白石一文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下巻p316
「あなたはあなた自身をひたすらに見よ、と。あなた自身を常に見失わず、あなた以外のありとあらゆる存在に対して身構え、なすべきことをなせ、と。あなた以外のありとあらゆる存在を慈しみ慰めるために、いまこの瞬間に自らが欲することをなせ、と。あなたはいまここにしかいない。そのあなた自身があなたという必然の唯一の根拠なのだ、と。だから、たったいまあなたはなすべきことをなせ、と。」
語りたかった一言は結局、ここに収束するでしょう。ストーリーを書くことはふさわしくない。そういう内容だったと思う。主人公もほかの登場人物も、そして巻き起こる事件も素材でしかない。大切 -
Posted by ブクログ
新しい!!
この本は小説の形態をしてはいるものの、随所にミルトン・フリードマンなどの著名な経済学者たちの引用、それに相対する主人公カワバタの経済歴史感が挟み込まれ、一見すると「反新自由主義」を標榜する単なるプロバガンダ媒体のように思えてしまう。
(だとしても私自身作者のプロバガンダには首肯できるが)読み手によってはその主張の強さに若干抵抗感を持つかも知れない、だが!その点を差し引いても、小説としてのストーリーが秀逸!!
胃ガンに冒されながらも真摯に生と向き合う主人公の様子を通じて、どう生きるか、家族の在り方、社会との関わり方を考えさせられる。
しばしば出てくるカワバタと女性たちとの絡みは、男 -
Posted by ブクログ
究極の男性像の描写。男の「性」の追求。真面目な顔して会議で発言するおっさんも美人の女子社員を前にすると理屈抜きに本性が露わになってしまう。男って何て単純で不完全なんだろう。どんなに年齢を重ねても「自我」が確立されない。露わにならない。
女性の視点から見ると本書で描かれてる男性像は到底理解し難いものだろう。男のわたしでさえ嫌悪する部分があるくらいだから。
白石さんが小説を通じて伝えようとしているメッセージを抜きにすれば、男尊女卑の肯定かという考えさえ脳裏を過る。
だが、白石さんが小説に託す想いには並々ならぬものが感じられる。それこそが、彼の描く人物像(総じて不完全で不器用、ナルシズムの塊である