白石一文のレビュー一覧

  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上

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    山本周五郎賞受賞作品。ガンを宣告されている週刊誌編集長、カワバタから見つめる、醜く歪んだ世の中が綴られている。資本主義社会の富の集中について、職業格差、正義について、自由競争という名の不平等。私生活や職場の出来事、ストーリー進行を通して、語られる社会観念が、鋭く胸に突き刺さります。若干、人の傲慢さが嫌いになる本です。

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    2012年04月21日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下

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    本当にいつも最後がいい。
    息するのも忘れるくらい
    一文字一文字を追い、
    まるでそこにいるかのような、
    想像力を研ぎ澄ましてくれる描写。
    自分を取り巻く不平等な世界、策略渦巻く社内人事、見せかけだけの夫婦関係、死。なぜ人は生きる。頭の良い川端は「必然」という考え方で全てをみようとしていた。運命なんかじゃないと。これまで読んだ作品の中で1番白石さんの世界観が強く盛り込まれていただけに、やや偏っているところもあり、気持ちが離れるところもあった。けれど、何より美しいラストで全てチャラ。救われた。再読したい良本。

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    2012年03月25日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上

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    新しい!!

    この本は小説の形態をしてはいるものの、随所にミルトン・フリードマンなどの著名な経済学者たちの引用、それに相対する主人公カワバタの経済歴史感が挟み込まれ、一見すると「反新自由主義」を標榜する単なるプロバガンダ媒体のように思えてしまう。
    (だとしても私自身作者のプロバガンダには首肯できるが)読み手によってはその主張の強さに若干抵抗感を持つかも知れない、だが!その点を差し引いても、小説としてのストーリーが秀逸!!
    胃ガンに冒されながらも真摯に生と向き合う主人公の様子を通じて、どう生きるか、家族の在り方、社会との関わり方を考えさせられる。
    しばしば出てくるカワバタと女性たちとの絡みは、男

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    2012年03月15日
  • この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上

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    世の中のことを考えさせられた本である。様々な引用文が随時出てきて興味深く、小説でありながら深くじっくり読んでしまった。恐らくまた再読することになると思うので手元に残しておこうと思う。

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    2012年03月14日
  • 心に龍をちりばめて(新潮文庫)

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    ネタバレ

    仲間優司がものすごくかっこいいっ!

    最後はハッピーエンドだろうなぁと簡単にわかるんだけど、
    陽も陰も受け入れる、そんなところが惹かれます。

    どんな風にして、どんな形で、
    2人がハッピーエンドになるのか・・・
    運命というにはちょっとイマイチな感じもあったけど。

    なぜかこの人の前ではこうなる自分があったり、
    なぜかこの人はずっと近くにいてくれるような感じが
    つながりってそういうものというか、
    愛情というのはどんなときもただそばにいることだなぁと思った。

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    2011年11月26日
  • 心に龍をちりばめて(新潮文庫)

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    主人公がやっぱり「美人」だったり「生活レベルが高い」という設定なのは置いておいて、話の先がとても気になる展開に、一気読みした。
    ところどころ疑問に思う点があったけど、それでも「運命」や「つながり」を軸に進む物語にはぐいぐい引き込まれた。
    仲間優司というキャラクターと博多弁がなんとも言えず良かった。
    白石さんの作品を読み始めたばかりで、今のところ「私という運命について」が一番気に入っているけど、これはそれに次ぐ好きな作品。

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    2011年09月28日
  • 不自由な心

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    究極の男性像の描写。男の「性」の追求。真面目な顔して会議で発言するおっさんも美人の女子社員を前にすると理屈抜きに本性が露わになってしまう。男って何て単純で不完全なんだろう。どんなに年齢を重ねても「自我」が確立されない。露わにならない。

    女性の視点から見ると本書で描かれてる男性像は到底理解し難いものだろう。男のわたしでさえ嫌悪する部分があるくらいだから。
    白石さんが小説を通じて伝えようとしているメッセージを抜きにすれば、男尊女卑の肯定かという考えさえ脳裏を過る。
    だが、白石さんが小説に託す想いには並々ならぬものが感じられる。それこそが、彼の描く人物像(総じて不完全で不器用、ナルシズムの塊である

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    2011年03月10日
  • 不自由な心

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    短編というにはタップリ感のある短編集。
    何かがきた。
    テーマは恋愛小説かもしれないが何か違う気がする。
    この世に生まれてきた全員が間違いなく経験する死というものに対して、何故ここまで恐怖に感じ恐れおののかなくてはならないのかという問いかけのような気がした。
    実は途中で気がついたのだけど、この作品は2度目の購入だった。
    以前読んだ時はここまでは心に深く入ってこなかった。
    やはり自分の経験・感じ方で受け取るコトが全然違ってくる。
    もうしばらくは白石一文ワールドに浸ってみたいと思う。

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    2011年02月06日
  • すぐそばの彼方

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    ネタバレ

    終わりはあれでいいのかなぁ。
    お金と自立と愛情関係について言及しているけど、あの終わり方って、それに対する適切な答えだったのだろうか。

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    2010年12月24日
  • 不自由な心

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    やはし、この作家さんは好きだ。他の人が書いたらありえんと、嫌悪しそうな登場人物(エリート会社員ばかりで、容姿もよく愛人に困らない人たち)と出来事(癌、事故、自虐など死につながるもの)なんだけど、なんだろう・・・ぐいぐいくる。

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    2010年09月05日
  • 不自由な心

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    05年3月。5つの短編集。
    この本を女性が薦めてくれた不思議さ。男の気持ちがわかってくれたかな。
    ぼくは自分の人生を考えてしまった。
    ぼくにとって貴重な物語をありがとう。


