吉川英治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
董卓の残党の影響も弱まり、曹操と孫策が躍進する一方で呂布、袁術は凋落ぎみ。北方の雄・袁紹と劉備を加えて、ようやくプレイヤーが絞られてきた印象のある3巻。
個人的な推しは呂布陣営。呂布はもちろん、軍師というより腐れ縁感の強くなってきた陳宮や、陳大夫・陳登父子もいい味を出していて好き。
他の武将からは脳筋の裏切り者というさんざんな評価を受ける呂布だが、その場の損得勘定や義理立てで考えをコロコロ変えて後から罪悪感に苦しむ姿は誰より人間的だと思う。
というより、巻末らへんの劉安のエピソードでも思ったが、そもそもこの時代の道義観がよく分からない。裏切りがダメといっても全員やってる事だし、張飛の蛮行を叱るだけでロクに罰しない劉備なんかの方がよっぽど非難されるべきなんじゃないか。吉川がひと段落したら、そのあたりも新書か何かで勉強してみたい。 -
Posted by ブクログ
全巻を読み終えて。
一剣豪の活躍物語でなく、一介の時代小説でなく、人間が己の信ずる道と向き合い、宮本武蔵が様々な欲望にとらわれ、そして振り払いながら、葛藤しながらも突き進む―。人間が歴史という大きな流れの中でどのように生きていくべきか?という問いに対する、吉川氏なりの答えが宮本武蔵の姿を通して描かれた物語であったように感ぜられた。それゆえに、物語を読んでいて、登場人物の心情やセリフにハッとさせられたり刺激を受けたりすることもあり、実に充実した読書体験ができたように思う。
しばらくの時を置いて数年後、また読み返してみたいとも思う作品だった。 -
Posted by ブクログ
宮本武蔵の様々な苦闘、葛藤が描かれるが、この巻においては武蔵の旧友(?)又八やその母、吉岡一門やそして佐々木小次郎といった多士済々な登場人物が物語を彩り、非常に面白い。
この巻で印象に残ったのは虚無僧(作中で名前のある登場人物だが、ここでは伏せておく)の科白。自戒も込めてココに書き留めておきたい。「いっても、返らないことだが、四十だいほど、油断のならない年頃はない。自分だけが、いっぱし世の中も観、人生もわかったつもりで、少しばかりかち得た地位に思い上がって、ともすると、女に対しても、臆面のない振舞に出るものだから、おのれのような失敗を―運命の神から背負投げを喰わされるのだ。」