【感想・ネタバレ】新・平家物語(十四)のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2022年11月02日

壇ノ浦の戦いにのぞむ平家の人々、源義経。
一ノ谷に続いて屋島の戦いでも勝利を収めた義経も、憎むべき長年の宿敵と思っていた平家が女子どもも連れた大所帯であるのを見て、一人残さず討ち滅ぼすべきなのかと思うようになっていた。
平家の中にも、一門すべて運命を共にするべしと思う人、幼帝や女院だけでも生き延びて...続きを読むほしいと思う人がいて、どちらも平家を思えばこその思惑が交差する。
源氏勝利、平家一門の多くが海に沈んだ合戦の後、大勝利を収め凱旋した義経を襲った運命もまた、過酷なものだった。

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Posted by ブクログ 2022年04月29日

壇ノ浦の戦いに始まり、頼朝と義経の仲違いまでが書かれた巻。壇ノ浦では、教経や知盛らを筆頭によく戦ったが、阿波や筑紫集の寝返り等もあり、最期は水中にて果てる。義経や時忠の努力も虚しく、幼き帝を平家と共に滅ぼしてしまい、3種の神器のうち宝剣も失ってしまった。嘗ては「平家にあらずんば人に在らず」とまで謳わ...続きを読むれた平家も、時代と共にこうも虚しい最期を遂げたのかと思うと、栄枯盛衰の人の世を感じずにはいられない。

また、この戦いの殊勲者である義経にも、頼朝からの勘当を受ける等逆風が続く。彼自身は二心なき者であるが、梶原を始めとした周囲の嫉妬を買い、あらぬ悪評を立てられる。頼朝自身も、院に気に入られ大手柄を挙げた義経を警戒し、これ幸いと彼を排除する方向に動く。そんな頼朝の背後には、妻の政子であり時政がおり、虎視眈々と機会を狙う。悪の枢軸平家を滅ぼし平和になると言った単純な話ではなく、また新たな戦乱の種を撒き散らす様、そう言った戦乱に巻き込まれる宿命を持つ義経の哀れさを強く感じた。

次巻は義経討伐の話になるのだろうか。悲しい。

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Posted by ブクログ 2012年09月21日

ようやく壇ノ浦の戦いが終了し、源平合戦にピリオドが打たれた。と同時に、平家物語という題名にも関わらず、主役は平家一族から源義経にシフト。しかし、それは連戦連勝の大勝利を得た偉大な総大将というよりは、常に鎌倉の兄:頼朝の目を気にして萎縮する悲哀に満ちた男の姿である。最も気の毒に感じたセンテンスが、
...続きを読む愚かな弟を平家追討の道具に用いられ、既に平家も亡んだ故、道具は無用というお考えか」
と言う義経の頼朝に対する声無き声。義経の悲哀が本巻を含む残り3巻のメインストーリーラインとなるのだろう。
そう言えば気付いたことがある。本作品の第1巻から本巻まで通して登場する唯一の人物の存在に。清盛の妻の弟、平時忠である。若い頃は聞かん坊のやんちゃキャラだったが、年を増すにつれて、平家一族を冷静に見つめる顧問のような役割を担っていく。かの檀ノ浦の戦いにおいても、義経と内応し、三種の神器返還や和平交渉に努めてきた。更に、その娘:夕花が義経に嫁ぐという展開も見せる。結局、平家物語における平家はまだ根絶やしになっていないということか。
残り2巻、どこまでの時代をどう描くのか分からないだけに、興味津々である。

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Posted by ブクログ 2009年11月21日

 平安末期頃~鎌倉までの滅びゆく平家、源氏との戦いを描いた全16巻の大作です。

 続きが読みたくてつい夜更かしをしてしまう作品でした。

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Posted by ブクログ 2019年02月15日

歴史には諸説が付きものだが、吉川作品には諸説を丁寧に紹介するという特徴がある。本巻では壇ノ浦の戦いにおける源義経と梶原景時の先陣争い、義経の腰越状がそれにあたる。

だが壇ノ浦の戦いで当初不利な戦いを強いられた義経が、平家方の船の漕ぎ手を射る場面は登場せず、諸説として言及もされていない。おそらく義経...続きを読むを高潔な人物としては描こうという吉川の意図だろう。

ここから先は義経の悲劇に多くの紙幅が割かれるのだろうが、本巻の描写を読むと、「情に棹させば流される」という『草枕』の一節が真であると思わざるを得ない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年03月29日

壇ノ浦にて源氏が平家を滅ぼすが、義経と頼朝の関係も悪化して行きます。平家物語では頼朝を良い方向に評価出来る材料がありません。頼朝の立場としては、御家人衆をまとめ上げる上で、戦上手の義経を受け入れる事ができないのかな。また、頼朝直属の御家人の梶原も義経の上げ足ばかりを取る言動が目立ち好きになれない所も...続きを読むあります。

一時の繁栄を誇った平家の世が終わるのを見ると世の中の儚さも感じられます。

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Posted by ブクログ 2015年07月17日

義経とひそかに和睦の計画を練っていた時忠の努力も及ばず、壇ノ浦の戦いで平家は敗れ、幼い天皇とともに三種の神器も海の底へと沈んでしまうことになります。

ところが、最大の功労者であるはずの義経は、勝利の凱歌をあげるどころか、鎌倉の頼朝の不興を買い、勘当の沙汰が下されます。義経は兄の誤解を解こうと誠心か...続きを読むら腰越状を記しますが、頼朝はそれに対して返事さえもよこそうとしません。そうした頼朝の仕打ちに、義経旗下の者たちは不平を募らせますが、そのために頼朝と義経の和解の可能性は完全に断たれてしまうことになります。

平家滅亡となり、この後は義経の悲劇が中心にストーリーが進んでいくことになることと思われます。物語もいよいよ終盤です。

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