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Posted by ブクログ
ある事件をきっかけに精神面が壊れてしまった男の再生の物語であり、後半では「運命の人と共に生きる事を選ぶこと」白石一文節、炸裂の男女の物語でした。
この作者が政治家を描くのは珍しいと思います。ただ本作はかなり初期の作品であることから政界を舞台にする物語も当時の作者としては意欲的な作品だったのかなぁって白石ファンとしては考えちゃいますね。
どんなに私利私欲や権力欲まみれようとも最後の最後は日本国を愛する政治家の一人…その矜持は絶対になくさない。この辺の件は堪らんもんありますね。なんか大和魂までは売り物にはしてないよって印象でした。みんな戦っているんですね。
ともあれ最後の最後はね…ええ展開で良かったです。愛する人の元へ戻る決断…難しかったろう。いっぱい考えたろう。
運命の人を絶対に離すな!これこそが白石節だなぁ〜
Posted by ブクログ
まず、タイトルが良い。
物理的なことではなく、自分以外の人との距離感を言っているように思います。
物語は 政治の話が大半で、読みづらさもありますが、登場人物たちの会話の中での気付きは、白石さんらしいなぁと感じました。
「愛」の反対語は、憎しみではなく「無関心」という マザー・テレサの言葉。物語の中では、政治家の本質について、良し悪しを語られていますが、人は孤独でありながら それでも人によって生かされている ということを考えさせられます。
人は人との合成によって初めて奇跡を生む。人は人とつながることで奇跡となるのだ。一人一人の人生にたとえ一切の意味がなかったとしても、人間の集合には必ず意味がある。その表象こそが政治...だそうですが、これは 会社にも社会にも当てはまることのように思います。
龍彦と結ばれなくても、彼の子供が欲しいと願い、一生を共にできなくても 二人は運命的な時間を共有できたと信じ、出会えて良かったと言う、薫の印象的な言葉。
「幸せは今にしかない。明日や明後日や何ヵ月先や何年先の幸福を願うのは、ずるい人のすることだと思う。」「自分のことを考えすぎると、きっと誰かのことをひどく傷つけてしまう。」
そして、タイトルにつながる龍彦の
「すぐそばにある最も大切なものほど いつも遠い彼方にあるのかもしれず、遠い彼方にある最も大切なものほど本当は すぐそばにあるのかもしれない。」と いう言葉が印象的でした。
ラストは、龍彦の失ったものが ようやく彼を解放し、読み終えて良かったと思いました。
Posted by ブクログ
読んでみての感想ですが、うん、面白かったです。ただ、難しかった。まだ一度しか読んでないですが、世界観(政治的側面)や構造(時間軸が交錯する)が少々僕のオツムには高尚過ぎた感はあります。もう一度読まなければ…。
で、その上でレビュー。てんで頓珍漢なこと述べてしまうかもしれませんが、そこはまあご愛嬌というところで。
著者が早稲田の政経卒ということもあってでしょうか、政治に対しての洞察は深いものがあったと思います。国内、国外の政治に関する詳細なデータが所狭しと書き綴られ、また歴史的な事項に関する記述も相当にありました。政治や歴史などに関しては完全に門外漢である僕(いや、単純な勉強不足です。はい)は、いきおい、読み飛ばさざるを得ない箇所も多々…汗顔のいたりです。
世界は全て主人公の主観を通して展開されています。
ある事件を通してカミーユばりに精神崩壊してしまった主人公が、政治の世界を通して徐々に再生していく様が描かれているんですね。なので、作品の中では徹底して「政治の傍で生きる人」と「それ以外の人」という二項対立が描かれています。
前者は極めて理知的、というか世俗的、端的に言えばおそらく僕たちが政治家に対して抱いているであろうイメージそのまんまで描写されています。
一言で言うと「なーんか、嫌な奴らだなぁ…コイツラ…」みたいな感じですか。確かに嫌な感じの奴らなのですが、それでも彼らの悲しみや苦しみ、そして政治というものが原初的に内在している業というものを分かりやすく描いていた。
