吉川英治のレビュー一覧

  • 私本太平記(三)

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    元弘の乱が興り、楠木正成が満を辞して、ついに立ち上がる。
    楠木正成に対し、佐々木道誉が後醍醐帝と北条高時の間を自由に動き回る。決して愛すべきものではないが、動乱期における魔物なのであろうか。

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    2019年12月22日
  • 私本太平記(二)

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    帝を立てての反乱に破れた日野俊基、日野資朝の悲劇とともに、楠木正成一族も描かれる。
    正成の妹卯木、服部元成もその哀れな運命から目が離せない。将来の観阿弥と思われる子供の妊娠も推察される。
    天皇の御謀反と言われる元弘の乱が勃発する。

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    2019年12月20日
  • 私本太平記(一)

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    後醍醐帝、執権北条高時の御代、まだ18歳の若殿足利又太郎高氏が京都に颯爽と登場し、この長いものがたりは、始まった。
    足利七代家時の置文を目にして、若き高氏は、祖先の志をつぎ、時の悪政を正し、また大いに家名を輝かさんと誓う。
    婆娑羅であり、今後も高氏と共にキーマンとなる佐々木道誉がどう動くのか、目が離せない。

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    2019年12月18日
  • 三国志(四)

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    本巻では曹操の強さと玄徳が三顧の礼で迎えた諸葛孔明の登場で三国の関係が変わってきそうな予感がする。玄徳と関羽、曹操と袁紹の対決、母上の大切さ、軍師の存在の貴重さ、等群雄が割拠して先が読めない。五巻以降が楽しみである。

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    2019年10月22日
  • 三国志(二)

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    とある作家さんの影響で呉の孫策推しなので、なかなか楽しめた笑。彼が長命だったらその後の状況は全然違ってたんだろうなあ…と意味の無いことを考えてしまう。

    曹操は人気があるのも分かるなあ。自己中なとこもあるけど、逆に人間味があっていい。そもそも実在の人物だしね。

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    2019年10月04日
  • 新書太閤記(八)

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    信長の死後、毛利家との和睦、明智光秀を討ち、清洲での信長の後継者問題を解決。
    獅子奮迅の活躍の秀吉。
    遂に、秀吉の前に天下への道が拓かれてゆく。
    己の持てる力を全て出し、己の力で己の道を切り拓いてゆく秀吉の姿が逞しく見える。

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    2019年07月01日
  • 新書太閤記(六)

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    破竹の勢いを示す織田信長。
    武田家も滅ぼした。
    怖いものは無い。
    天下統一へ向け、障害となるのは、中国の毛利一族だけ。
    だが、これは、信長の最晩年であった。
    本能寺の変。
    明智光秀による伏線が張られていた。
    天下を虎視眈々と狙う信長。
    信長を虎視眈々と狙う光秀。
    日本が大きく変わろうとしていた。

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    2019年05月06日
  • 脚

    購入済み

    変化

    主人公が、世の中をみながら、自身の考えや、行動が変わっていく様が面白かった。幕末の混乱期。自身がどう行きていくか。人の脚の流れを感じながら、私自身も社会の中に飛び込んだ時を思い出せてもらった一冊でした。

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    2019年04月09日
  • 新書太閤記(四)

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    遂に、室町幕府が崩壊。
    信長が天下統一の第一歩を踏む。
    この巻は、ほぼ、信長が主役。
    藤吉郎も信長から貰った、羽柴秀吉という名前で、世に踏み出した。
    一国の主になっても、秀吉の変わらない姿に好感が持てる。

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    2019年03月15日
  • 黒田如水

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    黒田官兵衛(1546~1604)の半生。
    以下、本書より葉室麟氏による巻末の解説。

    私は中学三年の時に左足の膝を悪くして入院し、そのまま受験して高校入試は合格したものの出席日数が足らず、一年間、休学した。
    同級生から取り残され、復学してからも武道の実技はできず、その時間は武道具庫で面や小手、胴などの整理をして過ごした。
    汗臭く薄暗い武道具庫で板敷の床に座って、小さな窓から差し込む日差しを眺めた。

    思春期特有の孤独感や前途への不安が胸にあった。
    その頃、『黒田如水』を読んだ。
    窓から藤の花が見えた訳ではない。
    しかし、いつか自分も官兵衛のように藤の花を見る事があるのではないか、という思いはあ

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    2019年03月04日
  • 新・平家物語(十六)

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    最終巻は前巻以前と比較して話の展開が早く、ある意味“後日談”のようになっている。