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    2009年10月07日
  • すぐそばの彼方

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    読んでみての感想ですが、うん、面白かったです。ただ、難しかった。まだ一度しか読んでないですが、世界観(政治的側面)や構造(時間軸が交錯する)が少々僕のオツムには高尚過ぎた感はあります。もう一度読まなければ…。

    で、その上でレビュー。てんで頓珍漢なこと述べてしまうかもしれませんが、そこはまあご愛嬌というところで。

    著者が早稲田の政経卒ということもあってでしょうか、政治に対しての洞察は深いものがあったと思います。国内、国外の政治に関する詳細なデータが所狭しと書き綴られ、また歴史的な事項に関する記述も相当にありました。政治や歴史などに関しては完全に門外漢である僕(いや、単純な勉強不足です。は

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    2009年10月04日
  • すぐそばの彼方

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    読んだことのないタイプの本だった。
    終始、政界のいろんな話が出てきて、政治に興味のない私は、途中で読むのをやめようかという気にもなった。
    けれど、物語の本質はそんなところにあるんじゃなかった。
    結局は人間の物語。
    総理大臣を目指す龍三の次男として産まれた主人公の龍彦は、甘い考えで大切なものを失ってしまう。
    自らも精神的なショックから手首を切り、自殺を図るが、一命をとりとめる。
    いろんな人が龍彦のことを支えてくれる。
    みんな大人で気付かないのは龍彦だけ。

    まるで自分の人生をみているような錯覚に陥る。
    最後の最後に、失ってはいけなかったものに気づく。
    何がハッピーエンドなのか

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    2009年10月04日
  • ほかならぬ人へ

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    作者は飛び抜けてロマンチストなんだろうなと、白石作品を読み終えると毎回思う。
    現実を知りつつ、それでも尚ロマンチストで居られる事に
    一種の憧れみのようなそんな感情を持つ。

    中編の作品が2つ。
    表題作じゃなく、もう1つのかけがえのない人へが好きだった。

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    2026年01月30日
  • ほかならぬ人へ

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    恋愛とは結婚とは何か。
    恋愛には何か確たる証拠となるものがあるのか。自分自身にもわからない抑えられない衝動。嗅覚からでもきっかけとなる本能的なもので、言葉で説明できない。一緒にいて安心でき、相手の幸せを願うことができる。
    結婚とは儀式であり、社会的な体裁。恋愛とは相反し、本能ではなく理性でするもの。お互いの幸せのためではなく、生存においての戦略。自分の中の消したい又は変えたい負の気持ちを結婚がきっかけでリスタートできる期待を込めた感情的な側面もある。

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    2026年01月18日
  • つくみの記憶

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    過去の猫神様による因縁に纏わる不思議な恋愛物語。
    建築会社営業の純平は幼馴染みで恋人の友莉が居る身である日アルバイト勤務の同僚つくみと知合う。純平はつくみに対し何故かデジャブ的な感覚に囚われ恋心を抱き結ばれるもそれを友莉に目撃され友莉とは破局しつくみと結婚する。
    読み進める内に純平とつくみを中心に弟の耕平とその恋人、耕平の親友とその恋人、失恋した友莉を導く七輪優作等が、過去大分の猫神を祀る小島から津久見に移り住んだ人達の子孫で繋がっていた事が分かってくる。又、現在のつくみはこの猫神様の生まれ変わりで幼少時純平が病で死渕を彷徨う時に純平の母の命と引き換えに身を捧げ純平を救った因縁が解き明かされる

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    2026年01月18日
  • 一億円のさようなら

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    全く前情報なしのまま読んでみた。

    タイトルは象徴的な始まりであり、テーマ的には人間関係、共有されなかった事実がどうそれを変えていくか、それを踏まえて互いの理解に辿り着けるかを描いた作品。
    主人公の行動・心情、加えて環境や風景などを丁寧に描いており、理解のしやすさにはつながっているが、逆に行動や心理が現実として考えるとずれている部分もあり、共感しにくい部分もあった。
    伏線の様な不穏な要素も散りばめられており、先が気になってページをめくったものの、終わり方は物足りない様にも感じた。
    電子書籍で読んでいてあとどれくらいかもわからなかったこともあり、その印象が強まったかもしれない。
    また、章が代わ

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    2026年01月16日
  • 一瞬の光

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    ネタバレ

    会社での権力争いの中で垣間見える主人公のエリートぶりと香折との関係性の対比が美しい。
    また、この物語の哀愁漂う雰囲気が好きです。
    ただ個人的にはラストの終わり方があまり納得できませんでした。

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    2026年01月02日
  • 睡蓮

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    白石ワールド、全開でした。

    これほどまでに、人生に捧げる人がいるのか?
    なんとも、羨ましくもあり、怖さもあり。

    しかし、数奇な人生、運命はあるものなのか・・・
    といつも、著者の作品を読んで思います。

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    2025年12月24日
  • 僕のなかの壊れていない部分

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    読むのがしんどかったっけど、
    作者がいう壊れていない部分がどこなのかを知りたくて読んだ。
    生き方をずっとぐるぐる考えていて、自己嫌悪にすぐ陥ったり、人のぬくもりを結局求めてしまって見苦しい言葉をつらつら言ってしまう主人公の、欠落した人間性で作品の8割ほどが占拠されてる。
    その欠落した人格の中、まだ自分の居場所を見つけられる希望そのものを微かに持っていて、
    それがおそらく壊れていない部分なのだと思う。
    えりこがキーパーソンとして考えられる。
    この人の向き合い方が主人公のダメさを表出している。
    キリがない。
    キリがないこの絶望の中で、探す可能性に縋って生きていくしかない。これが正義か悪かはわからな

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    2025年12月21日