吉川英治のレビュー一覧

  • 黒田如水

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    戦国武将の物語を読むときに思うのは、決して武将の武勇伝=戦争賛美ではないということに気を付けないと読み方を誤ってしまう。
    物語は、戦国時代という自らの力の及ばない歴史の激動に巻き込まれた人間の苦悩であるはずだ。
    だからこそ時代を過ごした人々の運命の変転の中で、どのように生きていけばいいのか・・・という問いかけを、物語の中に見つけなければ著者のの作品にかける思いというものが伝わらなくなってしまい、単なる戦記物に終わってしまうように思う。
    物騒な世の中ではあるが、何とか窓の外に藤の花が見える時代が来ればいいのにと感じました。

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    2015年03月25日
  • 鳴門秘帖(三)

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    ネタバレ

    矢も盾も止まらずに、怒濤の展開。
    終盤の周馬、弦之丞・お綱、三位と十夜の三つ巴の乱切り戦には圧倒。

    お綱の恋の行方がどうなるか注目だったが、最後はあの結末。敵方の温情あってけっして完全成敗というかたちではないところに決着していくのがうまい。お米さんがゆいいつ可哀想な存在。

    忘れた頃に読みなおしたい傑作。

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    2014年11月07日
  • 鳴門秘帖(二)

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    ネタバレ

    敵方は子どもまでいびる小憎たらしさ。勧善懲悪ものだが、展開が素早いので小気味いい。

    悪行から足を洗って生きなおそうとするお綱を支える、律儀な万吉のコンビが人情味あふれていい。お綱の出生の秘密も明らかになり弦之丞とは別ルートで阿波入国を目指す。だが、そこに現れたのがまたしても一角、お十夜、周馬の極悪三人組。

    刃傷沙汰は言うに及ばず、恋の修羅場も用意されていて、弦之丞は罪なオトコだなあ。
    群像劇なのだが、どれも生き生きとしてよくできている物語。

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    2014年11月04日
  • 鳴門秘帖(一)

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    ネタバレ

    時代劇ふう。
    泉鏡花の文章みたいにテンポがいい。そして、山田風太郎なみの活劇。

    序盤は人間関係がわからずにもたもたするが、次第に阿波藩の陰謀が明らかになるにつれて、各人の旗色が鮮明になる。

    主人公の美男子・法月弦之丞に刃を向ける天堂一角、旅川周馬、そしてお十夜孫兵衛。その弦之丞と悲恋の関係にある千絵姫や女スリのお綱、そして薄幸のお米。などなど。

    とにかく人間関係が入り乱れ、愛と欲が乱れ打ち、怒濤の展開の連続で見逃せない。『三国志』では英雄たちの情理を描くに長けた作家だが、本作ではもっぱらがストーリー重視。ジェットコースター展開がすさまじい。

    舞台が、上方、江戸,阿波と移っていく紀行小説

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    2014年11月02日
  • 私本太平記(一)

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    室町幕府創始者である足利尊氏の物語。天皇側も南北朝に分かれて大変。楠木正成がかっこいいですよ。かなり美化されているようですが。

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    2014年10月13日
  • 三国志(八)

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    ネタバレ

    とうとう最終巻。
    孔明率いる蜀軍が魏の大軍を迎え撃つ。
    人材の不備を嘆くが、老将趙雲もまだ健在、関羽・張飛の子も大活躍。姜維という若手も獲得し、優勢かに思われたが…。

    孔明すでに五十半ば。
    司馬仲達率いる敵軍と交戦を重ねるうちに将星を不幸に失い、馬謖を斬り、味方からは内紛の気配が。いよいよ蜀の衰亡強くなる。そして五丈原へ。

    孔明の早すぎる死は、連戦続く最前線に立ったことによる過労死ともいえる。ストレスも半端なかったろう。上司(二代目のボンクラ息子)がもっとしっかりしていれば。

    孔明を「偉大な凡人」と称した著者の観察はおもしろい。智が働くがゆえにストイックだった彼には、次世代が育たなかった

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    2014年10月11日
  • 三国志(五)

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    ネタバレ

    赤壁の戦い前なので映画「レッドクリフ」で観た有名シーンが続々登場。落ちぶれた(もう何度見たことか)劉備一行の起死回生は、いかに。それは、孔明によって孫権を巻き込んだ連合軍での反撃にあった。

    三国志の山場というべき名場面のオンパレード。
    世子を護った超雲の決死行。孔明と周瑜の静かな対決と、周瑜の死。敗走の曹操を見逃す関羽。玄徳の新妻・孫権の妹の女丈夫っぷり。

    劉備は五十にしてやっと一国の主になるが、いまだに情にもろい様子。孔明が叱咤激励しつつなんとか攻略できたが、まだまだ前途多難。

    にしても曹操軍は大企業病というべきか、各人が功を争い味方を疑い自滅に向かうが、悪運強くて曹操いまだに健在。

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    2014年10月05日
  • 三国志(四)

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    ネタバレ

    ついに義兄弟が再会。いまだ食客の身分に甘んじる劉備は、軍師孔明を得て、そろそろ天下人としての風格がついたかな。曹操は名選手ばかり集める巨人のオーナーみたい。孫策が非業の死を遂げ、ついに孫権が立って、ここに三国志の英雄がそろい踏み。

