【感想・ネタバレ】私本太平記(一)のレビュー

あらすじ

※本作品は 2011年1月31日~2014年8月31日まで販売しておりました『私本太平記』全13巻を、全8巻に再編成した作品です。
巻の切れ目が違うのみで、本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。

大作『新・平家物語』を完成した著者は、息つく暇もなく、南北朝を題材とする『私本太平記』の執筆にかかった。古代末期から中世へ――もはや王朝のみやびは影をひそめ、人間のどす黒さがあらわに出てきた時代、しかも歴史的には空白の時代である。史林の闇に分け入るとき、若者は使命感と創作意欲の高まりを禁じえなかった。開巻第1、足利又太郎(尊氏)が颯爽と京に登場する。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

室町幕府創始者である足利尊氏の物語。天皇側も南北朝に分かれて大変。楠木正成がかっこいいですよ。かなり美化されているようですが。

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2014年10月13日

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北条政権末期、政治は乱れ幕府の求心力は失われつつあった。再び乱世の観を呈しつつあるこの時代に、後に室町幕府の開祖となる足利高氏が登場する―。

この時代、鎌倉末期・南北朝時代・室町時代についてはよくイメージを持っていなかったのですが、それが全く関係なく、とても面白く読めます。
足利尊氏、新田義貞、後醍醐天皇、佐々木道誉といった鍵を握る人物達が登場し、生き生きと描かれています。
高氏の秘めた野望がどう帰結していくのか、続きが楽しみです。

吉川作品を読むのはこれで二作目ですが、しかし面白い。おそらく絡めて書くのが上手いのでしょう。素晴らしいエンターテインメントです。

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2010年10月21日

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北条執権下から南北朝という動乱の時代を描いた、吉川英治氏による超大作の第一巻。
背景としてあるのは、形骸化した鎌倉幕府と討幕を目論む後醍醐天皇方、両陣営の対立という壮大な構図です。

<あしかが帖>では、この構図がもたらす不穏な雰囲気のなかで、うら若き又太郎青年(後の足利尊氏)の成長が描かれています
先祖の遺志との邂逅(この勇者覚醒のようなシーンがとにかく熱い)、ライバルや仲間や女性との出会いと別れ。
山あり谷あり、爽やかでありながら切なくて、青春小説のような趣のある序幕です。

続く<婆娑羅帖>では、天皇方のカリスマ然とした公卿・日野俊基朝臣が中心人物になっています。
幕府側と天皇側の争いの端緒がついに開かれ、不穏が戦乱へと変化していく。
日野俊基は、言うなれば、革命軍の実行リーダーみたいな人物で、飄々としているけれども、風格と信念があってカッコいいです。

子どものころに読んだ吉川英治氏の<三国志>は、私の読書遍歴の原点であり、子どもながらにその壮大な語りに興奮を覚えたものでした。

この<私本太平記>もまた、漠然として固定化されたイメージでしかなかった歴史上の人物が、着色を施されて自由気ままに動き出すような、そんな愉しさがあります。

丁寧に、それでいて流れるように語られていくので、知らず知らずのうちに、又太郎や俊基朝臣の足跡に惹き込まれ、夢中になれる作品でした。

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2025年05月11日

Posted by ブクログ

理解が浅く、しかも複雑で心理的にとっつき難い南北朝の時代を理解するために読み始めた。さすが吉川英治。先がどうなるのかを気にならせ、ぐいぐいと読者を引っ張っていくスタイルは、まるでミステリー小説のようだ。

足利尊氏の青年期から始まるストーリー。武家の名門の嫡男として世間の注目を集める立場にありながら、どこか掴みようがなくて、有能で有望なのか分からない。。という人物設定。田楽がどんな物か、婆娑羅とは何なのか、分かってきた。倒幕の意思を秘めるようになる尊氏の今後が気になる。

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2020年12月14日

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夢中になって全巻読破しました。
やっぱり吉川英治先生は読みやすくて重厚で大好き。

日本史上類を見ない複雑でごちゃごちゃな時代だけど、小説として読んでいくと流れがわかります。
戦国時代や幕末ばかり取り上げられるけど、太平記を通してこの時代も見てほしいな…。

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2020年06月04日

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後醍醐帝、執権北条高時の御代、まだ18歳の若殿足利又太郎高氏が京都に颯爽と登場し、この長いものがたりは、始まった。
足利七代家時の置文を目にして、若き高氏は、祖先の志をつぎ、時の悪政を正し、また大いに家名を輝かさんと誓う。
婆娑羅であり、今後も高氏と共にキーマンとなる佐々木道誉がどう動くのか、目が離せない。

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2019年12月18日

Posted by ブクログ

この時代への勉強不足を補うためにもまずは物語から。吉川英治を読むのは、4作目(あまり読んでなかったなぁ)。
小説と知りつつ、高氏が倒幕の志を確立する置文の件には感心しちゃう。藤夜叉の配置も流石だ。何より文章に品と格があるよね。当時はこれが大衆的とされてたって言うんだから。文章表現は時代とともに変わるけど、残っていって欲しい表現だなぁ。

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2016年02月21日

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▼本を読んだ理由(きっかけ・動機)
もともと吉川英治氏の作品は全て読破したいと思っていたため、いずれ読むつもりであった。
このタイミングで手をだしたのは、山岡荘八氏の『源頼朝』を読んで、鎌倉~応仁の乱を経て戦国に到るまでの歴史を改めて知りたいと思ったから。
「足利尊氏」という人物をぼんやりとしか知らなかったのも動機のひとつ。

