吉川英治のレビュー一覧
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ネタバレ諸葛孔明の唱えた天下三分の計を成就させ、漢王室の復興に向けて順調に勢力をつけていった蜀の劉備だが、関羽が呉の孫権に殺されたことで歯車が少しずつ狂っていった。張飛も寝返った部下に殺され、かたき討ちと呉の孫権に出兵するが敗北してしまう。私情のままに動いたために、魏を倒すどころかかたき討ちすらできずに劉備はこの世を去る。諸葛孔明は劉備に代わって魏を倒すことを誓い、優れた才略で着々と敵を倒していく。しかし「泣いて馬謖を斬る」の故事成語になった馬謖のミスにより長安侵攻の機会を失ってしまった。最期には病に倒れ、ついには劉備の夢を叶えることはできなかった。
関羽・張飛が殺された後、劉備が諸葛孔明に従って無 -
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6巻は2人目の弟子との出会い、共に荒野を開拓していく。
大自然を師匠とし、開墾の中で得られる苦労や失敗を修行と捉える生活はスケールが大きい。
新たな環境で試行錯誤を重ね、得た知恵や深めた思想は生き生きしている。武蔵は失敗するほど、柔らかく謙虚になっていくように感じる。その一方で人に何を言われても自分が信じることを貫く強さをもつようになる。
何事からも素直に学ぶ姿勢を持ちたいと思う。
「水には水の性格がある。土には土の本則がある。その物質と性格に、素直に従いて、おれは水の従僕、土の保護者であればいいのだ」
「富士山をごらん。あれになろう、これに成ろうと焦心るより、富士のように、黙って、自分を -
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4巻は、さらに武蔵の心と技が磨かれていく。
これまで愚直に、強くなることだけを考えて修行を重ねた武蔵だが本阿弥光悦や吉野太夫との出会いの中で、本当の強さとは、心を張り詰めて自身に厳しくあるだけではなく、適度に緩みを持たせるしなやかさを持つことだと悟る。
「生きている間の花は咲かせても、死してから後まで、この牡丹の薪ぐらいな真価を持っている人間がどれほどありましょうか。」(吉野太夫)
物語は吉岡一門との決闘に向かって、徐々に緊迫感を増していく。武蔵は死を受け入れて戦う決意を固めるが、その中に「生きたい」と願う心を知る。
生命を愛するということは、命の終わり方に意義をもたせることだと戦う覚悟を決 -
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2巻では、武蔵の挫折と心身の成長、沢山の出会いと別れが描かれる。
城太郎という弟子との出会い、吉岡門下との戦い、何より石舟斎に出会わずして挫折する場面は印象的。また、青年らしく、お通に心惹かれる自分を戒める姿に人間らしさを感じる。
功名心に燃える武蔵が、剣宗石舟斎の門の前で詩を読んだ時、
「届かない!自分などには届かない人物だ」と感じる場面がある。
それは武蔵にとって挫折であり転換点でもある。剣の技ではなく、剣の真理を求める厳しい修行の始まりだったのだと思う。
武蔵は自身の未熟さを克服するため、「今から小理屈は早い、剣は理屈じゃない、人生も論議じゃない、やることだ、実践だ」と山沢に駆けて