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4年前の不始末から精神的に不安定な状況に陥っていた龍彦の父は、次期総裁レースの本命と目されていた。その総裁レースを契機に政界の深部に飲まれていく龍彦。愛と人間存在の意義を問う力作長編!
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Posted by ブクログ
なんておもしろい政治の世界。。。 ありていに言えばその一言です。 主人公は与党第二派閥の領袖の息子。 権力闘争おもしろいっすわww 白石さんの作品にしては珍しい話ですが。 でも白石さんの作品はどれもおもしろいんですがね。 ちなみに他の作品は政治の話じゃないっす。 くれぐれも政治一辺倒...続きを読むの紋切り型の作家だと勘違いなさらぬように。 特に男の子におすすめです☆
ずいぶん前に読んだのでうろ覚えだが、序盤のほぼ廃人のような生活から中盤の政治家として手腕を発揮するまでにかけての移り変わりが、主人公の目を通して描かれているところが面白かった。 そして感動のラスト。ネタバレになってしまうため詳しくかけないのが残念だが、このラストを読むためだけにこの本を買ってもいいく...続きを読むらい。 白石一文の著作の中で一番いい。
デビュー作で代表作の「一瞬の光」より良かった。「一瞬の光」では社内抗争の話が面白く、恋愛の方はなんというか、例えば大学生が「愛とは何か」を友達とだべってるのを聞くようで全く面白くなかった。本書では政治抗争についての部分が「一瞬の光」に於ける社内抗争の部分よりも分量が多く、愛の方の分量が比較的少なく、...続きを読む却ってそちらにも感情移入出来た。
政治の話は登場人物と関係性を何度も見返さないとわからなくなった。心の休まる本当の愛情や自分の居場所に、まわり道をしながら辿り着くお話。ラストの善し悪しはあるけれど、自分に正直にという点だけで言えば共感出来る。「男の人は魅力を感じた女をだんだん愛するようになるけど、女は愛した男にだんだん魅力を感じるよ...続きを読むうになるの。だから男はその女に魅力を感じなくなれば愛も薄れていくけど、女は愛している限りはその男がどんなに変わっても引きずられていくの。」確かに。響く言葉でした。
ある事件をきっかけに精神面が壊れてしまった男の再生の物語であり、後半では「運命の人と共に生きる事を選ぶこと」白石一文節、炸裂の男女の物語でした。 この作者が政治家を描くのは珍しいと思います。ただ本作はかなり初期の作品であることから政界を舞台にする物語も当時の作者としては意欲的な作品だったのかなぁって...続きを読む白石ファンとしては考えちゃいますね。 どんなに私利私欲や権力欲まみれようとも最後の最後は日本国を愛する政治家の一人…その矜持は絶対になくさない。この辺の件は堪らんもんありますね。なんか大和魂までは売り物にはしてないよって印象でした。みんな戦っているんですね。 ともあれ最後の最後はね…ええ展開で良かったです。愛する人の元へ戻る決断…難しかったろう。いっぱい考えたろう。 運命の人を絶対に離すな!これこそが白石節だなぁ〜
今読みましたが発売当時に読んでいたら私の人生はずいぶん違った方向になったような気がします。30歳までに読んでおいてほしい本です。
まず、タイトルが良い。 物理的なことではなく、自分以外の人との距離感を言っているように思います。 物語は 政治の話が大半で、読みづらさもありますが、登場人物たちの会話の中での気付きは、白石さんらしいなぁと感じました。 「愛」の反対語は、憎しみではなく「無関心」という マザー・テレサの言葉。物語の...続きを読む中では、政治家の本質について、良し悪しを語られていますが、人は孤独でありながら それでも人によって生かされている ということを考えさせられます。 人は人との合成によって初めて奇跡を生む。人は人とつながることで奇跡となるのだ。一人一人の人生にたとえ一切の意味がなかったとしても、人間の集合には必ず意味がある。その表象こそが政治...だそうですが、これは 会社にも社会にも当てはまることのように思います。 龍彦と結ばれなくても、彼の子供が欲しいと願い、一生を共にできなくても 二人は運命的な時間を共有できたと信じ、出会えて良かったと言う、薫の印象的な言葉。 「幸せは今にしかない。明日や明後日や何ヵ月先や何年先の幸福を願うのは、ずるい人のすることだと思う。」「自分のことを考えすぎると、きっと誰かのことをひどく傷つけてしまう。」 そして、タイトルにつながる龍彦の 「すぐそばにある最も大切なものほど いつも遠い彼方にあるのかもしれず、遠い彼方にある最も大切なものほど本当は すぐそばにあるのかもしれない。」と いう言葉が印象的でした。 ラストは、龍彦の失ったものが ようやく彼を解放し、読み終えて良かったと思いました。
途中で何度、ページをめくるのを止めたことか。 物語の進行も遅いし、主人公の情けないことと言ったら。 しかし、最後まで読み終えることができて心からよかった。 この小説は残り30ページから物語が加速するのだ。 次期総理の椅子を狙う父のもと、金に不自由することなく生きて来た龍彦。編集者の仕事をこ...続きを読むなし、家庭も築く彼。しかし、実はぬるい生活だったと気づいた時の絶望。弱さ故に、詐欺行為を働き、あげくの自分を貶める事件。そんな彼が唯一愛した女への愛に気づいた時、彼の「再生」が始まる。 男が幸せをつかむということに、違和感を覚えるオイラだ。(意外と硬派なのかも。笑)男は女を守れてなんぼだとずっと思って来た。しかし、龍彦には幸せになってもらいたいと思ってしまった。 過去に龍彦が裏切った愛人、薫の言った言葉。 「幸せは今にしかないと思うんです。明日や明後日や何ヶ月先や何年先の幸福を願うのは、ずるい人のすることだと思う」 今という時間を死ぬ気で生きようと、改めて思うのだ。
