吉川英治のレビュー一覧

  • 三国志(四)

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    ネタバレ

    関羽に執心するも、けっきょく手放すしかなかった曹操。
    惚れた弱みって切ないね。

    赤壁の戦い、そしてついに玄徳は諸葛孔明(しょかつこうめい)を臣下にする。
    領民まで引き連れて逃げ回る玄徳の快進撃がこれから始まる予感!

    煌びやかな金銀をあしらった鎧兜や旗印、150mもの主要道路は街路樹と塔で彩られ、城での暮らしぶりったら灯りあり鏡あり、歌や楽器を楽しみパーティー三昧。
    これが古代中国とは・・・

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    2013年05月29日
  • 新・平家物語(三)

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    面白かった!!義朝の敗北も紙一重なんだけど、長い目で見れば必然に思えてきて、頼朝を生かすことが平家の滅亡の因になっているという点も、非常に「妙」と思った。
    作中著者が民衆のことを、「生命」と表現していた。「人間」でもなく「人」でもなく「生命」と。その表記を読めただけでも僕は「三巻を読んでよかった~」と思えた。だって善いも悪いもそれをやるのは「人」なんだけど、誰もが両面を持っていると思うから。時や環境でどっちの面が強くなるかだから、やっぱり「全部含めて生命なんだろな」って思えた。
    清盛が義朝に勝っても義朝をリスペクトしている。それも作者の「生命観」があるからかなって。だからこういう視点で書いてく

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    2013年05月18日
  • 三国志(二)

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    義理ゆえに自ら主君の犠牲になる、絶世の美女、貂蝉。
    短くはかない生涯で、一国を潰すという偉業をなしとげる。
    貂蝉に振り回される呂布の、なんと惨めなことでしょう。
    2あたりからめまぐるしく勢力が変わっていくので、しっかり読んでないとついていけなくなりますね。

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    2013年05月13日
  • 新・平家物語(二)

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    平家物語ってこんなに面白かったんだ!
    2巻は保元の乱直前まで。源氏擁護の頼長と清盛擁護の信西の対立、近衛天皇への入内を巡る藤原忠通と頼長の対立、崇徳上皇と内裏の対立に伴う平清盛と叔父忠正の対立、源義朝と父為義の対立・・・政争の裏にはそこやかしこに身内が別れてのそれぞれの想いがあって目が離せない。

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    2013年04月20日
  • 宮本武蔵(1)

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    社会人になった後ですが、「バガボンド」という漫画を読み、
    原作となる本書を読みました。

    結果、漫画とは違うストーリーで、楽しめる内容でした。
    人の一生というものを考えさせられる作品で、
    最初に読んだのが20代、次に読んだのが30台前半でしたが、
    その場その場の出来事のとらえ方がその年代で大分変わったな。
    と感じたのをよく覚えています。
    自分自身の人生の重みが変わったのが影響しているのか?

    今後、何度か読み返すことがあると思いますが、
    また、何か得られるものがあると思うと、今から楽しみです。

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    2013年04月01日
  • 忘れ残りの記

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     『三国志』や『宮本武蔵』などの国民的大衆小説でお馴染の吉川英治氏の自叙伝。
     学生時代に『三国志』と『新平家物語』を半年がかりで読んだ。思えば自分が本好きになったのはこの頃からで、その後、『私本太平記』を読み、『平将門』『源頼朝』『上杉謙信』と読んだ。意識していなくても、おそらく自分は吉川英治氏の史観の影響を受けている。そんなこともあり、手にとってみた。
     この本を読むまでは、とても厳格で、間違ったことが大嫌いな人格者、ちょっと堅物、というイメージが自分のなかにあったが、実際はそんなことはなく、間違いもすれば、悩み、落ち込みもする、いたって普通の人だった。 
     子供のころは父の事業が好調で、

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    2017年08月15日
  • 新・平家物語(十四)

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    ようやく壇ノ浦の戦いが終了し、源平合戦にピリオドが打たれた。と同時に、平家物語という題名にも関わらず、主役は平家一族から源義経にシフト。しかし、それは連戦連勝の大勝利を得た偉大な総大将というよりは、常に鎌倉の兄:頼朝の目を気にして萎縮する悲哀に満ちた男の姿である。最も気の毒に感じたセンテンスが、
    「愚かな弟を平家追討の道具に用いられ、既に平家も亡んだ故、道具は無用というお考えか」
    と言う義経の頼朝に対する声無き声。義経の悲哀が本巻を含む残り3巻のメインストーリーラインとなるのだろう。
    そう言えば気付いたことがある。本作品の第1巻から本巻まで通して登場する唯一の人物の存在に。清盛の妻の弟、平時忠

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    2012年09月21日
  • 新・平家物語(十五)

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    本巻はまさに義経の逃避行を描いた書。宇治川、一の谷、屋島、壇ノ浦と連戦連勝してきた源氏の大将が、今や肉親の頼朝に追われる身。不運に不運が重なり、従者も弁慶や伊勢三郎など数人。愛妾の静とも今生の別れを果たす…。これでもかというくらい、悲哀を描いている。私個人的には戦記よりも人間模様の方が好みなので読みやすかったが。
    本巻では、久しぶりに西行が登場。彼も平時忠と同じく、第一巻から登場しているキャラクター。鎌倉の御家人、安達新三郎が義経と静の子供を沈めるよう命じられたものの、そのフリだけをして静ともども逃がしたというアングルにおいて、それを見た僧ということで登場していた。おそらく、これが最後の登場と

