吉川英治のレビュー一覧

  • 新・平家物語(二)

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    保元の乱から平治の乱までを描いています。
    貴族と武士の力関係が逆転するきっかけとなった時代の節目だけに興味深い。それ以上に負けた側と勝った側の人間模様も考えてしまいますね。

    敗者の崇徳天皇の讃岐での悲哀。奢り高ぶる信西と権力の中枢から滑り落ちる藤原頼道。その信西も源氏により殺されてしまう。それも文覚のこの一言に集約されていると思う。

    「人間にとって何よりの毒は権力だよ。」

    親兄弟でも、反目しあい、殺しあう時代。「今日の友は明日の敵」の世界。後に頼朝が人間不信になってしまうのも分かる気がします。しかし、大河ドラマの世界と言うのは一度、小説などを読んでから見ないと歴史認識が誤りますね。

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    2013年08月03日
  • 新・水滸伝(一)

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    ネタバレ

    初・水滸伝。 未完で終わったと知りつつも、読み始めてしまった。

    <ネタバレ>
    えらいたくさん登場人物がでてくるのは知っていたけれど、それがなぜ108名もいるのかは知らなかった。人間の強欲によって開かれてしまった扉。そこから弾け出た108名の星宿。
    何かに流されるがごとく、梁山泊へと集まってゆく。

    大義名分、同情に値する理由は大きくあるけれど、それでも殺戮にまみれて自らの手を汚してきた登場人物たちが”悪の根元”である高俅を成敗せんと向かって行く。善悪の棲み分けが曖昧なようでいて、とても明確であることの矛盾が面白い。

    一番好きなのは、黒旋風・李逵。吉川英治の描く黒旋風は、とんでもなく無邪気で、いつだって迷惑を背負ってやってくるくせにどこか憎めない。最後の最後も彼のおちゃめで笑えるエピソードで物語りが終わってしまっているのも、巡り合わせだなぁと思う。作者の彼に対する愛情がとても良く伝わってきた。

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    2013年07月20日
  • 宮本武蔵(8)

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    試合前、武蔵が伊織に対してかける言葉が深く心に残る。「ひとたびお世話になった方のご恩を忘れないこと、武道だけでなく学問にも励み、謙虚に、人の避けることも進んでやること。肉親がいないため僻みやすくなるが、温かい人の中にすめ。人の温かさは、自分の心が温かくなければわからない。長い生涯があるが命は惜しめ。事ある時、国・武士道のため、捨てるために命を惜しめ。」
    美しい師弟関係が人を育てるのだと改めて思う。

    天稟の才能である小次郎の剣と努力で築いた武蔵の剣。最後は、武蔵の信じた精神の剣が小次郎の信じた技や力の剣を打ち勝ち、幕を閉じた。

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    2013年06月28日
  • 三国志(六)

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    ネタバレ

    魏の張遼、呉の甘寧、蜀の趙雲子龍が今回は大活躍。
    老将の黄忠も、快勝!
    そしてとうとう玄徳は、王位に即位し漢・呉・蜀の三国志の形になった。

    相変わらず孔明にしてやられる曹操が愉快だ。

    この巻では、残念ながら関羽の活躍はなかった。

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    2013年06月16日
  • 宮本武蔵(6)

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    あれになろう、これに成ろうと焦るより、富士のように、黙って、自分を動かないものに作り上げろ。世間へ媚ずに、世間から仰がれるようになれば、自然と自分の値打ちは世の人が決めてくれる。

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    2013年06月12日
  • 新・平家物語(一)

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    新平家物語を再読。
    武士が貴族の犬として存在した時代。時代が混とんとする中、平家の忠盛、清盛や源氏の為義、義朝らが力を付けていく。人が生きると言う事はきれいごとではないと改めて感じました。

    いつの時代であっても権力闘争と言うのは尽きない悩みの様です。
    鳥羽上皇と崇徳天皇の親子間の確執。悪左府頼長と道長の兄弟間の確執が混乱や権謀渦巻き、争いの火種となる。

    悪左府頼長の政治への態度は敵も多いと思いますが、実は政治に対して最も真剣だったのではないか。そして、妻子を捨て、仏の道を選択した西行こと佐藤義清もまた、人生に対して正直だったのだと再読して感じました。

    奢れるものも久しからずと言いますが、人間ほどほどに奢るのが一番だと思います。

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    2013年06月03日
  • 私本太平記(八)