白石一文は3冊目。父親は次期総理候補、妻は建設業界大手の娘。仕事・結婚とエリートに育ったが、薫との出会いをきっかけに大きく挫折する。 終わり方だけ、しっくりこないかったかな。後半は選挙中心で話が流れてたのに、う~む。でも基本的には好きな作家だな。
読んでみての感想ですが、うん、面白かったです。ただ、難しかった。まだ一度しか読んでないですが、世界観(政治的側面)や構造(時間軸が交錯する)が少々僕のオツムには高尚過ぎた感はあります。もう一度読まなければ…。 で、その上でレビュー。てんで頓珍漢なこと述べてしまうかもしれませんが、そこはまあご愛嬌...続きを読むというところで。 著者が早稲田の政経卒ということもあってでしょうか、政治に対しての洞察は深いものがあったと思います。国内、国外の政治に関する詳細なデータが所狭しと書き綴られ、また歴史的な事項に関する記述も相当にありました。政治や歴史などに関しては完全に門外漢である僕(いや、単純な勉強不足です。はい)は、いきおい、読み飛ばさざるを得ない箇所も多々…汗顔のいたりです。 世界は全て主人公の主観を通して展開されています。 ある事件を通してカミーユばりに精神崩壊してしまった主人公が、政治の世界を通して徐々に再生していく様が描かれているんですね。なので、作品の中では徹底して「政治の傍で生きる人」と「それ以外の人」という二項対立が描かれています。 前者は極めて理知的、というか世俗的、端的に言えばおそらく僕たちが政治家に対して抱いているであろうイメージそのまんまで描写されています。 一言で言うと「なーんか、嫌な奴らだなぁ…コイツラ…」みたいな感じですか。確かに嫌な感じの奴らなのですが、それでも彼らの悲しみや苦しみ、そして政治というものが原初的に内在している業というものを分かりやすく描いていた。 『金はそんなに汚いか。(中略)織田信長のように鉄砲買ってそこらじゅうでぶっ放すやり方と、太閤さんのように大判小判バラまいて笑って宥めすかすのと、どっちが日本人は好きなんだ』 今の政治のあり方、確かに良くない部分も多々あるんでしょうが、それでも長い時間をかけて構築されてものです。 『暴力につぐ暴力による制圧、それがもたらす退廃的な世界』 とか、 『くだくだしく対話して、悠久とも言える時間をかけておいて結局事態は一歩も進まないという無力感』 を政治家は誰よりも感じているんでしょうか。 金を全ての尺度として計ること…世俗にまみれたやり方でありながら、しかし最も合理的で生産的なやり方−−と、妄信的に思うことはできませんが、しかしそういう側面はあるんでしょう。 それはともかくとして、後者、つまり政治の世界から遠い人たちも登場します。 主人公は最初はこちらの側から段々と政治の世界へとスライドしていくことになります。おそらく単純な政治小説ならばどちらかの視点のみに重点が置かれたのかもしれないんですけど、主人公が最初「とてつもなく弱い人間」として描かれていたので、政治・非政治の間で揺れ動く様はそれなりの説得力がありました。悪い言い方をすれば『どっちつかず』とも取れますけど。 中盤あたりから政治色が一気に強くなるので、作品に流れる空気としては非政治な人たちに対する言外の侮蔑感ってのはあったと思うんですよ。その中で主人公も徐々に政治の側で生きようと決意していく。 それはおそらく、政治の世界に生きる人間の強さ、たくましさ、もしかしたらしたたかさ、に魅力を感じたからなのでしょう。明確な記述はありませんでしたが主人公がそういう憧れを抱いたであろうことは推察できます。彼は己が精神崩壊したことにかなり自責の念を感じていました。強くなりたい、自分が強くさえあればああはならなかったはずだ…というような感じで。 その彼にとって、政治家のタフさは輝いて見えたはずです。ある意味で情緒や感情などを一切捨てて、政治という戦争の世界に身を置く彼らが誰よりも強く見えた。反射的に、感情論や建前論ばかりに終始する非政治な人たちの中に身を置くことが苦痛になる。政治の世界に行かなければ自分はまた弱くなるかもしれない、と葛藤する。その中で彼は政治の世界へ身を投じていく。 しかし彼を再生してくれたのは、他ならぬ政治の傍にいなかった人たちなんですよね。つまり主人公が蔑み始めた人たち(非政治的な人)が「前提」となり、彼は政治の世界に身を投じるという「結果」が得られる。確かに非政治的な毎日の中で主人公は自己崩壊をきたしたのですが、それを救済したのは政治ではないんですよね。この辺りが物語のコアでした。単純な「政治家マンセー!」的な作品じゃなかったというか。まあ、ありがちとも言えますけど…。 概ねこんな感じでしょうか。ラストは、ああ、まあ、そうくるかー、ってなもんですか。賛否両論あるみたいですね。僕的にはもう少しボリュームが欲しかったかもしれません。
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