吉川英治のレビュー一覧

  • 新・平家物語(十六)

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    ネタバレ

    16巻に渡る吉川英治の新平家物語の最終巻。嘗て栄華の極みを見た朱鼻の伴卜や奥州の吉次・新宮十郎行家も呆気ない最期を遂げ、義経忠臣の佐藤忠信や伊豆守源有綱も凶刃に倒れる。堅田衆や藤原秀衡の助けもあり、権力争いから抜け出し慎ましく生活していた義経も戦乱の因果には抗えず、秀衡の子泰衡に寝首をかかれ、妻百合野と子と共に衣川にて果てる。また、時代の寵児頼朝の死後、源氏内の権力争いが泥沼化し、実朝が公暁に暗殺され源氏3代で滅んだ事も、史実が示した通りである。権力争いに巻き込まれる限り、「盛者必衰」は避けられぬ理であることがよくわかる。

    一方、麻鳥・蓬夫婦や那須大八郎が見つけた椎葉村の平家残党、敦盛を討っ

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    2022年05月07日
  • 三国志(一)

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    愛読書の一つ、高校一年生の夏休みに原因不明の熱にやられ体重が60kgから40kgに減り憔悴しきっていた時に初めて読み切りました。劉備の生き様に物足りなさを感じ、将軍関羽の義の心意気に打たれ、諸葛亮孔明の主を想う出師の表に涙したことを思い出します。今回で数度目の完読ですが、吉川英治の壮麗荘厳たる文章に圧倒されながら中国三国時代の英雄像に思いを馳せました。次男の名前に亮の一字を入れ、息子の成長に夢を託しましたことも思い出されます。

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    2022年05月04日
  • 新・平家物語(十四)

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    壇ノ浦の戦いに始まり、頼朝と義経の仲違いまでが書かれた巻。壇ノ浦では、教経や知盛らを筆頭によく戦ったが、阿波や筑紫集の寝返り等もあり、最期は水中にて果てる。義経や時忠の努力も虚しく、幼き帝を平家と共に滅ぼしてしまい、3種の神器のうち宝剣も失ってしまった。嘗ては「平家にあらずんば人に在らず」とまで謳われた平家も、時代と共にこうも虚しい最期を遂げたのかと思うと、栄枯盛衰の人の世を感じずにはいられない。

    また、この戦いの殊勲者である義経にも、頼朝からの勘当を受ける等逆風が続く。彼自身は二心なき者であるが、梶原を始めとした周囲の嫉妬を買い、あらぬ悪評を立てられる。頼朝自身も、院に気に入られ大手柄を挙

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    2022年04月29日
  • 新・平家物語(十二)

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    重衡は戦後、奈良寺院に引き渡され虚しく処刑される。寺院焼き打ちの首謀者とされた重衡が、法師たちの怨みを買い、結果的に斬り殺される様は、復讐の連鎖を感じ、哀れさを覚えた。平家物語に関わる物語は、盛者必衰・運命の輪廻の話が多く、あわれな気持ちにさせる。

    中盤からは義経がフォーカスされ、院と鎌倉殿の微妙な関係のバランサーとして苦悩する様が描かれる。鵯越えの功績を貰えず頼朝に冷遇され、政略結婚として好きでもない女性を正妻に据えられるなど、鎌倉から足を引っ張られる事が多いが、持ち前の人脈と精密な根回しにより着実に成果を挙げる。幼少期の義経は無鉄砲な所があったが、成人してからは血気盛んな草の実党等の部下

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    2022年04月24日
  • 新・平家物語(十)

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    上洛を果たした義仲だが、遂に倒れる。乱世の英雄の彼も、平時に力を発揮する事ができず、院の掌で踊らされ、冬姫への執着から北陸へ避難する機を逸した。6万の兵も統率された軍隊ではなく、食い扶持を得る為に従っている自然軍だった為、木曾側の情勢が悪くなるにつれ離反を招いた。彼の不幸は、急激に力をつけすぎた事なのかも知れない。その分、着実に勢力をつける頼朝の賢慮さが透けて見える。

    義仲を取り巻く女性事情も哀れさを増長される。巴・葵は争乱に身を投じ、山吹は羅生門から這い出て一緒に死なんとし、冬姫は運命に反抗し義仲に殉じた。彼女らの健気さが諸行無常の響きを感じさせ、義仲のカリスマ性を引き立てていると感じた。

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    2022年04月23日
  • 三国志(六)

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    去年から読みだして、いよいよ6巻。
    曹操が魏王になり、玄徳が蜀を得て漢中王になる。
    魏・呉・蜀、まさしく三国志って感じになってきた。
    曹操も玄徳も人間味を見せて入るけれど、やっぱり玄徳の義の人柄に惹かれるよな。やっぱり、今の世の中、独裁強権政治には嫌気を感じる。
    武漢とか成都周辺に聖地巡礼ツアーに行こうかと思っているけど、いつ行けるかなぁ。

