吉川英治のレビュー一覧

  • 私本太平記(五)

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    ついに幕府への反旗をひるがえした足利高氏。怒涛の勢いで六波羅に迫り、これを蹂躙した。また同時期に東方では新田義貞が決起し、鎌倉を急襲する。果敢に抵抗する鎌倉武者もいたがその勢いには逆らえ得ず、百五十年に及んだ鎌倉幕府は遂にその幕を閉じる。
    争乱の世が終わり、平和な時代がやってくると思われたのも束の間。戦後の褒賞・利権をめぐり公卿と武士、また武家同士での対立が起こり、世の風に再び火種が孕まれることとなる―。

    ついに鎌倉幕府滅亡となりました。
    滅んでいくものへの哀れみはやはり日本人独特の感性でしょうか、敗者の散っていく様は涙を誘うものがあります。
    ほとんどの武士は勤皇精神ではなく、飼い殺しにされ

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    2010年10月21日
  • 私本太平記(四)

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    隠岐島へ流され幽閉の身となった後醍醐天皇だが、その持つ政治的影響力は全く衰えずむしろ日に日に強くなっていく。
    一度は下火となった宮方だったが後醍醐天皇奪還の成功により、千早城で頑強な抵抗を続けていた楠木正成を始めとする一味の、倒幕の気運はいよいよ高まっていく。
    高氏率いる足利家にも、ついに派兵の命が下る。長年胸に秘めてきた野望を成就させる機会が、ついに訪れた。不退転の覚悟で、高氏は西上を開始する―。

    後醍醐天皇の奪還作戦と、楠木正成の頑強な籠城戦が主に描かれています。
    中でも楠木正成の人となりが、神格化されず等身大として描かれています。見た目は平凡だのに、接してみるとその人格に心を打たれる。

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    2010年10月21日
  • 私本太平記(三)

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    後醍醐天皇からの勅使を受け、楠木正成はようやく挙兵を決意する。正成の参戦と笠置山での勝利で宮方は勢いに乗るが、幕府の奇襲によりあえなく敗北。後醍醐天皇は隠岐島へ流され、他の公卿たちも流罪や断罪に処された。しかし水面下では楠木正成の工作が進んでいた―。

    後醍醐天皇の流罪の様子が主に描かれています。
    またそれに伴い佐々木道誉が生き生きと暗躍しています。
    これで大方は鎌倉の勝利に終わったかのように見えますが、後醍醐天皇が撒いていった争乱の種、また自らを死んだように思わせた楠木正成の動向が今後どのような実を結んでいくのか、次が楽しみです。

    平家物語にもある諸行の無常さがここでもよく感じられます。ま

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    2010年10月21日
  • 私本太平記(二)

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    宮方と鎌倉の緊張は次第に高まる。六波羅方の宮方弾圧は激しくなり、有力な公卿であった日野俊基、日野資朝は処刑された。
    そしてついに後醍醐天皇は宮中を離れ笠置山に入り、決起の姿勢を明らかにする。戦乱の幕開けである。
    地方の武士達が去就を明らかにする中、南河内の楠正成は思い悩んでいた―。

    日野俊基の動向が主に描かれています。
    ついに日頃の緊張が富士山のごとく爆発し、鎌倉と後醍醐天皇の対立が明らかとなりました。宮方の圧倒的不利に見えるこの状況がどう動いていくのか、また家族思いの良人である楠正成がどう動いていくのか、次巻が楽しみです。

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    2010年10月21日
  • 私本太平記(一)

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    北条政権末期、政治は乱れ幕府の求心力は失われつつあった。再び乱世の観を呈しつつあるこの時代に、後に室町幕府の開祖となる足利高氏が登場する―。

    この時代、鎌倉末期・南北朝時代・室町時代についてはよくイメージを持っていなかったのですが、それが全く関係なく、とても面白く読めます。
    足利尊氏、新田義貞、後醍醐天皇、佐々木道誉といった鍵を握る人物達が登場し、生き生きと描かれています。
    高氏の秘めた野望がどう帰結していくのか、続きが楽しみです。

