吉川英治のレビュー一覧
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新平家物語を再読。
武士が貴族の犬として存在した時代。時代が混とんとする中、平家の忠盛、清盛や源氏の為義、義朝らが力を付けていく。人が生きると言う事はきれいごとではないと改めて感じました。
いつの時代であっても権力闘争と言うのは尽きない悩みの様です。
鳥羽上皇と崇徳天皇の親子間の確執。悪左府頼長と道長の兄弟間の確執が混乱や権謀渦巻き、争いの火種となる。
悪左府頼長の政治への態度は敵も多いと思いますが、実は政治に対して最も真剣だったのではないか。そして、妻子を捨て、仏の道を選択した西行こと佐藤義清もまた、人生に対して正直だったのだと再読して感じました。
奢れるものも久しからずと言いますが、 -
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この作品もようやく読破。約4ヶ月であるから、月に2冊のペースで読みきったことになる。日本史好きな私ではあるが、もともとこの時代は好きでもないし詳しくもなかったのだが、職場の同僚SYUくんが「くちゃくちゃで訳わからなくなるから」と半ば強制的にくれたため読み始めたのである。
読んでみると、彼が言っていたほどはくちゃくちゃでもなく、訳が分からなくて方向性を見失うことはなかった。最終盤において、足利直義と高師直のナンバー2争い、尊氏と直義の兄弟喧嘩などが畳み掛けるように勃発しているさまを言っていたのだろうが、もともとこの辺りは高校時代の大河ドラマで観ていたし、先に読んだ「日本の歴史 第8巻 南朝と北 -
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本作品の主人公は紛れもなく足利尊氏だろう。そしてライバルとして楠木正成が据えられている。まあ、同じ源氏出身同士で仲違いをした新田義貞を合わせれば二人か。いや、後醍醐天皇も入れれば三人か。ならば護良親王も合わせれば四人…と、まあ主人公を引き立てせるためには幾人かのライバルを登場させるのが小説のやり方。話を戻そう、楠木正成。彼はどの時代人においても評価が高く、戦前などは彼が超ベビーフェイスで、尊氏がヒールという扱いだった。それは勿論、後醍醐天皇を敵に回した尊氏と、支え続けた正成という図式だからである。本作品は戦後描かれた作品であり、そんな図式にはとらわれず、この二人のキャラクターを魅力たっぷりに描
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長旅になる覚悟をしていた本作品であるが、いつの間にか折り返しを過ぎた。足利高氏、佐々木道誉、新田義貞らがどんどん鎌倉幕府を裏切り、武士の世はいったん滅亡。倒幕にあたっての高氏と道誉の食えぬ関係での友情、高氏と義貞の微妙な関係、どれも興味深く楽しめた。
そして建武の新政がスタート。楮弊により庶民が右往左往する様は哀れさを通り越して滑稽だった。それを普及させようと工夫を凝らす道誉もまた面白い。
前巻までは時間がゆっくりと流れていたが、今後はペースアップしていくこと間違いなしである。楽しみになってきた。
以下に興味深かった内容を引用しておきたい。
・世良田の南へ半里、利根川べりに行きあた -
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ネタバレ薫承(とうしょう)らの陰謀も叶わず曹操の天下に。
全てを手に入れたい曹操(そうそう)が次に望んだのは、なんと玄徳(げんとく)の腹心、関羽(かんう)だった。
これが実に、切ない片想いなので笑える。
曹操の恋、という表現も、男同士でも恋って言うんだーと納得。
変人の学者、禰衡(ねいこう)や、愚かな呂布(りょふ)の最後など、登場人物が相変わらず個性的で面白いんだけど多すぎて真剣に読んでいないとついていけない。
それにしても関羽かっこ良すぎ!
曹操に対しても、精一杯誠実に忠義を守ろうとするあたりが、惚れてしまう。
はっきり言って玄徳よりあなたが主役級。 -
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保元の乱が書かれてある。家族や親戚同士の戦いが泥くさかった。三国志も平安末期も、実質的な権力者と形式的な権力者の構図が似ている。すなわち、天皇か武人かということで、天皇とかお上の力を利用して、武人は戦いの大義名分を作って権力を牛耳っている。書かれた時代が戦争時期のため、天皇の表現が非常に丁寧だ。作者である吉川英治の、権力についての洞察がさらりと書かれてあった。曰く、「人を狂わせるものだ」と。
しかしまあ読んでいて、清盛始め、「~盛」がつく人物が多かったり、「~頼」とか似たような名前ばかりが出てきて、非常に頭に入りづらい。だから大河ドラマを見て、映像でイメージをつけてから読むことにする(^.^