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    この作品もようやく読破。約4ヶ月であるから、月に2冊のペースで読みきったことになる。日本史好きな私ではあるが、もともとこの時代は好きでもないし詳しくもなかったのだが、職場の同僚SYUくんが「くちゃくちゃで訳わからなくなるから」と半ば強制的にくれたため読み始めたのである。
    読んでみると、彼が言っていたほどはくちゃくちゃでもなく、訳が分からなくて方向性を見失うことはなかった。最終盤において、足利直義と高師直のナンバー2争い、尊氏と直義の兄弟喧嘩などが畳み掛けるように勃発しているさまを言っていたのだろうが、もともとこの辺りは高校時代の大河ドラマで観ていたし、先に読んだ「日本の歴史 第8巻 南朝と北朝(小学館)」において予習済みだったので、余裕で飲み込むことができたのである。
    おしなべて言うと、あまり楽しい時代ではない。それが、二つの皇室が乱立していたから、という高尚な理由ではなく、魅力を感じたキャラクターが少ないからである。足利尊氏は言うまでもない。つまり、本作品でも凡庸でどこかのんびりしたキャラクターという設定であるので格好いいとは思えない。彼を見習って現代のビジネスに投影しようとも思わない。まあ多少、仁義に熱い楠木正成が格好良いといえば格好良いのだろうが、本作品においては彼もどこかつかみどころのないキャラに仕上がっている。なので、いつかまた機会があれば北方謙三あたりの南北朝モノを読んでみて、吉川太平記との違いを感じながら魅力あるキャラクター探しをしてみようかなと思っているところ。
    正直、今の感想は「やっと、無事に終わった」ということ。ようやく私の大好きな戦国時代に戻れる。

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    2013年06月01日
  • 私本太平記(七)

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    本作品の主人公は紛れもなく足利尊氏だろう。そしてライバルとして楠木正成が据えられている。まあ、同じ源氏出身同士で仲違いをした新田義貞を合わせれば二人か。いや、後醍醐天皇も入れれば三人か。ならば護良親王も合わせれば四人…と、まあ主人公を引き立てせるためには幾人かのライバルを登場させるのが小説のやり方。話を戻そう、楠木正成。彼はどの時代人においても評価が高く、戦前などは彼が超ベビーフェイスで、尊氏がヒールという扱いだった。それは勿論、後醍醐天皇を敵に回した尊氏と、支え続けた正成という図式だからである。本作品は戦後描かれた作品であり、そんな図式にはとらわれず、この二人のキャラクターを魅力たっぷりに描いている。そこが画期的な作品なのだろう。そのライバル同士が、憎み合うことをせず、お互いに認め合うシーンは読んでいて清々しいものがあった。尊氏が一色右馬介を使いにやらせて正成を味方に引き入れようとするシーン、正成が後醍醐天皇に「義貞を切って尊氏と和睦を進めるべき」と迫るシーン…。本作品上ではこのライバル二人は一度しか会ったことがないのだが、これぞ宿命といった感じがした。
    一度は敗れながらも、九州に落ち、再び盛り返す尊氏。戦力不足ながらもそれを迎え撃たんとする正成。いよいよ次巻、クライマックスを迎える。

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    2013年06月01日
  • 私本太平記(五)

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    長旅になる覚悟をしていた本作品であるが、いつの間にか折り返しを過ぎた。足利高氏、佐々木道誉、新田義貞らがどんどん鎌倉幕府を裏切り、武士の世はいったん滅亡。倒幕にあたっての高氏と道誉の食えぬ関係での友情、高氏と義貞の微妙な関係、どれも興味深く楽しめた。
    そして建武の新政がスタート。楮弊により庶民が右往左往する様は哀れさを通り越して滑稽だった。それを普及させようと工夫を凝らす道誉もまた面白い。
    前巻までは時間がゆっくりと流れていたが、今後はペースアップしていくこと間違いなしである。楽しみになってきた。

    以下に興味深かった内容を引用しておきたい。

    ・世良田の南へ半里、利根川べりに行きあたる。そこの川岸の里は地名を徳川といい、新田氏の一支族、徳川教氏の住地だった。この世良田徳川の子孫が、遠い後に江戸幕府の徳川将軍家となったのである。だから、代々の徳川家は、祖先新田氏をおろそかにしなかった。
    →この、徳川家康の祖先が新田義貞である説は現在の学説ではかなり疑い深いものであるが、吉川英治氏は見事言い切っている。系図好きな私もこうした言い切りが好きであるが。そのほうが夢があっていい。

    ・下郎、雑武者などは、自分らの敗北を聞こえよく飾るため、競って敵方の兵力を誇大に言う。またその惨烈さを吹聴する。裏切りの続出をののしりわめく。
    →これは現代においても同じ。スポーツでも喧嘩でもビジネスでも、自身の敗北を相手の強さや外的要因などに結論付け、自身の落ち度から目を逸らさせようとする。私も思い当たる点があるだけに、くすりと笑ってしまった。