    吉川作品を読むのはこれで二作目ですが、しかし面白い。おそらく絡めて書くのが上手いのでしょう。素晴らしいエンターテインメントです。

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    2010年10月21日
  • 宮本武蔵(8)

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    宿命の二人・武蔵と小次郎は遂に船島にての決戦に臨む。今まで出会った人の恩を受け、そこにいる二人。再び彼らに会うのはいずれか―。

    武蔵と小次郎の果し合いで幕を閉じます。試合に出る前の、お通との別れが特に心にきました。その後故郷に戻り、二人して幸せに暮らしたことでしょう。
    又八が父親として還俗していくのも良かったです。今までさんざん不甲斐ないところばっか見ていたので(笑)、感激もひとしおでした。

    長編ですが新聞小説なのでさくさく読めます。お勧めします。

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    2010年10月21日
  • 宮本武蔵(7)

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    武蔵と小次郎の動向が主に描かれています。

    いよいよ運命の決戦に向かって、物語の潮流が大きく動き出しています。次はいよいよ最終巻、この流れがどういう結末を見せてくれるのか、とても楽しみです。

    全体を通じて人と人とのつながり、というものが特に描かれていると思います。何事も人から始まる―このことを強く感じます。

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    2010年10月21日
  • 宮本武蔵(6)

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    法典ヶ原の開墾・伊織との出会い

    江戸での小次郎の活動

    が主に描かれています。

    武蔵の精神が成熟しようとしています。人を屈服させる剣ではなく、世を治めるための剣、または武力。その思想が開墾で見事に表れています。吉岡一門との死闘に勝っても驕ることなく、絶えず内省を続けてきた結果でしょう。一人の人間の精神的歩みです。

    柳生への旅に出たお通、日々精力を強めていく小次郎、彼らと武蔵の運命はどのように絡んでいくのでしょうか。次が楽しみです。

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    2010年10月21日
  • 宮本武蔵(5)

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    吉岡一門との死闘の続き

    武蔵・お通・城太郎の旅路

    江戸での邂逅

    が描かれています。

    武蔵が出てくるのは前半で、後は朱美・城太郎・お杉婆達の物語です。武蔵とお通の、甘酸っぱい遣り取りはニヤニヤせずにはいられませんでしたw

    又八がどうしようもなさすぎて呆れます。何をやっているんだお前は・・・。あと朱美の運命が悲惨すぎて・・・報われて欲しいです。

    武蔵、お通、又八達はどうなっているのでしょうか。次巻が楽しみです。

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    2010年10月21日
  • 宮本武蔵(4)

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    伝七郎との立ち合い

    お通との再会

    吉岡一門との死闘

    が描かれています。

    だんだんと武蔵の人生観や、剣の道に生きるものとしての心構えが形成されていきます。求道者として成長していくのが楽しみです。

    お通との再会で、武蔵は自分の心情を吐露します。その姿は宮本武蔵として何か神格化された存在ではなく、ただの弱い人間の姿であり、我々と全く相違ありません。歩む道は違えど、武蔵も我々も同じところへ向かう者同士なのです。それだけでこの物語を読む意義は十二分に感じられます。

    吉岡一門との死闘はどうなるか、また皆の運命はどうなっていくのか、次が楽しみです。

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    2010年10月21日
  • 宮本武蔵(3)

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    お通・城太郎の旅路

    朱美の受難

    小次郎の登場と又八との出会い

    清十郎と武蔵の立ち合い、そして伝七郎の登場

    が描かれています。

    武蔵の剣も精神も更なる研鑽を見せています。
    光悦との出会いにより、今後どうなっていくのか楽しみです。

    武蔵を追うお通と朱美の運命が悲惨すぎます・・・。
    朱美は清十郎に犯され、後に小次郎の狂った愛を受けることになるし(ここでは小次郎はかなりの危険人物として描かれています)、お通はお杉婆に苦しめられることになります。
    彼女らの旅もどうなっていくのでしょう。

    この巻では人間模様が多分に描かれていると感じました。武蔵を中心に動いていく奇妙な人間の縁、どうなっていく

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    2010年10月21日
  • 宮本武蔵(2)