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    2012年09月21日
  • 宮本武蔵(8)

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    武蔵と小次郎の決着
    綺麗な終わり方だな、と思った
    技術的なことはほとんど省かれて、精神だけが強調されている

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    2012年08月30日
  • 宮本武蔵(7)

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    他人のため、天下のために身を捧げるという承太郎に対し、沢庵が
    「自己が基礎ではないか。いかなる業も自己の発顕じゃ。自己すら考えぬなどという人間が、他のために何ができる」
    と述べるところが印象的だった。

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    2012年08月30日
  • 宮本武蔵(8)

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    行方の知らないあの人この人、蔭からおいで祭りや祭り、船島の決斗ぞいつぞいな。もはや馴染みに近い感覚すら持つサブストーリーの主人公たちが覚り、寄り添い武蔵を見送る時点で既に物語は大団円を迎えていると思う。
    あ、やっぱり櫂なんだとか、鉢巻なんだとか。それは一つの物語を区切るアイコンでしかなかった。
    愚堂和尚いみじくも記すところ、元来仏法無多子 喫飯喫茶又着衣。
    宮本武蔵 全八巻了

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    2012年08月20日
  • 宮本武蔵(7)

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    江戸では、取り入り上手な小次郎のお武家勤が決まる。いるよなーこーゆーヤツ…とか、すっかり感情移入のラスト2。
    その江戸の周辺で、第一巻から続く良縁悪縁が組紐のごとくサブストーリーとして拗れていく。いや、寧ろこじれすぎて笑える。
    表の顔は信仰深いが実は犯罪組織の首領、国家転覆を狙う大蔵がラストにどう絡むかが楽しみ。
    江戸の時代って泰平の世のようなイメージだけど実際テロリストとか多かったのかなー

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    2012年08月18日
  • 宮本武蔵(6)

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    吉川英治という人の凄さはこの六巻に現れていると思う。
    こと東京都港区にいるのも手伝ってか芝から品川を起点に、のらりくらりと江戸を散歩させられる。
    それは武蔵の突き抜けた軽快さと小次郎の滑るような野心を両輪に。嵐の前の静けさが耳に痛い程の一冊。

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    2012年08月13日
  • 宮本武蔵(5)

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    吉岡一門との闘争のはて十代の少年に手をかけたという悪夢を振り払う一方、やっと道連れになったお通女史とまさかの痴話喧嘩の武さん。又八アンドお杉婆や小次郎、朱美に城太に半瓦の親分と、新旧登場人物入り乱れてのチューチュートレイン状態。まだ未開の地という江戸の描写が面白かった第五巻。そして物語は大団円へ。

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    2012年08月12日
  • 宮本武蔵(4)

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    何か特に四巻面白かった。
    前巻で撃破した吉岡清十郎の弟、伝七郎をも、まさかのキャバクラついでに撃破。何故か京都の寒い冬を思い出しました。
    光悦親子が象徴する安穏さとスゲー寒い冬の対比。冷たいようで優しい京都が思い出されるのは何故。
    吉岡一門との戦争の一方で人と交わるに血生臭い獣は要らぬと暗喩する。野獣死すべしな一冊。

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    2012年08月09日
  • 宮本武蔵(3)

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    オカンと関ヶ原の戦友ムードで懐柔して夜襲ってw、対宍戸梅軒戦から吉岡道場撃破を経て、偽小次郎、モノホンに諭されるの巻まで。もう求道にあらば何でもありかと。
    でも、本当に生きていくためにはかなぐり捨てなきゃ見えないコトがある。それだけ見つめて権威にも序列にも中指を立てる武蔵が凛として清々しいのは、日本人男子のカタルシス。

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    2012年08月05日
  • 宮本武蔵(2)

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    先日に続き第二巻。

    おかんに「免状にある佐々木小次郎とは、だれぞえ」と訊かれ「仮名です」と。いう訳で発生した偽小次郎を笑うなかれ。石舟斎のお庭でブッシュマンな武蔵。お猿転がしでスバロウ状態な小次郎イン京都。

    一生懸命にやってるから鈍臭いw。なんでそこまで強調するかというくらいに。そこには志も信念も笑の種にしかならない。でも行こう、自分たちこそ人と信じて。そんな吉川節が明らかになる一冊。

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    2012年07月30日
  • 宮本武蔵(1)

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    安藤忠雄 仕事をつくるからのリファレンス。漫画バガボンドの原作です。やっぱり人が語り継ぐ名著には独特の「気」があるもんだと。

    第一巻では関ヶ原で拾った命の行き場を求めて、武蔵と又八を囲む人生が交差します。 旅の始まりを予感させる、オーケストラでいえば各楽器が思い思いにチューニングしている混沌の状態です。

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    2012年07月29日
  • 三国志(二)

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    貂蟬の件は切ない…
    ようやく孫策、劉備、曹操、呂布とみんなのキャラがたってきた感じ。曹操のしぶとさと立ち直り、孫策のクレバーさ、劉備の生真面目さ、呂布の人間ぽさ。曹操が好きだな。

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    2012年07月11日
  • 宮本武蔵(8)

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    己が主体であり、影法師が対象であるように、

    己の心が主体であり、現世日常への感覚は対象なのだ。

    現世日常の憂い・煩悩に煩わされ、己の心を取り乱しながら生きる人間のなんと多いことよ、

    という教訓を僧侶は無言で武蔵に悟らしめた。

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    2012年06月09日