あらすじ
一ノ谷の合戦から屋島の合戦までには、1年の月日が流れている。さきの合戦に大功をたてながら、なんら叙勲の沙汰もうけぬ義経。そしていったん任官後は、鎌倉に断りもなく、と不興を買い、平家追討使の大役も範頼に奪われた義経。鎌倉どの差向けの花嫁も、彼の心を暗くする。だが、源氏は義経をまだ必要としていた。――西国攻めの範頼軍は備前児島に立往生し、平家軍が猛威をふるう。
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重衡は戦後、奈良寺院に引き渡され虚しく処刑される。寺院焼き打ちの首謀者とされた重衡が、法師たちの怨みを買い、結果的に斬り殺される様は、復讐の連鎖を感じ、哀れさを覚えた。平家物語に関わる物語は、盛者必衰・運命の輪廻の話が多く、あわれな気持ちにさせる。
中盤からは義経がフォーカスされ、院と鎌倉殿の微妙な関係のバランサーとして苦悩する様が描かれる。鵯越えの功績を貰えず頼朝に冷遇され、政略結婚として好きでもない女性を正妻に据えられるなど、鎌倉から足を引っ張られる事が多いが、持ち前の人脈と精密な根回しにより着実に成果を挙げる。幼少期の義経は無鉄砲な所があったが、成人してからは血気盛んな草の実党等の部下を宥めるなど、冷静さを兼ね備え良い武将になったと思った。一方で、こうも義経にフォーカスされると、猜疑心の強い頼朝が小さい男に思えてならない。
次巻は屋島の戦いが描かれるだろう。那須余一の逸話含め、どう展開されるのか期待。
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「敵を欺くにはまず味方から」を文字通り実践している、熊野の別当の湛増の駆け引きが面白い。
一方で平宗盛の愚鈍さがより強調されているのは、湛増の駆け引きの上手さと義経の戦の上手さを引き立てるためだろう。
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義経と頼朝の深まる溝と、義経の屋島への平家討伐。
湛増の水軍を巡 って源氏と平家のやりとりも面白い。策士の行家の行動が空回りしてばかりなのは、可哀想にも見えますが。
それにもまして、重衡と千手の恋。女も男も、この当時の恋は命懸けですね。
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一ノ谷合戦より約一年後の話。
合戦後、鎌倉へその身を投獄された重衡は最後には興福寺の僧兵に引き渡され処刑されてしまう。そんな事を梅雨知らない平家一門は屋島で、力を蓄えている。話はほとんど義経を中心に進んでいくが、深まる頼朝との溝、景時との確執。西国に進軍している源範頼は決して戦上手ではなく、知盛相手に苦戦している。
ページのほとんどが和歌山、田辺の湛増に割かれている。後半よりいよいよ、嵐の中、勝浦に上陸した、義経の進軍が屋島に向けて始まる。
これだけ見ると英雄的行動であるが、もはや、梶原景時視点だと軍旗を乱す武将の一人にしか見えないだろう…。
こういった中、平時忠は和平工作を持ちかけるが、宗盛には届かず…。
平家、源氏とも決してうまく行ってるわけではない中、勝敗は紙一重だということがよくわかる。