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吉岡清十郎と雌雄を決す! 武蔵の年来の宿望は、ここに実現の運びとなった。時、慶長十年正月九日。場所は京都・蓮台寺野。もし武蔵が勝てば、その名声は京畿を圧するだろう。--武蔵は思いのまま戦い、勝利をおさめたが、彼の得たものは、心の虚しさでしかなかった。一方、蜂の巣を突いたような吉岡一門から、一門きっての暴れん坊、吉岡伝七郎が鎌首をもたげてきた。
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Posted by ブクログ
あっという間に3巻を読み終えた。 武蔵は剣だけでなく、生活の中に潜む自身の弱さに負けることも許さない。自分自身を磨き高めようとする姿は、どこまでも愚直で一途でブレることはない。 「踏み敷く草も木も氷も、武蔵の足にかかるもの、敵でない物はない。勝つか負けるか!一歩一歩が勝敗への呼吸であった。神泉の中で...続きを読む氷化した五体の血が、今は熱泉のように毛穴から湯気を立てていた」 吉岡清十郎と1対1の真剣勝負では、誰も助太刀のいない場所で戦うことになる。武士として真剣に向かい合う臨場感が見事に描かれ、生死をかけて戦う緊張感がひしひしと伝わってくる。 また、書家であり陶芸家であり茶人でもある、本阿弥光悦との出会いが描かれる。優れた芸術に出会い、武蔵の芸術的な感性は刺激される。 自身を表現する手段があるということは素敵なことだなと思う。
脇役に光が当てられている三巻。 武蔵とすれ違い、人生を翻弄されている、お通、朱美、お杉婆の三人。 武蔵は、ひたすらに剣の道を究めんとする。 そのストイックな姿勢が万人の支持を得ているのではないだろうか。 中弛みなんか無い。 ひたすら全力で吉川英治の筆が冴え渡る。
「よく強がった侍が、念仏のようにいう、必死とか、覚悟などという言葉も、武蔵の考えからすると、取るに足らないたわ言のように思える。 およそ人なみの侍が、こういう場合に立ち至った時、必死になることなどは、当然な動物性である。覚悟のほうは、やや高等な心がまえであるが、それとても、死ぬ覚悟ならば、そう難し...続きを読むいことではない。どうしても死なねばならぬ事態に迎えられてする死ぬ覚悟だとすれば、なおさら、誰でもすることである。 彼がなやむのは、必死の覚悟がもてないことではなく、勝つことなのだ。絶対に勝つ信条をつかむことである。」 「人生の道はいつも、一歩が機微である。また、なにかの場合に、ふだんの常識さえあれば、分りきっていることを、ふと、心へ間違いを映しとってしまうためにその一歩が、十年のまちがいになったりする。」 「達人が剣をとって立った姿というものは、さながらこの世の人間とも思われない。その荘厳なものを今、茶をたてている七十の老母のすがたにも彼は見た。 (道――芸の神髄――何事も達すると同じものとみえる)」
オカンと関ヶ原の戦友ムードで懐柔して夜襲ってw、対宍戸梅軒戦から吉岡道場撃破を経て、偽小次郎、モノホンに諭されるの巻まで。もう求道にあらば何でもありかと。 でも、本当に生きていくためにはかなぐり捨てなきゃ見えないコトがある。それだけ見つめて権威にも序列にも中指を立てる武蔵が凛として清々しいのは、日本...続きを読む人男子のカタルシス。
武蔵のストイックさが尋常じゃない。 吉岡流の長男にもあっさり勝ってしまう。 それに全く満足しない、鼻にかけたりしないのがまた武蔵だなあ。
お通・城太郎の旅路 朱美の受難 小次郎の登場と又八との出会い 清十郎と武蔵の立ち合い、そして伝七郎の登場 が描かれています。 武蔵の剣も精神も更なる研鑽を見せています。 光悦との出会いにより、今後どうなっていくのか楽しみです。 武蔵を追うお通と朱美の運命が悲惨すぎます・・・。 朱美は清十...続きを読む郎に犯され、後に小次郎の狂った愛を受けることになるし(ここでは小次郎はかなりの危険人物として描かれています)、お通はお杉婆に苦しめられることになります。 彼女らの旅もどうなっていくのでしょう。 この巻では人間模様が多分に描かれていると感じました。武蔵を中心に動いていく奇妙な人間の縁、どうなっていくのか楽しみです。
「『われ事において後悔せず』何事にも自分の為したことは、後悔をしないというような高い境地へまで到達するには、まだまだこの身を、この心を不断に鍛え抜かなければ及ばない。」 第3巻の武蔵の心情を表すもの。この後も武蔵の心情から成長を追っていきたい。
吉岡清十郎、本来なら才人・賢人なんだろうがあまりに偉大な先人とその遺産に潰されてしまった典型例として描かれている。 しかし一方で再起し生きようとする生命力の象徴としても扱われる。 この作品にファンが多いのは武蔵の求道的態度が一番なんだろうけど、脇役もそれぞれに深い味わいがあるからではないだろうか? ...続きを読むやっぱり日本の国民文学の一冊と評価されることに疑問の余地はないという感じでしょうかな。
吉岡清十郎との対決。武蔵にとっては相手にならなかった。 敗れた瀕死の兄清十郎は、戻ってきた弟伝七郎に対して、武蔵と対決するなと命じた。 賢者は悟る、「負けるが勝ち」だと。自分が太刀打ちできない相手と悟ったときは、このようにふるまうのも兵法ではないか。武蔵はすでに石周斎の草庵に貼ってあった漢詩をみて、...続きを読む自分が相手には及ばないとすぐに悟った。
3巻に入っておもしろさアップ。2巻までで引いた伏線がつながり始めた。 それと同時にそれぞれの感情がより濃く表現され始めて、おもしろくなってきた。 展開がドラマチック過ぎるのにもようやく慣れてきた。 武蔵と小次郎は、ニアミスはしたがコンタクトはまだ。次巻か。
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