あらすじ
打倒平家の旗のもとに鎌倉を進発した源氏軍と意気あがらぬまま東下した維盛(これもり)の頼朝征討軍。両軍は富士川をはさんで対峙する。“水鳥の羽音”で敗走した平家には、著者一流の解釈がある。――黄瀬川の陣で、末弟義経と初の対面をした頼朝。いよいよ活気づく源氏勢に手を焼く平家は、腹背に敵を受けた。木曽義仲の蜂起は平家一門の夢を劈(つんざ)き、北陸路もまた修羅の天地であった。
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富士川の戦いは終盤。斎藤実盛の具申も届かず、平家は敗走する。終戦後、頼朝と義経が初めて黄瀬川で出会うことになるが、兄弟とはいえ、なんかよそよそしい。純粋すぎる義経と狡猾な頼朝の図式。一方で、都を福原を諦め京に移す清盛。平家に対して不穏な空気が流れる中、検非違使、平時忠の努力も虚しく、治安悪化。そしていよいよ、大黒柱であった清盛が死去。うわーーマジか…このシーンでかなりページさかれていた。後継者は宗盛?維盛?資盛?今まで、結束していた一門に綻びが…。こんな時、重盛ご生きていたら…
一方、綸旨を受け取り挙兵する木曾義仲、源氏も決して一枚岩ではなく源氏同士の牽制のための戦が各地で勃発。そして、頼朝と義仲の直接対決。このまま潰しあうのか?物語はいよいよ大詰めに向かって急加速。
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平家の大黒柱、浄海入道清盛が遂に逝去した。眼前には源氏の台頭、平家後継の不足、後白河上皇との微妙な関係など課題が山積みであり、今後の平家の暗い未来を想起させる。一方で、清盛の死去後、力不足の息子や孫たちが一丸となり、新宮十郎行家の軍勢を退ける等、自立の芽も垣間見えた。
一方の源氏は、木曾義仲を中心として話が展開される。信濃で力強く育った彼は、戦で次々と勝ちを収め、北陸へ進出を果たす。そんな彼を将来の禍根と見る頼朝は、平家打倒の前に義仲打倒を企てる。父である義朝が味方に裏切られて呆気ない最期を遂げた事で、頼朝には身内すら信じられない猜疑心が植え付けられたと想起されるが、為朝時代からの源氏同士の内紛が今後も起きそうな予感を感じさせる。
物語の主人公、清盛亡き次の巻はどう展開されるのか。期待である。
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この巻における最大の出来事は平清盛の死であろう。確かに、本巻では源氏の蜂起へ大きなスペースが割かれているが、やはり清盛の死が最大の出来事であると考える。
清盛の死を描写するにあたり、最初に木曾義仲の口からこのことが語られる、という書き方をしているのが興味深い。
言うまでもなく、源氏にとっても大きな出来事であることを強調するためだろう。
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再読。8巻。頼朝と義経との出会い。木曾義仲の蜂起。そして、平清盛の死により風雲急を告げる平家。
ひとりの人の死によって、情勢が大きく変わる。もし、長男の重盛が生きていたらなどといったら、きりがないけど、この辺り、会社にしても、政治にしても、ひとりの才能に任せてしまうのは、危険すぎるのではないかなと、実感。
頼朝と義経の関係は、政治と軍事と言う分担が、色濃かったような気もします。これが強さの秘密かと。ただ、平家が滅び、義経の身の置き場がなくなり、兄と対立するのは、悲しいことですが。