あらすじ
12世紀の初め、藤原政権の退廃は、武門の両統“源平”の擡頭をもたらした。しかし、強者は倶に天を戴かず。その争覇興亡が古典平家の世界である。『新・平家物語』も源平抗争の歴史を描くが、単なる現代訳でなく、古典のふくらんだ虚像を正し、従来無視された庶民の相(すがた)にも力点を置く。――100年の人間世界の興亡、流転、愛憎を主題に、7年の歳月を傾けた、著書鏤骨の超大作。
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かの有名な「祇園精舎の鐘の声」から始まる、平清盛を中心とした平家の盛衰を著した本。元々は琵琶法師が弾き語りながら物語る、現代で言う連続ドラマのような立ち位置だっただけあり、令和の時代に読んでも面白い。
第一巻のテーマは「親子」である。遠藤盛遠から自らの出自を聞かされた清盛。白河法皇・鳥羽上皇の権力闘争に巻き込まれ、実の父親から蔑ろにされた崇徳天皇。新院と新帝の争いに巻き込まれ、実の父と刃を交える事となった義朝。今以上に家柄が重視された世にあって、血縁者と言うものは切っても切れないかけがえの無い物であり、これを巡って苦悩に巻き込まれた彼らの心情たるや、想像もつかない。出来る事なら、清盛の如く一族を大切にし、出世に目が眩むあまり頼長・忠通兄弟の様な骨肉の争いに巻き込まれぬように自戒したい。
兎にも角にも、一瞬で読みきってしまう位面白かった。次巻にも期待。
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いまさらながらの平家物語。そして、いまさらながらの吉川英司。
文庫16冊という、この大作に手をつけるかどうか、迷うばかりであったが、いまこれに取りかかることに決めた。
悩むことはなかった。数ページを読んで、たちまちこの作品と出会ったことに感謝の気持ち。この読み手を一瞬に惹きつける力こそが吉川英司の凄みであるといえよう。
たんなる歴史小説なのではない。そこに書かれているのは、想い・苦しみ・悩み・愛憎・妬み・裏切り・確執などから逃れられない、生身の人間の姿。ひとりひとりの生きざまが歴史というものをつくりあげていく。
【このひと言】
〇愛情はすべてを越えた愛情であるときに、ほんとの美しさを持つ。冷たい母子も、あたたかい母子となってくる。
〇むずかしい説教や書物に訓えられないでも、女体の本質が、知っていた。時により肉体と本心を、二つに持つことを、余儀なくでも、悟っている。
〇無知な願いかも知れないし、憐れむべきかもしれないが、しかし、善良ではある大部分の衆生は、何かを、心に持ちたかった。持たずには、今を、生きていられない人びとであった。
〇「なんの、陽がかければ、月が出る。月が沈めば、陽が出る。あすの陽が、出ないわけでもあるまい」清盛は、たえて不平顔を見せたことがない。
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先週日曜から大河ドラマ「平清盛」が始まったので並行して読み始めてみた。細部は異なるものの、大河は本書を根本としており、平安末期の良い勉強になるはずだということで。私にとって、吉川英治作品は昨年読破した「三国志」に続き2作品目。氏の作品は文章が非常に格式高い。また、昭和の第二次世界大戦前後に描かれたという時代背景もあり、皇室を表現する際の言葉が非常に丁寧であるという特徴もある。
さて、本巻では主人公:清盛の10代後半の苦悩(出自や武士という身分など)からスタートする。僧兵に一人で立ち向かって行ったりする大胆不敵な態度は躍動感を生み、家族や家来を大切に思うような人間味は温かさを感じられる。いわばヒーローである。多くの人が描いている清盛像は、源氏を主人公としたドラマでの、頭を剃り上げた居丈高な権力者中年、というイメージが多いが、それとはまったく異なるもの。
たとえば、清盛を評した以下の記述などは最たるものである。
「清盛は、武者所の全員から、いつとはなく敬愛を集めていた。といって、別に彼に何の武勇も交友上の技巧もあるわけではないが、ただ彼はよく人の貧乏(カネがないという意味ではなく、不遇という意味なのだろうと私は受け取った)に気が付いて、人の貧乏の片棒をかついだ。また、殿上に対して彼ほどずけずけ物の言える武者は他にいなかった。正直である一面、大ずぼらの抜けているところがあった。さらにもう一つの特徴は、かれの姿のあるところ、たちまち、彼の色、彼の雰囲気、彼の陽気にくるまれてしまうという現象がある」
全16巻と長い旅路になりそうだが、当分の間、このヒーローにはまってみようと思う。
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京都旅行後、読んでおきたいと思って手にとった。
吉川英治の文章はやっぱり好きだ。
あっという間に引き込まれた。
平清盛の印象ががらりと変わった。
多分これから巻が進むにつれ、変貌していくんだと思うけれど。。。
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戦国時代にならび、伝説・逸話が多く残り、人々に愛されるヒーロー・ヒロインが一気に登場する源平時代。NHKの人形劇もなかなか良かった。言わずと知れた大河ドラマや人形劇の原作、しかしそれ以前に平家物語といえば吉川英冶先生の『新平家』。平安末期〜鎌倉初期は教科書眺めるだけでも濃厚で十分面白い時代だが、平家物語を一通り読み、この『新平家』を読むと、この時代の虜となるはず。源平合戦・関ヶ原・明治維新(日本史3大イベント・私の独断と偏見による)中、事実か伝説か分からない微妙な古さが読者の想像力・妄想欲?をかきたてる。美化しやすい時代。歴史のうねりに成す術なく飲み込まれる者、抗い滅す者、巧みに利用する者、運の良い者悪い者…それぞれの生い立ち・置かれた状況から、ごく自然なキャラクター設定・ストーリー展開をしていて『歴史文学』モノ的硬さは全く無い。贔屓キャラが出来てきたらもうどっぷりハマっている。
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清盛やそれに関わる人の台頭、覇権争いが見て取れた。歴史小説なので読みにくいところはあったが、現代にも通ずる場面もありなかなか読み応えがありました。
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大河ドラマとアニメ平家物語を観ながらそういえば平家物語って授業で習った祇園精舎の鐘の…以外よく知らないなぁと思って読み始めました。
吉川英治の本を読むのは三国志ぶり?水滸伝ぶりか。
やっぱり面白い!