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    宝蔵院胤栄との出会い・柳生家での騒動・又八、小次郎の登場から宍戸梅軒を探す旅まで描かれています。

    登場人物も増え、武蔵の精神に少しずつ変化の兆しが表れてきます。次が楽しみです。

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    2010年10月21日
  • 宮本武蔵(8)

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     一巻~八巻全部の感想

     コミック「バガボンド」を二十巻ぐらい読んでから、この本を手にとりました。コミックで、ある程度人物をイメージできてたので、長いなが~い長編でしたがサクサク読めました。
     
     武蔵、お通、又八、城太郎、吉岡、お杉婆、朱美、佐々木小次郎もろもろ、それぞれの視点からのストーリーも描かれおりよかったですね。
     お通の武蔵を想う恋、武蔵に異常な執念を燃やすお杉婆、武蔵と親友であった又八の裏切り、嫉妬・・・


     コミックと違い(原作だからそれはそうか(笑))、佐々木小次郎は高慢で憎らしいキャラクターでいかにも悪者という感じでした。さすが、最後のラストボス(笑)武蔵と最後の闘いは

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    2010年10月18日
  • 新・水滸伝(一)

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    最初の洪に遭って~の下りを読むために再読。と思ったら全部読んでしまった。

    やはり名作。英雄ばかりが次々登場してテンポが良くてどこを読んでもハマってしまう。素晴らしい。

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    2010年10月02日
  • 三国志(五)

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    赤壁の戦い!
    映画『レッドクリフ』を観たのがきっかけで読み始めた三国志だったけど、やっとここまできた。

    意外と周瑜が悪い奴だった。何度も孔明を殺そうとするし。
    魯粛は映画とおんなじ感じだ。「周瑜に言わないでください」って言われても言うし、孔明の口車に乗せられるし。

    映画とは多少違うところがあったけれど、やっぱり映像で観てから読むと数倍楽しい。

    もう三国志も折り返し地点を過ぎてしまった。
    これからどうなるのだろう。

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    2010年06月01日
  • 新・平家物語(十六)

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    小学4年生の夏休みに出会って、押入の中にこもって一気読みしたのもいい思い出。以来、何度読んだかわからない。
    吉川先生は三国志は漢文調に、新平家は和文調に書かれていて本当、すばらしいと思。
    好きなシーンを上げようとするとキリがありませんが、なぜかよく読むのは6巻の「那智の小机」~「泣き弁慶」。
    平大納言、義経の描かれ方がたまらない。

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    2011年10月02日
  • 三国志(四)

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    曹操も悪人ってわけじゃないんだなぁ。
    前もそう思っていたけれど、今回も思った。
    あれだけ優秀な武将を集めて離さずに上手に用いるのはすごい。
    さすがに、三国時代を勝ち抜くだけあるんだなぁ。

    呉は孫策が死んで、孫権に代わった。
    孫権って曹操や劉備より20歳近く年下なのか。若!

    劉備は負けまくってボロボロになっていた。
    関羽の話す泥魚の話がいい感じだった。
    泥魚っていう魚は川が干上がると体を泥にくるんでじっと横たわる。鳥に食われることもない。でも、水が戻ってくると、泥をはいで、自由に動き回る。「――人間も幾たびか泥魚の隠忍にならうべき時期があると思うのでございまする」

    劉備はこの巻の後半で孔明

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    2010年05月26日
  • 新・平家物語(十五)

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     平安末期頃~鎌倉までの滅びゆく平家、源氏との戦いを描いた全16巻の大作です。

     続きが読みたくてつい夜更かしをしてしまう作品でした。

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    2009年11月21日
  • 新・平家物語(十六)

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     平安末期頃~鎌倉までの滅びゆく平家、源氏との戦いを描いた全16巻の大作です。

     続きが読みたくてつい夜更かしをしてしまう作品でした。

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    2009年11月21日
  • 新・平家物語(十四)

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     平安末期頃~鎌倉までの滅びゆく平家、源氏との戦いを描いた全16巻の大作です。

     続きが読みたくてつい夜更かしをしてしまう作品でした。

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    2009年11月21日