吉川英治のレビュー一覧

  • 三国志(三)

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    ネタバレ

    呂布ついに倒れ、曹操の天下が訪れる。劉備は皇叔として官職に就くが、曹操打倒のクーデターに加担したがため都を落ち延びることに。敗戦により関羽、張飛とも別れ、関羽は曹操の軍門に下る。名馬との出会い、そして曹操のもとにあっても忠義を失わない関羽の義侠心に惚れる。張飛はあいかわらずせっかちだが、知略に長けた一勝をあげ、劉備も愚を装って曹操を欺くなどなかなかの野心家。

    だんだん三国志らしさが出てきた。
    曹操の勝負運強さには驚く。玄徳もなかなか貫禄が出てきた。

    登場人物が多く、名前がややこしいので混乱するが、読み出すと止まらないおもしろさ。

    智慧に溺れたあまりに命を縮めた偏屈学者の一件は、耳に痛い。

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    2014年10月03日
  • 三国志(二)

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    ネタバレ

    奢れるものは久しからずという乱世後漢末期。
    董卓は倒れ、曹操はいよいよ地歩を固めつつあるが、劉備はいまだ地方の太守、それすらお人好しのため呂布に奪われてしまう。

    徳で善政を行い慕われればよいのだが、リーダーは優柔不断ではならず、ときに非情にならねばならぬかな、という気にもなる。謀計謀略の限りを尽くし、信じては裏切られる世の中はいまに通ずる。

    しかし、玄徳の温厚さは豪傑呂布までをも義理堅くしてしまうし、曹操の腹心にその危うさを見抜かれつつも、曹操自体は側に近づけて憚らない。曹操は意外と逆境が多い人物で部下に救われやすい、カリスマ性があるのだろうな。

    小物ではあるが英雄ならずとも策士も活躍す

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    2014年10月02日
  • 宮本武蔵(8)

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    最大の山場とも言える、手に汗握るシーンが含まれた巻だったけど、読み終えたらなんだか静かな気持ちになった。8巻あっという間だった。楽しかった。
    2014/9/10

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    2014年09月11日
  • 親鸞(一)

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    十八公麿として落ちぶれ藤家に生まれるも、義経のまた従兄弟という血筋から、源平争乱の時代に出家し、範宴となった後の親鸞。若き日の、叡山での学問、修行の時代を描く1巻。座主の言葉、世に怖いものがあるとすれば、それは人間だ。人間で怖いものがあるとすれば、それは自分だ。自分の中に棲む狐や鷲や栗鼠は本当に怖い。この言葉は、後の範宴の苦悩へとつながっていく。すなわち、若い血潮が疼き始める。飢えているといえば、私には何か飢えが感じられる。それは、母の肌を恋うような血潮の淋しさだ。このように、真摯に自分と向き合うことに、憧憬を抱く。

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    2014年09月10日
  • 黒田如水

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    大河ドラマの『黒田官平衛』はたまにみる程度なので、毎回見てるツレにちょこちょこ質問しながら読みました。時代物は苦手な方ですが、かなり楽しめました。なによりもすごく読みやすい。

    ドラマとは異なる部分が多々あり、小寺政職が「頼りないけど根はいい人」っぽいのがなんか。宗円だけは最初から最後まで柴田恭平で脳内再生されました。ドラマ見てる人は読んでみると面白いかも~

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    2014年09月04日
  • 宮本武蔵(7)

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    武蔵のいない所で、見ず知らずの他人同士が、武蔵の名前を通じて繋がりを持っていく所が良い。
    2014/9/3

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    2014年09月03日
  • 宮本武蔵(6)

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    武蔵目線のシーンを読むと、なんだかスッキリした気分になる。武蔵の考え方はシンプルで好感が持てるからかもしれない。
    相変わらず、季節の表現が美しい!
    2014/8/30

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    2014年08月30日
  • 新・平家物語(十二)

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    ネタバレ

    義経と頼朝の深まる溝と、義経の屋島への平家討伐。
    湛増の水軍を巡 って源氏と平家のやりとりも面白い。策士の行家の行動が空回りしてばかりなのは、可哀想にも見えますが。

    それにもまして、重衡と千手の恋。女も男も、この当時の恋は命懸けですね。

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    2014年08月02日
  • 宮本武蔵(1)

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    思ったよりハラハラドキドキはしなかったけど、さらりと読めた。話し言葉が上品で素敵だと思った。
    この時代の他の小説も読みたくなった。
    2014/7/9

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    2014年07月10日
  • 宮本武蔵(1)

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    自分の弱さに気付き、強さを追い求める男の話。

    両親から捨てられ、立身出世の道を閉ざされ、
    親友にも捨てられ、追われる身となる武蔵。
    失うものなど何も無いと思っていたが、
    沢庵和尚に生命の大切さを教わり、
    死を恐れるようになってから物語は始まる。

    同じ作者の新書太閤記も最初は虐められたが、
    秀吉には母が居たし、立身出世の道が開けていたが、
    武蔵はどちらからも背を向けられるどん底の状況で、
    それでも強さを追うという生きがいを見つける。