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清盛20代のお話。学友が犯罪者になったり、はたまた、別の友が出家したりするけれど、これって完全に伏線予感。平時忠ってあの名台詞の時忠?こんなきっかけで知り合うのか…と。比叡山の強訴に対抗する漢気のあるエピソードは若々しさがあるれている。それにしても、藤原家、天皇家、平家、源氏そこそこ登場人物すでに多い…完全に忘れていく。そして2巻は保元の乱から始まる予感。
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ちげぐさの巻
清盛(平太)の20歳頃から30歳くらいまでが描かれる。貧乏武士の長男である平太の父(平忠盛)、母(祇園女御)、学友の遠藤盛遠(のちの文覚)、佐藤義清(のちの西行)らの関係の中で成長し、頭角をあらわし始めるまでの序章である。
それまでの貴族の時代に武士が台頭した理由は、院政による宮廷勢力の不安定に対して僧兵たちの力が抑えきれない状態になり、宮廷が護衛のために召し抱えた武士の地位を重んじるようになったというものである。
忠盛は平太の本当の父ではない。真の父は白河院か八坂の悪僧であることを盛遠から聞かされ、自分は誰であるのか葛藤し、不貞な母を嫌悪する。しかしその後の平太は、良くも悪くも生き方を大きく変えてゆく学友らを見て、自身も成長してゆく。時子と結婚し子をもうけ、六波羅に居を構える。そして僧団の強訴に対して破天荒な事件を引き起こすところで話は終わる。
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以前、途中まで読んで止めてしまったが、山岡荘八『徳川家康』の次はこれだろうと思い、再び読み始めた。
『徳川家康』と違い、最重要人物である平清盛は既に20歳になっている。
本巻は貧乏時代の平氏から保元の乱の前夜まで。
山岡荘八と違い、客観的に淡々と書かれているように見えるが、権力を巡る公卿どうしのドロドロした争いが読み取れて興味深い。
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新平家物語を再読。
武士が貴族の犬として存在した時代。時代が混とんとする中、平家の忠盛、清盛や源氏の為義、義朝らが力を付けていく。人が生きると言う事はきれいごとではないと改めて感じました。
いつの時代であっても権力闘争と言うのは尽きない悩みの様です。
鳥羽上皇と崇徳天皇の親子間の確執。悪左府頼長と道長の兄弟間の確執が混乱や権謀渦巻き、争いの火種となる。
悪左府頼長の政治への態度は敵も多いと思いますが、実は政治に対して最も真剣だったのではないか。そして、妻子を捨て、仏の道を選択した西行こと佐藤義清もまた、人生に対して正直だったのだと再読して感じました。
奢れるものも久しからずと言いますが、人間ほどほどに奢るのが一番だと思います。
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吉川英治さんの本を始めて読みました。
平家物語は、時代背景が分かりにくく、しかも長いので、
今まで躊躇していたのですが、吉川さんの文章は非常に分かりやすいですね。すっきりとしています。
気長に読んでゆこうと思います。
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清盛が神輿に向かって弓矢を放ったシーンが面白かった!権力と結びつき、本来の役割から離れ保身と栄誉に走った腐れ坊主に一矢報いるいい場面だった。
何よりよかったのが、坊主こそが力のなさを一番わかっていること。力のない者ほどよく吠える。ダメなやつはダメと言わなければならない。
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いきなり引き込まれてしまった。
この時代に疎い私でも面白いと感じる話の展開。
1巻からこれほどのドラマが繰り広げられるとは、続きが非常に楽しみである。
いつの世も、人間の浅はかさは同じだなと、つくづく思う。
それと同時に、世に悪評高い平清盛も、普通の愛すべき男児であったことを嬉しくも思う。(笑)
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大河は見ていないけれど、前から平家物語を通読してみたいと考えていて、手に取った。
私の持っている岩波文庫は字が詰まりすぎていて非常に読みづらくて。ただ、内容というか文体としてはもう少し古典に近いものが読みたかったので、
その点で言えばちょっと選択を誤ってしまったが、これはこれとして面白い。
16巻まで読み終わるのにどのぐらいかかるのだろうか。
