【感想・ネタバレ】上杉謙信のレビュー

あらすじ

謙信を語るとき、好敵手信玄を無視することはできない。精悍孤高の謙信と千軍万馬の手だれの信玄。川中島の決戦で、戦国最強の甲軍と龍攘虎搏の激闘を演じ得る越軍も、いささかもこれに劣るものではない。その統率者謙信と彼の行動半径は? 英雄の心事は英雄のみが知る。作者が得意とする小説体の武将列伝の一つであり、その清冽な響きは、千曲・犀川の川音にも似ている。

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Posted by ブクログ

上杉謙信というタイトルだが、上杉・武田両方の視点で川中島の戦いを描く。
互いが互いの腹を読みあい、裏をかこうとする。
吉川英治のごつごつした文章が、なぜかつるつると気持ちよく入ってくる。

歴史の結果は知っているけれども、謙信の視点に立てば捨て身の戦法が功を奏するのではないかと、信玄の立場になれば地の利と数で大勝するのではないかと、わくわくしながら読み進める。

そしてタイトルの上杉謙信。
戦国武将でありながら、あまりにもストイックで、理想主義。そして無私の人。
これがフィクションの創造物ならできすぎだ!と言うところだけど、古文書にも記されている事実なのよねえ。

同じ時代に同じ器量の武将が隣り合わせで存在していたことに、歴史の妙を感じました。

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2018年12月18日

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上杉謙信で連想するのは、川中島の戦い、毘沙門天、敵に塩を送るハナシ、等々。信長や秀吉と違って戦国時代日本のトップに立つことには興味がなく、自分の力の誇示に満足するアスリートのような印象がある。吉川英治が描く上杉謙信もストイックな戦いのプロ。戦の感覚を味わうために戦国武将をやっているってカンジだ。かといって、殺人大好きな残虐非道な性格ではなく、民にも臣にも愛情を注ぎ、バランスのとれた人間だった。

そんな他の武将とは違う価値観を持った上杉謙信が、ライバル武田信玄と川中島の戦いに挑む。信玄はキツツキ作戦で謙信をおびき寄せようとするが、謙信はその裏をかき、単身で信玄の本陣を急襲する。そして、謙信の太刀を信玄が軍扇で受けるという一連の名シーンが蘇る。

それにしても、上杉謙信の戦国武将らしからぬ信念や覚悟は独特すぎる。彼に後継者ができなかったことも納得だ。

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2016年05月20日

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ネタバレ

吉川英治による上杉謙信と武田信玄の川中島の4度目の合戦を中心に展開する物語。
書籍のタイトルは上杉謙信だが、終生のライバルである武田信玄についても描かれており、その対比が面白い。この第4次川中島合戦だけでこのボリュームであるので、生まれてから死ぬまでを描いたとするとかなり長大な作品になったに違いない
川中島後のいわゆる「敵に塩を送る」故事も描かれているなど、川中島それだけにはとどまらず、上杉謙信という人となりを立体的に描こうとしている。ただやはり生まれや幼少の頃の景虎、第4次川中島までの謙信が描かれていれば、もっと魅力的な人物として読者に訴えかけるものがあったのではないかと悔やまれる。

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2013年07月31日

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日本史に疎いというか、時代小説に苦手意識のある私だが、読んでみたらすごく面白かった。

謙信を描くには信玄を描かなければならないのか。なるほど終生のライバルってこういう関係なのかと思った。

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2013年06月24日

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直江兼続について巡っていたらいつの間にか謙信公に心酔し始め、うっかり読んでしまいました。
悩んだら戻ってこれる、居場所みたいな本になりそうです。

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2009年10月04日

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こよいの霧はすべて血か。

濃霧の中激戦となった永禄四年、第四次川中島の戦いを焦点に、歴史小説の大家吉川英治が読ませます。上の文は、合戦を終えて主従二人で合戦上を引き上げるときの謙信の心情。ゾクっときた。

英雄の心事は英雄のみが知る。
好敵手であった信玄と謙信。
謙信が単騎、信玄の陣中に斬り込み、信玄との一騎打ちを果たすシーンはドラマチックで読み応えたっぷり。

この永禄四年ごろは後の天正(信長が天下をとった時代)、慶長(関ヶ原のころ)などの時代より、もっともっと人間が骨太で荒肝だったという。
戦は人の力によるもの。だから戦国は人を磨く。
謙信の言葉「死中生有り、生中生無し」。

文武両道、神人合一の謙信は、妻女山の陣から敵方の海津城からあがる炊ぎの煙の多さを見て、敵の動きを悟り、自らも動くとき「間」がきていることを悟った。
鼓を打つにも「間」は計る、あらゆる芸能にも「間」は必要。もちろん兵法の妙機にも。

合戦を終えての館内、ひとり古今集を読む謙信の心意気。

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2009年10月07日

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城巡りを前に、武田信玄に関する小説を読み、それに続けて上杉謙信を読んでみた。
上杉謙信の人柄がこの通りなら、私は武田信玄より上杉謙信が好きだと思った。そして、こんなにも戦国武将に慕われる朝廷の歴史を勉強したいと思った。
また、この本で印象に残ったのは、
自分の理想を実現するには、まず自分を愛すること
ということ。自分を律して自分を好きになって自分の理想を実現させたい。