    秀吉の立身出世の先には何も残らなかったが、
    武蔵の追う強さの先には何が待っているのだろうか。

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    2014年11月15日
  • 三国志(五)

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    赤壁の巻。
    正史と比べると演義の孔明はまさに完璧超人なんですが、それでもかっこいい。特に舌戦のところは気持ちのいい論破をみせてくれて、好き。
    周瑜と魯粛の扱いはまぁ、演義なので…。

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    2014年05月14日
  • 新・平家物語(九)

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    平家都落ち。

    木曽義仲のまわりで控える葵、巴御膳、山吹が、義仲と言うひとりの男を命がけで愛する姿は、女性の逞しさと怖さを感じました。

    奢る武将の多い平家の中で、麻鳥を気にかける平経正の優しさが、心を打つ。

    斉藤別当実盛が平家への忠義を貫いて、死んでいく姿が悲しい。

    平家に代わって、都に入った義仲と朝廷の民を無視した権力争いは、今も昔も変わらないなと実感。

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    2014年04月30日
  • 新・平家物語(八)

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    再読。8巻。頼朝と義経との出会い。木曾義仲の蜂起。そして、平清盛の死により風雲急を告げる平家。

    ひとりの人の死によって、情勢が大きく変わる。もし、長男の重盛が生きていたらなどといったら、きりがないけど、この辺り、会社にしても、政治にしても、ひとりの才能に任せてしまうのは、危険すぎるのではないかなと、実感。

    頼朝と義経の関係は、政治と軍事と言う分担が、色濃かったような気もします。これが強さの秘密かと。ただ、平家が滅び、義経の身の置き場がなくなり、兄と対立するのは、悲しいことですが。

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    2014年03月30日
  • 新・平家物語(七)

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    源頼政の平家への反旗、そして、伊豆では、源頼朝が旗揚げをする!

    頼朝と言う人物が、あまり好きにはなれないのは、やはり義経との対峙からくる、情のない態度にあると思いましたが、父の義朝を部下の裏切りで亡くしたことを考えれば、当然かもしれないし、政治を情でやられたら、考えてみれば、堪らないかもしれません。

    政子と言う女性の男勝りな一面とそっと、涙を見せる姿、いつの時代も男はギャップのある女性には弱いなと思いました。

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    2014年03月04日
  • 黒田如水

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    若き日の官兵衛を描く。伊丹城幽閉をクライマックスに、家臣との絆、半兵衛との友情、まさしくドラマであり、感動物である。

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    2014年02月22日
  • 黒田如水

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    古臭さを感じさせない文体、さすが吉川英治だと思った。
    最近流行の黒田官兵衛が黒田如水になる前の話。伊丹城での幽閉から救出がメインだった。愚直なまでに誠実、話せば何とかなるという胆力は読んでいても清々しい。参謀としての活躍よりも、参謀までの道のりが描かれている。本作を初めとし、様々な黒田官兵衛が書かれている著作を読むのには良いのかもしれない。
    荒木村重を描いた、遠藤周作の「反逆」も併せて読みたい。

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    2014年01月27日
  • 黒田如水

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    通例の「油断できない策士」という人物造形ではなく、えらく義理堅い人として描かれていて違和感。竹中半兵衛との信義相通ずる描写には泣かされる。この人の本を読むと文章のリズムが如何に重要なファクターかが判る。この歯切れ良い講談調の語り口にすいすい乗せられる。

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    2014年01月26日
  • 黒田如水

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    黒田如水 吉川英治著
    昭和18年の作品で改版されてます。※70年以上前の作品

    勘兵衛、秀吉、竹中半兵衛と出逢うシーン

    夏の夜はみじかい。殊に、巡り合ったような男児と男児とが、心を割って、理想を談じ、現実を直視し、このときに生まれ合わせた歓びを語りあいなどすれば、夜を徹しても興は尽きまい

    ここからの友情、裏切り、武士の生き様と、戦国の世の無情さと。
    何となく、ベンチャー界隈の武将の方々にオススメです!

    さすがに言い回しが古いなと感じますが、清張氏とは違った面白さです。

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    2014年01月21日
  • 黒田如水

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    軍師官兵衛が始まる前に、と思って読んだが、わかい頃の黒田官兵衛に焦点を当てて描いたものだったので想像と違った。
    しかし、あまり有名、知られてはいない話が多いと思うので大変興味深くあっという間に読む事が出来た。
    竹中半兵衛の生涯にも興味がわきますね。

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    2014年01月05日
  • 黒田如水

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    タイトルは「黒田如水」だが、「黒田官兵衛」時代で終わっているのに不満が残る。有岡城での幽閉や竹中半兵衛との友情が中心で、活劇としても吉川英治の筆が冴える。創作かもしれないが、官兵衛の窮地を救った女性お菊の存在が光る。
    「如水」になった晩年の人生を知るには、坂口安吾の「二流の人」とセットで読めばいい。

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    2013年12月11日