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こちらも吉川英治の長編。これが一番好きかもしれない。
三国志よりも一人ひとりの人生が深く描かれています。
武士がまだ貴族にバカにされていたころの清盛の下積み若造時代から始まり、清盛の栄達、その清盛に平治の乱で夫を殺され、子の義経を助けるために清盛の妾になった常盤御前の話、生き延びた源氏の子が東国で勢力を盛り返し平氏を滅ぼすまで、源平の栄枯盛衰を余すところなく書ききった大作。
まあ、時代が古いだけに後の学術的見地から見ると不正確なところもあるようですが、これは本当に面白い。
当時は平時忠が好きでしたが、今読むとどうかな。源三位頼政とか好きになるかもしれないな。
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清盛観の変わる一冊です。
平家一門を束ねる、故白河天皇のご落胤でセレブな清盛のイメージは払拭されるはず。
読むべきポイントは、優れた平氏は清盛よりも父忠盛であったこと。
この人の忍従する姿や周囲に添った生き方に感銘を受けます。
この世の無常が各々の短い話からも感じられる名文。
吉川氏の文章は、ことばもわかりやすく何よりも人の「心」を描いているところが他の作家と一線を画していると思います。
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そもそも平家贔屓になったきっかけ。正確に言うと、遙か3よりも相当前に読んだ本だけど、未だに「良かった本」として記憶に残っている。但し、全16巻と長いので再読する勇気はない…。
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昔NHK大河ドラマに感銘を受け、たまたま家に原作本があったので読み始め……全巻読破する頃にはすっかり「歴史」というものに対する認識が変わってました。ボリュームはあるし登場人物も多いけど、それぞれのキャラクターがよく描けているので退屈しません。それにしても仲代達矢の平清盛と緒方拳の麻鳥さんは名演だったよなあ……
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何度も読みかけては挫けていたが、ようやく1巻を読み終えた。
前半はほとんど動きがなく、清盛の人物描写や時代の空気を描くのに終始する。最後の方になってようやく清盛の活躍の場面が出てきて俄然面白くなってきた。
佐藤義清って何か聞いたことがあるような気がしていたら、そうか、例の人だった。
清盛と同時代の人だったとは思わなかった。
2巻からは展開が早くなる予感がするが、本を読むまとまった時間が取れたらいいのだけど。
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保延年間からはじまり、一巻は、鳥羽上皇の崩御までを物語る。
(1137年~1156年)
この小説は、「保元物語」、「平治物語」、「源平盛衰記」、「義経記」、
「玉葉」、「吾妻鏡」、「平家物語」を題材にし描き上げた大河小説である。
(巻末の作品紀行より。)
吉川英治の小説を読むのは、ほとんど初めてのため、
文章の調子に慣れず、なかなか読むのが遅々として進まない。
台詞が、角張っていて、現代の口語とは違って畏まっているが、
リズミカルで心地良い。
人望のある清盛、一癖ある時忠、忍耐の忠盛、
逆境にいながら凛々しい精神の為義・義朝、
子煩悩な(主に頼長に対して)忠実、温和な貴人の忠通、
威風と美貌の頼長、一筋縄でいかぬ信西・・・
吉川英治がどのような人物造形をしていくのか読み進めるのが楽しみ。
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吉川英治さんすげーなー、と見せつけられる作品ですね。
と言っても私は吉川英治さんの作品を拝読するのって初めてなんですけど。
まだ始まりの始まりって感じです。これからぐいぐい読ませていただけるものと期待。
Posted by ブクログ
もう10年以上前から読んでみたいと思っていた新・平家物語。
来年の大河ドラマが平清盛ということで、ようやく今になって読み始めた。
時は、朝廷と院の二重政治たけなわの平安時代。その歪な政治バランスの狭間で徐々に力を蓄え始めた地下人・武家の平氏。
まだまだ清盛も若く、後の壮大なドラマの始まりにすら漕ぎ着けない第一巻だが、十分に今後への期待を寄せさせられる。
Posted by ブクログ
6年くらい前に読んだけど、難しくて詳しすぎてよくわからなかった。でも今読んだらのめり込むと思います。ただ、最初の方は、清盛出生・袈裟御前と文覚・市井の人々の話が多くて、なかなか進まなくてイライラした覚えが。。。でもまぁそこしっかりしとかないと話の筋が通らないと思うしかないか。