吉川英治のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
積ん読チャレンジ(〜'17/06/11) 15/56
’16/08/19 了
一乗寺下り松における武蔵と吉岡一門との一大決闘に向かってジリジリと物語が収縮していく様が、武蔵同様に読者にも緊張感を与えていて凄く良い。
兄清十郎を凌ぐ実力を有するとされる吉岡伝七郎との果たし合い。
どのような壮絶な戦いになるのかと思えば、その日のうちに申し込まれた果たし合いを遊郭の席を中座して、一撃の下に勝利を収めてくる。
本阿弥光悦、吉野太夫との出会いを通じ、生きる上では張り詰めた気持ちばかりではなく適度に気持ちを緩める瞬間も必要だと気づく武蔵。
下り松での決闘を前にしてお通さんと城太郎と会う決心をしたのも、光悦との出会いがあったからこそだろう。
そしてやっと再会を果たしたお通さんに胸中を吐露し、自分の弱さも曝け出した上で決闘に臨む。
そしていざ戦いに挑む直前に神仏に祈ろうとする自身を省みて初めて、死を受け入れて戦う決意を固めて死地に赴いたつもりでいた自分の中に、生きたいと願う気持ちがあったことに気がつく。
様々な道を経て「生きる」為に剣を振るう彼の姿は、今まで以上に格好良く思えるし、また人間的な魅力を増したように思う。
そして、ここで初めて武蔵の代名詞とも言える二刀流がお披露目される点も見逃せない。
「生きる」という強力な意思の下、無意識に生まれた極意たる二刀流。
それまでの戦い、人生を経験してきた彼だからこそ生み出すことの出来た剣の型だと思うと何とも感慨深いものがある。
--------------------
気に入った表現、気になった単語
遊廓(くるわ)に向かう武蔵と光悦の母・妙秀とのやりとり
「「いや、拙者には、美服はかえって似合いませぬ。野に伏しても、どこへまいっても、この袷(あわせ)一枚が、やはり自分らしくて気ままですから」
「それはいけません」
妙秀尼は、変なところで、厳格になって、武蔵をこうたしなめた。
「貴方はそれでよいじゃろが、汚(むさ)い身装(みなり)をしていては、綺羅やかな遊廓(さと)の席に、雑巾が置いてあるように見ゆるではないかの。世事の憂いこと酷(むさ)いこと、すべてを忘れて、一刻でも半夜でも、綺麗事につつまれて、さらりと屈託を捨てて来るのがあの遊廓(さと)でござりまするがの。--そう思うてみれば、わが身の化粧や伊達も、廓景色(さとげしき)の一つ、わが身だけの見栄と思うが間違いであろうが。」」
(P64)
「一瞬、なんともいえない寂寞(じゃくまく)の気が漲った。人のいない天地の静かさよりも、人中の空気にふと湧いた寂寞のほうが不気味な霊魂を含んでいた。」(P131)
「めいめいが、一つずつ杯を持って、好む程度に、それを愛し合っていた。」(P157) -
Posted by ブクログ
ネタバレ・昨年から読み続けていた三国志を漸く読み終えました。
・実際にところ、これまでの三国志についての僕の知識は、小学生時代に父親に買ってもらった小学生向けの超短縮版と、ゲーム「三国無双」くらいのものでしたが、最近漫画「キングダム」にハマっていることもあって、今回改めて読んでみたのでした。
・最終巻に作者自身が記した通り、物語の「華」は、やはり、曹操と、中期までの諸葛亮孔明の2人でしょう。晩年の孔明は、綺羅星の英雄たちが流星のごとく散っていったのち取り残され、彼に関する記述も勢いが失われたように思います。司馬懿仲達という好敵手が現れてなお、物語の奥底に漂う寂しさは拭いようもありませんでした。野心家で冷酷な面も大いにあるも人間的魅力に溢れた曹操と、知識と知性において他を寄せ付けず劉備への忠義に厚い孔明。この2人こそが物語の主役に思えました。
・そして、会話を短く繋げる歯切れの良さや、文語表現の多彩さに溢れた筆致がどんどんと物語にのめり込ませました。素晴らしかった。 -
Posted by ブクログ
新たな出会いの第六巻。
お通、城太郎、又八、朱美。
武蔵を取り巻く人々が消息不明になり、
そのまま三年が経過し、再び孤独の武蔵。
だが、そんな彼にも新しい出会いがあった。
城太郎に代わり彼を師と仰ぐ少年伊織。
彼を弟子に持つことにより武蔵も学んでいく。
そして、消息を絶つも無事だったお通だが、
ここでもまた武蔵とはすれ違う。
しまいにはナレーター(?)までもが、
彼らのすれ違いをもどかしく思い始める。
お通は強い女性なので、間違っても、
「大人になるって悲しいことなの・・・」
なんて言わないのだろうが、どうなるのか。
そしてもう一方気になるのは佐々木小次郎の動き。
城太郎は消息不明のままだがどうなったのか。
いずれにしても早く続きが読みたい。 -
Posted by ブクログ
やっと読み終わった…
ご存知豊臣秀吉の波乱万丈ながらもガンガン出世して百姓の子供から天下人まで登り詰めるお話。
この辺の歴史は本当に表層しか知らなかったので、まず単純に勉強になった。へー家康と秀吉って戦ってたのねとか知らなかった…
与えられたら仕事は何であれ全力で取り組み、今までのやり方を刷新して成果を出す。常識にとらわれずに新しいやり方をゴンゴン実行。とことん合理的。戦国時代によくこんな考え方や行動が出来たものだと不思議でならない。完全に突出してるものね。この人と家康。
戦わないで済むならそれに越したことはない、って発想はなかなか出ないよねぇ多分当時。華々しく戦ってナンボっぽいものね。
そんな秀吉は何で死後のことを家康に託したんだろうね? 一番優秀だったからかなぁ?どう考えても裏切るよねぇ家康… 何で豊臣家は滅んで徳川は栄えたんだろうとか、まぁ家康死後天下取ったる!!って勢力が無くなってただけなのかなぁ。
とりあえず読むと秀吉が好きになる一冊。つか今人生で一番家康がキライ。