    結局のところ、頼朝もいつか来た道を辿るという、人間の愚が強調されているが、その中にも、幾ばくかの良心が存在することを吉川は示したかったのだろう。

    それを、義経とその郎党、阿部麻鳥、あるいは富樫泰家に代弁させているのではないか。

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    2019年03月01日
  • 新・平家物語(十五)

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    全巻で平家が滅亡したので、迫力のある合戦の描写はない。

    ここから先は義経の悲劇がメインなので読むのも辛い内容かと思ったが、案外楽しめた。

    結局のところ、「清盛 vs 後白河」から「頼朝 vs 後白河」の権力を巡る策謀の仕合へと変わっただけか。

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    2019年02月25日
  • 新書太閤記(三)

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    信長が全国で名を馳せていく中で、策士ぶりをいかんなく発揮し、織田家の中でも台頭してきた藤吉郎秀吉。
    信長の命に粛々と従い、周りに何と言われようが、我を貫き通す姿は清々しいものがあった。
    こんな強さが無ければ、全国統一など、夢のまた夢だったのだろう。

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    2019年02月24日
  • 新・平家物語(十四)

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    歴史には諸説が付きものだが、吉川作品には諸説を丁寧に紹介するという特徴がある。本巻では壇ノ浦の戦いにおける源義経と梶原景時の先陣争い、義経の腰越状がそれにあたる。

    だが壇ノ浦の戦いで当初不利な戦いを強いられた義経が、平家方の船の漕ぎ手を射る場面は登場せず、諸説として言及もされていない。おそらく義経を高潔な人物としては描こうという吉川の意図だろう。

    ここから先は義経の悲劇に多くの紙幅が割かれるのだろうが、本巻の描写を読むと、「情に棹させば流される」という『草枕』の一節が真であると思わざるを得ない。

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    2019年02月15日
  • 新・平家物語(十三)

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    「屋島」から「壇ノ浦」前夜という、源平合戦のハイライトが描かれている。

    有名な那須与一のくだりも。

    しかし本巻を読んでつくづく思うのは、平宗盛という人物の愚鈍さ。文官としてはそれなりだったのかもしれないが、軍官としては全くの無能。まるで選手が優秀なのにダメ監督のせいで勝てないスポーツチームのようである。

    いや、吉川英治の人物描写が秀逸であるというべきか。

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    2019年02月03日
  • 新・平家物語(十二)

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    「敵を欺くにはまず味方から」を文字通り実践している、熊野の別当の湛増の駆け引きが面白い。

    一方で平宗盛の愚鈍さがより強調されているのは、湛増の駆け引きの上手さと義経の戦の上手さを引き立てるためだろう。

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    2019年01月24日
  • 新・平家物語(十一)

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    「一ノ谷の戦い」が本巻のメイン。

    歴史小説は登場人物が多く、人物間の人間関係やその人が置かれている状況が目まぐるしく変わるため、それらを読み解くのは、パズルを解くのと同じ感覚なので面白い。

    吉川英治は「この世の無常」を描写するのがとても上手いと思う。

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    2019年01月12日
  • 新・平家物語(十)

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    木曾義仲の終焉がメインだが、終盤は一ノ谷へという内容。

    義仲は所謂「バカ正直」な人物として描かれ、そこを後白河法皇や公卿に付け込まれ、最後は義経に滅ぼされる。時勢を読めというメッセージだろう。

    一方、義経は義仲と比較して思慮のある人物として描かれているが、それでも思い立ったらきかない頑固な側面は幼少期から変わっていない。

    終盤、後に頼朝との対立の一因となる一連の梶原景時とのことが始まっている。

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    2018年12月08日
  • 新・平家物語(九)

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    倶利伽羅峠の戦いから平家の都落ち、木曾義仲の入洛、朝日将軍と、本巻は動きが目まぐるしい。

    本巻で、木曾義仲は勇猛ではあるが粗野で教養の無い、浅慮な人物として描かれているが(尤も、それは公卿視点ではあるが)、ものを知らないとは何とも恐ろしいものだと実感させられる。

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    2018年11月18日
  • 新・平家物語(八)

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    この巻における最大の出来事は平清盛の死であろう。確かに、本巻では源氏の蜂起へ大きなスペースが割かれているが、やはり清盛の死が最大の出来事であると考える。

    清盛の死を描写するにあたり、最初に木曾義仲の口からこのことが語られる、という書き方をしているのが興味深い。

    言うまでもなく、源氏にとっても大きな出来事であることを強調するためだろう。

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    2018年11月09日