吉川英治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最終巻は、小次郎の「力と技の剣」と武蔵の「精神の剣」の闘いである巌流島の決闘が描かれる。決闘が近づくと街は騒がしくなるが、それでも武蔵の周囲に保たれている静謐さが印象的。ブレない姿とはこんな姿なんだなと思う。
虚しさや苦悩を原動力として凄まじく成長する宮本武蔵、意志が弱く堕落していく又八、この2人は1−8巻を通して対照的な人間として描かれているが、2人で1人の人間のように思える。人は様々な性質を持っており、常にせめぎ合っているものだと思う。それでも、自身の弱さを制して内面的な完成を目指そうとする大切さを、吉川英治の「宮本武蔵」から学んだ。また時間をあけて読み返したい本だ。
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購入済み
時代を超えて
10代に初めて読んだ時はただただ物語の展開に心奪われ多いに胸躍らせた記憶がある。70歳に近づき改めて読むと、人間の性、業に目が向き、自分の人生に重ね合わせてしまい、深く考えさせられた。
尊氏、それを取り巻く人々か織りなす様は現在と本質的には何ら変わってはいない。自分の人生のなかで10年ごとに読んでみたかった本だ。 -
Posted by ブクログ
あっという間に3巻を読み終えた。
武蔵は剣だけでなく、生活の中に潜む自身の弱さに負けることも許さない。自分自身を磨き高めようとする姿は、どこまでも愚直で一途でブレることはない。
「踏み敷く草も木も氷も、武蔵の足にかかるもの、敵でない物はない。勝つか負けるか!一歩一歩が勝敗への呼吸であった。神泉の中で氷化した五体の血が、今は熱泉のように毛穴から湯気を立てていた」
吉岡清十郎と1対1の真剣勝負では、誰も助太刀のいない場所で戦うことになる。武士として真剣に向かい合う臨場感が見事に描かれ、生死をかけて戦う緊張感がひしひしと伝わってくる。
また、書家であり陶芸家であり茶人でもある、本阿弥光悦との出会