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    2022年04月22日
  • 新・平家物語(七)

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    以仁王の令旨を持って、遂に頼朝が立つ。序盤は100騎にも満たない軍勢であり、大庭や伊東に大いに苦しめられ、一時は絶体絶命の危機に瀕した。しかし、船上で三浦一族と合流・千葉氏を味方につけるなど、人に大いに恵まれ、関東圏に一大勢力を敷くまでになった。

    清盛も頼朝も当てはまる事だが、天下人には「天・地・人」が必ず備わっていると感じる。福原への遷都・以仁王の乱・後白河法皇の幽閉といった出来事が重なり、世に平家憎しの風潮が広がった天命。関東と京の都の距離が遠く、タイムリーに情報が伝わらない地の利。三浦・千葉といった、地方に根ざした豪族を早くから味方に付けられた人の利。全てが僥倖であり、少しでも歯車が狂

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    2022年04月09日
  • 宮本武蔵(8)

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    魅力的なキャラクターが多く構成も含めて引き込まれる内容。新聞小説らしく、都合の良い展開や最後に急激にハッピーストーリーに向かう点などは気になるが、それも含めて楽しめた。

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    2022年03月13日
  • 新・平家物語(三)

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    平治の乱が治まり、いよいよ平家の世の中になった。本巻のテーマは「恋愛」「野望」である。

    清盛と常磐殿の恋、二条天皇と多子の恋、蓬子と明日香・麻鳥の恋が描かれた。多くは語らないが、時代が変わっても恋愛のいざこざは不変なのだと実感した。また、常磐殿や明日香など、自分の意中の人では無い旦那に嫁ぐ運命を見ると、現代の自由恋愛は恵まれているとも感じた。

    野望について言えば、日宋貿易を夢見る清盛であり、一商人からの成り上がりを狙う赤鼻であり、上皇として権力を振るおうとする後白河上皇が挙げられる。清盛の厳島神社訪問の際に語った夢は、今や現実のものとなり世界遺産に認定されていると思うと、胸が熱くなった。一

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    2022年02月23日
  • 新・平家物語(二)

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    保元の乱に始まり平治の乱に終わる、乱世極まる巻。第一巻にも言える事だが、盛者必衰の理が多分に表されていたと感じる。

    例えば信西入道。保元の乱で天敵頼長が倒れ、窓際族から一躍出世を果たすも、信頼の謀反により倒れる。その信頼も、過激なやり方に反発を抱かれ、刎頸の交わりを結んだ者たちに裏切られた事で、今や朝敵である。鳥羽上皇や頼長に振り回され、最後は京を呪う悪霊と化した崇徳天皇などに至っては、憐れというほか無い。乱世の中にあって、世を治める事の難しさを感じた。

    また、保元の乱とは違い、平治の乱は平氏と源氏の争いという側面が強く、これを持って公家社会から武家社会へと移行した様に感じた。とは言え、義

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    2022年02月19日
  • 新・平家物語(一)

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    かの有名な「祇園精舎の鐘の声」から始まる、平清盛を中心とした平家の盛衰を著した本。元々は琵琶法師が弾き語りながら物語る、現代で言う連続ドラマのような立ち位置だっただけあり、令和の時代に読んでも面白い。

    第一巻のテーマは「親子」である。遠藤盛遠から自らの出自を聞かされた清盛。白河法皇・鳥羽上皇の権力闘争に巻き込まれ、実の父親から蔑ろにされた崇徳天皇。新院と新帝の争いに巻き込まれ、実の父と刃を交える事となった義朝。今以上に家柄が重視された世にあって、血縁者と言うものは切っても切れないかけがえの無い物であり、これを巡って苦悩に巻き込まれた彼らの心情たるや、想像もつかない。出来る事なら、清盛の如く一

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    2022年02月07日
  • 三国志(五)

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    ホントは去年の課題図書だったけど、やっと5巻。
    5巻は赤壁の巻と望蜀の巻。有名な赤壁の戦いを挟み、玄徳、曹操、孫権のせめぎ合い、そして、孔明、周瑜の騙し合い。知っているっていうエピソードが盛りだくさん。
    残り3巻、本年度中には読破したいですね。

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    2022年01月29日
  • マンガ 三国志Ⅱ  赤壁の戦いと三国の攻防

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    【読書レビュー 579】
    原作・吉川英治、画・石森プロ、シナリオ・竹川弘太郎『マンガ三国志Ⅱー赤壁の戦いと三国の攻防』飛鳥新社、2020年

    上下巻、合計約1000頁のマンガで『三国志』をまとめたものの下巻。
    『正史』か『三国志演義』か随時、注記で出典が示されているので「これは史実かも」「これはフィクションぽい」と確認しながら読み進める事ができます。
    横山光輝60巻は無理な方にはお勧めです。

