吉川英治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
宮本武蔵最終巻。
お杉婆が山姥のようであった。
初めてこの本を読んだのは、伊織や城太郎に近い年齢の頃であった。読むと言っても、当時の自分にはこの物語を読み解く力はなく、視線が文字を上滑りしただけだったらしい。どんな話だったか全然覚えていなかった。途中で挫折した可能性も十分に考えられたが、全巻にしっかりと手垢がついていたので頑張って捲ってはみていたらしい。
武蔵の年に近くなった今となっては自分も少しは成長したようで、さらさらと楽しく読むことができた。
正直、内容がどうこうではなく、しっかり話を理解しながら読めたということ自体がうれしい。
今後も過去に読んだ作品を読み返してみると一層楽しめるかも -
Posted by ブクログ
ネタバレ吉川英治先生の作品はいくつか読んではいますが
宮本武蔵は初めて読みます。ついつい機会を逸しており、
井上雄彦先生のバガボンドを読み返している今
読み比べてみるのも良いかと思いやっと手に取りました。
バガボンドは、タイトル通り野生の流浪者のような武蔵が魅力的で、
原作を大胆に改変したり肉付けしたりという井上先生の手腕が
また見物でもあります。
原作の趣旨を滅茶苦茶にするような改変は別として、
別の人が別の視点で、しかも別のメディアで焼き直すからには
やはり独創性があって欲しいと思うので、
バガボンドは大変素晴らしい作品だと思っています。
吉川版宮本武蔵は、姉がおり天涯孤独ではありません。
木 -
Posted by ブクログ
積ん読チャレンジ(〜'17/06/11) 15/56
’16/08/19 了
一乗寺下り松における武蔵と吉岡一門との一大決闘に向かってジリジリと物語が収縮していく様が、武蔵同様に読者にも緊張感を与えていて凄く良い。
兄清十郎を凌ぐ実力を有するとされる吉岡伝七郎との果たし合い。
どのような壮絶な戦いになるのかと思えば、その日のうちに申し込まれた果たし合いを遊郭の席を中座して、一撃の下に勝利を収めてくる。
本阿弥光悦、吉野太夫との出会いを通じ、生きる上では張り詰めた気持ちばかりではなく適度に気持ちを緩める瞬間も必要だと気づく武蔵。
下り松での決闘を前にしてお通さんと城太郎と会う