【感想・ネタバレ】新・平家物語(十六)のレビュー

あらすじ

平家が西海の藻屑と消えてわずか半年後、武勲第一の義経は、それまで指揮下にあった頼朝の兵に追われる身となった。吉野から多武ノ峰、伊勢、伊賀――息をひそめて主従7人、平家の残党の如く生きる。静(しずか)を見捨ててまでの潜行につぐ潜行。義経はひたすら東北の空に仰ぐ。そこには、頼朝の最も恐れる藤原3代の王国が――。人間の愚、人間の幸福をきわめつづけた吉川文学の総決算、ここに完結。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

16巻に渡る吉川英治の新平家物語の最終巻。嘗て栄華の極みを見た朱鼻の伴卜や奥州の吉次・新宮十郎行家も呆気ない最期を遂げ、義経忠臣の佐藤忠信や伊豆守源有綱も凶刃に倒れる。堅田衆や藤原秀衡の助けもあり、権力争いから抜け出し慎ましく生活していた義経も戦乱の因果には抗えず、秀衡の子泰衡に寝首をかかれ、妻百合野と子と共に衣川にて果てる。また、時代の寵児頼朝の死後、源氏内の権力争いが泥沼化し、実朝が公暁に暗殺され源氏3代で滅んだ事も、史実が示した通りである。権力争いに巻き込まれる限り、「盛者必衰」は避けられぬ理であることがよくわかる。

一方、麻鳥・蓬夫婦や那須大八郎が見つけた椎葉村の平家残党、敦盛を討った後発心し、出家の上法然の弟子となった熊谷直実の様に、この世の権力争いから身を引く事で地上の極楽を見出した人間もおり、真の幸せとは何かを問いかけている。出世することが幸せなのか?有名になる事が幸せなのか?そうでは無くて、気の置けない人々に囲まれ、慎ましく暮らす事こそが幸せなのだと示唆していると感じる。

ボリュームが凄かっただけに、読破の達成感もひとしおであった。また読み返したい。

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2022年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

吉川英治の新平家物語を全16巻の完結編です。

源平の乱に始まる平家の繁栄から屋島、壇ノ浦にわたる源氏の進出や平家の滅亡と目まぐるしく変わる世相の中で遂に義経もこの世を去ります。
麻鳥や蓬も年を取り、苦労ばかりの人生だったけど決して悪い人生ではなかったと振り返る姿に救いを感じました。

人は権力を握るとそれに固執するあまり孤独になり易いものだと感じました。後白河法皇に翻弄されてきた清盛しかり、父義朝を味方に殺された頼朝しかり。ほどほどに、奢る事が大切なのかな。

大作を読んだ充実感を感じます。

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2012年03月29日

Posted by ブクログ

小学4年生の夏休みに出会って、押入の中にこもって一気読みしたのもいい思い出。以来、何度読んだかわからない。
吉川先生は三国志は漢文調に、新平家は和文調に書かれていて本当、すばらしいと思。
好きなシーンを上げようとするとキリがありませんが、なぜかよく読むのは6巻の「那智の小机」~「泣き弁慶」。
平大納言、義経の描かれ方がたまらない。

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2011年10月02日

Posted by ブクログ

 平安末期頃~鎌倉までの滅びゆく平家、源氏との戦いを描いた全16巻の大作です。

 続きが読みたくてつい夜更かしをしてしまう作品でした。

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2009年11月21日

Posted by ブクログ

最終巻は前巻以前と比較して話の展開が早く、ある意味“後日談”のようになっている。

結局のところ、頼朝もいつか来た道を辿るという、人間の愚が強調されているが、その中にも、幾ばくかの良心が存在することを吉川は示したかったのだろう。

それを、義経とその郎党、阿部麻鳥、あるいは富樫泰家に代弁させているのではないか。

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2019年03月01日

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