    以下は巻末の渡邊義浩氏(早稲田大学文学学術院教授)の解説の抜粋です。

    本書は劉備と諸葛亮が物語の中心として描かれている。
    劉備像は『三国志演義』以降に語られてきた劉備像とは大分違っているが、史実に近い

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    2021年12月01日
  • 三国志(八)

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    ネタバレ

    長かった三国志もついに終幕。ついに読み終えたと感慨深い。
    燃えるように生きた武将たちの、その灯火の消えるのを見るのは辛い。趙雲の生き方も凄かった。
    何よりも孔明の働き。この上ない正しい政治。そして激務をこなし亡き主君に忠義を尽くしたその心は痛ましいほど胸に届く。人材に恵まれなかった孔明や蜀の運命を見ると、人こそが大事なのだと思った。今ここに関羽がいたら、と思いを馳せる孔明が切なかった。代わりはいないのだ。

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    2021年11月28日
  • 三国志(一)

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    とても面白い、すいすい読める!
    虎牢関の戦いとか、吉川先生の筆が走りまくってる!
    好きで好きで書いてる感が文章から迸り出る作品。

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    2021年11月26日
  • マンガ 三国志Ⅰ 劉備と諸葛孔明

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    上下巻、合計約1000頁のマンガで『三国志』をまとめたものの上巻。
    各できごとについて『正史』か『三国志演義』か随時、注記で出典を示しながら簡潔に解説してくれているので「ここまでは史実の可能性が高い」「これは完全にフィクション」と確認しながら読み進める事ができます。
    横山光輝60巻は無理という人にとってはコスパよいです。
    横山光輝も読みたくなってしまいますが。

    以下は巻末の渡邊義浩氏(早稲田大学文学学術院教授)の解説の抜粋です。

    約400年続いた大帝国の漢がつぶれた大変革期には大きく三つの方向性があった。

    ①漢帝国を続けたい。(蜀)
    そこに劉備や諸葛亮が関わっている。
    蜀は地域名で正しく

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    2021年11月24日
  • 宮本武蔵(7)

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    宮本武蔵(1~8)
    著:吉川英治

    物語は天下分け目の大合戦「関ケ原の戦い」から始まる。
    悪鬼である新免武蔵とその幼馴染本位伝又八はその負け戦から必死に這い上がろうとする。

    天下無双を目指し、共に歩を歩む二人、そして違えてそしてまた交差して、武蔵を中心とした大きなうねりが記されている。

    本格的に初めて読んだ時代小説。読みにくさは感じず、血沸き肉躍る感覚がストレート伝わる表現力の高さに冒頭は圧倒された。戦いの描写のみならず、心の内面と成長を描く英雄者という括りには収まらず、当時の日本国の暮らしぶりや文化や息遣いまで触れることが出来る。

    多くの著名人が愛読書として挙げる本書。ある人曰く「5

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    2021年11月21日
  • 宮本武蔵(1)

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    宮本武蔵(1~8)
    著:吉川英治

    物語は天下分け目の大合戦「関ケ原の戦い」から始まる。
    悪鬼である新免武蔵とその幼馴染本位伝又八はその負け戦から必死に這い上がろうとする。

    天下無双を目指し、共に歩を歩む二人、そして違えてそしてまた交差して、武蔵を中心とした大きなうねりが記されている。

    本格的に初めて読んだ時代小説。読みにくさは感じず、血沸き肉躍る感覚がストレート伝わる表現力の高さに冒頭は圧倒された。戦いの描写のみならず、心の内面と成長を描く英雄者という括りには収まらず、当時の日本国の暮らしぶりや文化や息遣いまで触れることが出来る。

    多くの著名人が愛読書として挙げる本書。ある人曰く「5

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    2021年11月21日
  • 三国志(七)

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    ネタバレ

    いよいよ、世代交代の波が訪れる巻だった。
    ここまで読んできて長く連れ添ったような気持ちになっていて、切なくてなかなかページを進められなかった。
    中でも関羽の死は無念だった。張飛も失い、残された玄徳の苦しみはどれほどだっただろう。それがあの敗戦へと繋がったのだろうから悲しさも一層増す。
    どんな者にも平等に、死によって分かたれる時が来て、そうして時代は移り変わっていくのだと思いながらも、そう簡単には気持ちが切り替えられなかった。
    南洋諸国での孔明の手腕は流石としか言いようがなく、面白く読んだのだが、夥しい死者を前にどう折り合いをつければいいのかまだはっきりとした答えは見出せていない。

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    2021年10月22日
  • マンガ 三国志Ⅱ  赤壁の戦いと三国の攻防

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    まったく三国志を知らずに読んだので、単純に次の展開が気になり手が止まらなかった。ところどころで「あれ?この人は誰だっけ?」とわからなくなることもあったが、数ページ戻りながら読むことで追いつくことができた。予想していた結末とは違くて(本当に中国の歴史を知らなかったので)、とても面白かったです。

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    2021年09月23日