吉川英治のレビュー一覧
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初めて読んだのが高校1年の時で、
もう30年も前なのか。
私の趣味はこの三国志から始まりました。
とにかく三国志に関する書を探して読みました。
そこから楚漢・春秋戦国と時代を遡って、
宮城谷昌光さんの「重耳」に出会い決定打。
今も興味が尽ることなく楽しい趣味になってます。
今はインターネットですぐに調べられますけど、
当時は本を探す事が楽しみの1つでした。
今でも本を探すが楽しくて楽しくて、
ほんと良い趣味見つけたのかもしれませんね。
この三国志は元は三国志演義です。
演義も完訳等色々と読みました。
しかし吉川三国志と言われるように、
他の三国志演義とやっぱり違うのです。
引き込まれるので -
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ネタバレ16巻に渡る吉川英治の新平家物語の最終巻。嘗て栄華の極みを見た朱鼻の伴卜や奥州の吉次・新宮十郎行家も呆気ない最期を遂げ、義経忠臣の佐藤忠信や伊豆守源有綱も凶刃に倒れる。堅田衆や藤原秀衡の助けもあり、権力争いから抜け出し慎ましく生活していた義経も戦乱の因果には抗えず、秀衡の子泰衡に寝首をかかれ、妻百合野と子と共に衣川にて果てる。また、時代の寵児頼朝の死後、源氏内の権力争いが泥沼化し、実朝が公暁に暗殺され源氏3代で滅んだ事も、史実が示した通りである。権力争いに巻き込まれる限り、「盛者必衰」は避けられぬ理であることがよくわかる。
一方、麻鳥・蓬夫婦や那須大八郎が見つけた椎葉村の平家残党、敦盛を討っ -
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壇ノ浦の戦いに始まり、頼朝と義経の仲違いまでが書かれた巻。壇ノ浦では、教経や知盛らを筆頭によく戦ったが、阿波や筑紫集の寝返り等もあり、最期は水中にて果てる。義経や時忠の努力も虚しく、幼き帝を平家と共に滅ぼしてしまい、3種の神器のうち宝剣も失ってしまった。嘗ては「平家にあらずんば人に在らず」とまで謳われた平家も、時代と共にこうも虚しい最期を遂げたのかと思うと、栄枯盛衰の人の世を感じずにはいられない。
また、この戦いの殊勲者である義経にも、頼朝からの勘当を受ける等逆風が続く。彼自身は二心なき者であるが、梶原を始めとした周囲の嫉妬を買い、あらぬ悪評を立てられる。頼朝自身も、院に気に入られ大手柄を挙 -
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重衡は戦後、奈良寺院に引き渡され虚しく処刑される。寺院焼き打ちの首謀者とされた重衡が、法師たちの怨みを買い、結果的に斬り殺される様は、復讐の連鎖を感じ、哀れさを覚えた。平家物語に関わる物語は、盛者必衰・運命の輪廻の話が多く、あわれな気持ちにさせる。
中盤からは義経がフォーカスされ、院と鎌倉殿の微妙な関係のバランサーとして苦悩する様が描かれる。鵯越えの功績を貰えず頼朝に冷遇され、政略結婚として好きでもない女性を正妻に据えられるなど、鎌倉から足を引っ張られる事が多いが、持ち前の人脈と精密な根回しにより着実に成果を挙げる。幼少期の義経は無鉄砲な所があったが、成人してからは血気盛んな草の実党等の部下 -
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上洛を果たした義仲だが、遂に倒れる。乱世の英雄の彼も、平時に力を発揮する事ができず、院の掌で踊らされ、冬姫への執着から北陸へ避難する機を逸した。6万の兵も統率された軍隊ではなく、食い扶持を得る為に従っている自然軍だった為、木曾側の情勢が悪くなるにつれ離反を招いた。彼の不幸は、急激に力をつけすぎた事なのかも知れない。その分、着実に勢力をつける頼朝の賢慮さが透けて見える。
義仲を取り巻く女性事情も哀れさを増長される。巴・葵は争乱に身を投じ、山吹は羅生門から這い出て一緒に死なんとし、冬姫は運命に反抗し義仲に殉じた。彼女らの健気さが諸行無常の響きを感じさせ、義仲のカリスマ性を引き立てていると感じた。