

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    やはし、この作家さんは好きだ。他の人が書いたらありえんと、嫌悪しそうな登場人物(エリート会社員ばかりで、容姿もよく愛人に困らない人たち)と出来事(癌、事故、自虐など死につながるもの)なんだけど、なんだろう・・・ぐいぐいくる。

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    2010年09月05日
  • 不自由な心

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    05年3月。5つの短編集。
    この本を女性が薦めてくれた不思議さ。男の気持ちがわかってくれたかな。
    ぼくは自分の人生を考えてしまった。
    ぼくにとって貴重な物語をありがとう。


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    2009年10月07日
  • すぐそばの彼方

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    読んでみての感想ですが、うん、面白かったです。ただ、難しかった。まだ一度しか読んでないですが、世界観(政治的側面)や構造(時間軸が交錯する)が少々僕のオツムには高尚過ぎた感はあります。もう一度読まなければ…。

    で、その上でレビュー。てんで頓珍漢なこと述べてしまうかもしれませんが、そこはまあご愛嬌というところで。

    著者が早稲田の政経卒ということもあってでしょうか、政治に対しての洞察は深いものがあったと思います。国内、国外の政治に関する詳細なデータが所狭しと書き綴られ、また歴史的な事項に関する記述も相当にありました。政治や歴史などに関しては完全に門外漢である僕(いや、単純な勉強不足です。は

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    2009年10月04日
  • すぐそばの彼方

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    読んだことのないタイプの本だった。
    終始、政界のいろんな話が出てきて、政治に興味のない私は、途中で読むのをやめようかという気にもなった。
    けれど、物語の本質はそんなところにあるんじゃなかった。
    結局は人間の物語。
    総理大臣を目指す龍三の次男として産まれた主人公の龍彦は、甘い考えで大切なものを失ってしまう。
    自らも精神的なショックから手首を切り、自殺を図るが、一命をとりとめる。
    いろんな人が龍彦のことを支えてくれる。
    みんな大人で気付かないのは龍彦だけ。

    まるで自分の人生をみているような錯覚に陥る。
    最後の最後に、失ってはいけなかったものに気づく。
    何がハッピーエンドなのか

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    2009年10月04日