吉川英治のレビュー一覧
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ネタバレ保元の乱から平治の乱にかけての話になり、いよいよ面白くなってきました!
天皇家の悲哀が特に切ない。文章に天皇家に対する敬意も感じられて、その時代の人間の感覚に近づける気がする。
崇徳上皇と麻鳥の関係に権力争いに翻弄される一番の被害者である天皇家の悲しさが表現されていたと感じました。
一方の公家は滑稽なまでにおろか。
もう公家の時代ではないというのがひしひしと伝わる。
武家の棟梁としての清盛と義朝の対比も面白い。
端整な重盛VS悪源太義平の嫡男対決もわくわくする。
ついに13歳の頼朝も登場するし、長期戦でのんびり読むつもりだったけど、早く続きが読みたいです。 -
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義経の平泉入り。頼朝の近況。京の都では鹿ヶ谷事件が発生する。
歴史にIFはないですが、頼朝が伊豆に送られずに、西国に送られていたら。政子に出会っていなければなどと考えてしまいます。義経も同様です。平家もしかりで、清盛が長生きだったら。重盛が病にならなければと。
ただ、この些細なひとつずつの積み重ねが、重大な結果に繋がると思えば、自分の生活でも何もしないと言う選択肢はないと実感。
鹿ヶ谷事件で、平教盛・重盛が大納言成親との親類関係に苦しむ様や、政子が頼朝と通じていると苦しむ北条時政。そう言った親兄弟の関係で苦しむ様は平治の乱や保元の乱とあまり変わっていない気がします。 -
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諸葛亮孔明と並び称される龐統も軍師として加わり、劉備がいよいよ蜀を取って一大強国になるのがこの6巻。
酒癖悪く粗暴だった張飛が将軍として成長を見せたのもこの巻でとても好きな場面です。
曹操は西涼の馬超に苦戦し、劉備にも連戦連敗で漢中という重要拠点を失ってしまう。老齢による翳りがこの英雄にも見え始めていた。
呉の孫権も、劉備と孔明の仕組んだ荊州返す返す詐欺によく我慢しながら、魏に戦いを挑むものの、名将張遼の前に大敗北をしていた。
蜀の隆盛を苦々しく思う魏と呉は密かに軍事同盟を結ぼうとしていた…
大人になって改めて読むと、呉の孫権は実によく我慢したなあという印象。
こういう乱世の駆け引きと -
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ネタバレ劉備の居場所がわかった関羽は、曹操に見送られついに都を出発する。途中、五つの関所が立ち塞がるが彼は次々と突破して劉備とついに対面し、張飛と新たに趙雲も仲間に加わった。
一方、南では孫策が暴漢に襲撃され27歳で命を落としてしまう。後を継いだ孫権はわずか19歳であった。
曹操は圧倒的に兵力で上回る河北の袁紹を滅ぼしていたが、劉備は47歳になろうというのにまだ一国すら持たない身であった。彼は自分を補佐する軍師が欠けていることを感じ、三顧の礼で諸葛亮孔明を迎えることに成功する。
彼の説く天下三分の計に沿って劉備は今後動くことになる。
この巻は曹操が袁紹を破った大逆転劇と、劉備が孔明を得たという一 -
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保元の乱から平治の乱までを描いています。
貴族と武士の力関係が逆転するきっかけとなった時代の節目だけに興味深い。それ以上に負けた側と勝った側の人間模様も考えてしまいますね。
敗者の崇徳天皇の讃岐での悲哀。奢り高ぶる信西と権力の中枢から滑り落ちる藤原頼道。その信西も源氏により殺されてしまう。それも文覚のこの一言に集約されていると思う。
「人間にとって何よりの毒は権力だよ。」
親兄弟でも、反目しあい、殺しあう時代。「今日の友は明日の敵」の世界。後に頼朝が人間不信になってしまうのも分かる気がします。しかし、大河ドラマの世界と言うのは一度、小説などを読んでから見ないと歴史認識が誤りますね。 -
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ネタバレ初・水滸伝。 未完で終わったと知りつつも、読み始めてしまった。
<ネタバレ>
えらいたくさん登場人物がでてくるのは知っていたけれど、それがなぜ108名もいるのかは知らなかった。人間の強欲によって開かれてしまった扉。そこから弾け出た108名の星宿。
何かに流されるがごとく、梁山泊へと集まってゆく。
大義名分、同情に値する理由は大きくあるけれど、それでも殺戮にまみれて自らの手を汚してきた登場人物たちが”悪の根元”である高俅を成敗せんと向かって行く。善悪の棲み分けが曖昧なようでいて、とても明確であることの矛盾が面白い。
一番好きなのは、黒旋風・李逵。吉川英治の描く黒旋風は、とんでもなく無邪気で