    ・せっかくな古典もこんなわかりきった作為を弄したりするものだから、後世の学者に「太平記は信ずるに足らず、史料に益なし」とほかの箇所まで全面的に無視されることもあったりした。
    →吉川英治氏の、原作:太平記に対する愚痴。こんなのも歴史小説には良いスパイスとなるのだ。

    ・戦いは戦いだけで終わらない。敵を消し去ると、すぐまた味方同士、味方内の仮想敵を見つけ出す。それは政略という腹の中で始まる。
    →これも現代に同じ。人間の根本は中世も現代も変わっていないのだ。

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    2013年06月01日
  • 三国志(四)

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    曹操の勢い止まらず。しかし、孔明がいよいよ登場し、軍師としての頭脳を実践で開花。曹操と玄徳の戦いがいよいよはじまる。

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    2013年05月26日
  • 三国志(三)

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    ネタバレ

    薫承(とうしょう)らの陰謀も叶わず曹操の天下に。
    全てを手に入れたい曹操(そうそう)が次に望んだのは、なんと玄徳(げんとく)の腹心、関羽(かんう)だった。
    これが実に、切ない片想いなので笑える。
    曹操の恋、という表現も、男同士でも恋って言うんだーと納得。

    変人の学者、禰衡(ねいこう)や、愚かな呂布(りょふ)の最後など、登場人物が相変わらず個性的で面白いんだけど多すぎて真剣に読んでいないとついていけない。

    それにしても関羽かっこ良すぎ!
    曹操に対しても、精一杯誠実に忠義を守ろうとするあたりが、惚れてしまう。
    はっきり言って玄徳よりあなたが主役級。

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    2013年05月20日
  • 神州天馬侠(一)

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    子供の頃にわくわくしながら読んだ冒険時代活劇。
    人を乗せて飛ぶ巨大鷲などは、テンプレながら子供心をくすぐる王道アニマル!吉川英治だけあって読みやすいのもよし。

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    2013年05月11日
  • 宮本武蔵(二)(新潮文庫)

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    お通、城太郎、沢庵、又八、お甲、朱美、武蔵 までが大きな流れ。さらに吉岡清十郎、佐々木小次郎が盛り上げる。

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    2013年04月30日
  • 三国志(二)

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    曹操はすごい魅力的なんだろうな。敵方の武将を次々に自分の手中におさめちゃうから。孫策、貂蝉とか色々面白い人物も活躍。

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    2013年04月23日
  • 宮本武蔵(5)

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    又八のための助言や、剣術でなく剣道を志すことを悟る姿を通して、武蔵の人格に益々惚れ込む。自分のためでなく人のために何故剣を使わないのかー石田母記の言葉がすごく心に響いた巻。誰のために頑張るのか。自分のためだけであれば勿体無い。人のために力をつけるのだ。

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    2013年04月10日
  • 宮本武蔵(一)(新潮文庫)

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    宮本武蔵、どういう人物か知りたく手に取った。そして、その人間的魅力に引き込まれる。これぞ、小説の醍醐味。

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    2013年04月03日
  • 三国志(三)

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    曹操の力がどんどん増してきた。この先 どん民を支配してゆくのか。その中で劉備はどう対抗してゆくのか楽しみ。しかし、よく首を斬る 残酷なまでに。

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    2013年04月01日
  • 新・平家物語(二)

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    保元の乱が書かれてある。家族や親戚同士の戦いが泥くさかった。三国志も平安末期も、実質的な権力者と形式的な権力者の構図が似ている。すなわち、天皇か武人かということで、天皇とかお上の力を利用して、武人は戦いの大義名分を作って権力を牛耳っている。書かれた時代が戦争時期のため、天皇の表現が非常に丁寧だ。作者である吉川英治の、権力についての洞察がさらりと書かれてあった。曰く、「人を狂わせるものだ」と。
    しかしまあ読んでいて、清盛始め、「~盛」がつく人物が多かったり、「~頼」とか似たような名前ばかりが出てきて、非常に頭に入りづらい。だから大河ドラマを見て、映像でイメージをつけてから読むことにする(^.^)
    すると同時期の「義経」も興味が出てきた。それも観ようと思う。

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    2013年03月30日
  • 宮本武蔵(8)

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    全八巻の旅を完了。宮本武蔵をもっと知りたくなる良書であったと思います。全体を通して7巻の沢庵宗彭の言葉が記憶によく残った。この沢庵さん、沢庵漬けの考案者っぽい。

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    2013年03月07日
  • 宮本武蔵(6)

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    いい大人が楽しんでしまってます。小学生高学年から読めると思うので子供達に読んでもらいたいです。難しい所は大人がフォロー。いい本ですね。

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    2013年03月05日