『金はそんなに汚いか。(中略)織田信長のように鉄砲買ってそこらじゅうでぶっ放すやり方と、太閤さんのように大判小判バラまいて笑って宥めすかすのと、どっちが日本人は好きなんだ』
今の政治のあり方、確かに良くない部分も多々あるんでしょうが、それでも長い時間をかけて構築されてものです。
『暴力につぐ暴力による制圧、それがもたらす退廃的な世界』
とか、
『くだくだしく対話して、悠久とも言える時間をかけておいて結局事態は一歩も進まないという無力感』
を政治家は誰よりも感じているんでしょうか。
金を全ての尺度として計ること…世俗にまみれたやり方でありながら、しかし最も合理的で生産的なやり方−−と、妄信的に思うことはできませんが、しかしそういう側面はあるんでしょう。
それはともかくとして、後者、つまり政治の世界から遠い人たちも登場します。
主人公は最初はこちらの側から段々と政治の世界へとスライドしていくことになります。おそらく単純な政治小説ならばどちらかの視点のみに重点が置かれたのかもしれないんですけど、主人公が最初「とてつもなく弱い人間」として描かれていたので、政治・非政治の間で揺れ動く様はそれなりの説得力がありました。悪い言い方をすれば『どっちつかず』とも取れますけど。
中盤あたりから政治色が一気に強くなるので、作品に流れる空気としては非政治な人たちに対する言外の侮蔑感ってのはあったと思うんですよ。その中で主人公も徐々に政治の側で生きようと決意していく。
それはおそらく、政治の世界に生きる人間の強さ、たくましさ、もしかしたらしたたかさ、に魅力を感じたからなのでしょう。明確な記述はありませんでしたが主人公がそういう憧れを抱いたであろうことは推察できます。彼は己が精神崩壊したことにかなり自責の念を感じていました。強くなりたい、自分が強くさえあればああはならなかったはずだ…というような感じで。
その彼にとって、政治家のタフさは輝いて見えたはずです。ある意味で情緒や感情などを一切捨てて、政治という戦争の世界に身を置く彼らが誰よりも強く見えた。反射的に、感情論や建前論ばかりに終始する非政治な人たちの中に身を置くことが苦痛になる。政治の世界に行かなければ自分はまた弱くなるかもしれない、と葛藤する。その中で彼は政治の世界へ身を投じていく。
しかし彼を再生してくれたのは、他ならぬ政治の傍にいなかった人たちなんですよね。つまり主人公が蔑み始めた人たち(非政治的な人)が「前提」となり、彼は政治の世界に身を投じるという「結果」が得られる。確かに非政治的な毎日の中で主人公は自己崩壊をきたしたのですが、それを救済したのは政治ではないんですよね。この辺りが物語のコアでした。単純な「政治家マンセー!」的な作品じゃなかったというか。まあ、ありがちとも言えますけど…。
概ねこんな感じでしょうか。ラストは、ああ、まあ、そうくるかー、ってなもんですか。賛否両論あるみたいですね。僕的にはもう少しボリュームが欲しかったかもしれません。
Posted by ブクログ
読んだことのないタイプの本だった。
終始、政界のいろんな話が出てきて、政治に興味のない私は、途中で読むのをやめようかという気にもなった。
けれど、物語の本質はそんなところにあるんじゃなかった。
結局は人間の物語。
総理大臣を目指す龍三の次男として産まれた主人公の龍彦は、甘い考えで大切なものを失ってしまう。
自らも精神的なショックから手首を切り、自殺を図るが、一命をとりとめる。
いろんな人が龍彦のことを支えてくれる。
みんな大人で気付かないのは龍彦だけ。
まるで自分の人生をみているような錯覚に陥る。
最後の最後に、失ってはいけなかったものに気づく。
何がハッピーエンドなのかは解釈の違いはあるけれど、裏切ってでも守らねばならないものもある。
この本を何も感じずに読める人もいるのだろうか。
私は深く落ち込んだ・・・
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