▼作品について
室町幕府を起こした足利尊氏を主人公に南北朝動乱の始まりから鎌倉幕府崩壊後の泥まみれの戦模様が描かれている。
これを読めば、室町幕府が早期に瓦解し、応仁の乱を経て戦国に突入した理由がよくわかる。

▼感想を一言
切なくなった

▼どんな人におすすめ(気分、状況)
日常に疲れ、厭世観に付きまとわれている人。
「足利尊氏」の晩年の悲しさも最後の「覚一法師」の琵琶問答に救われる。

▼作者について
歴史・時代作家としては吉川英治氏が描く作品は司馬遼太郎氏のリアリティとは違い、人間愛に溢れている。
作品は最後に”救い”があり、現実の厳しさの中にも一輪の花(希望)を咲かせるような
読む人を励まそうとするような一面があるように思える。

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2012年01月09日

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幕末本を読んでいると、どうしても天皇の歴史を理解する必要があり、先ずは南北朝の時代を知るべきだと思い、読むことにする。
登場人物の繋がりが絶妙で読んでいて飽きない。

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2011年01月29日

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面白かった。
室町時代にどのように突入していったのか、
なぜ鎌倉幕府は倒れたのか、等を政治、軍事的側面から描いている。

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2010年10月26日

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吉川文学の味わい深いシリーズだと思います。
歴史の学びにも参考になりますし、男女あるいは当時の夫婦間の情愛の機微も、丁寧に描かれていると思えます。

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2010年09月10日

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全8巻の第1巻。室町幕府の開祖、足利尊氏を中心として、鎌倉幕府の末期から建武の新政、南北朝を描く大作。今(2020年)にBSで再放送されてる1991年の大河の原作となっているが、かなり脚色されている。第1巻は、若き日の高氏が京の都にいるところから始まる。藤夜叉も登場するが、ドラマに比べると結構めんどくさい女。それに比べて登子の沢口さんよりすごいわ。そして、ドラマでもこの原作でも一番の曲者は佐々木道誉。正中の変が収められ、弘安の変に向かう

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2020年08月19日

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職場の友人、SYUくんから頂いた、全8巻から成る吉川英治作品。私が吉川英治作品を読みのは、2011年の「三国志」、2012年の「新・平家物語」に引き続き三作品目。1年に1作品を読んでいる計算になる。
さて、本作品は平成3年(1991年)大河ドラマ「太平記」の原作である。実は私、それを知らずに読み始めたのだが、冒頭で主人公:足利又太郎と一緒に登場する側近の一色右馬介の文字を見た瞬間に「大地康雄」の顔が浮かんだ。そう、私が高校2年の時に観ていたあの大河ドラマの原作であることにようやく気づいたのである。この南北朝時代は正直、あまり得意な方ではないし、第一、大河ドラマでも「太平記」くらいしかこの時代を扱っていない。まあ、日本史好きを自認する私にとっては、この時代もしっかりと理解したいところであるため、前向きに読んでみることにした。

本巻で興味深かったセンテンスは以下のとおり。

由来、新田足利二家の関係は、ただ隣国だけのよしみではない。血においても親類と言える。事は古すぎるが、八幡太郎義家から祖を同じゅうしていきた同根の家すじなのだ。ところが、頼朝旗揚げの際、新田家の祖は不首尾をやっている。それがたたって北条幕府代々の後までも、新田家は浮かばれなかった。義貞の代となっても、その格式は足利家の家風に置かれ勝ちだった。さらには幕府の方針も両家の反目をもって、つねに両勢力を撓めておく巧みな治策としていたのもいうまではない。
→足利尊氏、新田義貞という両ライバルの関係の端がこの文章に集約されている。今後の二人の関係が楽しみだ。

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2013年06月01日

Posted by ブクログ

(全巻合わせた感想)
文章が読みやすく、状況描写が上手でその場の雰囲気や気持ちが手に取るように分かり、その文章の巧みさに感嘆した。内容は主人公尊氏及び周辺の人々に何らの魅力を見出せなかったので、少しつまらなかった。

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2012年02月07日

Posted by ブクログ

幕末,明治の小説はかなり読んできたものの,鎌倉,室町時代については全くのど素人なので,まずはこの時代の王道である太平記を読んでみた。
主人公は概ね足利尊氏で話は進んでいるが,尊氏は何となく優柔不断で人を惹きつける魅力があまりないように感じられた。
それに比べ,楠木正成については,考え方も一貫しており,好きな武将の一人となってしまった。
南北朝時代は武士も節操もなく足利方や後醍醐方の形勢の良い方に取り入っており,侍としてどうなのだろう。忠の字はどこへ行ったのかと思われてならなかった。
しかし,尊氏のすばらしいところは,そんな侍たちも受け入れる度量,赦す心を持っていたのが好きなところだ。
ひととおり南北朝の騒乱は流して見たので,この時代でもう少し詳しい小説を読んでみようか。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

足利尊氏の少年時代から、鎌倉幕府・北条氏の滅亡、後醍醐との確執、楠正成との決別、南北朝の成立を経て晩年に至る、戦乱と裏切りと人殺しと、権力欲と物欲と、そんな中を懸命に生きた人々の物語。

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2009年10月04日

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