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Posted by ブクログ
待っていましたの第四巻。
三巻と同様、本阿弥光悦に誘われ、
美しい世界でしばしの休暇を味わった後、
宿敵吉岡一門との死闘に臨む武蔵。
いよいよ宮本武蔵と言えば!のアレが登場する!
そしてついに読者も待ち望んでいたであろう、
すれ違いを続けてきたお通との再開。
強さを追い求めてきた武蔵だったが、
彼女もまた別の道で強さを追っていた。
一方、彼らと比べると光と影のような又八と朱美。
又八は自業自得だが、朱美は気の毒である。
お通と比べて彼女には何が足りなかったのだろう。
運が悪かったのか。それとも弱かったからなのか。
もしも舞台、もしくは執筆時期が現代だったならば、
武蔵と又八、お通と朱美の運命はどう変わっていたのだろうか。
Posted by ブクログ
「そこで吉野が説明していうには、この扇屋の囲いの中にある牡丹畑は、扇屋の建つよりもずっと以前からあるもので、百年以上も経った牡丹の古株がたくさんある。その古株から新しい花を咲かせるには、毎年、冬にかかるころ、虫のついた古株をきって、新芽の育つように剪定してやる。――薪はその時に出来るのであるが、もちろん、雑木のように沢山は出来ない。
これを短く切って炉にくべてみると、炎はやわらかいし眼には美しいし、また、瞼にしみる煙もなく、薫々とよい香りさえする。さすがに花の王者といわれるだけあって、枯れ木となって薪にされても、ただの雑木とは、この通り違うところを見ると、質の真価というものは、植物でも人間でも争えないもので、生きている間の花は咲かせても、死してから後まで、この牡丹の薪ぐらいな真価を持っている人間がどれほどありましょうか?」
「何千年何万年という悠久な日月の流れの中に人間一生の七十年や八十年は、まるで一瞬でしかない。たとえ二十歳を出ずに死んでも、人類の上に悠久な光を持った生命こそ、ほんとの長命というものであろう。またほんとに生命を愛したものというべきである。
人間のすべての事業は、、創業の時が大事で難しいとされているが、生命だけは、終る時、捨てる時が最もむずかしい。――それによって、その全生涯が定まるし、また、泡沫になるか、永久の光芒になるか、生命の長短も決まるからである。」
Posted by ブクログ
吉野太夫が武蔵に話した琵琶の話(p176-77)がよかった。琵琶の中にある一本の横木、骨でもあり、臓でもあり、心でもある横木は、ただ剛直なのではなく、実はわざと抑揚の波が刻みつけられていたり、弛みがあったりする。人間もこれと同じで、美しい音色を奏でようと思えば、ただ張り詰めているのではダメで、少しの遊びが必要ということ。ううむ。
さらに、武蔵の(著者の?)宗教観にも深いものを感じた(p359)。
さむらいのいただく神とは、神を恃(たの)むことではなく、また人間を誇ることでもない。神はないともいえないが、恃(たの)むべきものではなく、さりとて自己という人間も、いとも弱い小さいあわれなもの――と観ずるもののあわれのほかではない。
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