    20歳下の若造にこき使われる劉備さんもちと情けないが、リーダーたるもの時に非情でなければならないのだろう。優柔不断さが命取り。舞台はいよいよ赤壁の戦いへ。

    関羽の説いた「泥魚」の喩えが秀逸。
    才能を用いる適格なリーダーがいなければ国も成り立たない。ビジネスの世界にも通ずる真理であろう。

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    2014年10月04日
  • 三国志全八冊合本版

    購入済み

    面白い

    吉川英治の文のなんと素晴らしい事か。簡潔。漢字熟語の力がすごい。だからこそ、挿入される詩の良さも活きる。他の小説のおせっかいな説明のなんと多いことかに気づかされる。
    今読んで、圧倒的に面白いのは最終巻だった。孔明が大魏に挑む壮大な物語。久々に本当に楽しめた名作。地図が付いていればより良かった。

    5
    2014年08月24日
  • 宮本武蔵(4)

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    今の所、この4巻が一番好き。はらはら、どきどき、ほんわか、色々な気持ちを味わえた。
    そして少し泣いた。
    2014/8/17

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    2014年08月17日
  • 新・平家物語(十)

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    朝日将軍木曽義仲と言うと、長野県歌の「信濃の国」にも登場しますが、平家物陰を読むまで、人物の詳細を知りませんでした。

    義仲に、もし政治の才覚があったなら、公卿にひとりでも味方がいたら、白河上皇に翻弄されることもなかったかもしれないし、木曽政権が誕生していたかもしれない。そして、冬姫のあどけなさと最後が切ない。

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    2014年06月01日
  • 私本太平記(八)

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    佐藤優が獄中で読んでいると知ってよみたくなった本。この本のお陰で、鎌倉時代末期から室町までの歴史を初めて知ることができた。最後の観応のじょう乱を読んでやるせない気持ちになった。尊氏たちにお前らなにやってるの?何のために立ち上がったの?と説教したくなった。この物語の中で唯一真っ直ぐなのは楠木正成と吉田兼好だけだった。この物語で一番出世したのは佐々木道誉だったな。

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    2014年05月24日
  • 宮本武蔵(8)

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    少年よ(少年でなくとも)大志をいだけ。というメッセージに感じました。

    しかし、心入れ替える前のお杉さんはすごく暗黒だ。

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    2014年04月01日
  • 宮本武蔵(4)

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    修羅場に二刀流の動。
    茶の作法のようなおもてなしの静。
    人間味を感じる描写。
    直ぐに次が読みたくなる。

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    2014年04月01日
  • 宮本武蔵(2)

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    お通のけなげさと危うさについつい読みながら応援してしまう。
    次にどうなるかハラハラどきどきと、ついつい先を読みたくなる。

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    2014年04月01日
  • 宮本武蔵(1)

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    驚愕、これが本当に70年くらい前に書かれた本なのか。心情や情景描写が鮮やかで引きこまれる。
    吉岡道場の落ちぶれ具合は先にあるマンガで見ていた内容と異なり意外。

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    2014年04月01日
  • 黒田如水

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    大河ドラマもあって、誰の官兵衛を読もうかと思いましたが、やはり、吉川英治かと思い手に取りました。期待を裏切らず、面白くどんどん読み進められました。先を見通す先見の明、裏切られる事の日常の世の中で、それでも仁を貫く官兵衛に心の強さ、深さ、広さをほんの少しばかり分けていただいた気がしました。

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    2014年03月08日
  • 宮本武蔵(8)

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    能力や腕だけでは駄目。精神力がなければ。

    特に8巻に至言多数。

    登場人物の多くには共感できるのだけど,本位田のおばばにだけは共感できない。
    特に改心前のおばばのような老人にはなりたくない。

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    2013年11月03日
  • 三国志(五)

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    ネタバレ

    この巻は三国志前半のクライマックスとも言える赤壁の戦いがメイン。
    孔明は単身で呉に向かい、曹操と戦うべきか迷う孫権を説得し、また大都督(総司令官)周瑜の手助けをして開戦の決意をさせる。

    水上の戦に不慣れな曹操は船に火攻めを受けて大敗北を喫し必死に退却する。味方も少ない疲労困憊の中、かつて厚遇した関羽が待ち受けていた。

    この巻は曹操と孫権の両陣営がお互いに偽の降伏者を相手に送り込み、策を巡らし合う駆け引きがとにかくおもしろかった。
    また孫権が机を一刀両断して迷いを断ち切る場面は20代なのにすばらしいリーダーシップだったし、周瑜の統率ぶりも見事。
    「演義」だと孔明に出し抜かれてばかりで不憫な扱

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    2013年10月24日
  • 黒田如水

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    大河ドラマ化されるとの事でやたらと見かけますが、歴史小説と言えば、という事で吉川英治氏の作品に手を伸ばしました。

    昭和18年の作品とな。
    そう感じさせない作品に驚きつつ、黒田如水の壮絶な生涯に感銘を受けました。

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    2013年10月20日