吉川英治のレビュー一覧
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ネタバレあまりにも有名な小説なのに初めて読んだ。
というより何回か読もうとしたのだけど、挫折。
ところが今回はすいすい読める。
原因の一つは時代劇が大嫌いなこと。日本史が嫌い、古文・漢文が嫌いと言う高校時代の延長で、あの古語調の文章が出てきたら脳がシャットダウン?してしまう。
ところが葉室凛の小説で免疫ができたらしい。
違和感がなくなってきた。浅薄な日本史の知識もWikiで補強しながら読めるし。
そして何よりこの新版は文字が大きい!これは読みやすい。
もちろん内容は望外に面白くて一気読みしてしまった。
武蔵の生涯を描く小説であろうが、その求道的な姿勢をメインに据えながらも、人間臭さも存分に描かれているし、何より脇を固めるキャラが実に生き生きとあまりにも人間臭くリアルに描かれている。
そしてそのキャラが時の流れとともに邂逅と別離を告げるさまが見事。これは全巻早く読みたい。 -
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待っていましたの第四巻。
三巻と同様、本阿弥光悦に誘われ、
美しい世界でしばしの休暇を味わった後、
宿敵吉岡一門との死闘に臨む武蔵。
いよいよ宮本武蔵と言えば!のアレが登場する!
そしてついに読者も待ち望んでいたであろう、
すれ違いを続けてきたお通との再開。
強さを追い求めてきた武蔵だったが、
彼女もまた別の道で強さを追っていた。
一方、彼らと比べると光と影のような又八と朱美。
又八は自業自得だが、朱美は気の毒である。
お通と比べて彼女には何が足りなかったのだろう。
運が悪かったのか。それとも弱かったからなのか。
もしも舞台、もしくは執筆時期が現代だったならば、
武蔵と又八、お通と朱美の運命はどう変わっていたのだろうか。 -
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ネタバレ時代劇ふう。
泉鏡花の文章みたいにテンポがいい。そして、山田風太郎なみの活劇。
序盤は人間関係がわからずにもたもたするが、次第に阿波藩の陰謀が明らかになるにつれて、各人の旗色が鮮明になる。
主人公の美男子・法月弦之丞に刃を向ける天堂一角、旅川周馬、そしてお十夜孫兵衛。その弦之丞と悲恋の関係にある千絵姫や女スリのお綱、そして薄幸のお米。などなど。
とにかく人間関係が入り乱れ、愛と欲が乱れ打ち、怒濤の展開の連続で見逃せない。『三国志』では英雄たちの情理を描くに長けた作家だが、本作ではもっぱらがストーリー重視。ジェットコースター展開がすさまじい。
舞台が、上方、江戸,阿波と移っていく紀行小説でもある。
ちょっとした出来心でスリを働いたがために多くの男たちの運命を狂わせつつも、情に篤いお綱や、岡っ引きながらも主人公を食う活躍を見せる万吉など脇役が光っている傑作。これが昭和初期の作とは思えない。 -
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ネタバレとうとう最終巻。
孔明率いる蜀軍が魏の大軍を迎え撃つ。
人材の不備を嘆くが、老将趙雲もまだ健在、関羽・張飛の子も大活躍。姜維という若手も獲得し、優勢かに思われたが…。
孔明すでに五十半ば。
司馬仲達率いる敵軍と交戦を重ねるうちに将星を不幸に失い、馬謖を斬り、味方からは内紛の気配が。いよいよ蜀の衰亡強くなる。そして五丈原へ。
孔明の早すぎる死は、連戦続く最前線に立ったことによる過労死ともいえる。ストレスも半端なかったろう。上司(二代目のボンクラ息子)がもっとしっかりしていれば。
孔明を「偉大な凡人」と称した著者の観察はおもしろい。智が働くがゆえにストイックだった彼には、次世代が育たなかった。天下三分の計を描いたのは孔明だったが、その没後、蜀も魏も、さらに呉までもが後継者の無能により亡国の憂き目に遭う。
英雄、名軍師と呼ばれる者にも欠点はあり、欠点よりも美点を見出し活用すべしとの劉備や孔明の仁政は,現代にも参考になろう。 -
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ネタバレ赤壁の戦い前なので映画「レッドクリフ」で観た有名シーンが続々登場。落ちぶれた(もう何度見たことか)劉備一行の起死回生は、いかに。それは、孔明によって孫権を巻き込んだ連合軍での反撃にあった。
三国志の山場というべき名場面のオンパレード。
世子を護った超雲の決死行。孔明と周瑜の静かな対決と、周瑜の死。敗走の曹操を見逃す関羽。玄徳の新妻・孫権の妹の女丈夫っぷり。
劉備は五十にしてやっと一国の主になるが、いまだに情にもろい様子。孔明が叱咤激励しつつなんとか攻略できたが、まだまだ前途多難。
にしても曹操軍は大企業病というべきか、各人が功を争い味方を疑い自滅に向かうが、悪運強くて曹操いまだに健在。
伏龍と並ぶ鳳雛こと龐統とやらは誰に仕えるのだろう。 -
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面白い
吉川英治の文のなんと素晴らしい事か。簡潔。漢字熟語の力がすごい。だからこそ、挿入される詩の良さも活きる。他の小説のおせっかいな説明のなんと多いことかに気づかされる。
今読んで、圧倒的に面白いのは最終巻だった。孔明が大魏に挑む壮大な物語。久々に本当に楽しめた名作。地図が付いていればより良かった。