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Posted by ブクログ
かの有名な「祇園精舎の鐘の声」から始まる、平清盛を中心とした平家の盛衰を著した本。元々は琵琶法師が弾き語りながら物語る、現代で言う連続ドラマのような立ち位置だっただけあり、令和の時代に読んでも面白い。
第一巻のテーマは「親子」である。遠藤盛遠から自らの出自を聞かされた清盛。白河法皇・鳥羽上皇の権力闘争に巻き込まれ、実の父親から蔑ろにされた崇徳天皇。新院と新帝の争いに巻き込まれ、実の父と刃を交える事となった義朝。今以上に家柄が重視された世にあって、血縁者と言うものは切っても切れないかけがえの無い物であり、これを巡って苦悩に巻き込まれた彼らの心情たるや、想像もつかない。出来る事なら、清盛の如く一族を大切にし、出世に目が眩むあまり頼長・忠通兄弟の様な骨肉の争いに巻き込まれぬように自戒したい。
兎にも角にも、一瞬で読みきってしまう位面白かった。次巻にも期待。
Posted by ブクログ
いまさらながらの平家物語。そして、いまさらながらの吉川英司。
文庫16冊という、この大作に手をつけるかどうか、迷うばかりであったが、いまこれに取りかかることに決めた。
悩むことはなかった。数ページを読んで、たちまちこの作品と出会ったことに感謝の気持ち。この読み手を一瞬に惹きつける力こそが吉川英司の凄みであるといえよう。
たんなる歴史小説なのではない。そこに書かれているのは、想い・苦しみ・悩み・愛憎・妬み・裏切り・確執などから逃れられない、生身の人間の姿。ひとりひとりの生きざまが歴史というものをつくりあげていく。
【このひと言】
〇愛情はすべてを越えた愛情であるときに、ほんとの美しさを持つ。冷たい母子も、あたたかい母子となってくる。
〇むずかしい説教や書物に訓えられないでも、女体の本質が、知っていた。時により肉体と本心を、二つに持つことを、余儀なくでも、悟っている。
〇無知な願いかも知れないし、憐れむべきかもしれないが、しかし、善良ではある大部分の衆生は、何かを、心に持ちたかった。持たずには、今を、生きていられない人びとであった。
〇「なんの、陽がかければ、月が出る。月が沈めば、陽が出る。あすの陽が、出ないわけでもあるまい」清盛は、たえて不平顔を見せたことがない。
Posted by ブクログ
先週日曜から大河ドラマ「平清盛」が始まったので並行して読み始めてみた。細部は異なるものの、大河は本書を根本としており、平安末期の良い勉強になるはずだということで。私にとって、吉川英治作品は昨年読破した「三国志」に続き2作品目。氏の作品は文章が非常に格式高い。また、昭和の第二次世界大戦前後に描かれたという時代背景もあり、皇室を表現する際の言葉が非常に丁寧であるという特徴もある。
さて、本巻では主人公:清盛の10代後半の苦悩(出自や武士という身分など)からスタートする。僧兵に一人で立ち向かって行ったりする大胆不敵な態度は躍動感を生み、家族や家来を大切に思うような人間味は温かさを感じられる。いわばヒーローである。多くの人が描いている清盛像は、源氏を主人公としたドラマでの、頭を剃り上げた居丈高な権力者中年、というイメージが多いが、それとはまったく異なるもの。
たとえば、清盛を評した以下の記述などは最たるものである。
「清盛は、武者所の全員から、いつとはなく敬愛を集めていた。といって、別に彼に何の武勇も交友上の技巧もあるわけではないが、ただ彼はよく人の貧乏(カネがないという意味ではなく、不遇という意味なのだろうと私は受け取った)に気が付いて、人の貧乏の片棒をかついだ。また、殿上に対して彼ほどずけずけ物の言える武者は他にいなかった。正直である一面、大ずぼらの抜けているところがあった。さらにもう一つの特徴は、かれの姿のあるところ、たちまち、彼の色、彼の雰囲気、彼の陽気にくるまれてしまうという現象がある」
全16巻と長い旅路になりそうだが、当分の間、このヒーローにはまってみようと思う。
Posted by ブクログ
戦国時代にならび、伝説・逸話が多く残り、人々に愛されるヒーロー・ヒロインが一気に登場する源平時代。NHKの人形劇もなかなか良かった。言わずと知れた大河ドラマや人形劇の原作、しかしそれ以前に平家物語といえば吉川英冶先生の『新平家』。平安末期〜鎌倉初期は教科書眺めるだけでも濃厚で十分面白い時代だが、平家物語を一通り読み、この『新平家』を読むと、この時代の虜となるはず。源平合戦・関ヶ原・明治維新(日本史3大イベント・私の独断と偏見による)中、事実か伝説か分からない微妙な古さが読者の想像力・妄想欲?をかきたてる。美化しやすい時代。歴史のうねりに成す術なく飲み込まれる者、抗い滅す者、巧みに利用する者、運の良い者悪い者…それぞれの生い立ち・置かれた状況から、ごく自然なキャラクター設定・ストーリー展開をしていて『歴史文学』モノ的硬さは全く無い。贔屓キャラが出来てきたらもうどっぷりハマっている。
Posted by ブクログ
ちげぐさの巻
清盛(平太)の20歳頃から30歳くらいまでが描かれる。貧乏武士の長男である平太の父(平忠盛)、母(祇園女御)、学友の遠藤盛遠(のちの文覚)、佐藤義清(のちの西行)らの関係の中で成長し、頭角をあらわし始めるまでの序章である。
それまでの貴族の時代に武士が台頭した理由は、院政による宮廷勢力の不安定に対して僧兵たちの力が抑えきれない状態になり、宮廷が護衛のために召し抱えた武士の地位を重んじるようになったというものである。
忠盛は平太の本当の父ではない。真の父は白河院か八坂の悪僧であることを盛遠から聞かされ、自分は誰であるのか葛藤し、不貞な母を嫌悪する。しかしその後の平太は、良くも悪くも生き方を大きく変えてゆく学友らを見て、自身も成長してゆく。時子と結婚し子をもうけ、六波羅に居を構える。そして僧団の強訴に対して破天荒な事件を引き起こすところで話は終わる。
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