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2023年05月03日

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謙信と信玄の川中島における一騎打ちの迫力もさることながら、物語の最後に描かれた「塩」のエピソードにしびれた、ふるえた。

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2021年06月04日

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「敵に塩を送る」という言葉でも有名。武田信玄とは、何度も川中島で戦う。武田信玄と優劣つけがたいほど強い。しかし天下取りなどには、興味をあまり示さない。鬼神。自ら毘沙門天の転進と信じていた。

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2014年10月13日

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上杉謙信について知りたかったので読んだ。
と言っても、この本は川中島の戦いメイン。信玄vs謙信について知りたい場合にはいい。すごく面白かった。謙信の落ち着き払って肝のすわってるところがかっこいいなあ。
勝敗については、どうなんだろう。
あと、塩のところ。かっこいいなあ謙信。

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2012年07月28日

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激しかった第四次「川中島の戦い」前後の話。死の中に身を置いて生をとる謙信の生き方が潔い。出家僧でもあった謙信が戦いの中に身を置いた苦悩と哲学も描かれている。

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2011年09月20日

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川中島の戦いとその前後をピックアップして書かれている。自分としては、上杉謙信の人となりについて(出自や独自の宗教観を持っていたこと、琴や歌を愉しむことなど)、人物自体を知りたかったので、そのような目的からは得た物がそれほど無かった。次の機会にそういった本を読みたい。

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2011年02月21日

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第四次川中島だけを抜粋し、
描いた史観がなんとも潔かった。
国主になるまでの苦悩と葛藤を無視した形で
上杉謙信像を描くのは多少物足りなさも感じるが
すごいことだと感じた。

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2009年10月04日

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川中島の戦いを中心としていて短い内容。もうちょっと織田信長への繋がりまで読みたかった。

海音寺潮五郎の『天と地と』の後に読んだので、物足りなさがある。

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2023年12月03日

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謙信の一生ではなく、川中島の戦い前後を中心に描かれている。戦というものについての謙信の考え、また「敵に塩を送る」エピソードなどが彼の人柄を表していて、まさに「義の人」という感じを持った。

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2023年06月19日

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ネタバレ

R5.4.27~8.23

(きっかけ)
青空文庫

(感想)
第二回川中島の戦いがメインの小説。
まあまあ。
「真田三代」と同時に読んでいたのでところどころごっちゃになってしまった・・・。
悪くはないが、ちょっと物足りない。

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2023年08月23日

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謙信の後半生。内外面とも対象的な信玄との争いが中心。特に川中島の一戦に焦点を当てる。謙信は、正義の人と評されることが多く、作中でも節々に正々堂々と振る舞う姿が描かれているが、そのような人間形成を成した前半生を飛ばしたのは何故だろう。2020.11.26

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2020年11月26日

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上杉謙信が単騎で武田信玄の陣へ乗り込んだことで有名な川中島の合戦(第4回目)に焦点を当てた歴史小説。週刊誌の連載と言うことで、毎回「啄木の戦法」「殺地のいのち」「一手切」「死中生あり」など魅力的なタイトルが付けらてている。戦国時代にあって文字通り好敵手の謙信と信玄。特に上杉謙信は謎めいたところもあり、できればその全生涯を描いてほしかった。

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2016年06月28日

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川中島の戦いに焦点を当てている。何度かあった川中島の戦の中で本作は謙信が単独信玄の陣に切り込む最も有名な戦いを描く。元来信玄の方が好きであったが読後謙信の私利私欲のない生き方に感動した。

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2016年01月06日

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ネタバレ

鞭声粛々夜河を過る~♪by頼山陽
の詩でも有名な永禄4年(1561)の第四次川中島の戦いを描いた歴史小説。

上杉謙信と武田信玄の性格の比較なども面白いし、いざ決戦の際の兵士たちの気持ちなども臨場感あふれる描写でドキドキしました。

上杉謙信さんの全生涯を描いたわけではないけれど、コンパクトな1冊だし、文も読みやすいので、謙信&信玄ファンには手を出しやすいと思うよ。

コアなファンには、ちょっと物足りないかもしれないけれどね。

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2016年01月04日

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「啄木鳥の戦法」で有名な第四次川中島合戦の様子。例の講談調の語り口で活写される、謙信の太刀を軍配で受ける信玄…というシーン。戦国時代のハイライトベスト10を選べば、確実に入るだろうこの失禁必至の場面、「どうせ盛ってんでしょ」と自分は斜に構えてしまう。

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2014年09月23日

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20数年ぶりに再読してみた。

昔はすごく面白かった記憶があったけど、今読むと情報が少なすぎて物足りなかった。
謙信の内面を描くには一冊では分量が足りない。


謙信が決死の覚悟で信玄に決戦を挑むところから物語は始まるのだが、そこに至る過程はもう事前の知識として読者に要求しているので、なんだか謙信が人間を超越した鬼神のように描かれている気がする。そこに至る心の揺れを知りたかったようにも思う。


もし三国志や太平記みたいに、これが長編だったら、どんな謙信像が描かれていたのだろうと想像してしまう。

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2017年08月15日

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これもずっと積読状態だな…

しかも、文庫版買ったの忘れていて、古本で大判のやつも買ってしまったよ…
同じ内容の本が2つもあってもなあ…

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2009年10月04日

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